行政書士試験独学合格を助ける講座

民法オリジナル問題 第4回

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           ★ オリジナル問題解答 《第4回 》 ★

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          PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法・オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第90号に掲載してある。

 ★ メルマガ第90回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.html

 
 ★ 参考書籍 
  
  民法一 内田 貴 著・東京大学出版会
   
   民法 1 ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房


 ▲  問題 1


  ◎ 総説

   共有の性質については、一個の所有権を数人が量的に分有する
  状態だという説と、各共有者が一つずつの所有権を有し、各所有
  権が目的物が一固であるために互いに制限しあっている状態だと
  いう説とがある。
   後の説は、いささか技巧的にすぎるようだが、民法の共有の性
  質に適するであろう。

   共有者が目的物の上にもつ権利すなわち共有持分権は目的物を
  全面的に支配するという点では両説の間に差異がない。

  (以上、前掲 勁草書房・参照条文は民法249条)) 


  ◎ 各肢の検討

   
   ○ アについて

    Aの使用方法は、共有物の管理に関する合意(民法252条
   参照)に基づくものではないから、他の共有者の持分権を侵害
   している。
    
    しかし、個々の共有者は、元来共有物全体を使用する権利を
   有するから、BCは、持分権を侵害されたからといって、Aに
   対して当然には共有物の引渡を求めることはできない(最判
   昭和41年5月19日・摸六 249条 3・請求者側の持分
   の割合が12の11であっても、明渡請求はできないとされた)
   《以上 前掲 内田著》
    

    本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

    ★ 参考事項

    なお、以下の判例に注目!

     他の共有者は、単独で共有不動産を占有する共有者に対して、
    その持分割合に応じて、占有部分に係る地代相当額の不当利得
    金ないし損害賠償金を請求することができる(摸六 703条 
    23・最判平12・4・7・・)。
  
     占有している共有者から共有物の占有を承認された第三者は、
    その占有が承認した共有者の持分の基づくものと認められる限
    りは、他の共有者は、その第三者に対して当然には共有物の明
    渡しを請求することはできない(摸六 249条 12・
    最判昭和63・5・20・・)。
     つまり、本肢において、Aが第三者に対して使用を承認した
    場合、B・Cは当然にその第三者対し、共有物の明渡しを請求
    することはできないのである。

   ○ イについて

    当該登記の抹消を求めることは、妨害排除請求だから保存行為
   に当たり、共有者の一人は、単独で所有権移転登記の全部抹消を
   求めうる(摸六 249条 6・最判昭和31・5・
   10・・)

     本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

    ★ 参考事項

     当該判例は、共有物の管理に関する民法252条ただし書きの
    保存行為を根拠としているが、共有持分権は目的物を全面的に支
    配することから妨害排除請求を導くこともできるであろう。

  
   ○ ウについて

    第三者に対して、A・B・Cの共有であるということの確認を求
   める共有物の所有権確認の訴えを提起するには、全員で行うことを
   要するので、本肢は妥当である。
  
     
   ○ エについて

    共同相続の場合、相続人の一人が単独所有権取得の登記をなし、
   これを第三者に譲渡し、所有権移転の登記をしても、他の相続人は
   自己の持分を登記なくして、これに対抗できる。
    この場合、Aが請求できるのは、本肢のような全部抹消ではなく、
   Aの持分に限っての一部抹消である(摸六 民法177条 9・
   249条 7 最判昭38・2・22・・)。

    本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

   ○ オについて

    この場合は、イの妨害排除請求とは異なり、他人の持分に対して
   は何ら請求権を持たないから、本肢のとおりとする判例がある(摸
   六 249条 9 最判昭和41・3・3・・最判昭和51・9・7
   ・・)

    本肢は妥当である。

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    本問は、ウとオが妥当であるので、5が正解である。

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 ▲  問題 2


  ◎ 本問の解説は、便宜上、基礎の基礎に立ち返って、説明してある
  ので、不要と思われる箇所は、適当に読み飛ばしていただきたい。


  ○ アについて

   これは、民法177条が適用される典型的な例である。
  
      この条文解釈における要点を示す(勁草書房参照)。

    ★ 甲土地の所有権移転が「不動産の物権の得喪」に該当する
      ことには問題がない。

       ★ 次に、条文における「第三者」には、ア 登記なしでは
      対抗できない「第三者」と、イ 登記なしでも対抗できる
       「第三者」がある。

          これは、大審院判決(大連判明治41・12・15・・)に
        よって認められた理論であり、今日では通説になっている。

          その区別する基準として、さきの大審院判決は、「登記の欠缺
        ヲ主張スル正当ナ利益ヲ有スル」第三者という理論構成をした。

          本事例の「Bは登記なくしてCに対抗することができる」かどう
    かという設問に則してみてゆくと、Cにおいて、Bが登記を欠くこ
        とを主張し得る正当な利益を有する第三者に該当するかどうかとい
        うことが問題になる。。

