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               ★ オリジナル問題解答 《第7回 》 ★

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                       PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 行政法・オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第93号に掲載してある。

 ★ メルマガ第93回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 


 ☆サイト第41回・第43回 参照
 ⇒第41回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/854713.html

 ⇒第43回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870899.html

 

 ◆  本問の解説


 ○ 肢1について

   審査請求の審査庁が、処分庁の上級庁である場合には、私人の申立
    をまたず職権によっても執行停止をすることができる(行審法34条
  2項)。

   これに対して、審査庁が処分庁の上級庁でない場合およおび裁判所
  の場合には、職権によって執行停止を行うことはできず、申立による
 (行審法34条3項・行訴法25条2項)。
 
   これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して、一般
  的指揮監督権を有するから、職権に基づく執行停止も一般的指揮権の発
  動として正当化されることに基づく。

   本肢は、妥当である。

  
   ○ 肢2について

   行審法は、審査請求がなされたとき、執行不停止の原則を採用して
  いる(34条1項)。同様に、行訴法もまた、処分取消の提起のとき、
  執行不停止の原則を選択を選択している(25条1項)。
 
   その根拠は、行政処分の公定力に基づく公益重視にある。

   しかし、国税通則法105条1項のように、個別法において、執行
  不停止の原則に修正が加えられている場合もある(過去問2007年
  問15参照)。

   その根拠としては、行審法第1条第2項における「他の法律に特別の
  定めがある」場合に該当する。


     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢3について

    執行停止の要件は、以下のとおり、審査庁と裁判所の場合で異なって
   いる。

    審査庁の場合は、「必要があると認めるとき」が要件になっている
   (行審法34条2項・3項)。

    裁判所の場合は、処分等の「続行により生ずる重大な損害を避ける
      ため緊急の必要があるとき」が要件になっている
   (行訴法法25条2項)。

      ただし、次の点に注意せよ。

      審査庁の場合にも、「重大な損害」等が掲げられているが(行訴法34
  条4項)、これは、義務的であるための要件である。裁判所の場合が、執
    行停止発動の要件であるのとは、異なる。

   
   執行停止可 ○ 不可 ×
       
 
               審査庁     裁判所
 
 「必要があると認める」    ○        ×

 「重大な損害等」       ○(義務的)   ○(発動の要件)

  以上を総括して、「入門」より、以下の文章を記しておく。

  「行政上の不服申立てのばあいには、争いを裁断するのは裁判所では
    なくて行政機関ですから、不服申立てに対する審査も、いわば、行政
    組織内部でのコントロールとしての性格を持つことになります。そう
    だとすると、取消訴訟のばあいには、司法権としての裁判所の立場上、
    そうかんたんに認められなかった例外としての執行停止も、かなり
    ゆるやかに認めてもよい、ということになるのでしょう。」

     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢4について

   ここでは 申請拒否処分として、生活保護却下処分をとりあげる。

  裁決によって、当該処分が取消されると、処分庁は、裁決の趣旨に従
 って、生活保護決定をしなければならない(法43条1項・2項)。
   
     それでは、この裁決の前に審査庁が執行停止を行ったら、どうなるか。
 
  処分庁は、生活保護決定を義務付けらるのではないというのが、実際の
  取扱であるから、拒否処分についての執行停止の決定はやっても意味は
  なく、結局、執行停止の申立の利益がないということになる。
  もし、裁決の前に、義務付け(生活保護決定)をさせるためには、仮
  の義務付けを認める必要がある。(以上「読本」参照)
 
   以上の前提知識を基に本肢を検討すると、

  行審法では、仮の義務付けの制度はない。これは、行訴法において規定
 されている(37条の5)。本肢は、行訟法の説明である。
  申請拒否処分に対する審査請求については、仮の義務付けの制度がない
 ため、執行停止の申立の利益がないことになる。
 
