行政書士試験独学合格を助ける講座

民法オリジナル問題 第9回

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              ★ オリジナル問題解答 《第9回 》 ★

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                          PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法 オリジナル問題 解説
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    問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第95号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第95回はこちら↓
  
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
  ▲  問題 1
 

  ★ 総説
                                


 (1)

                  連帯保証→保証人が主たる債務者
                 と連帯することを保証契において
                 約束した場合
   1,000万円
 B---------------→A      
         主たる債務者
                  共同保証→数人の保証人が同一
          C・D     の主たる債務を保証する関係
         連帯保証人
         共同保証人


 (2) 

   C・Dの共同保証人が、連帯保証人でない場合

 

    ◎(1)は、連帯保証と共同保証をからめた問題である。
   これを(2)と比較した場合の検討が本問である。


 ★ 各肢の検討


  ○ 肢アについて

    民法457条は、普通の保証にも連帯保証にも適用されるので
  債務の承認による時効中断の効力(147条3号)は、いずれの
  場合も、保証人C・Dに及ぶ。
 
   主たる債務者に生じた事由は、保証人に及ぶのが原則。
 しかし、時効は各別に進むのが原則。

   そこで、民法は、債権者の立場を考慮して、時効中断の効力は保証
 人に及ぶとして、立法的に解決。
   以上の思考過程は、大切である。
 
    誤り。


 ○ 肢イについて

   保証人に生じた事由は、主たる債務者に影響を及ぼさないのが原則。
 しかし、連帯保証に関しては、458条・434条により、主たる
 債務者に及ぶ。
 
   したがって、普通の保証では、Aに対して、請求による時効中断の
 効力が生じないが、連帯保証では、その効力が及ぶ(民法147条
 1号)。
 
   誤り。
 

 
  ○  肢ウについて

  この問題は、普通の保証、連帯保証を問わず、「保証」の特質から
  論じられる問題。
 
  主たる債務者について生じた事由は、保証人についても効力を生じる
 という付従性の原則からすれば、Aの時効の利益の放棄(146条)の
  効果はC・Dに対しても及ぶようにも思える。

  しかし、時効は各当事者について別々に進行すべきだという原則に照
  らせば、Aが時効の利益を放棄しても、C・Dの債権消滅時効の進行は、
 各別に進行することになる。
  
  判例もまた、以下のとおり判示する。

  主債務者が時効利益を放棄しても、保証人に効力を及ぼさない
    (大判大5・12・25)。

  また、民法448条の法意からすれば、従来の保証人の負担が、
  主債務者の時効利益の放棄により加重されるべきでないといえる。

  したがって、本肢は正しい。

  
 ○ 肢エについて

   その前提として、共同保証人が主たる債務者に対して求償することは
  当然であるので、CがAに求償することは問題ない。

   問題は、連帯保証人間の求償であるが、465条1項(各保証人が
   全額を弁済すべき特約とは共同保証人が連帯保証人でである場合も
   含む取扱である) の適用により、共同保証人間の求償も認めら
  れている。
  
    なお、普通の保証でも、適用条文が異なるだけで、共同保証人
   間の求償が認められている(465条2項・462条)。

   いずれの場合も求償できるので、本肢は正しい。


 ○  肢オについて
 
   普通の共同保証では、各保証人は債務額を全保証人間に平分して
   その一部を保証することになっている(456条)。これを保証人の
   分別の利益という。

   しかし、連帯保証は、この分別の利益を持 たないことを特徴に
   している。

     保証人間に連帯の特約があるとき、主たる債務の目的が不可分な
   ときは分別の利益はない。
   この場合と同様、判例は、連帯保証人が数人あるときも、保証人
   間において、分別の利益を有しないものとした(大判大6・4・28)。

   従って、連帯保証では、Cは1,000万円を返済する義務があるが、
    普通の保証では、分別の利益があるので、平分した額500万円を支払
    えば足りる。

   本肢は誤りである。

 
 《参考事項》

   問題が複雑になるので、ここは飛ばしてもらってもよいが、以下の
   記述に注目せよ!

  連帯保証人が数人ある場合は、各保証人は分別の利益を有しないが、
  保証人間に連帯の特約があるか、商法511条2項の適用がある場合
  でなければ、連帯債務ないしこれに準ずる法律関係は生じない。
  したがって、債権者が保証人の一人の債務を免除しても、他の連帯
  保証人の債務には何の効果も及ぼさないとされる(最判昭和43・11
  15)(勁草書房 2)。(民法437条)


   以上、妥当であるのは、ウ・エであるから、正解は4である。
 

 

