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株式会社の機関 第47回

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第47回 】★      
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 2009/8/4


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】株式会社の機関
 

【目 次】問題・解説 
           
      
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■ 問題
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 平成20年度過去問・問題37

   会社法上の公開会社であって取締役会設置会社の代表取締役の権限
 に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

 ア 取締役会は3ケ月に1回以上招集しなければならないが、その
  招集権者を代表取締役とすることができる。

 イ 取締役の職務の執行が法令および定款に適合するための体制
   (いわゆる内部統制システム)の整備については、代表取締役が
   決定する。

 ウ 代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上の権限を有する
  るため、取締役の義務違反により会社に損害が生じた場合に、当該
    取締役に対する責任追及のための訴訟を提起する。
 
 エ 代表取締役は、取締役会決議に基づいて、代表権の一部を他の
   取締役に移譲することができる。

 オ 取締役会は、法定事項や重要な業務執行について決定権限を有
   するが、それ以外については、代表取締役に、業務執行の決定を
   委任することができる。

 1 ア・ウ

 2 ア・オ

 3 イ・エ

 4 イ・オ

 5 ウ・エ

 
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■ 解説
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 ▽ 参考書籍

 会社法 神田 秀樹 著 ・弘文堂   リーガルマインド 会社法
 
  弥永真生著 著・有斐閣


 ○  最初に冒頭の設問に「会社法上の公開会社であって取締役会設置
   会社の代表取締役の権限」とある点が問題になる。
   公開会社はすべてにおいて、取締役会が必要である(327条1項1号)。
   しかし、非公開会社においても、任意に取締役会を置くことができる
  (326条2号)。その場合と公開会社の場合とで、代表取締役の権限に
   差異があるとは思われない。その点は、知識として、認識しておいた
   方がよいと思う。

 ○  第1コース第30号【問題2】肢1解説において、説明したが、
   公開会社(2条5号)とは、全部株式譲渡制限会社以外の会社である。
   つまり、一部の種類の株式についてだけ譲渡制限がある会社も公開
   会社となる。しかし、次のような指摘がある。「・・一部の種類の
   株式にだけ譲渡制限がある会社はこれまで存在せず、会社法のもとで
   新しく認められるに至ったものなので、特別な場合を除いてそのような
   会社はあまり登場しないとも推測される。したがって、当面は、公開
   会社とは株式譲渡制限がない会社と考えておけばよい。」(神田・
   会社法入門・岩波新書)

 ○ 前記解説欄において指摘したとおり、取締役会設置会社では、取締役
   は3名以上であることを要する(331条4項)。それ以外は、一人又は
   2人以上である(326条1項)。


  
 アについて

   これは、すこし難しい。「取締役会は常設の機関ではなく、必要に応じ
 て開催される」(神田会社法)という固定観念があると、363条2項
 の条文に気がつき難い。これに気づいたとしても、報告だから、一々招集
 する必要はないとも考えられるが、372条2項により、この報告のため
 の取締役会の開催を省略することができないとされる(リーガル)。
   したがって、3ケ月に1回以上招集しなければならないことになる。
   このように考えると、細かい知識を要求されているようであるが、他の
 肢との比較により、この条文の存在に気づけば、おぼろげながら、定期的
 に 開催が要求されているのだと考えが及べばよいことになる。
  したがって、本肢前段は正しい。
   なお、この際、1点、指摘しておきたい。それは、取締役会は、取締役
 の職務執行を監督する権限を有する(362条2項2号)が、当該報告は、
 取締役会 の監督機能の実効性を確保するためである(リーガル)。
 なるほど、 だから、 定期的招集なのかとここでも納得がゆく。
 なお、ここでいう、取締役は、363条1項にいう、代表取締役および
 業務執行取締役である。
 
  後段も正しい。取締役会の招集権は、原則として、個々の取締役にある
(366条本文)。ただし、招集権者である取締役を定款又は取締役会で定める
 こともできる(366条ただし書き)。この特定の取締役を代表取締役とする
 ことができる。以上本肢は、全体として、正しい肢に該当する。

  なお、以下の2点に注意せよ。一つは、招集権者を特定したときでも、
 366条2項、3項の規定により、「それ以外の取締役も法定の要件に
 従って招集できる。」(神田会社法)
  もうひとつは、368条2項の規定に従い、その全員が同意すれば、
 招集手続を省略できることである。

 
 イについて

   本肢の「内部統制システムの整備」については、362条4項6号に
 規定がある。これは、「法律で取締役会で必ず決定しなければならない
 と定められている事項」に該当し、「定款によってもその決定を代表
 取締役にゆだねることはできない(362条本文)」(神田会社法)。
   本肢は、誤っている。

 ウについて

   前段については、349条4項に規定がある。しかし、会社・取締役
 間の訴訟は、その例外である。353条・364条に規定によれば、
 当該訴訟においては、本肢のような取締役会設置会社の場合、会社を
 代表する者は、株主総会で定めたときを除いて取締役会で定めることが
 できる。本肢は誤りである。

   なお、以下に注意。「ただし、監査役設置会社では監査役が代表し
 (386条1項)、委員会設置会社では監査委員会が選定する監査委員
 または取締役会が定める者が代表する(408条1項・2項)。」
 (神田会社法)

 エについて

   代表取締役の代表権は、会社の業務に関する包括的な権利であるから、
 その一部を他の取締役に移譲することは、法349条4項に反すると
 私は思う。誤りである。

 オについて

   イとも関連する。取締役会は、業務執行に関する意思決定を行う
 (362条2項1号)。そして、362条4項各号の法定事項は必ず取締
 役会で決定しなければならない。この決定権限のなかには、本肢が
 指摘するように、「具体的な法定事項のほか『重要な業務執行』を
 含む」(神田会社法)ことに注意する必要がある。
 「362条4項以外にも、会社法が取締役会の決議事項と定めて
 いる事項は多数ある。以上のような法定事項以外の事項についても
 取締役会で決定することはできるが(決定すれば代表取締役を拘束
 する)、取締役は招集によって会合する機関にすぎないため、
 それらの事項(日常的事項)の決定は代表取締役等に委譲されて
 いると考えられる」(神田会社法)。また、定款によって、法定
 事項以外を代表取締役にゆだねることもできる。以上のとおり、
 オは正しい。

 よって、正しいのは、アとオであり、正解は2である。
 

  
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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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