 《以上の記述は、やや、こみいっているが、この際、その関係を正確に
  把握しておくべきである》

   以上のとおり、本肢は、妥当でない。


 ○ 肢5について

  執行停止の申立があった場合、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を
 述べることができるが、審査庁に対しては、異議を述べることはできない。

  行訟法によって、当該異議が認められ、この場合、裁判所は、執行停止
 をすることができず、その決定をしているときは、これを取り消さなけれ
 ばならない(27条1項・4項)。

  しかし、内閣総理大臣の異議という制度は、行政不服審査法にはない。

  以上の記述に反する本肢は、妥当でない。

----------------------------------------------------------------------
  
   肢1が妥当であるので、正解は1である。

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    ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣
 

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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               ★ オリジナル問題解答 《第2回 》 ★

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                         PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 行政法・オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】第88号
 に掲載してある。

  メルマガ第88回はこちら↓
 http://archive.mag2.com/0000279296/index.html

 
 ▲ 問題1

  ★  本問については、サイト29回 参照

     第29回はコチラです↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/683845.html


  ★ 各肢の検討

    アについて

    到達によって、標準処理期間は、進行を開始するのが、原則
  であるが、形式的要件に適合しないとして、申請者に対して
    補正指導をしている間は、その進行を停止するというのが、通
    例の取扱いであって、本肢は妥当でない。

   本肢は、行手法6条・7条の組み合わせによる。

  イについて

   6条によると、標準処理期間は、申請がその事務所に到達した時
    点から進行する。この点は、7条に関しても同じことが言えるが、
    申請を受け取っておきながら、正式に受理していないことを理由に
   「預かり」とか「返戻」という措置とることを許さないことにしたと
   いう当該立法の経緯 からしても、受理を当該期間の基準とすること
   は、明からな誤りである。 (読本参照)


    ウについて

      後者は、法的義務であるから妥当でない(7条参照)。


  エについて

   妥当である(6条・9条)。

  
  オについて

   6条末尾の記載により、妥当である。


----------------------------------------------------------------

   以上により、正解は2である。

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 ▲ 問題 2
  
 
 ◆ サイト30回に掲載の平成18年度過去問・問題11及び解説参照

 

   第30回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/683857.html

 
  ◆ 各肢の検討

  ○ アについて

   平成21年度問題11の肢4の以下の記述をみてほしい。

   聴聞において、当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず、
  行政庁がこれを不許可とした場合には、行政不服審査法に基づく不服
  申立てをすることができる。

  ×である

   条文は、行手法17条1項・同法27条1項である。
   つまり、同法17条1項に違反する違法な処分(行審法1条の行政
   庁の違法処分に該当する)は、行手法27条1項により、行審法による
  不服申立てをすることはできない。

  同様に行手法18条1項の文書等の閲覧規定に反する行政庁の処分も
  また、行審法の不服申立ての対象にならない。

  以上、本肢は正しい。

 ○ イについて

  聴聞を経てなされた不利益処分については、行政不服審査法に基づく
 異議申立てはできないが、弁明の機会付与の不利益処分にはこうした
 制限がないので、本肢は正しい(27条2項・29条以下にはこうした
 規定もなく、準用もされていない)。

  しかし、27条2項によれば「審査請求」はできることになっている
 ことに注意。
 「異議申立て」は処分庁に対する不服申立てであるから(不服審査法
 3条2項)、聴聞という丁寧な手続を経た処分が覆る可能性がほとんど
 ないことが立法趣旨である。

  以上、本肢は正しい。


 ○ ウについて

  行手法29条と同法20条の比較。なお、同法20条3項の審理の
 非公開原則に注意。これについては、学者の批判がある。

  以上、本肢も正しい。

 ○ エについて
              ・・・・・・・・・
  丁寧な手続である聴聞は、許認可を撤回したり 資格 または地位
  を 剥奪するといった相手方に重大な不利益を与える不利益処分に
 ついて行われる。これが「特定不利益処分」であり、行手法13条
 1項1号に列挙されている。
   この不利益処分には、行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる
 (同旨・平成21年度問題11・肢2)。

