行政書士試験独学合格を助ける講座
行政法オリジナル問題 第26回
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★ オリジナル問題解答 《第26回》 ★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 行政法
【目次】 解説
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■ オリジナル問題 解説
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問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第112号掲載してある。
☆ メルマガ第112回はこちら
↓
http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
★ 参考図書
行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著
・有斐閣発行
● 各肢の検討
○ アについて
本肢は、平成23年度 問題8 ・肢2(メルマガ第112号
参照)を参考にしたものである。
いわゆる「宝塚市パチンコ条例事件判決」(最判平14年7月
9日民集56巻6号1134頁)は、によれば、最高裁は、以下
のように判決している。
国または地方公共団体がもっぱら行政権の主体として(つまり
公権力の行使の主体として)行政上の義務の履行を求める訴訟は、
そういったことを認める特別の法律の規定がない限り許されない。
当該判決に照らし、本肢は妥当である。
○ イについて
本肢は、平成23年度 問題8 ・肢4(メルマガ第112号
参照)を参考にしたものである。
行政手続法上、 聴聞・弁明の機会の付与の対象にとされてい
るのは、処分のうち「不利益処分」であるが、法的拘束力のない
公表は、「不利益処分」に該当しない。したがって、聴聞はもち
ろん、「弁明の機会の付与」の対象とされるということはあり得
ない。
したがって、以上の記述に従えば、本肢は妥当でない。
※ 参考事項
行政手続法上、「弁明の機会の付与」の対象とされている処
分について。
処分については、申請に対する処分と不利益処分があるが、
聴聞の対象になるのは、不利益処分のうちの特定不利益処分
に限られる(行政手続法第二章・第三章・特に第13条第1
項第一号イ〜ニ各号)。
これに対し、「弁明の機会の付与」の対象になるのは、
不利益処分のうちの特定不利益処分以外のものに限られる
ことに注意(行政手続法第13条第1項第二号・第29条
以下)。
○ ウについて
本肢は、平成23年度 問題8 ・肢5(メルマガ第112号
参照)を参考にしたものである。
「二重処罰の禁止」 は、憲法39条が規定する「重ねて刑事上
の責任を問はれない」ことを意味すると解されるところ、課徴金
は、刑罰とは異なる行政上の不利益措置であるから、課徴金と刑
罰の併科が、「二重処罰の禁止」に抵触することはない。
以上の記述に従えば、本肢は妥当である。
○ エについて
執行罰とは、義務を履行しない義務者に対して心理的強制を加
えるために、金銭的な罰を科する方法であるが、行政上の強制執
行の1種類であるから、罰金などの刑罰を併科することが二重処
罰の禁止に抵触することはなく、許される。
これに反する本肢は妥当でない。
○ オについて
ここでは、平成21年度問題42・同18年度43(いずれも多
岐選択式)について、実際に穴埋めを果したえで、本肢と関連する
ところを抜粋する。
▲ 平成21年度
行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科
せられる罰を行政罰という。
行政罰には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科
すものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に
対し科す行政上の秩序罰とがある。
秩序罰としては、届出義務違反などに科される過料がある。
▲ 平成18年度
・・行政上の義務の履行確保手段には、間接的強制手段として、
行政罰がある。その中で秩序罰は、届出、通知、登記等の義務
を懈怠した場合などに科される罰である。
本肢は、前段は妥当であるが、最後尾の科料が過料であるべ
きである。科料は刑事罰である(刑法9条参照)。本肢は妥当
でない。
※ 参考事項
1 平成21年度の文言を要約、図示すると、以下のとおりで
る。
行政刑罰
行政罰=
行政上の秩序罰
2 平成21年度は、行政罰を「制裁として科される罰」として、
捉えているが、平成18年度は、行政罰を「行政上の義務の履
行確保手段」としての「間接的強制手段」とみている。
本肢もまた、後者と同様の立場に立っている。
3 行政刑罰と秩序罰の手続の違いについては、本欄《第25回》
で述べたが、再説しておく。
過料は、刑法に定められている「刑(罰)」ではありません
から、刑法総則の規定は適用されないと考えられていますし
(参照、同法8条)、また、その手続も、行政刑罰のばあいの刑
事訴訟法によるのではなくて、法令に特別の定めがないかぎり、
「非訴訟事件手続法」161条以下が定めているところによって
おこなわれるものとされます。また、過料は、そもそも裁判所に
ゆくことなく行政行為によって一方的に科されることもあります。
たとえば地方自治法に定める過料がそのよい例です(参照 地方
自治法15条2項、149条3号、231条の3第3項、255
条の3など)
《以上、入門から抜粋》
なお、以上の理解のもとに、もう1度、平成21年度問題42
全体を読み返せば、スッキリとするであろう。
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本問では、妥当なものは、アとウであるから、正解は2である。
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
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