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             ★ オリジナル問題解答 《第23回》 ★

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  会社法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第109号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第109回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
   
  ★ 参考図書
 
     会社法 神田秀樹 著 ・ 弘文堂
 
  リーガルマインド
  会社法 弥永真生 著 ・ 有斐閣

 
 ◆ はじめに

  本問は、メルマガ第109号の解説欄を読んでいれば、正解が
 得られるように意図されているが、ここでは、重複を回避せず、
 要点を再説することにしたい。


  ◆  各肢の検討

  
 ○ アについて

   無限責任社員は、労務出資や信用出資の方法が認められている。
  無限責任社員のみからなる合名会社の社員(576条2項)、一
  部が無限責任社員からなる合資会社の社員(576条3項)は、  
   労務出資や信用出資の方法が認められているが、有限社員のみか
  らなる合同会社の社員(576条4項)には、このような出資方
  法は認められない。

   したがって、その点について、本肢は妥当でない。

   ただし、株式会社の株主は、労務出資等は認められないので、
  その点については、本肢は妥当である。

   その根拠を再説すると、以下のとおりである。

      持分会社の社員にあたる株主は、「株式についての払込みまた
    は給付という形で会社に出資する義務を負うだけで(労務や信用
    の出資は許されないと解されているが、明文の規定はない)、会
    社債権者に対して何ら責任を負わない有限責任)(104)。」
   (前掲神田)。

  ○ イについて

      持分会社では、定款の変更には原則として、総社員の同意が必要
   ある。(会社法637条)。ただし、持分会社では、定款の変更は、
     定款で定めれば多数決にしてもよいとされている(神田・会社法)。
   
       これに対して、株式会社では、定款の変更には、原則として、株
   主総会の特別決議が必要とされる(会社法466条・同法309条
     2項11号)が、例外として、取締役会決議等でできる場合がある
   (会社法184条2項・同法195条2項等)。
    
    したがって、本肢は、後段が妥当でない。


   参考事項

   ※ 株式会社に関して例外事項を定めた184条2項に言及すると、
      以下のとおりである(神田・会社法)。
    
    株式の分割の場合には、株主総会決議によらないで、分割に応
   じて授権株式数を比例的増加させる定款変更をすることができる
   (184条2項)。たとえば授権株式数5万株、発行済株式総数
   2万株の会社が1株を2株に分割する場合、取締役会決議で、分
   割後の授権株式数を10万株とすることができる。1株を3株に
   分割する場合には、これを15万株とすることができる。

   ※ 本肢は細かいと言われるかもしれないが、本試験でも、細部
    にわたって出題されているので、注意されたい。

 ○ ウについて

   持分会社においては、社員は入社前に生じた会社の債務について
  も責任を負うが(605条)、株主おいては、そのようなことはな
  い。

   本肢は妥当である。

 
 ○ エについて

    
   持分会社においては、各社員が業務執行の権利を有し義務を負う
    のが原則である。(会社法590条1項)。また、業務執行社員は
  原則として代表権を有する(会社法599条1項)。

   会社法331条2項本文によれば、公開会社である株式会社は、
  取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができな
  いとされているが、公開会社である株式会社でも、株主総会の決
  議(会社法329条1項)によって、「株主を取締役に選任する
  ことはもちろん認められ、実際にもそのような場合が多い。」
  (神田・会社法)

   したがって、会社法上の公開会社において、株主が当該会社の
  取締役として、業務を執行し、当該会社を代表することは当然認
  められている。

   本肢は、後段が妥当でない。
 

 ○ オについて

   持分会社の社員が退社すると、原則として持分の払戻しを受け
  ることになるので(611条)、本肢前段は妥当である。
   これに対し、株式会社に退社の制度はないため、株式を譲渡す
  ることにより投下資本の回収をすることになるが、それ以外にも
  解散の場合には、残余財産があれば、株主に原則として持株数に
  比例して分配される(504条〜506条)。
   さらに、株主は、剰余金の配当を受けることもできる(453
  条以下)。したがって、株式会社の株主は、株式を譲渡する以外
  にも投下資本を回収する方法がある。

   したがって、本肢は後段が妥当でない。
  
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  以上のとおり、本問は、ウのみが妥当であるので、1が正解である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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