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行政法・行政手続法の適用範囲と行政手続条例 第25回

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 25回 】★      
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 2009/4/21


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政法・行政手続法の適用範囲その2と行政手続条例
 

【目 次】問題・解説 
           
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■ 問題・解説
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 ▲ 参考書籍は、前回(24回)に掲げてある。
 
 ▲ 本コーナーでは、標題に掲げたテーマに絞り、過去問の肢を参照
 しながら、解説を進める。なお、各肢が過去問のいずれに該当するか
 の指摘は省くことにする。


 スタート! 解答は、○×で表示する。

 
 【行政手続法の適用範囲】
 

 《 問題》

 ● 地方公共団体の職員がする行政指導であっても、法律に基づく
  ものについては、行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。 
  ー(1) 

 ● 地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる
  規定が条例または規則に置かれているかどうかにかかわらず、
 行政手続法 が適用される。−(2)

 ● 行政手続法は、地方公共団体の行政指導には適用されない。−(3)  
 
        

 《解答・解説》

 行政指導とは

   行政処分が一方的に相手方である国民に権利義務に変動を与える行為
  であるのに対して、行政指導は、相手方である国民に対して任意的な
  協力を求める行為である。その定義は、行政手続法2条6号に規定
  がある(読本)。

 ポイント

   地方公共団体の行政については、行政手続法の適用が除外される
(3条3号)。注目すべきは、地方公共団体の行政指導は、行政処分
 などと異なって(後述)、全面的に適用除外になっているということ
 である。つまり、行政指導のような相手方に任意の協力を求める行為
 については、地方自治尊重から、法律で規制しないことにしたので
 あろう。
   具体的に言えば、行政手続法第4章の行政指導の規定の非適用という
 ことである。
 

 したがって、

 (1)は、行政処分などには、妥当しても、行政指導には該当せず。×
   
(2)もまた、全面適用除外であるから、×

(3)は、無限定に行政手続法適用除外である事に鑑み、○

 
 《問題》


 ● 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であっても、第3条第1項
  に 列挙されている類型に該当するものについては、行政手続法は
 適用されない。ー(4)


 ● 行政手続法は、行政処分、行政指導等について、一般的規律を定める
 法であるが、他の法律に特別の手続規定を設けた場合は、その特別規定
  が優先する。ー(5)  

 ● 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であって、第3条1項に列挙
  されている類型に該当しないものについては、他の法律で特別の手続
 規定を設けることができる。ー(6) 

 
  《解答・解説》

 (4)法3条1項のとおりであり、正しい。ただし、ひとつ、疑問な点
    は、3条には、届出が掲げてないことである。しかも、3条では、
  第4章までとなっていて、第5章の届出が対象になっていない。
    ということは、届出は適用除外ではないのではないかという疑問
  である。届出に関する37条の解釈については、以下のとおりである。
  「・・届出が法令所定の形式上の要件を充たしている場合には、
     行政機関の窓口に届出書を提出するなどすれば、届出をすべき手続上
     の義務が履行されたものになるという規定である。『手続上の義務
   が履行された』とは、届出がなされると、届出行為は完了しており、
     行政機関が届出を受理せずあるいは返戻する余地がないことを意味
   する」(読本)
     つまり、この届出については、類型を問わず、行政機関一般に適用
     するというこではなかろうか。そうすると、届出がここに掲げられ
     ているのは、おかしく、この肢は誤りだということになる。ただし、
   過去問では、他の肢との関連から、正しい肢とせざるを得ない。
      おそらくは、出題ミスであろう。もし、私が出題者ならば、過去の
   誤りを正すという意味で、将来の試験問題において、敢えてここを
   問いたい。 そのようなしだいで、一応 ○。

     注 届出の定義は、行政手続法2条7号にある。処分の定義は、同法
    2条2号。


 (5)(6)について。

 ポイント

 行政処分・行政指導

 イ 3条1項の適用除外類型

 他の法律で定めるのは当然であって、特別の定めではない。

 ロ 3条1項に該当しない類型

 他の法律に特別の定めがあって、行政手続法の規定に抵触する場合には
  一般法と特別法の関係に立ち、他の法律優先(法1条2項)

 届出

 当然ロに該当するため、他の法律が優先。法1条2項には、「届出に関
 する 手続」が明確に掲げてある。

 
 以上のポイントに照らせば、
 
 (5)も(6)もロに該当し、いずれも○であり、○ふたつ、◎。

 なお、(6)において、届出は、3条の適用除外類型は問題にならない
 のに行政処分・行政指導と同列に扱っている点に疑問があるが、結論は
 正しい。

 
  ≪問題≫


 ● 行政手続法は、法律に基づく地方公共団体の行政処分には原則として
   適用される。ー(7) 

 ● 地方公共団体の機関がする行政処分であって、その根拠となる規定が
   条例または規則に置かれているものでないものについては、行政手続法
   が適用されるー(8) 
 
 ● 地方公共団体の条例にその根拠となる規定が置かれている届出の処理
   については、行政手続法の届出に関する規定は適用されないー(9)

