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民法・占有改定と即時取得 第14回

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 14回 】★      
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 2009/2/23

             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】民法・占有改定と即時取得

 
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■ 過去問を中心とした「占有改定と即時取得」 問題と解説
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 ◆ 過去10年間の過去問を題材に、問題提出と解説を行います。
 

  [問題1] (本問は、過去問を少し修正している)


                      
 Aは、Bに売却した絵画を引き続き、Bのために預かる旨約束し、
 そのまま保持している。
 最高裁判所の判例によれば、次の記述は妥当といえるか。

 Aがこの絵画を自分の物であると偽って善意無過失のCに売却
 し、以後はCのためにその絵画を預かることを約束した場合には、
 即時取得によりCはこの絵画の所有権を取得する。


 [解説]

 ◎ 占有改定と即時取得の概念の把握(一粒社・民法1参照)

 
 ア 占有改定

 占有は物を支配するという事実関係であるが、社会観念上前主の
 支配に基づいて後主が支配を取得すると認められるときは占有の
 承継を生じ、したがって占有権も承継される。

           承継
   前主  占有権 -------------- 後主
      ↓                        ↓
      支配する事実関係    支配の取得
   絵画

 
 通常は「絵画」の引渡しによって、占有権の譲渡を生じる。
 (182条1項)

 占有権の承継には種々の態様があり、そのひとつが占有改定である。

 占有改定による占有権の譲渡は、譲渡人が譲受人の占有代理人
 となって引き続き所持する場合に行われるものであって、譲渡人
 が事後本人の占有代理人として所持すべき旨の意思表示をすれば
 よい(183条)。

 ここでは、占有代理人による占有つまり代理占有が問題になる
 ので、このあたりについて、本問に則して、説明する。
 
             内の数字は、時系列による順序
  絵画 預かる      
  ------------- B  ,皚△癸臓■辰鯔椰佑箸垢訛緲占有
  A          であり、Aは、B、Cの占有代理人。
  ------------- C
    預かる     181条⇒占有権は、代理人によって取得
     ◆     ,垢襪海箸できる。
            
            条文に則すると、B、C本人は、(占有)
            代理人Aによって、占有権を取得。
 
 代理占有の要件としては、ア 代理人がが所持。 イ 代理人が
 本人 のために所持する意思を有する。 ウ 本人代理人間に
 占有代理関係の存在。  ウについては、代理人が本人の占有
 すべき権利に基づいて所持するという外形があり、本人に対して
 返還義務を負う関係。
 本問では、Aが本人B・Cのために預かるという関係´△
 おいては、代理占有が成立している。

 以上の代理占有がどうして生じたかといえば、譲渡人であるAが
 譲受人であるB・Cの占有代理人となって引き続き所持する場合
 に該当し、Aが事後B.Cのために所持する旨約束している
 のだから、本問の´△蓮△い困譴癲∪衢改定による占有権
 の譲渡の場合に当たるたる。

 占有権の譲渡は、いくら物の実際の引き渡しが原則(182条1項)
 だといっても、 何がなんでも、いったん、AがBに引き渡し、
 Bから預からないと 駄目というのは、ナンセンスである。
 占有改定の認められる所以である。
 この点については、他の占有権譲渡である、簡易の引渡し
(182条2項)・ 指図による占有移転に基づく占有権の譲渡
(184条)も同様であって、これらについては、現実の引渡し
 が無意味である。

