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★ オリジナル問題解答《第59回》★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 会社法(事業譲渡)
【目次】 解説
問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第158号掲載してある。
☆ メルマガ第158号はこちら
↓
http://archive.mag2.com/0000279296/index.html
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■ 解説
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◆ 参考文献
会社法 神田 秀樹著 弘文堂
◆本問については、メルマガ64号を参照されたい。
★【行政書士試験独学合格を助ける講座】第 64 号 ★
↓ ↓
http://archive.mag2.com/0000279296/20100604200000000.html
◆ 各肢の検討
○ アについて
会社法21条〜24条は、事業譲渡に関する取引法的側面について
規整を設けているが、組織法的側面[株式会社]については467条〜
470条に規整が置かれている(前掲書)。
会社法467条にいう株主総会の特別決議を要する(309条2項
11号)事業譲渡については、会社法上、定義がないのはその通りで
ある。
判例(最大判昭和40・9・22民集19−6−1600)は、旧
法において、営業の譲渡と呼ばれていたときに、商法245条1項1
号によって、株主総会の特別決議を要する営業譲渡 (会社法では、
467条1項1号に該当する)について、 商法25条(会社法では
21条に該当する)に定める「競業避止義務を負う結果を伴うものを
いう」としている。
≪つまり、会社法でいえば、会社法467条にいう事業譲渡は、
同法21条以下にいう事業譲渡と同一意義である≫
(以上、前掲書 参照)
会社法のもとでは、営業譲渡を事業譲渡と言い換えることができる
ので、本肢の記述は妥当である。
☆ 参考事項
競業避止義務を負う結果を伴うものとしての定めとしての以下の内容
の規定(21条)は、そのまま、平成21年度問題39・肢ウにおいて、
妥当な肢として、採用されている。
譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区
域内およびこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡
した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。
○ 肢イについて
会社法22条1項・同3項により妥当。
譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、譲受会社
が債務を弁済することになるが、この場合、譲渡会社も責任がある。
→原則 しかし、譲渡会社は、一定期間後には責任を消滅。
☆ 参考事項
譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合には、23条
参照。
1項の広告をしなければ、譲受会社は債務を弁済する責任なし。
2項 広告をした場合における、譲渡会社の一定期間後の責任消滅。
○ 肢ウについて
会社法22条4項により妥当でない。
債権者が善意でありかつ重大な過失がないときは、弁済の効力を生
じる。
○ 肢エについて
会社法467条1項1号・2号により妥当である。
なお、467条1項2号( )内により、事業の重要な一部の譲渡に
ついて、譲渡する資産の帳簿価格が譲渡会社の総資産の五分の一を超え
ないときは、株主総会の承認は不要であることに注意せよ。
☆ 参考事項
取締役会設置会社では、重要な財産の処分には取締役会決議が必要で
ある(362条4項1号)。
○ 肢オについて
会社法467条1項3号により、事業の重要な一部の譲受けの場合には、
株主総会の承認は不要であるので、妥当でない。
☆ 参考事項
取締役会設置会社では、重要な財産の譲受けには取締役会決議が必要で
ある(362条4項1号)。
会社法467条1項3号により、他の会社の事業の全部の譲受けの場合
には、株主総会の承認を要するが、この場合でも、譲受会社が支払または
交付する譲受けの対価の額(簿価)が譲受会社の純資産額の20%以下[
定款で厳格化可]の場合は、株主総会の承認は不要である(468条2項)
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以上により、ウとオが妥当でないので、5が正解である。
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
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