行政書士試験独学合格を助ける講座

行政法オリジナル問題 第1回

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               ★ オリジナル問題解答 《第1回 》 ★

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                            PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 行政法・オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】第87号
 に掲載してある。

  ★ メルマガ第87回はこちら↓
 http://archive.mag2.com/0000279296/index.html

 
▲ 問題1   

    ★  総 説
 
   A

   地方公共団体の行政に関して、行政手続法の適用が除外される範囲
   (3条3項)
   
   イ 行政処分・届出→(地方公共団体の機関が定める)条例・規則に
              基づくもの。

   ロ 行政指導→すべてのもの。

 
   ハ 命令等の制定→すべてのもの

 
  注 条例は、地方議会が定める。規則には、地方公共団体の長つまり
  都道府権知事や市町村長が定めるものと教育委員会などの委員会が
    定めるものがある(憲法94条、地方自治法14条1項、15条1項、
  138条の4 2項)。その規則には規程も入る(地自法138条の4 2項
    行手法2条1号)
  上記の「命令等の制定」にある「命令」とは、条例は含まず、規程
    を含む規則が該当する。


  B

  行政処分・行政指導

  イ 3条1項の適用除外類型

   他の法律で定めるのは当然であって、特別の定めではない。

  ロ 3条1項に該当しない類型

   他の法律に特別の定めがあって、行政手続法の規定に抵触する場合
  には一般法と特別法の関係に立ち、他の法律優先(法1条2項)

  届出

   当然ロに該当するため、他の法律が優先。法1条2項には、「届出に
  関する手続」が明確に掲げてある。


 ★ 各肢の検討

     1について。

    法3条3項によれば、総説・Aロに従い、行政指導については、
   行政手続法第4章の行政指導の規定の非適用ということになる。

    これに対して、地方公共団体の機関がする行政処分については、

    行政手続法は、法律に基づく地方公共団体の行政処分には原則
      として適用される。 

        つまり、地方公共団体の機関がする行政処分であって、その根拠
   となる規定が条例または規則に置かれているものでないものについ
   ては、行政手続法が適用される。 
   
   
    したがって、本肢は、「行政指導」には該当しない。誤りである。

   
   2について。

    本肢は、総説B・ロに該当し、1条2項に基づき、他の法律が
   優先する場合が想定されている。
    この場合、たとえば、生活保護法29条の2で、処分について、
   12条と14条を除いて、行手法を適用しない旨規定している。
    したがって、行手法の一部適用を認めることもできる。

    本肢は、誤りである。

   3について。

    3条3項によれば、総説Aイに基づき、根拠が法律の場合、適用
   される。

    本肢は、誤りである。

     
   4について。

    3条3項によれば、総説Aハに基づき、地方公共団体の機関が定
   めるすべての命令に関し、行手法は適用されない。

   本肢は、誤りである。

   
   5について。

        行政手続条例とは

       行手法の適用のないつまり法3条3項により適用除外になる地方
     公共団体の行う「処分・行政指導・届出・規則・規程については
     地方公共団体が『行政運営における公正の確保と透明性の向上を
     図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。』こと
     になっており、(法46条)」(読本)これに基づいて、多くの
     地方公共 団体が制定しているのが、行政手続条例と呼ばれる。

       この手続条例においては、行手法と同一内容の行政手続条例の
   制定を求めているのではない。むしろ、法の趣旨にのっとり
   その地方公共団体の独自性を生かした方向での条例の制定が
   望まれる。

   したがって、行政手続条例が、地方公共団体における行政手続に
  ついて、行政手続法と異なる内容の定めをすることも許されない
  わけではない。

   本肢は、正しい。
 
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   以上、正しいのは、5であるから、本問の正解は、5である。

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 ▲ 問題 2 
 

 ◆  総説
 
   (読本219頁図表をアレンジした)
 
                  1 意見陳述手続             

          2 基準設定

         3 理由提示

          4  文書閲覧
    
          
               (前記1 2 3 4に対応)
                                   ↓
               
               1    2    3     4

  ☆  申請に対する処分       

              なし   審査基準  あり    なし
            (ただし       (拒否処分
              公聴会)      について)
                      
 ☆ 不利益処分                   


 (1)「特定不利益処分」   聴聞   処分基準    あり     あり
         
   
                     
 
 (2)「その他の不利益     弁明   処分基準  あり     なし
     処分」


   
 注        

  a 行政処分は、「申請に対する処分」(第2章・2条2号、3号)と
 「不利益処分」(第3章・2条4号)に分かれる。

  b 意見陳述手続については、「申請に対する処分」につき、10条
   の公聴会の規定があるだけで、申請者の意見陳述手続はない。

  c 「不利益処分」における意見陳述手続については、(1)1の聴聞
   を経る場合と(2)1の弁明の機会の付与を経る場合に分かれる。
  
    このうち、丁寧な手続である聴聞は、許認可を撤回したり 資格
   または地位を剥奪するといった相手方に重大な不利益を与える
   不利益処分について行われる。これが(1)の「特定不利益処分」
   であり、13条1項1号に列挙されている。
    
    これに該当しない(2)の「その他の不利益処分」においては、
   略式手続である弁明の機会の付与の手続が採用される。
  (13条1項2号・29条以下)

  以上を総括すると、 行政手続法上、聴聞を経る処分が、(1)
  の「特定不利益処分」に該当し、弁明の機会の付与を経る処分が
(2)の「その他の不利益処分」に該当することになる。


 ◆  各肢の検討
 

 ○ 1について

  5 条と12条参照。逆であり、誤。

  なお、審査基準が法的義務であり、処分基準が努力義務であることに注意。
 処分基準の公表は、悪用されるおそれがあるあるため、努力義務にとどまる。

 ○ 2について

  申請に対する処分については、申請者の意見陳述手続の規定はなく、
 10条に公聴会の定めがあるだけである。 誤。

 ○ 3について

  不利益処分のうち、特定不利益処分(13条1項1号)は聴聞の実施。
 その他の不利益処分には、29条以下の弁明の機会の付与が行われる。
 
 正しい。

 ○ 4について

  申請に対する処分のうち、理由の提示が義務づけられているのは、
 拒否処分だけである(8条)。誤。

 ○ 5について

  文書閲覧の制度が、申請に対する処分に適用がないのは、そのとおり。
 不利益処分については、聴聞を伴う特定不利益処分にのみ、当該制度
 が適用される。その他の不利益処分には、これは、適用されない。
 
 誤り。


  正解は3である。

 

 ◆  参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣


  ★ サイト25回参照↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/615913.html

     


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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