行政書士試験独学合格を助ける講座

民法オリジナル問題 第11回

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              ★ オリジナル問題解答 《第11回 》 ★

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                           PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第97号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第97回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 


 ▲ 問題1

  
  ☆  参照文献

   民法 2  勁草書房


  ◆ 各肢の検討

  
  ○  アについて

     受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、
       事務を処理すべきである(644条)。

    対価の有無もしくは多少を問わずにこの義務が認められると
      ころに信任関係に基づく委任の本質が現れる(大判大正10・
      4・23・・)。

    したがって、無償の受任者も善管注意義務を負うので、本肢
      は妥当でない。

    ★ 参考事項

     善良な管理者の注意とは、社会人の一般人として取引上要
        求さされる程度の注意。

     自己の財産に対するのと同一の注意とは、その人の注意能
        力を標準としてその人が普通に用いる注意の程度を示す。
                ↓
     
     注意の程度を軽減し責任を軽くするのを妥当とする特殊な
        場合にだけこの程度の注意を標準とする(659条・無償の
        受寄者827条・親権者)。
   
    (前掲書)
 
  ○ イについて

    委任者は、受任者に対して、委任によって損害を被らせない
      ようにする義務がある。そのような委任者の義務として費用前
      払いの義務(649条)がある。

    本肢は妥当である。

  ○ ウについて

    原則→委任は信任関係に立つものであるから、受任者はみずか
              ら事務を処理すべきである。

    例外→任意代理人の復人権の規定を類推して、同一の条件と責
              任のもとに復委任を許すのが至当(104条・105条)。
       判例・通説もこのように解する(前掲書)。

     本肢では、104条の類推により、やむを得ない事由があるとき
    は、第三者をして代わって事務を処理させることができるので、妥
    当でない。

  ○ エについて

    委任契約において、報酬の特約があるときは(648条1項)、
   履行の中途で終了したときでも、本肢の場合には、報酬請求がで
   きる(648条3項)。なお、この点が請負と異なるところであ
     る。

   本肢は妥当である。

  
    ○ オについて

   650条3項が規定する委任者の損害賠償義務は、委任者の責に
  帰すべものかどうかを問わない無過失賠償責任である。
  
   本肢は妥当でない。

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   妥当であるのは、イとエであるから、正解は3である

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  ◆ 付 言

  委任契約に関しては、委任の特質を念頭において、本試験直前に
  条文を読み込んでおくとよい。

 


  ▲ 問題2


  ☆ 参考書籍

   民法2  勁草書房 ・ 民法二 内田貴著  東京大学出版会

 
  ◆ 各肢の検討

   ア・イは、請負の目的物の所有権の帰属に関して、請負人帰属説に
  立つ判例の見解の成否が問われているである。

   
  ◎ アについて
  
   判例は、請負人帰属説に立ちながらも、注文者が材料を提供した
    場合には、注文者に帰属するとする(大判昭7・5・9・・・)。
   この場合には、加工(246条1項ただし書き)の適用はない、

   したがって、本肢は前段は正しいが、後段は誤りであり、全体と
    して、誤りである。

   ☆ 過去問の検討

    建物新築の請負契約に当たり、注文者が材料の全部を供給した
      場合には、特約の有無にかかわらず、注文者に所有権が帰属する。
    (1998年問31・肢1)

    上記判例は「特約がない限り、原始的に注文者に所有権が帰属
      する」としているので、「特約の有無にかかわらず」ではない。

    ×

  ◎ イについて

    建築請負では、注文者の土地の上に請負人が材料を提供して建物
   を建築するのが通常である。
   
    この場合には、請負人が所有権を取得し、引渡によって注文者
   に移転することになる(大判大正3年・12・26・・)。

    以上が、請負人帰属説の骨子である。

    しかし、請負人の材料提供の場合でも、特約があれば、竣工と
   同時に注文者の所有となるというのが、判例である(大判大正
   5・12・3・・)。

    したがって、本肢は正しい。
   
   ☆ 参考事項

    請負人の材料提供の場合のおける、特約について、以下の判例
      が注目される。

    注文者が代金の全部または大部分を支払っている場合には、特
     約の存在が推認され、特段の事情のない限り、建物所有権は完成と
     同時原始的に注文者に帰属する(大判昭和18・7.20・・最判
     昭和44・9・12・・)。

    以上の判例を基準に出題された2002年問29 肢5。

   最高裁判例によれば、仕事完成までの間に注文者が請負代金の大部
  分を支払っていた場合でも、請負人が材料全部を供給したときは、完
    成した仕事の目的物である建物の所有権は請負人に帰属する。

   本肢は、上記判例に照らし、×


   学説の多数は、以下のとおり、注文者帰属説に立つ。

   目的物の所有権に関しては、むしろ当事者の通常の意識を尊重して、
    完成と同時または工事の進捗に応じて注文者に帰属すると考えるべき
    である。


  (以上、前掲書 内田 貴著 参照)

 
  ◎ ウについて

    請負人の担保責任として、瑕疵修補請求権および損害賠償請求権が
    ある。両者の関係は以下のとおりである。

   瑕疵修補請求権→相当の期間を定めて修補できるのを原則とするが、
   瑕疵が重要でなく、しかもその修補に過分の費用を要するときは、
   損害賠償請求権があるだけである(634条1項)

   損害賠償請求権→瑕疵の修補とともにまた修補に代えて、常に請求
   できる(634条2項)。

   (前掲書 民法 2)


      当該瑕疵修補に代わる損害賠償請求権については、本肢のとおり
  の判例がある(最判平9・7・15・・)ので、本肢は正しい。

   
   ☆  関連する過去問について

     請負契約の履行に当たり生じた瑕疵の修補に代わる注文者の
    損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は相殺することができる。
   (1998年問31・肢3)

     前記判例は、両者は同時履行の関係にあり、相互に現実の履行
    をなすべき特別の利益はないとして、相殺を認めた。(533条
    ・505条)

     ○


     完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があった場合、注文者
    は修補か、損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求すること
    ができるが、両方同時に請求することはできない(2002年
    問29・肢5)。

     前記記述に照らし、注文者の選択によるのでもなく、両方同時
    に請求できる。

     ×


  ◎ エについて

    判例によれば、本事例において、「注文者が期日に報酬を提供
   しないときでも、請負人は当然遅滞の責めに任ずべきものである。」
    (大判大正13・6・6・・)とする。

    したがって、本肢は誤りである。


     ☆ 関連する過去問

    請負人が約定期日までに仕事を完成できず、そのために目的物
   の引渡しができない場合でも、報酬の提供がなければ、履行遅滞
   とならない(1998年問31・肢5)。

     前記判例によれば、履行遅滞になるので、×

   ◎ オについて

   本肢は、ウで掲げた請負人の担保責任である瑕疵修補請求権・
  損害賠償請求権と並ぶ契約の解除権に関する問題である。

  契約の解除権→瑕疵が重要なもので、これがため契約の目的を達す
  ることができないときにだけ解除できる。ただし、修補の可能なと
  きはまずこれを請求すべきものと解さねばならない。のみならず、
  建物その他の土地の工作物の請負においては、解除は許されないこ
  とに注意 すべきである(635条)。
 
    (前掲書 民法2 )
  
   
     本肢は、請負の目的物が建物であるから、注文者は解除できない。
  したがって、誤りである。


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  正しいのは、イとウであるから、正解は4である。
   
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 ◆ 付 言

   請負については、見過ごされがちであるが、重要論点満載であるので、
  注意されたい。

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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