行政書士試験独学合格を助ける講座
行政法オリジナル問題 第56回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★ オリジナル問題解答 《第56回 》★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-------------------------------------------------------------
PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
【テーマ】 行政法
【目次】 解説
問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第155号掲載してある。
☆ メルマガ第155回はこちら
↓
http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
☆ 参照書籍
行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
/有斐閣
◆ 本問については、サイト [処分についての審査請求]
第65回 参照
☆第65回はこちらです↓
http://examination-support.livedoor.biz/archives/1284134.html
◆ 序論
不服申立ての種類
行政不服審査法は、不服申立ての種類として、「異議申立て」
「審査請求」「再審査請求」の三つのものを定めている。
「異議申立て」というのは、問題となっている処分をした(ま
たはしなかった)行政庁それ自体(処分庁または不作為庁)に対
する不服申立てである。
これに対して「審査請求」 とは、それ以外の行政庁(上級監
督庁であるのが普通であるが、 そのための特別の機関が設けら
れているケースもある)に対する不服申立てである。(同法3
条2項)。
また「再審査請求」というのは一度審査請求をおえたのちにさ
らにおこなう、例外的な不服申立てなのであるが(同法3条1項)、
行政不服審査法自体が定めている特定のばあいのほかは、法律ま
たは条例によって特に定められているばあいにだけ、その法律・
条例が特にに定める行政庁に申立てできる(同法8条1項および
2項参照)
異議申立てに対して行われる裁断行為は「決定」とよばれ(同
法47条)審査請求および再審査請求に対するそれは、「裁決」
とよばれている(同法40条、56条)。(以上、入門235頁
以下参照)。
◆ 各肢の検討
○ ア・イについて
行審法41条1項によれば、裁決の方式として、書面で行い、かつ
理由を附すことになっている。
条文の上で、「しなければならない」と規定されていることからすれ
ば、 裁決に理由が附されていなければ違法になる。
行手法の規定によく見られる「努めなければならない」が努力義務で
あることと対比される。
以上の規定は、処分についての異議申立てに準用されている(48条)
------------------------------------------------------------------
以上からすれば、裁決・決定いずれにおいても、書面で行い、理由を
附することが義務である。したがって、これに反するア・イとも妥当で
ない。
------------------------------------------------------------------
○ ウについて
行審法第1条1項によると、「不当な処分」も不服申立ての対象と
している。
以下の記述にも注意。
「・・裁判所というのは、もっぱら、紛争を法的に解決することをそ
の任務とする機関ですから、裁判所が審理できるのは、とうぜんに
法問題( 行政処分の違法性)にかぎられ、自由裁量行為のばあい
に行政庁がおこなった裁量が不当ではなかったかどうか、といった
ような判断はできないわけですが、行政上の不服申立てのばあいだ
ったらそういった制限はない、ということになります」(入門23
3頁)。
この場合における、不服申立てには、審査請求と異議申立てを含む
ので、本肢では、「決定」にも当てはまる。
------------------------------------------------------------------
以上の記述に相応する本肢は、妥当である。
-----------------------------------------------------------------
○ エについて
行政事件訴訟法3条3項によると、裁決・決定に対して不服がある
場合、 抗告訴訟の対象になる。
また、行審法は、審査請求と異議申立ての関係については、相互
独立主義を採用しているのである(5条・6条参照)から、決定に
対して、不服がある場合にも、取消訴訟を提起できる。
----------------------------------------------------------------
以上の記述に反する本肢は妥当でない。
-----------------------------------------------------------------
○ オについて
40条5項によれば、審査庁が、処分庁の上級行政庁であるとき
における「裁決」において、処分の変更が許される。
この場合には、審査請求人の不利益変更禁止の原則が働く(同条
同項ただしがき)。
47条3項によれば、処分庁が決定で処分の変更をする場合にお
いて、異議申立人の不利益に当該処分を変更できない。
------------------------------------------------------------------
以上の記述に相応する本肢は、妥当である。
------------------------------------------------------------------
本問については、ウとオが妥当であるから、正解は4である。
※ なお、今後、このサイトの【過去問解説 】欄において、行政不
服審査法に関する過去問について、平成24年度14・15問を
手始めにして、順次、不定期に解説する予定である。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発行者】司法書士 藤本 昌一
▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
使用されたことによって損害が生じた場合でも、
一切責任を負いかねますことをご了承ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━