  以上に反する本肢は妥当でない。


 ○ オについて

  行政庁が、相手方から、申請により求められた許認可等を拒否する
 処分は、申請に対する処分(行手法2条3号)であるから、不利益処
  分に該当しないので、聴聞ないしは弁明が実施されることはない

  以上に反する本肢は、妥当でない。


 --------------------------------------------------------------

  以上によれば、妥当でないのは、エとオであるから、正解は4である

---------------------------------------------------------------

 

 ◆  付 言

   エとオの対比を通じて、「特定不利益処分」の概念をはっきりと把握
 することが肝要だ!

  一度行政庁がした許認可を取り消したり、撤回するのが、「特定
 不利益処分」であり、申請者から求められた許認可を拒否するのは、
 それが、いかに申請者の重大な利益に関わることであっても、
「不利益処分」ではなく、「申請に対する処分」である。

   以上は、行政手続法の根幹をなすものであり、過去問でも繰り返し
 問われている。混同しないように!


 また、アとイの混同も回避すべき。
 
   アは、聴聞の手続そのものに対する不服。イは、聴聞・弁明を経て
 なされた不利益処分に対する不服申立ての問題。

 

 

  参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣

 

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         ★ 過去問の詳細な解説  第 94 回  ★

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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    問題・解説

           
 
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 ■  平成22年度問題45(記述式)

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   Aは、Bから金銭を借り受けたが、その際、A所有の甲土地に抵当権が
 設定されて、その旨の登記が経由され、また、Cが連帯保証人となった。
 その後、CはBに対してAの債務の全部の全部を弁済し、Cの同弁済後に、
 甲土地はAからDに譲渡された。この場合において、Cは、Dを相手に
 して、どのような権利の確保のために、どのような手続を経た上で、ど
 のような権利を行使することができるか。40字程度で記述しなさい。
 
  
 
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 ■ 解説
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  ● 図示
                    B 債権者兼抵当権者

         ↓     ↓

    C 連帯保証人    A 債務者兼抵当権設定者

                         甲土地 →  第三取得者 D

 ○ ポイント

    1 連帯保証人Cの債務者Aに対する求償権

    「CはBに対してAの債務の全部を弁済し」たのだから、Cは、
    Aに対して求償権を有する(459条以下・ただし、連帯は問題
       にしなくてよい))。

   2 弁済者CによるBの有する抵当権の行使(500条 ただし、
    Cは≪連帯≫保証人であるから、法定代位になることに注意!
    ・501条本文)

     弁済による代位または代位弁済により、弁済者Cの求償権を
    確実にするため、弁済を受けた債権者Bの有する抵当権を代位
    できるのである。

   3 代位の付記登記

    ア 「保証人の弁済後に第三取得者が生じたときは第三取得者の
         出現前に代位の付記登記をしておかなければ、保証人は第三
         取得者に対して代位できない(501条但書1号・「あらか
         じめ」とはこのような趣旨と解されている)。保証人が弁済
         したから抵当権は実行されないと思って買った第三取得者を
         保護するためである」【後掲 内田民法 参照】。

    イ 弁済の後、付記登記前に、第三取得者を生じたときは、もは
     や代位の付記登記はできない(昭和11・5・19)

    ウ 第三取得者の出現後に保証人が弁済したときは、付記登記は
     不要とされる(昭和41年11月18日)。抵当権付で不動産
         を取得した第三取得者は、もともと抵当権の負担を覚悟してい
     るべきだからである。【後掲 内田民法 参照】。

 

        B Cの代位          時の順序
                 
                 ア 弁済→付記登記→Dの出現
        ↓
                 イ  弁済→Dの出現→付記登記不可

                 ウ Dの出現→弁済→付記登記不要
    C   A  →  D  

    弁済
 

  
  ◎ 本問の解答


      本問の事例は、前記 ○ ポイント 3 イ によれば、付記登記
   不可に該当する。
            ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・
    本問において、「求償権の確保のため、代位の付記登記手続を経た
   ・・ ・・・・・・・・・・・・・・
   上で、抵当権を行使することができる」という解答を求めるならば、
   事例自体を 前記 ○ ポイント 3 ア に変更しなくてはならな
   い。

