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行政法・申請に対する処分と不利益処分についての仕組み 第28回

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 28回 】★      
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 2009/5/5


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政法・申請に対する処分と不利益処分についての仕組み
 

【目 次】問題・解説 
           
      
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■ 問題・解説
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 ▲ 参照書籍 行政読本 芝池義一著 行政法入門 藤田宙靖著
   ともに有斐閣発行


 ▲ 本コーナでは、標題に掲げたテーマに絞り、過去問の肢を参照
   しながら、解説を進める。なお、各肢が過去問のいずれに該当
   するかの指摘は省くことにする。

 スタート! 解答は○×で表示する。

 


 《問題》


 ◎ 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする
   場合は、申請者に対し、当該処分の理由を示さなければならない。
 ー(1)

 ◎ 行政庁は、不利益処分の理由を示さないで処分をすべき差し迫った
   必要がある場合においても、当該理由を示さないで当該処分を行う
  ことはできない。ー(2)

 ◎ 申請拒否処分の理由については、理由を示さないで処分すべき差し
   迫った必要がある場合には、処分後相当の期間内に示せば足りる。
   ー(3)

 ◎ 行政手続法において、「申請に対する処分」の手続として、次の
   ものは、義務的と定められていない。ー(4)

  拒否処分の通知における理由の提示


 《解説》

 ポイント

 A 申請に対する処分と不利益処分の違い。

 申請に対する処分とは、2条3号に規定があり、「国民の側からの
 申請があってはじめて行われる処分のことで、具体的には、認可・
 許可 や社会保障の給付決定を指している」(読本)。

 不利益処分とは、行手法2条4号で定義がなされていて、「例えば、
 ホテル業などの営業の免許を撤回する処分、営業停止命令、工場の
 施設の改善命令などがこれに当たる」(読本)。

 本問では、(1)(3)(4)が申請に対する処分であり、(2)が
 不利益処分である。

 
  
 B 理由の提示を必要とする行政処分の範囲

 行手法8条1項は、許認可等を拒否する処分、いわゆる拒否処分
 について、理由の提示を行政庁に義務づけている。

 同法14条1項は、不利益処分について理由の提示を義務づけている。
 
 
 注
 行政手続法の理由提示の義務は、許認可処分にまでは及んでいない。
 しかし、許認可処分であっても、理由の提示が要請される場合がある。
 「原子炉の設置の許可や公共料金の値上げの認可のように第三者利害
 関係人である住民の生活への影響が大きく、あるいは住民の関心が強い
 ものについては、理由提示の必要性は強い。・・・これは(理由提示
 の義務が許認可処分処分にまで及んでいないのは)、第三者利害関係人
 のことをあまり考慮していないという同法の限界の一つの表れである。
 (読本)

 C 各肢の検討 

 (1)について  

 8条1項は、申請に対する拒否処分について、行政庁に理由の提示を
 義務づけている。この義務は法的義務である。

  ○

 (2)について

 14条1項は、不利益処分についても、行政庁に理由の提示を義務づけ
 ていて、これも法的義務である。ただし、14条ただしがきに照らせば、
 このような場合において、理由の提示を要しない。

  ×

 (3)について

 14条1項ただしがき、2項に照らせば、不利益処分には該当しても、
 申請拒否処分については、8条1項の適用を受ける。同条には、この
 ような規定はない。

 ×


 (4)について


 8条1項において、義務的として定められている。

 ×

 なお、不利益処分の手続として、「不利益処分の通知における理由
 の提示」が挙がっていても、14条1項に照らし、×

 

 《問題》

 ◎ 許認可の申請にあたっては、申請者には申請権があり、行政庁には
   申請に対する審査・応答義務があるので、形式要件に適合している
   限り、申請書類の返戻は許されない。ー(5)

 ◎ 行政庁は、法令に定められた申請の形式上の要件に該当しない申請
   については、申請した者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を
   求めなければ、当該申請により求められた許認可等を拒否できない。
    ー(6)

 ◎ 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請
  の審査を開始しなければならない。ー(7)

 ◎ 行政手続法において、「申請に対する処分」の手続として、次のもの
   は、義務的と定められていない。ー(8)

  
   申請到達後遅滞なく審査を開始すること

 


