行政書士試験独学合格を助ける講座
日本の雇用・労働 一般知識第2回
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■ 一般知識 アラカルト(2)
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日本の雇用・労働 その1
○ 日本型雇用システム
日本雇用制度の三種の神器
日本の雇用制度を象徴する、「終身雇用制度」、「年功序列型
賃金」、「企業別労働組合」
★ 三種の神器の盛衰
年功型賃金や終身雇用制度がみられるようになったのは、第
一次大戦後の1920年代(大正2年〜)ごろからの大企業か
らである。
さらに、企業別労働組合を加えて普及したのは戦後のことで
ある。
こうした日本的雇用制度は、少なくても大企業の正社員に限
ってみればかなり一般的であったが、1990年代中盤以降(
平成7年〜)徐々に崩れてきた。
★ 日本の労働組合
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欧米では、職業別組合(同一職種の熟練工を中心とした組合)
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から産業別組合(職種や企業の枠をこえた同一の産業の組合)
へと発展してきた。
これに対して日本では、終身雇用制を背景として、会社ごと
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の従業員組合という性格をもつ企業別組合である。
そのため、組合員に会社あっての組合という企業意識が強く、
交渉力や他労組との連帯行動に弱点がある。
○ 日本の労働者派遣制度ー労働者派遣法を中心にしてーについて
の要点
▲ 労働者派遣法とは
1 「労働者派遣法」※は、「派遣労働者の就業条件の整備等」を
図るため、1985(昭和60年)に制定されたが、施行当初、
対象は高度な専門業務に限られていた。
2 「労働者派遣法」は、労働者派遣事業者(派遣元企業)が、労
働者をほかの企業(派遣先企業)に派遣して、その(派遣先)企
業における業務を遂行させる仕組みを規定する。
同法の定める二つの形態
「常用型派遣」⇒派遣元企業が労働者と長期の雇用契約を結び、
派遣元企業が自ら雇用する常用労働者を派遣する。
「登録型派遣」⇒派遣元企業には、派遣労働者の登録だけして
おいて、仕事のあるときにのみ派遣される。
△ 1999年(平成11)年改正
当該改正法により、派遣業務の対象が専門業務以外にも拡大し、
一定の業務を除き原則として自由化した。
その結果、人材ビジネスとしての派遣事業は拡大を続け、究極
の細切れ雇用の「日雇い派遣」も増加。「ネットカフェ難民」
「ワーキングプア」の温床になっているとの指摘もある。
▼ その近時の傾向
2010(平成22)年に政府は労働者派遣法の改正案を閣議
決定し国会に提出に提出したが、その後、継続審議になり、現在
まだ成立していない。
その内容は、
専門26業種などを除き「登録型派遣」の原則禁止。
長期の雇用契約を結ぶ「常用型派遣」を除き製造業派遣禁止。
つまり、「それまでの規制緩和(自由化)に対する見直しとして、
労働者派遣法の規制強化策が現在の検討課題になっている」と、し
っかり覚えておくこと。
(注)※ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業
条件の整備等に関する法律
=次回に続く。
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
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