    つまり、付記登記に関していえば、
    
    Cの弁済後に、甲土地がAからDに譲渡される前に、Cはどのよう
   な手続きを経る必要があるかということが問われなくてはならない。

    もし、

     弁済後、第三取得者Dが出現すれば、この後、付記登記はできないの
    だから、付記登記は、Dの出現前に行うことは当然の前提であるという
       のであれば、正解は前述した、・・・・・・・ということになる。

    しかし、
   
    前述したように、時の順序は本問では重要な論点であるのに、これを
   無視した出題には疑問が残る。また、本問では連帯保証となっているの
   にこれが利いておらず、連帯に特有な論点がないことにも疑問が残る。

 

 ★ 参考文献

  民法三 内田 貴 著・東京大学出版会
   
    民法 2 ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房
  
 

 

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        ★ 過去問の詳細な解説  第 91 回  ★

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  【テーマ】  民法
   
     ー過去問に関して、登記にまつわる諸問題・その2−
     
     平成10年度以降の登記のからむ肢を順次とりあげ、解説を行い
   ます。本試験準備の有力な武器になることを祈念します。

    
 
  【目次】   問題・解説

           
    【ピックアップ】     
 
      現在、販売されている 行政書士試験直前予想問題【平成22年度版】
    につきましては、現在もなお、たくさんの方々に購入頂きつつあり、深
   謝いたしております。

 

   ◆藤本式直前行政書士試験予想問題【平成22年度版】はこちら!
           ↓↓↓
  http://www.examination-support.com/2010/

 

      私といたしましては、来るべき本試験と類似する良問に絞った選りす
   ぐりのオリジナル問題を作成・呈示させていただいたつもりであります。

    ひとりでも多くの方が、本誌を活用されることにより、本年度の試験
   に合格されることを祈念いたします。
 


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■  問題集(過去問の出典は省略)・○×を付すること

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 1 A所有の甲地がBに売却され、さらに善意のCに売却された後、AB
  間の売買契約が詐欺を理由に取り消された場合、Aは登記なくしてCに
   取消しを対抗することができる。(  )
  
 2 A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には賃借人Cがいた場合、Bは
  登記なくしてCに対抗することができる。(   )

 3 A所有の甲地がBに譲渡されたが甲に不法占拠者Cがいた場合、Bは
  登記なくしてCに対抗することができる。(    )

 

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■  解説集(判例に関しては、三省堂発行の平成22年度 模範六法
       から引用≪模 、、条1、2、3・・・で表す≫)

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 ◎ 1について

  民法96条3項によれば、詐欺による意思表示の取消しは善意の第
 三者に対抗できないのであるから、Aは登記の有無にかかわらず、C
 に対抗できない。   ×

 ◆ 発展問題

 a 詐欺による取消しに際して、Cが第三者として保護されるためには
  登記を要するか。ここで問題になるのは、対抗要件としての登記では
  なく、資格要件としての登記であることに注意する必要がある。

   もし、この資格要件としての登記を要するということになればどう
  なるか、皆様、よく考えて欲しい。Aが詐欺による取消しを理由にB
  の登記を抹消して自己に回復すれば、もはや、Cは自己に登記を移転
  できないのだから、善意の第三者であるCは保護されない。
   したがって、この場合、AはCに登記がないことを理由にCに対し
  取消しを対抗できることになる。

   「登記必要説の根拠は、96条3項は詐欺にあった被害者の犠牲に
  において、取引安全のため善意の第三者を保護しようというのである
  から、保護される第三者は、権利の確保のためになしうることを全て
  して、ほぼ確定的に権利を取得したといえる程度まで達している必要
  があるのではないか、特に、第三者より先に表意者が登記を回復して
                  (注)
  しまったような場合、いくら善意・無過失の第三者でも、その登記の
  抹消まで要求することを認めるのは行き過ぎではないか、という判断
  である。」(内田 民法一)
 
