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★ オリジナル問題解答 《第37回 》 ★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 民法・請負 /行政法・原告適格
【目次】 解説
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■ オリジナル問題 解説
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問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第123号掲載してある。
☆ メルマガ第123回はこちら
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http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
◆ 民法
【 問題 1 】
★ 参考書籍
民法2 勁草書房 ・ 民法二 内田貴著 東京大学出版会
● 各肢の検討
ア・イは、請負の目的物の所有権の帰属に関して、請負人帰属説に
立つ判例の見解の成否が問われているである。
◎ アについて
判例は、請負人帰属説に立ちながらも、注文者が材料を提供した
場合には、注文者に帰属するとする(大判昭7・5・9民集11−
824)。
この場合には、加工(246条1項ただし書き)の適用はない、
したがって、本肢は前段は正しいが、後段は誤りであり、全体と
して、誤りである。
☆ 過去問の検討
建物新築の請負契約に当たり、注文者が材料の全部を供給した
場合には、特約の有無にかかわらず、注文者に所有権が帰属する。
(1998年問31・肢1)
上記判例は「特約がない限り、原始的に注文者に所有権が帰属
する」としているので、「特約の有無にかかわらず」ではない。
×
◎ イについて
建築請負では、注文者の土地の上に請負人が材料を提供して建物
を建築するのが通常である。
この場合には、請負人が所有権を取得し、引渡によって注文者
に移転することになる(大判大正3年・12・26民録20−1
208)。
以上が、請負人帰属説の骨子である。
しかし、請負人の材料提供の場合でも、特約があれば、竣工と
同時に注文者の所有となるというのが、判例である(大判大正
5・12・3・・)。
したがって、本肢は正しい。
☆ 参考事項
請負人の材料提供の場合のおける、特約について、以下の判例
が注目される。
注文者が代金の全部または大部分を支払っている場合には、特
約の存在が推認され、特段の事情のない限り、建物所有権は完成と
同時原始的に注文者に帰属する(大判昭和18・7.20・・最判
昭和44・9・12判時572−25)。
以上の判例を基準に出題された2002年問29 肢5。
最高裁判例によれば、仕事完成までの間に注文者が請負代金の大部
分を支払っていた場合でも、請負人が材料全部を供給したときは、完
成した仕事の目的物である建物の所有権は請負人に帰属する。
本肢は、上記判例に照らし、×
学説の多数は、以下のとおり、注文者帰属説に立つ。
目的物の所有権に関しては、むしろ当事者の通常の意識を尊重して、
完成と同時または工事の進捗に応じて注文者に帰属すると考えるべき
である。
(以上、前掲書 内田 貴著 参照)
◎ ウについて
請負人の担保責任として、瑕疵修補請求権および損害賠償請求権が
ある。両者の関係は以下のとおりである。
瑕疵修補請求権→相当の期間を定めて修補できるのを原則とするが、
瑕疵が重要でなく、しかもその修補に過分の費用を要するときは、
損害賠償請求権があるだけである(634条1項)
損害賠償請求権→瑕疵の修補とともにまた修補に代えて、常に請求
できる(634条2項)。
(前掲書 民法 2)
当該瑕疵修補に代わる損害賠償請求権については、本肢のとおり
の判例がある(最判平9・2・14民集51−2−337)ので、
本肢は正しい。
☆ 関連する過去問について
請負契約の履行に当たり生じた瑕疵の修補に代わる注文者の
損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は相殺することができる。
(1998年問31・肢3)
前記判例は、両者は同時履行の関係にあり、相互に現実の履行
をなすべき特別の利益はないとして、相殺を認めた。(533条
・505条)
○
完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があった場合、注文者
は修補か、損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求すること
ができるが、両方同時に請求することはできない(2002年
問29・肢5)。
前記記述に照らし、注文者の選択によるのでもなく、両方同時
に請求できる。
×
◎ エについて
判例によれば、本事例において、「注文者が期日に報酬を提供
しないときでも、請負人は当然遅滞の責めに任ずべきものである。」
(大判大正13・6・6民集3−265)とする。
したがって、本肢は誤りである。
☆ 関連する過去問
請負人が約定期日までに仕事を完成できず、そのために目的物
の引渡しができない場合でも、報酬の提供がなければ、履行遅滞
とならない(1998年問31・肢5)。
前記判例によれば、履行遅滞になるので、×
◎ オについて
本肢は、ウで掲げた請負人の担保責任である瑕疵修補請求権・
損害賠償請求権と並ぶ契約の解除権に関する問題である。
契約請求権→瑕疵が重要なもので、これがため契約の目的を達する
ことができないときにだけ解除できる。ただし、修補の可能なときは
まずこれを請求すべきものと解さねばならない。のみならず、建物そ
の他の土地の工作物の請負においては、解除は許されないことに注意
すべきである(635条)。
(前掲書 民法2 )
本肢は、請負の目的物が建物であるから、注文者は解除できない。
したがって、誤りである。
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正しいのは、イとウであるから、正解は4である。
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◆ 行政法
【 問題 2 】
★ 参考書籍
行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著
・有斐閣発行
● 本肢は、メルマガ123号 余禄において、詳細に説明されてい
るので、そちらを参照されたいと思うが、以下に要点を記しておく。
(1)当該最高裁判所判決は、行政上の不服申立資格(以後行訴法
9条1項の原告適格に適用)について「当該処分について不服
申立をする[法律上の利益]がある者、すなわち、当該処分に
より自己の権利若しくは[法律上保護された利益]を侵害され
又は必然的に侵害されるおそれののある者をいう、と解すべき
である。」旨判示した。
したがって、アには[法律上の利益]が入り、イには[法律
上保護された利益]が入る。
(2)この[法律上保護された利益]説と対立するのが、[法的な
保護に値する利益]説であり、この説は、平成16年改正によ
り新た加えられた行訴法9条2項に取り入れられた。
したがって、ウには[法的な保護に値する利益]が入る。
(3)さきの最高裁判決によって確立した[法律上保護された利益]
説は、[法律上の利益]の有無を[法律]の規定からつまり
[法律]の解釈によって決定しようとする説である。
したがって、エには[法律]が入る。
なお、[法律上保護された利益]説に対立する「法的な保護に
値する利益」説は、「法律上の利益」の範囲を「法律」によって
判断するのではなく、利害の実態に着眼し理論によって決定しよ
うとすることにある点に注意する必要がある。
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以上の記述に従えば、1が正解である。
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
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