行政書士試験独学合格を助ける講座

行政事件訴訟法/本案訴訟と仮の救済の関係 オリジナル問題 第71回

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

          ★ オリジナル問題《第71回 》★

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

-------------------------------------------------------------
                         PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------

 
  【テーマ】  行政事件訴訟法/本案訴訟と仮の救済の関係  


  【目次】   解答・解説

              
   問題は、メルマガ215号に掲載してあります。

      こちらをクリック
            ↓ ↓
 http://archive.mag2.com/0000279296/20150902130000000.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■  解答・解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  ▲  総説

 (ア)免職処分は行政処分であるから、当該処分が違法であると考えら
   れる場合、取消訴訟の排他性の原則により、取消訴訟を提起する必
   要があるし、仮の救済を得るためには、執行停止を求めなければな
   らない(行訴法3条2項・25条参照)。
  (イ) 免職処分が無効であると考えられる場合、取消訴訟の排他性は
    働かず、本案訴訟としては、無効確認訴訟により免職処分の無効
     の確認を裁判所に求める方法(行訴法3条4項)と、当事者訴訟
    を提起し、公務員としての身分の確認を求める方法がある。Ψ

   Ψ 公務員の身分は公法上の地位であるから、この公務員の身分
    の確認訴訟は、当事者訴訟に当たる(行訴法4条後段)。
  
    (ウ) 問題は、免職処分が無効であると考えられる場合における仮の
     救済である。無効確認訴訟の場合は、執行停止制度を利用できる
    (行訴法38条3項参照)。これに対し、当事者訴訟の場合は、
     仮処分を申し立てること以外に方法はないが、しかし、行政事件
     訴訟法44条により認められない可能性が多分にある。
   
    (以上は、後掲書 読本を参照した) 

  ▼ 各肢の検討

     △ 1について

    免職処分が違法であると考えられる場合、本案訴訟を取消訴訟と
   するのは、妥当である。しかし、仮の救済を得るためには、執行停
   止を求めなければならない(行訴法3条2項・25条参照)。
   《▲総説(ア)参照》
    
    本肢は、妥当でない。

   ▽ 2について

    免職処分が違法であると考えられる場合には、取消訴訟の排他性の
   原則により、取消訴訟を提起する必要がある。本案訴訟を当事者訴訟
   とすることはできない。
   《▲総説(ア)参照》
    
    本肢は、妥当でない。
  
   △ 3について

    免職処分が無効であると考えられる場合、本案訴訟を無効確認訴訟
   とする場合は、執行停止制度を利用できる(行訴法38条3項参照)
   のであって、仮処分を申請することはできない。
   《▲総説(イ)(ウ)参照》
    
    本肢は、妥当でない
   
   ▽ 4について
       
      免職処分が無効であると考えられる場合、本案訴訟を無効確認訴訟
   とする場合は、執行停止制度を利用できる(肢3参照)。

    本肢は、妥当でない。
   
   △ 5について

    本肢のポイントは、二つある。その一つは、免職処分が無効である
   と考えられる場合、本案訴訟として、当事者訴訟を提起しできるとい
   う点である。この点については、以下の論理構成ができる。すなわち、
   (a) 免職処分が無効であると考えられる場合、取消訴訟の排他性
    は働かない。(b)公務員の身分は公法上の地位であるから、この
    公務員の身分の確認訴訟は、当事者訴訟に当たる(行訴法4条後段)。
         二つ目のポイントは、本案訴訟として、当事者訴訟を提起できる以
    上、本件では、公務員としての地位の保全を求める仮処分が認めらべ
       きであるが、行政処分が関係する本件では、行訴法44条により当該
       仮処分が認められない可能性がある。

         以上の記述に従えば、本肢は、妥当である。

    Ψ 参考事項
     前述したところによると、「本案訴訟として、当事者訴訟を提起
    できる以上、本件では、公務員としての地位の保全を求める仮処分
    が認めらべきであるが、行政処分が関係する本件では、行訴法44
    条により当該仮処分が認められない可能性がある」ということにな
    るが、これに関連する部分を、後掲書読本から抜粋してみよう。
    
         「 だが、これでは、行政処分が関係する事件で当事者訴訟を選択
      すると、仮の救済がなくなってしまうという不合理がある。こ
      の不合理を取り除き、仮の救済を可能にするため、行政事件訴
      訟法44条について、行政処分が無効であれば、仮処分により
      妨げられる公権力の行使はないのであるから、仮処分が許され
      るという解釈が考えられる。しかし、実際の訴訟では、裁判所
      は、行政処分が無効であるかどうかを審査せずに44条を適用
      して仮処分申請を却下してしまう可能性もある。そうすると、
      ........................................................
      仮の救済を求めるのであれば無効確認訴訟を選択できると行政
            ........................................................
            事件訴訟法36条を解釈できるのが残された道ということにな
            ......
            ろうか。」 

          なお、傍点は、私が付したが、この部分を敷衍すれば、36条
    後段における、処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に
    関する訴えすなわち当事者訴訟によっては、仮の救済という目的
    を達することできないため、無効確認訴訟を提起し、仮の救済を
    求めるため執行停止を利用するのが残された道であるというのだ
    ろう。
       
   ================================

     以上の記述によれば、肢5が妥当であるので、5が正解である。   
    
   ================================

    ★ 参考図書 
 
        行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著 

       ・有斐閣発行
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【発行者】 司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


examination_support at 12:50コメント(0)行政書士試験オリジナル問題  

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
記事検索
  • ライブドアブログ