    なお、一般には、判例(最判昭和49年9月26日)は、登記不要
     説に立っているいるとされるが、内田氏は、登記を不要とする当該判
   決の説示には、事案の関係から、先例としての価値に疑問を呈してお
   られる(前掲書)。

    最後に、当該説に立っても、本肢において、「 Aは登記なくして
   Cに取消しを対抗することができる。」とするのは、×である。
  
   注 内田説によると、96条3項の「規定も権利外観法理の一環で
   あるから、94条2項の解釈論と同様、無過失を要求すべきだろ
   う。」とされる。


      ★ 参考事項

    民法545条1項によれば、解除にも第三者保護規定が設けられて
   いるが、判例によれば、第三者が保護されるには登記を要するとされ
   ていることに注意!!(最判昭33・6・14 摸545条 13)。

 
  b  AB間の売買契約が詐欺を理由に取り消された後に、Bが善意のCに
  売却した場合には、Bを起点とする二重譲渡があったのと同じであるか
  ら、対抗問題となり、登記の先後で優劣を決するのが通説判例である
  (大判昭17・9・30 96条 3・177条 3)。

  しかし、現在では、94条2項類推説が有力に主張されているため、
 むしろ、この説の方が通説とも言えることに注意する必要がある。

  当該論点に立脚したオリジナル問題を末尾に掲げておく。

 
 ◎ 2について 

   他人に賃貸している土地を譲り受けた者は、その所有権の取得に
  つき登記を経ない限り、賃料不払いによる解除を賃借人に主張する
  ことはできない。(最判昭49・3・19 摸六 605条 9)
   
   土地の賃借人として賃借上に登記ある建物を有する者は、その
  土地の所有権の得喪につき、本条の第三者にあたる。(大判昭8・
  5・9 前記判例 177条 22)

   いずれの判例に照らしても、本肢において、Bは登記なくして
  賃借人Cに対抗できないという結論になる。 ×


   ★ 参考事項

   後の判例における「土地の賃借人として賃借上に登記ある建物
  を有する者」に注目されたい。

   民法605条によれば、不動産賃貸借の対抗力として登記を要
  する。したがって、旧所有者から賃借した者が新所有者に当該賃
  借権を対抗するためには、登記を要する。

   しかし、 

   建物保護法によると、土地の上に登記した建物を有するときは、
  土地の賃貸借はその登記がなくても、これをもって第三者に対抗
  することができる(このあたりまでは、本試験の射程距離だ!!)。

   以上のとおり、賃借人側から新所有者に対抗できるのかという
  視点から捉えると、賃借人に土地の賃借権の登記もなく、賃借上
  の建物の登記もない場合は、新所有者に賃借権を対抗できない。
   
   この場合、本肢3でいえば、対抗力としての登記を有しない賃
  借人Cは、民法177条の第三者にあたらないことになるので、
  Aは登記なくしてCに対抗できることになる。本肢では、Cが
  対抗力を有していることが前提になっているのだろう。

   
  
  ◎ 3について 

    何らの権原なく不動産を占有する不法占有者は、本条にいう
  「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権
   の取得を対抗しうる。(最判昭25・12・19 摸六 177
   条  21)

    当該判例に照らせば、本肢は○

  ★ 関連事項

  
   平成21年度記述式問題 46から。

   XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行ってはいない。
  現住甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、
  A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物
  の明け渡しを求めることができるか。

   【解説】

   本問におけるYは、本肢3における不法占拠者Cとは異なるが、
  賃貸借契約が解除された後も建物を占有する者であるから、前記
  判例に照らせば、何らの権原なく不動産を占有する不法占有者に
  該当するため、、民法177条にいう「第三者」に該当せず、こ
  れに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗しうることにな
  る。