 ▲  問題 2
 
  
   ◆ それぞれ長文になっているが、ポイントを押さえれば、正解を導く
   くのは、困難なことではない。各肢について、要点を解説する。


  ◆ 各肢の検討

 
  ○ Aの相談

   時効を援用することのできる者は、時効によって債務を免れた者
  である。これが、本来、民法145条の「当事者」の意味である。

   この当事者について、判例はかつて一般的に狭く解していたが、
  「これらの義務に基づいて義務を免れる者を広く包含する」。
 (勁草書房)
  
  この見地からすれば、物上保証人も、自分の負担する抵当権の
  基礎としての債務の消滅時効を援用して、抵当権を消滅させる
  ことができる(最判昭和42・10・27 最判昭和43・9・26)。

  以上の理解さえがあれば、この問題は正解しうる。

    「できます」に該当する。


 注 関連事項


 (1) 民法166条1項・167条1項により、債権は、権利を
      行使することができる時から10年間行使しないときに時効
   消滅するから、本肢においては、当該債務は、弁済期から
   12年経過になっている。

(2) 民法147条の時効の中断事由があれば、時効は成立しない
    ので、本肢において、その該当事実がないことが記されている。
 

 ○ Bの相談

   民法167条2項によれば、所有権は消滅時効にかからない。
  以上を前提とした下記判決がある

  不動産の譲渡による所有権移転登記請求権は、右譲渡によって生
 じた所有権移転に付随するものであるから、所有権移転の事実が
  存する限り独立して消滅時効にかかるものではないと解すべきで
 ある(最判昭和51・5・25)。

  したがって、私は、知人を相続した乙氏に対して、移転登記を
 求めることはできる。

 関連事項

  同旨判決として、以下のものがある。

  遺留分権利者が減殺請求によって取得した不動産の所有権に基づく
  登記手続請求権は時効によって消滅することはない(最判H7・6・9)。

  これを主題に出題されたのが、平成21年度問題28の「Cの相談」
  である。

  ここで、この判例と「Cの相談」をよく対照されれば、最近の
  本試験の特徴を把握できるであろう。

 
 ○ Cの相談

    本肢は、民法第158条第1項の条文適用問題である。
 
 平成21年11月20日が時効の期間の満了日であるが、その前の
  6箇月以内の間に父に成年後見人がいない。後見人である母が同年
  7月10日死亡したため、後見が終了しているからである。
  この場合には、娘である私が後見人に就任した時から6箇月を
  経過するまでの間は、時効が停止する。私は、同年11月25日
  後見人に就任し、今年の1月20日に返済を求めているから、
 時効停止期間中の返還請求であるから、本肢は「できます」に
  該当する。

 ○ Dの相談

   「Aの相談」と連動する。

  抵当不動産の第3取得者も、自分の負担する抵当権の基礎としての
 債務の消滅時効を援用して、抵当権を消滅させることができる(最
  判昭和48・12・14)
 
 「できます」に該当する。

 その他の解説は、「Aの相談」に譲る。

 ○ Eの相談
 
   本肢は、民法162条1項の取得時効の援用の問題である(民法
145条)。
 
  なお、本肢では、2点に注意すべきである。一つは、土地の時効
 取得者が私に地上権を設定させていたのであるから、162条に
 いう「占有」は、代理占有である(民法181条)
 
  もうひとつは、本肢の中の、これまで紛争になることもなかった
 という記載により、162条の「平穏・公然」が示されている。

   しかし、以上の点は、本肢の前提になっているのであるから、
 実際の本試験では、こだわる必要はない。
 
  本題に移る。

   民法145条の援用の当事者を広く包含するという立場からは、
 以下のように論述される。

 「この見地からは、取得時効につてみると、たとえばAの所有地を
 時効によって取得するBから地上権等の設定を受けたCにはBの
 取得時効の援用権がある。つまり、この場合Bが援用しなければ、
 Cは独自にBの取得時効を援用して、Aに対し、当該の土地の上
 に地上権等を有することを主張できることになる。」(勁草書房)

 
  本肢は、この論述と同じ事案であるから、私は独自に甲氏の取得
 時効を援用して、乙氏の相続人である丙氏に対し、当該土地の上
 に地上権を有することを主張できることになる

 私は土地の明け渡しを拒否「できます」となる。

 関連事項

  この地上権が、賃借権であっても、おそらくは結論は変わらない
 だろう。しかし、平成21年度問題28「Bの相談」のように、
 アパートの賃借となると、時効取得の主張は認められないことに
 なる。

   つまり、当該土地に建物に家を建てた者と当該土地の上に建って
 いる家を借りた者との違いだ!!

   以上のとおり、本問は、いずれも「できます」に該当するので、
 正解は5である。

 ◆ 付言

  いずれについても、素早く事実関係を把握し、論点の抽出・
 ないし適格な条文の適用にに到達しうるよう、日々訓練を行う
 ことが 望まれる。


  ◎ 以上参考書籍 
  
  民法 ・内田 貴 著・東京大学出版会
   
   民法  ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房

 


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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