         これに該当するときは、アの場合に 当たり、Bは 登記なくして
        Cに対抗できない。 逆に、Cがこれに該当しないときは、イの場
        合にあたり、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
 
         この両者の関係について、[一言でいえば、同一不動産について、
       結局において互いに相容れない権利を有する者である」(前掲勁草
       書房)。

       設問では、A・B間とA・C間とどちらも有効な売買契約であり
     (どちらも債権であり、先に成立したものに優先的効力なし)、Bと
      Cは、 同一不動産に相容れない権利を有するものであって、Bは登
      記なくしてCに対抗できないことになる。

   ★  最後に、Cが悪意である点が問題になる。つまり、悪意の第三者で
        あるC対しては、Bは登記なくして、対抗できるのではないかという
        ことである。この点については、悪意の第三者に対しても、登記なく
        しては、対抗できないというのが通説である。

         その論拠としては、次のように、言われている。

        「・・登記がない限り、その不動産に関してに関して取引関係に
          たった第三者に対しては、原則としてその善意悪意を問題とせず
          に対抗できないとすることが、不動産取引の整一簡明を期する
          ゆえんである。」(前掲勁草書房)
      要するに、行為者の内心を問題にせず、登記の有無によって決
          着しようというのが、通説の立場だということになる。
 

      以上述べたところにより、Bは登記なくしてCに対抗することはで
     きない。結局、さきに登記をしたCが、Bに優先することになる。

       以上により、本肢は妥当でない。

   ○ イについて

     本事例は、前の設問と比べると、Cが悪意者だったのが、背信的悪意
    者になったのみで、その他の点には変わりない。

    ★ 前には、悪意の第三者に対しては登記なくして対抗できなかったが、
     背信的悪意者には、登記なくして対抗できるかというのが、ポイント
     になる。
      さきの大審院判決の基準に照らすと、 背信的悪意者とは「登記ノ
     欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル」 第三者ではないということに
     なる。平たく言えば、単に「知っている」という度合を超えて、より
     背信の要素が強いため、この者に対しては、登記なくしても対抗でき
     るということになる。

    ★ この「背信的悪意者」という概念は、大審院の基準に当てはめ
     をした最高裁判所によって確立されたものである。判旨は、以下の
     とおりである。

      実体上物権変動があった事実を知る者において右物権変動に
     ついて
     登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が
     ある場合には、このような背信的悪意者は、登記の欠缺を主張する
          について正当な利益を有しない(最判昭和31・4・24・・・)
      
            要するに、繰り返しになるが、単なる悪意を超え、背信の度合
     が、 強度のものである。
      具体例としては、「ABの不動産の売買に立ち会ったCがBの
     未登記に乗じてAよりこの不動産を買い受け移転登記を得たよう
     な場合」が相当する(前掲勁草書房)。

      以上述べたところにより、本肢では、Bは登記なくしてCに所有
     権の取得を対抗できることになる。

     本肢は妥当である。

   ○ ウについて


    ★ まず、肢イの回答からして、Bは登記なくして、背信的悪意者C
     に対し、所有権の取得を対抗できる。

          ここで、その理屈を考えてみると、

        (a)もともと、AB間の売買契約も、AC間の売買契約も有効である。
    (b)ただ、C個人が背信的悪意者であるために、Bは登記なくしてC
      に対抗できるということである。

     そのポイントが押さえられていれば、Cから売却を受けたDの立場
    は明確である。もともと、AC間の売買は有効であるから、CDの売買
    も有効である。Cが背信的悪意者であるというのは、Cの個人的事情
    であって、Cを離れた以上、もう関係ない。ただし、今度は、D個人が、
    AB間の売買について、背信的悪意者であれば、BはDに対して、登記
    なくして、対抗できるが、本例のように、DがAB間の売買の存在を
    知っている(悪意)だけでは、Bは登記なくしてDに対抗できない。

    ★ 本事例には、判例がある(最判平成8・10・29・・・・)。

 
     本肢は、妥当でない。


  ○  エについて

      ★ 前例は、登記なくして対抗できる第三者として、背信的悪意者
    について、 勉強したが、これも同列に論じることができる。

     不法占有者は、登記しなければ、所有権を対抗することができない
    第三者に該当せず、177条の「第三者」ではない。

     したがって、Bは登記なくして、Cに対抗できる。そのため、
    Bは、登記がなくてもCに対し、土地の明渡しを請求し、損害賠償
    を請求することができる(709条)。

    これには判例がある(最判昭和25・12・19・・)。

    本肢は妥当である。

  ○ オについて

    Aの 取り消し後の転売の場合には、AとCは対抗関係に立ち、先に
   登記をした方が優先することになる。民法177条の適用である。判
   例もある(大判昭和17・9・30)


    本肢は妥当である。

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    妥当でないのは、アとウであるから、正解は1である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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