行政書士試験独学合格を助ける講座
会社法=株式会社の取締役 第88回
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★ 過去問の詳細な解説 第88回 ★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 会社法=株式会社の取締役
【目次】 問題・解説
【ピックアップ】
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この問題集は、長年の本試験研究の成果を踏まえ、私が渾身の力をふ
りしぼって作成したものであり、その作成意図を列記いたしますと、下
記のとおりであります。
1、本試験と同じ形式を採用し、実際にも、来る本試験との重なりを期
待しました。
2、特に、【解説欄】に勢力を注ぎ、関連する事項に極力言及し、応用
力が養成されるようにこころがけました。
3、88回にもわたる当該「サイト」欄と連動させることにより、体系
的理解を助けることを目的にしました。
本試験直前のこの時期に、以上の特徴を有するこの問題集を活用され
ることにより、みなさまの一人でも多くの方々が、合格の栄冠に輝かれ
ることを期待してやみません。
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■ 平成15年度 問題34(一部改変)
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株式会社の取締役に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつ
あるか。
1 定款をもってしても取締役の資格を株主に限定することはできない。
2 株主総会は、正当の事由がなければ、任期満了前に取締役を解任す
ることはできない。
3 取締役の解任によって欠員が生じた場合、必要があるときは、利害
関係人の請求により、裁判所は一時取締役の職務を行うべき者を選任
することができる。
4 取締役が取締役会の承認を得ないで自己のために会社の営業の部類
に属する取引を行った場合、取引の時から1年を経過するまでは、取
取締役会は、その取引を会社のためにしたものとみなすことができる。
5 取締役が、取締役会の承認を受けて会社を代表して他の取締役に金
銭を貸し付けた場合であっても、その取締役はまだ弁済のない額につ
いて弁済する責任を負う。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ
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■ 解説
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☆ 参考書籍
会社法 神田 秀樹 ・ 弘文堂
☆ 問題文一部改変について
本問題出題当時においては、旧商法が適用されていたが、これに
会社法を適用すると、複数の誤りが生じるため、「誤っているもの
はどれか」とする問題文について、該当部分を改変した。
なお、各肢の記述は原文のままである。
◆ 各肢の検討
○ 1について。
取締役など役員は株主総会の決議によって選任される(会社法329
1項)。
旧商法適用時においては、定款で、取締役を株主に限定することは、
許されなかった(旧商法254条2項)。
会社法のもとでも、定款で、取締役の資格を株主に限定することは許さ
れないが、公開会社以外の会社は別である(331条2項)。
以上のとおり、公開会社以外の会社は限定が許されるので、誤りで
ある。
なお、公開会社においても、株主を取締役に選任することはもちろん
認められ、実際にもそのような場合が多いことに注意。
(前掲書 170頁)
○ 2について。
株主総会は、その決議で、いつでも、理由をとわず、取締役など役員
《329条1項( )内》を解任することができる(339条1項)。
正当な理由なく解任した場合は、会社は損害賠償しなければならない。
(339条2項)。
以上により、株主総会は、正当な理由がなくても、任期満了前に取締
役を解任できるので、本肢は誤りである。
○ 3について。
終任により法定のまたは定款所定の役員の員数が欠ける結果になった
場合には、後任の役員を選任しなければならないが(976条22号参
照)、任期満了または辞任により退任した役員は、後任者が就任するま
で引き続き役員としての権利義務を有する(346条1項)。
しかし、それが不適当な場合とその他の事由(解任等)による場合は、
裁判所に請求して一時役員としての職務を行う者(「仮」取締役等と呼
ぶが、権限は普通の取締役等と同じ)を選任してもらうことができる
(346条2項・3項)。
《前掲書》
以上からすれば、取締役の解任の場合、仮取締役を選任することがで
きるので、正しい。
○ 4について。
本肢は、旧商法における、取締役の競業避止規制違反があった場合の
介入権の規定である(旧商法264条3項).
会社法では、当該介入権の規定は廃止されている。
会社法のもとでは、次のようになっている。
取締役会設置会社では、競業取引について、取締役会の承認を得なかっ
た場合(356条1項1号・365条1項)、その取締役は会社に対して
損害賠償を負い(423条1項・2項)、また取締役解任の正当事由にな
りうる(339条)。
以上に対して、取締役会設置会社以外では株主総会で承認する(356
条1項1号)。
《前掲書参照》
以上からすれば、本肢は誤りとなる。
○ 5について。
本肢については、サイト48回を参照されたい。
★サイト48回はこちら↓
http://examination-support.livedoor.biz/archives/919396.html
会社から金銭の貸付を受けた取締役の行為は、、356条1項2号の
利益相反行為に該当する。取締役会設置会社にあっては、取締役会の承
認を要する(365条)が、当該承認を得た金銭の貸付けであっても、
会社に損害を生じた場合は、その取締役・代表取締役は会社に対して
損害賠償責任を負う(423条1項・3項)。
金銭の貸付を受けたことによって、直接取引をした取締役が無過失
責任を負うのは当然としても(356条第1項2号・423条3項1号・
428条)、本肢における代表取締役も過失責任を負う(423条3項
2号・3号)。
以上により、会社を代表した取締役も、まだ弁済のない額についての
弁済をする責任を負うので、本肢は正しい。
注・細かくなるが、旧商法では、直接取引をした取締役以外の取締役
の責任も無過失責任であったが、会社法では、過失責任化された。
したがって、本肢において、出題当時、当該取締役の弁済責任
は無過失責任であったが、現在では過失責任となっていることに
注意せよ!!
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以上誤っているのは、1・2・4であるから、正解は3である。
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
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