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国家賠償法=営造物管理責任 第71回

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       ★ 過去問の詳細な解説  第71回 ★

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                  PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 国家賠償法=営造物管理責任(前回の続き)
  
             地方自治法


  【目次】   問題・解説


  【ピックアップ】     

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 ■ 問題 平成19年度問題20 肢3・4抜粋
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   国家賠償法2条の定める営造物管理責任に関する次の記述のうち、
 妥当なものはどれか。

 3 営造物の管理責任は、営造物の物理的瑕疵を問うものであり、
  営造物を管理する公務員の管理義務違反は国家賠償法1条の責
    任であって、同法2条の責任が問われることはない。

 4  営造物の瑕疵は、営造物そのものに物理的瑕疵がある場合を
   元来指すが、第三者の行為により営造物が瑕疵がある状態にな
   った場合にも、その状態を速やかに改善して瑕疵のない状態に
  回復させる責任が営造物管理者にはある。

  
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 ■ 問題 平成21年度問題21
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   以下の記述のうち、地方自治法に規定されている内容として、誤
 っているものはどれか。

 1 地方自治法に定める「自治事務」とは、地方公共団体が処理
  する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。

  2 地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の
    福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げ
  るようにしなければならない。

  3 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めると
    ともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を
  図らなければならない。

  4 市町村が当該都道府県の条例に違反して事務を処理した場合
    には、その市町村の行為は無効とされる。

  5 市町村は、その事務を処理するに当たり、当該都道府県知事
    の認可を得て、総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基
    本構想を定めなければならない。

 

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 ■ 解説
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
  ■ 平成19年度問題・解説

   前回やり残した問題について、解説を行う

 
 ○ 肢3について

  国家賠償法2条の「設置・管理の瑕疵」の文言の意味

                    ・・
  行為瑕疵説→営造物の設置・管理という行為に瑕疵がある。

  営造物瑕疵説→営造物それ自体に瑕疵がある場合に営造物管理
         責任が認められる。

   本肢は、営造物瑕疵説に基づく見解であるが、以下の説明に
  注目!

  「営造物に物的欠陥はあるがその設置・管理上の措置に落ち度
      がないということはあまりないであろう。・・・
   他方、営造物に物的欠陥がなくてもその設置・管理に落ち度
   があるという事態は十分に考えられる。・・・
   従って、行為瑕疵説の方が、国家賠償法の文言に忠実である
      上、被害者救済を広く認めるという点でも優れていると言え
   る。」

   (前掲読本 391頁)

   以上の記述からすれば、「営造物の設置・管理という行為」
    に落ち度がある「営造物を管理する公務員の管理義務違反」は、
  国賠法2条の責任が問われることはあり得る。

   以上によれば、本肢は妥当でない。

  ★ 付 言

   営造物の管理行為について、「公権力の行使」に当たるものは、
  国賠法1条の適用をし、そうでない管理行為には、同法2条1項
    が適用されるのかという問題がある。

   以下の説に注目!
  
  「むしろ、営造物の管理行為である以上『公権力の行使』に当
   たるものであっても、同法2条1項を適用するという考え方
   が穏当ではないだろうか。」
   
   (読本 393頁)


   本肢の短い文言の中には、以上の論点がつまっている。将来の
 本試験対策のためには、このあたりまできっちりと、把握してお
 くことが望ましい。

 
 
 ○ 肢4について

   本肢は、肢3において、説明した「行為瑕疵説」に立つもので、
 妥当である。

  前回(70回)において、引用した判例を再度掲げておく.。

    判例としては、道路中央線付近に故障した大型自動車が長時間に
  わたって放置された事例について、最高裁は、道路管理に瑕疵が
    あったとして、国賠法2条の適用を認めている(最判昭50年
    7月25日)。(前掲入門 268頁)

  
 
  ■ 平成21年度問題・解説

   ○ 総説

    本問は、すべて、条文どおりの設問であるが、条文を知らなくても
  肢4・5に絞られるであろう。
  
  都道府県と市町村の関係は基本的には、協力・対等な関係にあり、
 都道府県が市町村を統括する事務を行うことはできない。

  という認識があれば、5が誤りであることを容易に見抜くことが
  できるあろう。

  ○ 各肢の検討

  
 ◆ 1について

  地方自治法22条8項のとおりであり、正しい。

  現実に地方公共団体が処理する事務は多種多様にわたるため、積極
 に定義することができないからであろう。

 参考事項

 ☆ 法定受託事務
 
   国などから地方公共団体に委託するものである。

  地方自治法において、第1号法定事務と第2号法定事務について
 定義されている(同法2条9号)。

   第1号は、「国が本来果たすべき役割に係るもの」であり、第2号
 は、「都道府県が本来果たすべき役割に係るもの」である。
  その概念を把握しておく必要がある。


 ◆ 2について

   同法2条14号のとおりであり、正しい。

  同法1条の目的規定では、「能率的な行政の確保」が記されている。
 
  同法1条の2の役割規定では、「住民の福祉の増進を図ること」が
 記されている。

 私は、以上の3つの条文は連動していると思う。

 ◆ 3について

 
 同法2条15号のとおりであり、正しい。

 参考事項

 ☆ 同法7条の市町村の廃置分合

 ☆ 市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年法律59号・
  平成22年3月31日限りで失効する限時法)

  市町村の規模の適正化を目的とする。特に後者においては、条文で
  明記されている。

  7条の廃置分合→分割・分立・合体・編入を意味するが、平成の大
  合併は、合体と編入が行われた。両者を合わせて、合併という。


 ◆ 4について 

  同法2条16号・17号のとおりで正しい。

  その根拠は以下のとおりである。

  都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体として、市町村
  の連絡調整に関する機能を有している(同法2条5項)ことから、
  都道府県の条例に違反したす市町村の行為は無効になる。


  ◆ 5について

  同法2条4号によれば、「都道府県知事の認可」ではなく、「議会
  の議決を経て」となっている。誤りである。

  その根拠は、総説において記したが、以下の点も考慮すべきであろう。

  市町村優先の原則→普通公共団体の事務は、まず基礎的な普通地方公
 共団体である市町村が処理することになる(同法2条3項)。


   参考事項

   都道府県と市町村の関係

 
  市町村優先の原則(同法2条3号)

   都道府県→  広域事務・連絡調整事務・補完的な事務(同法2条5号)

   

 以上のとおり、正解は5である。


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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