行政書士試験独学合格を助ける講座
会社法/株式の消却・併合 オリジナル問題第67回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★ オリジナル問題《第67回》★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-------------------------------------------------------------
PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
【テーマ】 会社法/株式の消却・併合
【目次】 解答・解説
問題は、メルマガ197号に掲載してあります。
こちらをクリック
↓
http://archive.mag2.com/0000279296/20150115175000000.html━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 解答・解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▲ 序説
メルマガ196号余禄欄において、対談形式を通じて、株式の併合
・分割等に関する平成26年度会社法問題38を検討したが、当該オ
リジナル問題は、これに関連するものとして、主宰者である私が作成
したものである。具体的に言えば、前記の問題38では、対象になっ
ていなかった「株式の消却」を中心にして、問題38で対象にされた
株式の併合との対比も併せて、このオリジナルの問題文を作成したの
である。思考するに、本問題において提示した論点は、重要であると
同時に、「株式の消却」は、将来の本試験に出題される蓋然性は高い
といえる。
それでは、メルマガ196号における記述との重複を恐れず、今後、
当該解答・解説を進めてゆくことにする。
==================================================================
メルマガ196号はこちらをクリック
↓
==================================================================
※ 今一度、 メルマガ196号を通読されてから、本問題に臨まれる
方がよいと思料します。
▼ 総説・要点
株式の消却・併合のうち、とくに株式の消却については、平成17
年改正前商法では、その規律に変遷があって、複雑であったが、会社
法では、(2)〜(4)のとおり、整理されたので、この際その概念
を把握しておくことが大切である。
(1)発行済株式総数が減少する場合としては、「株式の消却と併合」
があるのに対し、発行済株式総数が増加する場合しては、株式の
「分割と無償割当て」がある。本問において、問われているのは、
前者の「株式の消却と併合」である。
(2)会社法のもとで株式消却の手続としては、取締役会決議(取締
役会設置会社の場合)で消却する自己株式の数を定めるだけでよ
い。
(3)会社法では、会社以外の株式の株主の保有する株式については、
いったん自己株式を取得してから消却するという方法を採用して
いる。
(4)会社法は、株式の消却があった場合に発行可能株式総数は当然
に減少しないとの考えに立つ。
△ 各肢の解説
○ 肢1について
株式の消却とは、会社存続中に特定の株式を絶対的に消滅させる
ことをいい、株式の併合とは、複数の株式を合わせて、それよりも
少数の株式とすることをいう。したがって、株式の消却と併合いず
れの場合であっても、発行済株式総数は減少するので、肢1の記述
は妥当である。=前記要点(1)
● 肢2について
株式の併合は、株主の利益に重大な影響を与えるので、そのつど、
株主総会の特別決議によってなしうる(180条2項なお、同条1
項・3項も参照)。したがって、本肢は妥当である。
◎ 肢3について
会社法178条1項・2項の規定により、本肢は妥当である。
=要点(2)
※ 会社法は、保有する自己株式を消却する場合だけを株式消
却と定義し、その手続においては、本肢のとおり、取締役会
決議のみでよいとしたのである。しかし、要点(3)のとお
一般的に自己株式を取得する場合には、156条に基づき、
株主総会の決議を要することとして、株式の消却に関する規
制は、すべて自己株式の規制に吸収されているのである(1
55条1項3号)。
○ 肢4について
肢3で述べたとおり、会社法では、会社以外株主の保有する株
式については、いったん自己株式を取得してから消却するという
ふうに概念が整理されたのであるから、株式消却を対象株式のす
べての株主に平等に行う場合は、株式併合として行うことになる。
したがって、本肢は妥当である=要点(3)
◎ 肢5について
会社法のもとでは、自己株式が「出し入れ」自由となり、当該
自己株式が、消却によって消滅しても、それにより発行済株式総
数は変動しないため、発行可能株式総数も減少しない。したがっ
て本肢は妥当でない=要点(4)
※ 後掲 神田会社法によると、「従来の登記実務は、消却によ
って授権株式数(注・発行可能株式総数)は当然に減少すると
取り扱ってきた」とあるが、この場合でも当然に減少するもの
としているのであって、本肢のように、「あらかじめ株主総会
の決議により発行可能株式総数を変更しなければならない」と
までは言っていない。いずれにせよ、本肢は妥当でない。
=============================================================
本問において、妥当でないのは、5であるから、5が正解である。
==============================================================
▲ 付 言
本問と大いに関連するものとして、「自己株式」がある。次の
機会にまた、この分野から、オリジナル問題を出題し、分析、検
討したいと思います。
みなさま、共に考えていきましょう。
★ 参考文献
会社法 神田秀樹 著 ・ 弘文堂
リーガルマインド
会社法 弥永真生 著 ・ 有斐閣
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発行者】司法書士 藤本 昌一
【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
使用されたことによって損害が生じた場合でも、
一切責任を負いかねますことをご了承ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━