   従って、XはYに対して建物の明け渡しを求めることができる。

   本問は、記述式の解答として、判例によれば、「第三者」の
  範囲をどのように定義しているかを40字程度にまとめる作業を
  求めるものであった。

   判例(大連判明41・12・15 摸177条 20)は、
  以下のように判示する。

   本条(民法177条)の第三者とは、当事者もしくはその包括
  承継人ではないすべての者を指すのではなく、不動産物権の得喪
  および変更の登記欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者を
  いう。

   従って、正解は、以上の文言を40字程度で表現して、呈示
  することなのであった。必ずしも容易な作業ではない。
  
   「不動産物権の得喪および変更の登記欠缺」という言葉が、手
   元に資料のない状態においては、すっとはでてこないであろう。

   一例を示せば、以下のような表現では、どうであろうか。

   第三者とは、不動産物権変動の登記を欠いていることを主張
   するのに正当な利益を有する者  
          
    41字
   


  ★  末尾 

  《問題》

   AからBに不動産の売却が行われた後に、AがBの詐欺を
 理由に売買契約を取り消したにもかかわらず、Bがこの不動
 産を善意のCに転売してしまった場合において、第三者 (C)
 の取り扱いについては、二つの立場がある。

  甲説(判例の考え方)

  「民法177条の対抗問題の視点を導入する立場」

  乙説(判例に反対する考え方)

  「民法94条2項の類推適用という手段を導入する立場」

   次の記述のうち、乙説の考え方に立つものの組み合わせ
 はどれか。

 
 ア Cがさきに登記をすれば、Aに優先する。

 イ Cが保護されるためには、登記は不要である。
 
 ウ  第三者(C)の善意・悪意や過失の有無を考慮した
   きめこまやかな調整ができる。
 
 エ Aの取り消しの時点で、BからAに所有権の復帰
    があったかのように扱うことができる。

 オ  取り消しによる復帰的変動というのは擬制であって、
  取り消しの効果である遡及効に適合しない。


 1 ア・イ・ウ   
 
 2 イ・ウ・エ   
 
 3 イ・ウ・オ

 4 ア・オ

 5 イ・エ

 
 《解説》

   この事例は、取り消し後の転売ですから、AとCは対抗関係に
  立つというのが、甲説です。
 
    しかし、近時の有力説(乙説)は、94条2項の類推適用説を
 採用します。

      売却  登記   転売
   A−−−−−−B−−−−−−C
      取り消し    94条2項
      121条    登記の外観を信頼した
     初めから無効   第三者保護

  AとBに通謀があったとは言えないため、虚偽表示が適用される
 事例とは言えませんが、「取消後に放置された実体関係に合わない
 登記の外観を信頼した第三者保護」という「権利外観法理」に従っ
 て、94条を類推適用をしようというのが、その主張の骨子です。

  以上のとおり、甲説が前者の対抗関係説ともいうべきものであり、
 後者が乙説の94条2項の類推適用説であることが明らかになりま
 した。

 

 アについて。

 AとCと先に登記した方が優先するというのは、
 「対抗問題」の甲説です。

 イについて

  94条2項の善意の第三者として保護されるには、登記
 を要しないというのが通説です。これは、乙説です。

 ウについて。

  94条2項には無過失は要求されていませんが、権利外観法理
 に従えば、無過失であることを要する、などの議論があります。
 これは、乙説です。

 エについて。

   このように、所有権の復帰(移転)があったと扱うことに
 を前提にした場合に初めて対抗問題とすることができる。
 甲説の立場です。

 オについて。

   取り消しの効果である遡及効(始めから無効)を前提にする
 のは、94条類推適用の乙説です。
 
 
 したっがて、乙説は、イ・ウ・オであり、正解は3です。

 

  ★ 参考文献

  民法 一 内田 貴著  東京大学出版会 発行 

 

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   近時の民法の問題は、難化傾向にありまた事例問題としての出題である
  ため複雑化しているので、本講座においても、過去問の各肢を素材に応用
 力を養成するようにこころがけた。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
       
 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
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