 《解説》

 
 本問全体おいて、対象になっているのは、前記ポイントAにおける、
「申請に対する処分」である。

 さらに、ここで焦点になっているのは、行手法7条の申請に対する
 行政庁の審査および応答の義務である。

 (5)について


 7条の立法趣旨は、申請が事務所に到達した時点で審査義務が発生し、
 申請が形式的要件に適合している限り、返戻は許されないことである。
(入門参照)
 
 ○

 注
 返戻は、へんれいと読み、へんぼうとは読まない。蛇足ながら、国語
 の勉強。

 (6)について

 7条の条文上、「補正を求め、又は・・許認可等を拒否しなければなら
 ない]となっている。したがって、補正を求めないで、許認可等を拒否
 できる。

 ×

 (7)(8)について

 7条は、「審査を開始しなければならず」としていて、当該審査義務は
 法的義務である。

 (7)は○ (8)は×

 

 《問題》


 ◎ 行政手続法上の申請のうち、行政庁が諾否の応答を義務づけられる
   のは、許可あるいは認可を求めるもののみに限られる。ー(9)


 ◎ 補助金の交付申請は、法令に基づかない申請であっても、行政手続
   法上の申請とみなされる。ー(10)

 ◎ 申請拒否処分は、不利益処分の一種であるから、こうした処分にも、
   不利益処分に関する規定が適用される。ー(11)

 ◎ 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請の進行状況・処分の時期
   の見通しを示すように努めなければならない。ー(12)

 ◎ 行政庁は、申請に対する処分であって申請者以外の者の利害を考慮
   すべき場合は、公聴会の開催その他適当な方法により、当該申請者
   以外の者の意見を聞く機会を設けるよう努めなければならない。
  ー(13)

 ◎ 行政手続法において、「申請に対する処分」として、次のものは
   義務的と定められていない。ー(14)

  関係国民の意見陳述のための手続

 ◎ 申請拒否処分が許されない場合において、それをなしうるとして
   申請の取下げを求める行政指導は、違法な行政指導である。ー(15)


 《解説》

 ここでは、全体として、「申請に対する処分」の仕組みを問う問題を
 掲げた。

 (9)について

 2条3号によると、申請とは、行政庁の許可、認可、免許その他
 の自己に対し何らかの利益を付与する処分(この全体をひっくるめて
 許認可等)を求める行為であって、これに対して、行政庁が諾否の
 応答を義務づけられている。したがって、応答義務は、許可・認可
 に限られない。
      ・
 注 許認可等になっていることに注目。

 ×

 (10)について

 
 2条3号によれば、法令に基づかない申請は、行政手続法上の申請では
 ないので、行手法第2章の申請に対する処分の適用を受けない。

 ×

 (11)について

  申請拒否処分は、申請者に不利益を及ぼすので、広い意味での不利益
 処分である。(読本)しかし、「申請に対する処分」と「不利益処分」
 は条文と構造を異にしているので、「申請に対する処分」である
「申請拒否処分」に対し、「不利益処分」の規定が適用されることは
 ない。

 注
 申請拒否処分については、行手法第2章の「申請に対する処分」が適用
 されるのであり、同法第3章の「不利益処分」の規定が適用されるので
 はない。

 2条4号ロの[不利益処分」除外規定は、注意的なものであろう。

 
 (12)について

 9条1項の条文のとおり。この行政庁による情報提供義務は、法的義務
 ではなく、努力義務であることに注意すべきである。

 ○

 (13)(14)について
 
 10条の条文のとおり。この公聴会の開催等は、努力義務である。
 (13)は○        

 行手法において、「申請に対する処分」として、当事者以外の者
 の意見陳述のための手続は、10条以外に規定がなく、これは
 努力義務である。法的義務ではない。また、これ以外に、行手法
 に「関係国民の意見陳述のための手続」を定めた規定はない。
 (14)も○。


 (15)について

 
 これは、34条の適用例である。すでに卒業した行政指導の問題で
 あるが、「申請に対する処分」すなわち「申請拒否処分」の問題でも
 るので、ここでとりあげる。
 34条は難解な規定であるが、例えば、ここにあるように、「当該
 権限を行使することができない場合」すなわち、申請拒否処分が許
 されない場合において、「当該権限を行使し得る旨を殊更示すこと
 により」すなわち、それをなしうるとして、「相手方に当該行政
 指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない」
 すなわち、申請の取下げ を求める行政指導に従わせることを
 してはならないことになる。この公務員の行いは、法的義務に
 違反するので、違法な行政指導になる。

 ○ 

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【発行者】司法書士 藤本 昌一

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