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             ★ オリジナル問題解答 《第54回 》★

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                      PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法
    
  【目次】   解説
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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    問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第153号掲載してある。
 
 
 ☆ メルマガ第153回はこちら
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   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 

  本問は、サイト第68回が基本となっているので、これを参照願い
  たい。
 
 ☆サイト68回はコチラです↓
  http://examination-support.livedoor.biz/archives/1342578.html
  

  ◆ 各肢の検討


  ○ 肢アについて

   本肢は、正しい。このとおり、覚えておくとよい。
   本肢は、本問のテーマの導入部門である。

      参照条文 行訴法44条


  ○ 肢イについて

   参照条文 執行停止=25条4項 
   仮の義務付け・仮の差止め=37条の5第1項・2項

    本案に理由がないとは、行政処分に、取消事由に当たる違法性が
      がないことである。

    本案に理由があるときは、行政処分に、取消事由に当たる違法
   性があることである。
    
    執行停止は処分の執行を停止するのに対して、仮の義務付け等は、
   義務付けを行うのであるから、厳格な要件を要する。
    したがって、仮の義務付け等は、本案に違法性があるとみえると
     きでなければ、することはできない。
       これに対して、執行停止は、本案について違法性がないとみえる
    ときには、することができない。

    「本案について理由がないとみえる」は、執行停止にあっては、
     消極要件であり、仮の義務付けおよび仮の差止にあっては積極要
   件である。(前掲書 読本348頁 353頁)

       本肢の記述は逆になっているので、誤っている。

   ○ 肢ウについて

   本肢は題意が掴みにくいが、生活保護の申請の拒否処分を例に説明
    する。

    当該拒否処分に対して、取消判決があれば、判決の拘束力に基づい
   て行政庁は、判決の趣旨に従って、生活保護の給付決定をしなければ
   ならない。(行訴法33条2項)。
 
     しかし、執行停止の決定には行訴法33条2項の準用がないので、
   裁判所が執行停止の決定をしても、行政庁は何らの措置をとることも
   義務づけられない。
   もし、取消判決前に行政庁を義務づけようとすると、「仮の義務付け」
  を申し立てることになる。
  すなわち、当該拒否処分については、取消訴訟と義務付け訴訟を
 併合提起し、仮の救済である「仮の義務付け」を用いることになる
  のである≪肢オ参照≫。
 
  (以上 前掲 読本 351頁 参照)

  以上の記述は、本肢に相応するので、本肢は正しい。


 ○ 肢エについて

 (1)執行停止について

     行訴法25条2項によれば、執行停止を申立てるには、本案訴訟
 である取消訴訟が適法に裁判所に提起されていることが必要である。
  
     取消訴訟の原告適格について、行訴法9条2項は、処分の相手方
 以外の第三者利害関係人にもその適格を認める

     たとえば、マンションの建設についての建築確認に対し、第三者で
 ある近隣の住民が取消訴訟を起こす場合である。この場合、その者
  が執行停止を求めることができる。

   (2)仮の義務付けについて

   行訴法3条6項1号に該当する「直接型不作為」に基づく「義務付
    けの訴え」の提起があった場合において、「仮の義務付け」ができる。
   
   さきのマンション建設についていえば、第三者が、改善命令を訴求
   し、「仮の義務付け」ができることになる(37条5第1項)。   
    
 (3)仮の差止め

   行訴法3条7号の「差止めの訴え」の提起があった場合において、
  「仮の差止め」ができる。第三者が違法建築の差止めの訴えを提起
  し、「仮の差止め」ができる(37条の5第2項)。

   いずれも、当該処分の相手方のほか、一定の第三者も申し立てるこ
    と ができるので、本肢は正しい。

 ○ オについて


 (1)仮の義務付けの積極的要件として、義務付け訴訟の提起を
    要する(行訴法37条の5第1項)。

     この点において、本肢は正しい。

 (2)仮の差止めいついても、同様に差止め訴訟の提起を要する
    (行訴法37条の5第2項)。

     この点も、本肢は正しい。
  
 (3)執行停止の形式的要件として、「処分の取消しの訴えの提起
   があること、すなわち本案訴訟である取り消し訴訟が適法に裁
   判所に提起されていることが必要である」(行訴法25条2項)
    
      (前掲 読本 348頁)

   なお、当該規定は、無効等確認訴訟にも準用されていること
  にも注意すべきである(行訴法38条3項)。
 
    本肢は、(3)の なお以下に反するので、正しくない。


   ☆ 付 言

    これら、すべては、本案という義務付け訴訟・差止え訴訟・
      ないしは取消訴訟・無効確認訴訟を前提とする仮の救済制度で
      あることをはっきり認識する必要がある。

 
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   以上、本問は、イとオが正しくないので、正解は5である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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           ★ オリジナル問題解答 《第38回 》 ★