    
 ● 地方公共団体の制定する命令であっても、法律の委任によって制定
  されるものについては、行政手続法の意見公募手続に関する規定が適用
 される。 ー(10)
      

 

 《解答・解説》

 いずれも、地方公共団体の行政に関するもので、法3条3号の条文問題
 である。原理は、以下のとおり、単純明快である。


 ◎ 地方公共団体の行政に関して、行政手続法の適用が除外される範囲

 
 イ 行政処分・届出→(地方公共団体の機関が定める)条例・規則に
           基づくもの。

 ロ 行政指導→すべてのもの。

 
 ハ 命令等の制定→すべてのもの

 注 条例は、地方議会が定める。規則には、地方公共団体の長つまり
  都道府権知事や市町村長が定めるものと教育委員会などの委員会が
    定めるものがある(憲法94条、地方自治法14条1項、15条1項、
  138条の4 2項)。その規則には規程も入る(地自法138条の4 2項
    行手法2条1号)
  上記の「命令等の制定」にある「命令」とは、条例は含まず、規程
    含む規則が該当する。
    (面倒ではあるが、行政法のマスターには、このような細かい概念
    の把握を重ねることも大切である)

 以上の原理を適用すれば、(7)〜(10)は、以下のとおりとなる。

 (7)の意味するところは、行政処分の根拠となる規定が条例または規則
 に置かれておらず、法律にあるのだから、イの基準に照らし、除外の
 範囲に入らない。したがって、行手法が適用される。換言すれば、
 行手法が適用されないものは、処分の根拠となる規定が条例または規則
 におかれているものに限られているのである。 ○

(8)は、結局、(7)と同じことを述べているので、○。

(9)は、イの原理に従い、行手法の不適用。○

(10)は、かりに法律の委任によって制定されるものであっても、
 地方公共団体の制定する命令は、すべて行手法の適用がないとのハ
 の原則に従い、同法の規定する意見公募手続に関する規定は適用
 されない。 ×

 注 意見公募手続は、行手法38条以下に規定されている。


  ≪問題≫


 ● 地方公共団体の機関がする不利益処分については、それが自治事務に
  該当する場合には、行政手続法の不利益処分に関する規定は適用されない。
   ー(11)    1

 ● 地方公共団体の機関がする「申請に対する処分」については、それが
 国の 法定受託事務に該当する場合に限り、行政手続法の「申請に対する
 処分」の規定が適用されるー(12)

 

 

  《解説・解答≫

 
 ポイント

 (11)(12)について。

 不利益処分は行手法2条4号に規定があり、申請に対する処分は、第2章
 に規定 があるが、いずれも、行政処分であり、行手法の適用範囲について
 は、前記◎ イ の原理に従う。

 行手法の適用の範囲については、法律に基づくものか条例・規則に基づく
 かが、基準になる(◎ イ)のであって、自治事務か法定受託事務かという
 地方公共団体の事務の種類が基準になるのではない。

 注 「自治事務」とは、「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託
 事務以外のものをいう。」法定受託事務とは、「本来は国の事務と位置
 づけられた事務で地方公共団体に委任ないし委託されたもの」である
(読本)。

 したがって、行政処分について、自治事務か法定受託事務を基準にして、
 行手法の適用範囲を定めている点において、(11)も(12)も×。
 あくまで基準は◎ イ である。

 

    

 【行政手続条例】

 《問題》

 ● 行政手続条例は、地方公共団体の行政処分だけを対象にする。

 ー(1) 

 ● 行政手続法および行政手続条例では、法律または条例の規定に
  基づかない行政指導は許されないものと定められている。ー(2)

     

 ● 行政手続条例が、地方公共団体における行政手続について、
 行政手続法と異なる内容の定めをすることも許されないわけではない。
 ー(3)

   

  《解説・解答≫

 行政手続条例とは

 行手法の適用のないつまり法3条3項により適用除外になる地方
 公共団体の行う「処分・行政指導・届出・規則・規程については
 地方公共団体が『行政運営における公正の確保と透明性の向上を
 図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。』こと
 になっており、(法46条)」(読本)これに基づいて、多くの
 地方公共 団体が制定しているのが、行政手続条例と呼ばれる。

 注 これら条例には、コピー条例と揶揄される、行手法を丸写し
    にしたものも多いようであるが、行政指導については、独自
    性のある規定を置く地方公共団体もあるとのことである。
   (読本)

 (1)について。

  行政処分のほか、行政指導、届出、規則、規程についてである
 ことは、前述したところから明らかである。したがって、×。

(2)について。

  行政機関は、その任務ないし所管事務の範囲内においては、
 法律による授権がなくても、行政指導ができる(法2条6号)。
 有名なロッキード事件でも、最高裁判所は、そのように判じた。
 (最大判平7・2・22・・)以上からすれば、条例に基づく
 必要もない。したがって、×。

 (3)について。

  行手法46条によれば、行手法と同一内容の行政手続条例の
 制定を求めているのではない。むしろ、法の趣旨にのっとり
 その地方公共団体の独自性を生かした方向での条例の制定が
 望まれる。○


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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