行政書士試験独学合格を助ける講座

会社法オリジナル問題 第19回

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            ★ オリジナル問題解答 《第19回 》 ★

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                     PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  会社法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第105号に掲載してある。

 
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 ★ 参考文献
   
  会社法 弘文堂 / 会社法入門 岩波新書 ・ 神田秀樹著

 
 
 
 ▲  問題 1

   1について

    327条1項1号が公開会社における、取締役会設置会社の設
  置強制をしているが、非公開会社も、326条2項に基づき、任
  意に取締役会設置会社になることができる。後段が妥当でない。
   
   2 について
 
     株主総会の権限は、会社の意思決定に限られ、執行行為をするこ
  とはできない(執行は取締役または執行役)が、その意思決定の権
  限は、取締役会設置会社では、原則として法律上定められた事項に
  限られる(295条2項・ 3項)。
  
  それ以外の事項に関する業務執行の決定は取締役会にゆだねられる。
  
  しかし、取締役会設置会社でも、定款で定めれば、法定事項以外の
 事項を株主総会の権限とすることもできる(295条2項)。
 
  以上の記述を総合すると、法令・定款で株主総会の権限であると定
 められた事項は、取締役会の権限とすることはできないので、本肢は
 妥当でない。
 
   なお、「以上に対して、取締役会設置会社でない会社では、株主総
  会は一切の事項について決議できる万能の機関である(295条1項)。」
 (前掲会社法)ことに注意せよ。

 
  3について

  362条4項6号によれば、大会社以外においても、「内部統制シス
  テム」の整備については、代表取締役が決定することは許されないが、
  ただ、大会社においては、当該事項の決定が、取締役会の義務づけられ
  ることになるのである(362条5項)。

  以上の記述に反する本肢は、妥当でない。

   4について

    法定事項や重要な業務執行につぃての決定権限は、362条4項に
  規定があり、そのとおりである。
  特別取締役の制度については、373条に規定があるが、その概略は
  以下のとおりである。

  取締役のメンバーの一部を特別取締役としてあらかじめ選定してお
  き、取締役会で決定すべき事項のうちで迅速な意思決定が必要と考え
  られる重要な財産の処分・譲受けと多額の借財(362条 4項1号・
  2号)について特別取締役により決議し、それを取締役会決議とする
  ことを認める制度である(前掲 会社法)。

  本来、取締役会は全員の取締役で組織し、その会議により業務執行
  の意思決定を行う(362条1項・2項1号)のであるから、法定事
  項の 一部について、特別取締役による決議を取締役会決議とするのは、
  その 例外に属する(前掲書)。)。
 
  本肢は、妥当である。

   5について

    取締役会は、業務執行に関する意思決定を行う(362条2項1号)。
  そして、362条4項各号の法定事項は必ず取締役会で決定しなけれ
   ばならない。この決定権限のなかには、本肢が指摘するように、「具
   体的な法定事項のほか『重要な業務執行』を含む」(前掲会社法)こ
   とに注意する必要がある。
 「362条4項以外にも、会社法が取締役会の決議事項と定めている事
  項は多数ある。以上のような法定事項以外の事項についても取締役会で
  決定することはできるが(決定すれば代表取締役を拘束する)、取締役
  は招集によって会合する機関にすぎないため、それらの事項(日常的事
  項)の決定は代表取締役等に委譲されていると考えられる」(前掲書)。
    また、定款によって、法定事項以外を代表取締役にゆだねることもで
  きる。
 
 以上に反する本肢は、妥当でない。

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 妥当であるのは、肢4であるから、本問の正解は4である。

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 ▲  問題 2


 
 (1)356条1項2号に該当する利益相反行為

     取締役みずから当事者として(=自己のため)または他人の代理
  人・ 代表者として(=第三者のため)会社と取引をする場合には
  (会社から財産を譲り受け、金銭の貸付を受け、会社に財産を譲渡
  する等)その取締役がみずから会社を代表するときはもちろん、他
  の取締役が会社を代表するときであっても、会社の利益を害するお
  それがある。
   ここでいう利益相反行為は、会社・取締役の直接取引である。

  (2)356条1項3号に該当する利益相反行為

     会社が取締役の債務につき取締役の債権者に対して保証や債務引
  受をする場合等の場合にも、会社の利益が害されるおそれがある。
  ここでいう利益相反行為は、間接取引である。

  (3)取締役会の承認

     取締役会設置会社では、(1)(2)のような利益相反行為をする
  場合には、その取引について重要な事実を開示して取締役会の事前の
  承認を得なければならない(356条1項2号・3号 365条)。
   その承認を受けた場合には、民法108条は適用せず、その取締役
  が同時に会社を代表することも認められる(356条2項)。


 (4) 本問の検討

 
    アについて

    (1)によれば、(代表)取締役が他人の代理人として(=第三者の
   ため)会社と取引をする場合には(会社に財産を譲渡する)その(代表)
   取締役がみずから会社を代表するときに相当する。自己ためでなく、第
   三者のためであっても、利益相反行為に該当する。取締役会の承認を要
   するので、本肢は妥当でない。


   イについて

    これは、(2)の間接取引に該当し、取締役会の承認を要するので、
   本肢は妥当である。

    
     ウ について

    (1)によれば、取締役がみずから当事者として(=自己のため)(金
  銭の貸付を受け)他の取締役が会社を代表するときも、利益相反行為にな
  るので、 取締役会の承認を要する。本肢は妥当でない。この場合は、自
  己契約にはならないが、会社の利益を害するのである。


    エについて

    これは、(1)の直接取引のうちの自己契約に該当するが、(3)で記
 述したとおり、取締役会の承認を受けた場合には、民法108条は適用せ
 ず、当事者であるAが、会社を代表し得る。妥当である。


   オについて  

    これは、(1)に当てはめると、(代表)取締役が他の会社の代表者
   として(=第三者のため)会社と取引をする場合(会社から財産を譲り
  受ける)、その(代表)取締役がみずから会社を代表するときに相当す
   る。
   したがって、(3)の取締役会の承認を要する。なお、この場合も、
  直接取引であって、ただ、第三者のための取引に該当する。

    本肢は、妥当でない。

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  以上妥当であるのは、イ・エの二つであるから、3が正解である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
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