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行政事件訴訟法/行政事件における仮処分の制限オリジナル問題 第70回

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            ★ オリジナル問題《第70回 》★

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                        PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政事件における仮処分の制限 


  【目次】   解答・解説


    問題は、メルマガ212号に掲載してあります。

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 ■  解答・解説
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 ▲ 前記メルマガ212号における ● 要点 において、本件オリジ
  ナル問題に対する「解答・解説」に相応する記述をおこなっているが、
  以下においては、再説を承知のうえで、以下とおり記すことにする。  
 
 △ 各肢の検討 

 ◎ 肢1について

   行訴法4条後段の実質的当事者訴訟と民事訴訟の関係は、本肢の
  記述のとおりである。
   詳述すると、以下のとおりである。
   
   民事訴訟法は、本来、一般市民間における対等当事者としての法律
  関係に関する訴訟であるが、行政主体と一般市民との間における対等
   当事者としての法律関係に関しても適用されるのであって、そのうち、
    公法上の法律関係に関する訴訟が実質的当事者訴訟であり、私法上の
    法律関係に関する訴訟が民事訴訟である。

   このような関係ある「実質的当事者訴訟と民事訴訟とは兄弟のよう
  な関係にある。行政事件訴訟法上の実質的当事者訴訟の取扱いも、民
  事訴訟とほとんど変わらない。」(後掲書・読本)

  Ψ 本肢は、過去問平成23年問題18・肢1から引用したものである。

  ◎ 肢2について

     本肢は正しい。判例(最大判・平20・6・4民集62−6ー136
  7)は、本肢の場合について、公法上の法律関係に関する確認の訴えで
  あるとして、4条後段の実質的当事者訴訟に該当するとした。
  
    Ψ 本肢もまた、過去問平成23年問題18・肢3からの引用である。

  Ψ 当該判例(国籍法違憲訴訟上告審)において、「日本国民である父
   と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は、国
   籍法に基づく届出により日本国籍を取得している」旨認められたので
   あるが、過去問平成24年問題6では、当該判決文を素材として、憲
   法の問題としての出題がなされていることに注意せよ。
  
 ◎ 肢3・4について
  
  (1) 仮処分が適用されるのは、民事訴訟法または実質的当事者訴訟
    (行訴法4条後段)である。
  
   Ψ 前記 ◎ 肢1 の解説で述べた、「実質的当事者訴訟と民事訴
    訟とは兄弟のような関係にある。行政事件訴訟法上の実質的当事者
    訴訟の取扱いも、民事訴訟とほとんど変わらない。」という観点か
    ら、民事訴訟に適用される仮処分が実質的当事者訴訟にも適用され
     るという根本を把握しておくことは、肝要だろう。

  (2)行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行訴法3条1項
    参照)については、行政事件訴訟法の定める執行停止、仮の義務付
    けおよび仮の差止を行うことができるのに対して、民事訴訟または
    実質的当事者訴訟においては仮処分を行うことができるのである。

  (3)本肢の二つは、仮処分のできる実質的当事者訴訟に焦点が当てら
    れているが、その場合、仮処分をすることができるかどうかの判断
     基準は、原告の請求における、行政庁の処分等との関係に求められ
    のであって、この基準に従った肢3も肢4も正しい。
  
 ◎ 肢5について

   本肢前段における、実質的当事者訴訟では、仮処分が適用されること
  があるという記述は、前記◎ 肢3・4の解説に照らして、正しいが、
  後段における、抗告訴訟においても、仮処分が適用されることがあると
  いう記述は誤っている。仮処分の代償として、抗告訴訟について執行停
  止(行訴法25条2項以下)、仮の義務付け、仮の差止め(同法37条
  の5)という仮の救済制度が設けられているのであって、抗告訴訟に仮
  処分が適用されることはない。本肢は誤りである。
 
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   本問では、肢5が誤っているので、正解は5である。
 
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   ★ 参考図書 
 
     行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著 

    ・有斐閣発行

 
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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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