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会社法 第81回

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            ★ 過去問の詳細な解説  第81回  ★

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                              PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】
  
     会社法 

    【目次】 

      問題・解説

    【ピックアップ】     
 
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 ■ 平成21年度 問題39
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   株式会社の事業譲渡に関する次のア〜オの記述のうち、妥当なものの
 組合せはどれか。

 
   ア 事業譲渡を行う場合には、譲渡会社と譲受会社との間で、譲渡
   する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項を包括
     的に定めた事業譲渡契約を締結しなければならない。

  イ 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、譲受会
    社は、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負い、
    譲渡会社は当該債務を弁済する責任を免れる。

  ウ 譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村
    の区域内およびこれに隣接する市町村の区域内においては、その事
  業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。

 エ 会社がその事業の全部または重要な一部の譲渡を行う場合には、
    譲渡会社において株主総会の特別会議による承認を要するが、譲渡
    する資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の額の五分の一を超えない
  ときは、株主総会の承認は不要である。

 オ 会社が他の会社の事業の全部または重要な一部を譲り受ける場合
    には、譲受会社において株主総会の特別決議による承認を要するが、
  譲受会社が対価として交付する財産の帳簿価格の合計額が譲受会社
  の総資産の額の五分の一を超えないときは、株主総会の承認は不要
    である。

  1 ア・イ

    2  ア・オ

    3 イ・ウ

    4 ウ・エ

    5 ウ・オ 

 

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 ■ 解説
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 ◆  参考文献

   会社法   神田 秀樹著   弘文堂


  ◆ 総説

    会社法21条〜24条は、事業譲渡に関する取引法的側面について
    規整を設けているが、組織法的側面[株式会社]については467条〜
   470条に規整が置かれている(前掲書)。

      本問は、両側面に関し、主に、条文を中心とした出題となっている。

 
  ◆ 各肢の検討

   ○ アについて

     事業譲渡の場合には、事業に属する個々の資産については個別に
   移転手続(第三者対抗要件の具備を含む)をする必要がある(不動
   産の登記や指名債権の対抗要件具備など)。また、債務を移転する
   場合、免責的債務引受けとするためには、一般原則に従って債権者
   の承諾が必要である(前掲書)。

   以上のとおり、事業譲渡は、個別の移転手続によって行われるの
   である。
   その根本的理由は、会社法が、事業譲渡を行う場合に、「・・
   権利義務に関する事項を包括的に定めた事業譲渡契約を締結しな
   ければならない」と定めていないからである。

  したがって、本肢は妥当でない。

   本肢は、事業譲渡の本質的理解を問うものだ!

  ☆ 参考事項

   それでは、株主総会の特別決議を要する(後述)この事業譲渡
    と「営業でない財産の譲渡」をどういう基準で区別することにな
    るのだろう。少なくとも、現象的には、両者とも、個別的な移転
    手続だからである。

   その基準は、「譲渡会社の営業が遂行できなくなるかどうか」と
   いう観点からなされる。このような当事者の意思に基づく「相手方
   からわからない事情で(株主総会の特別)決議の要否をきめるのは
  法律関係の明確性と取引の安全を害する」。

     このような観点から、判例は、会社法467条にいう株主総会の
   特別決議を要する(309条2項11号)事業譲渡について、一つ
   の基準を設ける。

  すなわち、

      判例(最大判昭和40・9・22・・)は、旧法において、営業の
    譲渡と呼ばれていたときに、商法245条1項1号によって、株主総
    会の特別決議を要する営業譲渡 (会社法では、467条1項1号に該
  当する)について、 商法25条(会社法では21条に該当する)に
  定める「競業避止義務を負う結果を伴うものをいう」としている。

   ≪つまり、会社法でいえば、会社法467条にいう事業譲渡は、
   同法21条以下にいう事業譲渡と同一意義である≫

     (以上、前掲書 参照)


    説明の順序からして、さきにウから行う。


 ○ ウについて

  会社法467条に該当する株主総会の決議を要する事業譲渡は、
  競業避止義務を負う結果を伴うものに該当する会社法21条と同一
  の意義を有すると肢アで述べた。

  本肢は、ズバリ、事業を譲渡した会社が競業避止義務を負うこと
  を規定した会社法21条の条文そのものである。

  本肢は妥当である。

  なお、以上で述べた説明によって、総説で述べた、会社法21条
  の事業譲渡に関する取引法的側面と467条の組織法的側面[株式
  会社]の合体が生じていることに注目せよ。
 
  
  ○ イについて

   本肢は、事業譲渡に関する取引法的側面である。

  会社法22条1項・同3項によれば、
  
   譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、譲受会社
  が債務を弁済することになるが、この場合、譲渡会社も責任がある。
  →原則 しかし、譲渡会社は、一定期間後には責任を消滅。

   したがって、前段は妥当であるが、譲渡会社は当然に債務を免れる
    のではなく、22条3項の規定により一定期間後に責任が消滅するの
    で、後段は妥当でない。

   本肢は妥当でない。


   ☆ 参考事項

   譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合には、23条
    参照。

     1項の広告をしなければ、譲受会社は債務を弁済する責任なし。
   
   2項 広告をした場合における、譲渡会社の一定期間後の責任消滅。


 
 ○ エについて

  本肢は、組織法的側面[株式会社]についての出題である。

   会社法467条1項1号・2号により妥当である。

  467条1項2号( )内により、事業の重要な一部の譲渡について、
    譲渡する資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の五分の一を超えないと
    きは、株主総会の承認は不要であるとなっているが、本肢では、そこ
    が問われている。

  ☆ 参考事項

   取締役会設置会社では、重要な財産の処分には取締役会決議が必要で
  ある(362条4項1号)。


 ○ オについて

   本肢もまた、組織法的側面[株式会社]についての出題である。

   会社法467条1項3号により、事業の重要な一部の譲受けの場合
   には、 株主総会の承認は不要であるので、妥当でない。

  ☆ 参考事項

   取締役会設置会社では、重要な財産の譲受けには取締役会決議が必
  要である(362条4項1号)。
 
   会社法467条1項3号により、他の会社の事業の全部の譲受けの
    場合には、株主総会の承認を要するが、この場合でも、譲受会社が支
  払または 交付する譲受けの対価の額(簿価)が譲受会社の純資産額
    の20%以下[定款で厳格化可]の場合は、株主総会の承認は不要で
  ある。 (本肢の後半部分は、この点においても、正確ではない)
    
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   以上、妥当であるのは、ウ・エであるから、正解は4である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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