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実質的意味の憲法 第54回

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第54回 】★      
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                               PRODUCED by 藤本 昌一
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【テーマ】 実質的意味の憲法


【目次】  問題・解説

 

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 ■ 平成21年度問題3
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   次の文章のうち、そこで想定される「実質的意味の憲法」の理解の仕方
 が、憲法学における伝統的な分類に従えば、他とは異なっているものは
 どれか。

   1 権利の保障が確保されず、権力の分立がなされていない社会は、
   憲法をもっているとはいえない。

   2 固有の意味での憲法を論ずるには、古代憲法、中世憲法、近代憲法、
   現代憲法の順で、社会の基本構造を歴史的に叙述する必要がある。

   3 日本の憲法の歴史は、大日本帝国憲法の制定につながる、西洋諸国
   に対する「開国」を出発点として、叙述されなくてはならない。

  4 近代立憲主義が定着したフランス第三共和制においては、その体制
   の基本を定める法律を「憲法的」と形容して、憲法的法律と呼んでいた。

   5 絶対君主制とは区別された意味での立憲君主制が、19世紀ヨーロッパ
   の憲法体制では広く普及し、明治時代の日本もこれにならった。
 
 
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 ■ 解説
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 ○ 参考図書

 芦部信喜著 憲法 岩波書店
 
 ○ 序論

  平成21年度の問題も、すでに過去問となった。
  本問は、パッと見た感じでは、2から5まで、「憲法思想史」について
 述べられていて、1だけ毛色が違う、よし1だと若干の疑問を感じつつも
 確信を持って、1を塗りつぶしたら、答えは2であるという。そういう
 体験をした受験生が多かったと思われる。
 憲法に関しては、他の問題が比較的正解を導きやすかったのに比して
 これだけは特殊であるという印象がある。

 ○ 本論

 出題者の意図を探ってみよう。
 
 「実質的意味の憲法」に対比されるのは、「形式的意味の憲法」である。
 「形式的意味の憲法」とは、「憲法という名前で呼ばれる成文の法典
(憲法典)を意味する」(前掲書)。ということは、肢1から5までは、
 成文の憲法に関する叙述ではないことになる。

 それでは、実質的意味とは何か。「ある特定の内容をもった法を憲法と
 呼ぶ場合である」とされる。(前掲書)
  ここで、憲法学における伝統的な分類に従った場合には、「実質的
 憲法」の理解の仕方がどうなるかという本題にたどりつく。

  実質的意味の憲法には、二つのものがある。ひとつは「固有の意味」
 である。これは、国家の統治の基本を定めた法であり、この意味の憲法
 はいかなる時代のいかなる国家にも存在するとされる(前掲書)。

  これが、肢2の「固有の意味での憲法」であって、「古代憲法・・現代
 憲法」までのいかなる時代にも存在する国家の統治の基本を定めた法に
  関する記述であることは明らかである。

 実質的意味の憲法の第二は、「立憲的意味での憲法」である。これは、
 自由主義に基づいて定められた国家の基礎法であって、この意味の憲法は、
 固有の意味の憲法とは異なり、 歴史的な観念であり、その最も重要なね
 らいは、政治権力の組織化というよりも権力を制限して人権を保障する
 ことにあるとされる(前掲書)。

   ここでのポイントは、「歴史的観念」ないし絶対君主制に対する立憲
 君主制に基づく「人権保障」にある。
 
  肢3・4・5に当てはめると、「歴史的観念」に基づいた記述である
 ことがわかる。また、いずれも、立憲君主制に基づく「人権保障」に
 焦点を当てた記述である。明治憲法においても、不完全ながらも、立憲
  的制度も採用されており、権利自由は保障されていたのである(前掲書)。


  肢1は、フランス人権宣言によって示されたものであって、この言葉は、
「専断的な権力を制限して広く国民の権利を保障するという立憲主義の
 思想に基づく憲法」と同一の趣旨である(前掲書)。

 そうすると、肢1・3・4・5は同類であって、肢2だけは、異種であり
 2が正解ということになる。

 ○ 付言

  本問については、普段あまり考えたことのない分野であるから、即座
 に本論で述べた出題者の意図を読みとれというのは、要求過多のように
 も思われる。

 しかし、もし、実質的意味に固有の意味と立憲的意味があるというのが、
 憲法の基礎知識だとすると、肢2に「固有の意味」があることを手がかり
 にスパッと2を割り出すことができるのかもしれない。

  インターネットをみていると、本問について、1or2が正解というのが
 あった。出題者の意図とは離れるが、1を正解とみる(序論参照)のにも
 合理的理由があり、あまりにも1を正解とするものが多だとすると、or
 もありかなとも思う。

  いずれにせよ、憲法全体を眺めたばあい、肢1・3・4・5が「基本的
 人権」に該当し、肢2が「統治機構」に相当することだけは、明確に把握
 しておきたい。
 


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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