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★ オリジナル問題解答 《第28回》★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 行政法
【目次】 解説
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■ オリジナル問題 解説
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問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第114号掲載してある。
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http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
★ 参考図書
行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著
・有斐閣発行
[問題1]
● 各肢の検討
○ アについて
差止訴訟とは、行政庁が行政処分を行おうとしている場合に
おいて、行政庁がその行政処分をしてはならない旨を命ずるこ
ことを求める訴訟を言う(行訴法3条7号)。
したがって、本肢のように、運転者(事業者)に対して、
原子炉施設の運転の差止めを求めるのは、行政処分を差し止め
る訴訟ではなく、民事上の差止訴訟(民事訴訟)である。
本肢は、妥当でない。
※ 参考事項
1 行訴法は、本来、行政処分が行われたのちに事後的に提起
すべきもの(取消訴訟・行訴法3条2項)とされているが、
平成16年改正法によって、義務付け訴訟(行訴法3条6号)
とともに、事前の手段として法定されたものが差止訴訟であ
る。
2 差止訴訟の要件は、厳格なものであり、行訴法37条の4
にその規定がある。
3 本肢は、行政処分の許可があった後の事例であるが、周辺
住民が当該許可処分を事前に差止めることができるかという
問題がある。
平成16年改正法は、処分の取消し訴訟の原告適格の拡大
を図り、処分の相手方以外に原告適格を認めるための基準を
示した(行訴法9条2項)。
そして、この9条2項の規定は、差止訴訟にも準用されて
いる(行訴法37条の4第4項)。
したがって、処分の相手方ではない第三者(周辺住民)が、
許認可を差止める訴訟は可能であることになった。
《ここは、今日的問題として、重要なポイントである》
なお、平成16年改正法をポイントに、この原告適格を問
題にしたものが、過去問・平成22年度問題43の多岐選択
式である。
○ イについて
不作為違法確認訴訟とは、申請に対する相当の期間内に応答し
ない場合であるから(行訴法3条5号)、本肢では、これに該当
しない。申請者でない隣地の者は、不作為の違法確認訴訟を提起
することはできない。
本肢は妥当でない。
※ 参考事項
本肢事案については、平成16年改正法によって、非申請型義
務付け訴訟が認められたことにより、隣地に居住する者は、行政
庁に規制権限の行使を義務づける判決を求める訴訟を提起できる
ことになったことに注意!(行訴法3条6項1号)
具体的に言えば、その者は、建築基準法に違反した建築物に対
する是正命令を行政庁に義務付ける判決を求めることができるこ
とになる(ただし、当該是正命令が行政庁の権限に属することが、
建築基準法上明確であることを要する)。
○ ウについて
本肢事案は、申請型義務付け訴訟に該当する(行訴法3条6項2
号)。また、当該事案は、申請が拒否されたのであるから、行訴法
37条の3第1項2号に該当し、この場合の義務付け訴訟の手続は、
同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合しなければな
らない(行訴法37条の3第3項2号)。
本肢は妥当である。
※ 参考事項
1 本肢事案は、申請が拒否された場合であるが、申請に対し相
当期間内に応答がない場合には、申請型義務付け訴訟の提起を
する場合は、不作為違法確認訴訟を併合しなければならない
(行訴法37条の3第1項1号・同条の3第3項1号)。
2 非申請型義務付け訴訟(前記イの事案について、義務付け訴
訟を行うばあい)には、他の訴訟の併合の手続を要しないが、
要件が厳格であることに注意(行訴法37条の2)。
○ エについて
○ イ ※ 参考事項で述べたとおり、「平成16年改正法は、処
分の取消し訴訟の原告適格の拡大を図り、処分の相手方以外に原
告適格を認めるための基準を示した(行訴法9条2項)」。
以上の条文に照らして、本肢では、二つの論点を考察する必要が
ある。まず、近隣の飲食店営業者は処分の相手方以外に該当する。
しかし、次に、食品衛生法は、その名のとおり、食品の衛生を目的
にするものであって、既存業者の営業上の利益を目的とするもので
はない点を考慮すると、行訴法9条2項に照らし、原告は、法律上
の利益を有せず、原告適格を欠くという理由で、却下の判決を受け
ることになる。
本肢は、妥当である。
※ 参考事項
本肢は、過去問・平成18年問題44《記述式》に基づく出題で
ある。また、前述したように、この原告適格を問題にしたものとし
て、過去問・平成22年度問題43の多岐選択式がある。
当該論点については、今後とも、かたちを変えて、出題される可
能性がある。
○ オについて
仮の義務付けは、義務付け訴訟の提起があった場合において、申立
てができる(行訴法37の5第1項)。
本肢は妥当でない。
なお、仮の差止めもまた、差止め訴訟の提起があった場合に申立て
できるのは、同様である(同37条の5第2項)。
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以上妥当であるのは、ウとエであるから、正解は2である。
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[問題2]
● 出題の意図
本問は、過去問・平成20年問題44に類似する。
前記問題[1]○ ウ を参照すれば、明らかなように、過去問は、申
請型義務付け訴訟に該当し、申請が拒否されたのであるから、この場合の
義務付け訴訟の手続は、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も
併合しなければならない。
これに対し、本問は、同様に申請型義務付け訴訟に該当するが、この場
合は、申請に対し相当期間内に応答がなかったのであるから、義務付け訴
訟を提起をするには、不作為違法確認訴訟を併合しなければならない。
(以上、条文省略)
なお、誰を被告とするかについては、Y県知事の処分のに対しては、
Y県である(行訴法11条1項1号・38条)。
● 解答例
Y県を被告として、設置許可の義務付け訴訟に処分不作為違法確認訴
訟を併合して提起する。(42字)
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
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