 イ 即時取得

 即時取得は動産の占有に公信力を与え(占有している者が
 無権利者であっても、これを取得した者が権利を取得する)、
 動産取引の安全をはかる制度。

 その要件

 (ア)動産に限って適用。
 
 (イ)取引によって動産の占有を取得すること。
 
 (ウ)相手方が目的物たる動産を処分する権限をもたないのに、
 もっていると誤信して取引をしたこと。
 
 (エ)取引によって権利を譲り受けた者が善意にして無過失
 であること、および取引が平穏かつ公然に行われること。

 その効果

 その取引によって外形上取得される所有権(または質権)
 が真実に取得される。

 
 ウ 占有改定と即時取得

 本問では、占有改定と即時取得の関係が問われている。
 関連する事柄も含めて、順次検討しよう。

          占有改定
                
         -------------- B
       A   
        -------------- C
         占有改定
          
 
 (ア)まず、,砲いて、AがBに売却し、その後、Aは
 Bのために預かっているのだから、AからBに対して、
 占有改定による占有権の譲渡があったことになる。
 178条によれば、動産の譲渡の対抗要件は、動産の引渡しであり、
 この引渡しには、占有改定も含む。したがって、Bは以後
 二重譲渡を受けた者に対しては所有権取得を対抗できる。
 
 (イ)したがって、かりに△砲いて、、二重譲渡を受けたCが、
 占有改定による 引渡しを主張しても、BはCに対して所有権を
 対抗できる。

 (ウ)しかし、△砲いて、Cに即時取得が認められると、C
 が所有権を取得する。本問では、Cは、Aが処分権限を持たない
 ことに善意無過失であり、即時取得の要件を具備しているように
 みえる。しかし、判例は、即時取得には、占有改定の適用がない
 とした。(最判昭和32・12・27・・最判昭和35・2・11・・)
 つまり、即時取得の要件として、イ(イ)の取引によって動産の
 占有を取得することとは、現実に目的物の引渡しを受けることが
 要求されることになる。

 したがって、Cがこの絵画を即時取得とする本問は、妥当でない
 ことになる。

 確かに、本問では、即時取得には占有改定の適用がないという
 理解があれば、即正解が得られるが、問題がだんだんと難しく
 なっている将来の本試験に立ち向かうには、これから述べる
 発展問題への対処が大切になる。そのためには、いままで
 述べてきたことに対する正確な理解が前提になる。

 ウ 関連(発展)問題の考察(民法 1 内田 貴著 参照)

 (1)判例の立場では、Cが即時取得しないため、,裡造所有権
 を取得することになる。そうすると、早い者勝ちになる。

 (2))それでは、占有改定によって、即時取得し得るという学説
 によればどうなるか。Aが処分権限をもたなくても、Cが所有権
 を即時取得することになり、結局遅い者勝ちになる。

 (3)以上、どちらにも難点があるとして、BとCを平等に扱う
 学説が最近有力である。
 それによると、占有改定で一応即時取得は成立するが、まだ
 確定的ではなく、現実の引渡を受けることによって確定的になる
 とする。

(2)の学説によれば、AからBに絵画が返還されていても、Cは
 なおBに引渡しを求めることができるのは、Cの保護に傾きすぎる。
 (1)の判例の立場によれば、△裡辰現実の引渡しを受ければ、
 即時取得することになるが、これを阻止するために、Bが自分が
 買主だとCに通告してしまえば、Cは悪意になり即時取得しない。
 しかし、当該(3)説によれば、Cは、現実の引渡しを受ける以前
 の取引の段階で一応、即時取得しているので、Bの以上の阻止行為
 は何らの意味をもたない。

 Cの占有改定による
  即時取得         
           BのCに対する通告
                  
           善意  ↓  悪意
     
          A--------取引--------引渡し

          (3)説    判例

         一応即時取得   即時取得しない

 
 当該(3)説の総括

 Bの立場 占有改定によって所有権取得を他の者にに対抗
     (178条・183条)
      →しかし、Cの占有改定による即時取得(192条)
      によりCが優先
      →ただし、Cが引渡しを受けて、Cの即時取得確定
      
            BはCより先に引渡しを受ければ、勝ち

 Cの立場 原則→即時取得によりBに優先・しかし、引渡しに
      よって確定
      →先にBが引渡しを受ければ劣後
     
            CはBより先に引渡しを受ければ、勝ち

 したがって、BとCは早い者勝ちでもなく、遅い者勝ちでもなく、
  対等。


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