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行政法 第96回

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        ★ 過去問の詳細な解説  第 96 回  ★

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                        PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    問題・解説

           
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 ■行政法・ 平成22年度・問題8
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   A市は、風俗営業のための建築物について、条例で独自の規制基準を
 設けることとし、当該基準に違反する建築物の建築工事については市長が
 中止命令を発しうることとした。この命令の実効性を担保するための手段
 を条例で定める場合、法令に照らし、疑義の余地なく設けることのできる
 ものは、次の記述のうちどれか。

  1 当該建築物の除去について、法律よりも簡易な手続で代執行を実施
  する旨の定め。

  2  中止命令の対象となった建築物が条例違反の建築物であることを公
   表する旨の定め。

  3  中止命令を受けたにもかかわらず建築工事を続行する事業者に対し
     て、工事を中止するまでの間、1日について5万円の過料を科す旨の
   定め。

  4  市の職員が当該建築物の敷地を封鎖して、建築資材の搬入を中止さ
   せる旨の定め。

  5 当該建築物により営業を行う事業者に対して1千万円以下の罰金を
   科す旨の定め。
 

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 ■ 解説
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  ○ 序説


  本問は、全体として、論点が把握し難いが、単純化すれば、その基準
  になるのは、主に行政代執行法第1条・同法2条および地方自治法14
 条3項である。各肢について検討する。


 ◎ 各肢の検討

  
  ● 肢 1


  条例に基づき、行政庁命じられた義務については代執行ができる(行政
  代執行法第2条第1項カッコ書きにおいて、条例を明示している)。
  したがって、市長の中止命令に反する当該建築物の除去義務は、代替
 作為義務であるから、代執行できる。

  しかし、法律よりも簡易な手続で代執行を実施する旨の規定を条例で
  設けることは、二重の意味で許されない。

  第一には、「法律の範囲内で条例を制定することができる」とする憲
 法の規定に反する(憲法94条なお地方自治法14条1項)。

  第二には、行政代執行法第1条に反する。当該規定の趣旨は以下のと
  おりである。

    地方公共団体に関して言えば、その「行政庁は、行政代執行法の規
 定により代執行ができるし、さらに、個別の法律の規定があれば、そ
 の法律で定められている強制執行を行うことができる。しかし、その
  反面、条例によって強制手段を創設することはできない。」(読本
 139頁)

  つまり、条例によって、簡易な手続による代執行を定めることは、条
 例による強制手段の創設に連なる。

     疑義の余地なく設けることはできない。

 
   ● 肢 3・4について(説明の便宜上、肢2を後に回す)

 
     ★ 強制執行制度

   原則→ 「行政代執行」(行政代執行法2条)


   別の法律の定め→「直接強制」・「執行罰」・「滞納処分」
  (同法1条)
 
 
  執行罰というのは、「義務を履行しない義務者に対して心理的
  強制を加えるために、金銭的な罰を科する方法である」(読本
 132頁))から、肢3がこれに該当する。

  行政上の直接強制とは、「義務者の身体や財産に直接に実力を
  行使して義務を履行させるという方法である」(読本132頁)
 から、4がこれに該当する。

  肢1第二で明らかにしたように、条例によって、強制手段を
  創設できないのであるから、執行罰(肢3)、直接強制(肢4)
 という強制手段の創設を条例で設けることはできない。

   
  いずれも、疑義の余地なく設けることのできるには該当しな
 い。


   ● 肢2


  公表とは、行政が持っている情報を公表することがである。
  
  本肢では、行政処分に従わない者に対する制裁(間接的強制
 手段)としての公表が対象になっているが、この公表というの
 は、刑罰とは異なり、比較的軽い措置である。

  ここにいう公表は、強制執行ではないので、条例で定めても
 前記肢3・4のように、「条例によって、強制手段を創設した」
 ことにはならない。

  また、行政手続条例において、その実効性を確保するために、
 公表の規定を置くことは望ましい(行政手続法46条参照)。
 
  (以上、前掲書参照)

  以上の記述に従えば、本肢は、「疑義の余地なく設けること
 のできるもの」に該当するので、本肢が正解である。


  ● 肢5

  地方自治法第14条第3項によれば、、条例違反の行為に対
 し、その条例中に百万円以下の罰金の規定しか設けられない。

  したがって、本肢の定め疑義の余地なく設けることはでき
 ない。

 
 ▲ 付言


  各肢を素早く比較して、直感的に肢2の「公表」を正解とし、
 あと、時間が余れば、前述した論拠を考察するのも一方法かも
 しれない。
  
  肢1~4の論拠の考察は、結構高度で、それなりに時間がか
 かると思料するから。

 
 
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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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