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  【テーマ】 行政法
   
    
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 ▲ 行政法

  
    ★ 参考書籍 
  
     行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行

 
   ◆ 総論

    取消訴訟の要件である「訴えの客観的利益」とは、提起された
      取消訴訟について、裁判所が裁判をするに値する客観的な事情な
      いし実益のことをいう(行訴法9条の「法律上の利益」)。簡単
      に「訴えの利益」ということも多い。本問もその用法に従ってい
      る(読本302頁参照)

   ◆ 各肢の検討

   
    ○ アについて
      
     判例(最判平10・4・10民集52−3−677)によれ
        ば、本肢の場合には、不許可処分の取消しを求める訴えの利益
        は失われるとしている。

         出入国管理および難民認定法に基づく再入国の許可は、その
        者が有していた在留資格を出国後も存続させ、当該在留資格の
        ままで日本に再入国させる処分であって、日本に在留する外国
        人に対し、新たな在留許可を与えるものではない。したがって、
        再入国許可申請に対する不許可処分を受けた者が、再入国の許
        可をうけないまま日本を出国したときは、従来有していたその
        者の在留資格が消滅する結果となるので、かりに、当該不許可
        処分が取り消されても、その者に再入国を認める余地がなくな
        る。以上が、再入国の許可申請に対する不許可処分を受けた者
        が再入国の許可をうけないまま本邦から出国した場合には、前
        記不許可処分の取消しを求める訴えの利益が失われるとする判
        旨の理由である。

    
    以上の記述に照らし、本肢は妥当である。


    ○ イについて

     判例(最判昭48・3・6最高裁判所裁判集民事108号3
        87頁)によれば、違法建築物の除去命令の取消訴訟につき、
        現状回復が事実上不可能であることを理由に、訴えの利益は消
        滅するとしている。

     以上に判旨に反する本肢は妥当でない。

    ※ 参考事項

     以下の記述(読本305頁)に注意。

      最高裁の考え方「によると、訴えは却下される。除去命令が
          たとえ違法であっても、取消判決が出ることはない。」

     「裁判例では 現状回復が事実上不可能であることや行政庁
            には現状回復義務がないことなどが理由とされている。現状
            回復義務がなければ訴えの利益を否認できるのか、原状回復
            義務がないのみならず、現状回復の事実上の可能性がない場
            合にはじめて訴えの利益を否認できるのか、といった問題は
            今後の検討課題である。」


             ※ 註 本肢の判例では、現状回復が事実上不可能である
                   ことを理由に、訴えの利益は消滅するとしているが、
                   他の裁判例では、行政庁には現状回復義務がないこ
                   となどを理由としているものがある。

   

      ○ ウについて

    最判昭55・11・25民集34−6−781は、本肢のとおり
   判決をした。その理由は、この免許停止処分後1年以内に、道路交
   通違反を犯し、それに対する行政処分が行われる場合には、過去3
    年以内の免許停止処分の前歴が考慮され、普通よりも不利益な取扱
   を受ける仕組みが道路交通法にあるためである(読本306頁)。
    これは、9条1項カッコ書の適用により、「訴えの利益」の「延
   長」が認められたともいえる(前掲書参照)。

     本肢は妥当である。

  
   ○ エについて

    本肢は、例えば、近隣の者が、マンションの違法建築を理由に建
   築確認の取消しを求めるものであるから、処分の相手方以外の者に
   よって提起される第三者訴訟である(9条2項)。

    判例(最判昭55・10・26民集38−10−1619)は、
   建築確認は、それを受けなければ建築工事ができないという法的
   効果をもつものにすぎないから、当該工事の完了により訴えの利
   益は失われるとした。

    したがって、本肢は妥当でない。

   
   ※ 次の記述に注意せよ。

     建築基準法の仕組みの理解としては、是正命令は建築物が違法
    である場合に発することができるものであり、建築確認が取り消
    された場合に発されるものではないから、建築確認の取消しが是
    正命令を発することに直接につながらないことは確かである。最
    判所からすると、この仕組み故に、建築確認を取り消すことは違
    法建築物を除去する上では意味がない、ということになるのであ
    る。  中略   また、最高裁判決の理論からすると、是正命
    令を求めるためには義務付け訴訟によることになるが、この場合
    に用いられるべき非申請型の義務付け訴訟(3条6項1号・37
    条の2)は、訴訟要件が厳しく使いにくいものであることにも留
    意が必要であろう(読本304頁)。


   ○ オについて

    判例(最大判昭42・5・24民集21−5−1043=朝日訴
   訟上告審)によれば、次のように判示する。

    生活保護受給権は一身専属的で相続できないから、生活保護一
      部廃止処分取消請求の訴えの利益は原告の死亡によって消滅す
      る。
     

     本肢は、上記判決に反するので、妥当でない。

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    本問において、妥当であるのは、ア・ウであるから、1が正解であ
  る。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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