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会社法 第80回

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          ★ 過去問の詳細な解説  第80 回  ★

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                              PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 会社法 

    【目次】   問題・解説

           
    【ピックアップ】     
 
     本年9月初頭には、過去問の分析に加え、近時の傾向も取り入
   れた「オリジナル模擬試験問題」(有料)を発行する予定をして
  います。
     とくに、関連部分に言及した解説にも力を込め、よりよいもの
   を目差して、目下準備中です。


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 ■  平成21年度・問題38
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   株主名簿に関する次のア〜オの記述のうち、会社法の規定および判例
 に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

 
  ア すべての株式会社は、株主名簿を作成して、株主の氏名または名称
  ならびに当該株主の有する株式の種類および数などを記載または記録
    しなければならない。

  イ  基準日以前に株式を取得した者で、株主名簿に株主として記載また
    は記録されていない者について、会社は、その者を株主として扱い、
  権利の行使を容認することができる。

 ウ 株券発行会社においては、株式の譲受人は、株主の名簿書換えをし
    なければ、当該会社および第三者に対して株式の取得を対抗できない。

  エ 会社が株主による株主名簿の名義書換え請求を不当に拒絶した場合
    には、当該株主は、会社に対して、損害賠償を請求することができる
    が、株主であることを主張することはできない。

  オ 会社が株主に対してする通知または催告は、株主名簿に記載または
    記録された株主の住所または株主が別に通知した場所もしくは連絡先
    に宛てて発すれば足り、当該通知または催告は、それぞれ通常到達す
    べきだあった時に、到達したものとみなされる。
  

  1 ア・イ

  2  ア・オ

  3  イ・ウ

  4  ウ・エ

  5 エ・オ

 

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 ■ 解説
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  ◆ 参考文献

   会社法  神田 秀樹 著    弘文堂

 
 ◆  各肢の検討

   
   △ 肢アについて
     
      株式会社は、株主名簿を作成し、121条各号に記載する
   事項を記載し記録しなければならない。

   妥当である。

   
   ▽ 肢イについて

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     基準日とは

   議決権行使等の権利を有する株主は、その時点における株主名簿上の
  株主である。しかし、株主が多数いる会社では誰がその時点における名
  簿上の株主か把握することが容易でないので、会社法は、一時点におけ
  る株主に権利行使を認めるために基準日を設けることを認めている
  (124条1項)。
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    ただし、判例によれば、株式が譲渡され名義書換がなされるまでの間、
  会社が自己のリスクで名義書換未了の譲受人を株主を株主として取り扱
  うことができる(最判昭和30・10・20・・)。

  したがって、基準日以前に株式を取得した者で、株主名簿に株主とし
  て記載または記録されていない者について、会社は、その者を株主とし
 て扱い、権利の行使を容認することができる。

  
  以上の記述からして、本肢は妥当である。

    
    ☆ なお、次の点に注意せよ!
      ・
    基準日後に新たに株主となった者についても、会社のほうの判断
   で、総会の議決などを認めることはさしつかえない(124条4項
   [ただし書きに注意])。《 前掲書94頁参照》


  ▲ 肢ウについて


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  株式の譲渡

  1 株券発行会社

  (1) 株券の引き渡しは、権利移転の要件であり、第三者に対する
         対抗要件である(128条1項本文・130条2項)。

     (2) 株主名簿の名簿書換えが会社に対する対抗要件である(130
         条1項・2項)。

  2 株券不発行会社

    権利移転の要件は、意思表示であるが、会社その他の第三者に対す
     る 対抗要件は、株主名簿の名簿書換えである(130条1項)。

       
    注 130条の条文の仕組み

     会社は原則として株券を発行しないものとし、株券の発行を
        定款で定めた場合に限って株券を発行することにしたため
   (214条1項)、130条1項は、株券不発行会社に適用さ
       れる。権利移転の要件が意思表示であるというのは、私法の一般
    原則に従う( 2 参照)。


     130条2項は、株券発行会社に適用される。
     会社に対する対抗要件が、株主名簿の書換えであることを規定
    したものであるが、その前提として、株券の引き渡しが(権利
        移転要件であると同時に)第三者対抗要件であることを読み取る
    必要がある
        ( 1 (1)(2) 参照)

     しかし、いずれにせよ、まどろっこしい規定の仕方である。
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          以上の記述からすると、株券発行会社については、株式の譲受人
        は、株券の交付を受ければ株式の取得を第三者に対抗できるが、当
    該会社 に対しては、株主名簿の名簿書換えをしなければ、株式の
        譲受けを対抗できないことになる。

     したがって、株主名簿の名簿書換えを第三者対抗要件としている
    本肢は妥当でない。


    ▼ エについて

     判例によれば、会社が不当に名義書換えを拒絶した場合や過失により
  名義書換えを怠った場合のように、例外的に名義書換未了の者が会社に
    対して自己が株主であることを主張できる場合があることを認める(最
    判昭和41・7・28)。《前掲書95頁》

    したがって、株主であることを主張することができるので、本肢は
   妥当でない。

   
    ★ 次の点に注意せよ

   (1) 一般原則により、当該株主は、名義書換え請求を不当拒絶
           した会社に対して、損害賠償請求できるできるであろう。

   (2) 当該判決によれば、過失により名義書換えを怠った場合も
   含む。

   
   △ オについて

    会社の株主に対する通知または催告については、126条1項・
      2項において、本肢の通りの規定がある。

     本肢は妥当である。


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   本問については、妥当でないのは、ウ・エであるから、正解は4
  である。
 
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 ◆ 付 言 

    本問を概観すると、株主名簿に関し、条文と基本的な判例が把握されて
  いれば、正解に達する。   

  しかし、そのことは、後から条文を繰り、判例に当たって言い得るこ
  とであって、広範囲であり、しかも、会社法の準備に充てる時間の少な
  さを考慮すると、すべてに用意万端というのは困難であろう。

  会社法対策としては、時間の許すかぎり、丁寧に問題集をこなし、それ
  でも本番で知らない問題が出れば、普段に培った応用力でもって、失点を
  減らすことに心がけるべきであろう。

  会社法に関しては、以上ごとき、開き直りも肝要と、わたしは思料する。

 

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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