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            ★ オリジナル問題解答 《第46回 》★

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                      PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法

    
  【目次】   解説
              
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第142号掲載してある。
 
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 [問題1]


  ● 行政上の「強制執行」とは、、 「行政処分」 によって課され
  た義務を義務者が履行しない場合に課されるものである。

   したっがて、(ア)には、強制執行が入り、(イ)には、
  行政処分が入る。

   ちなみに、(ア)群にある「行政強制」とは、強制執行制度
  間接的強制制度 即時強制 全部を総称するものであることに
  注意!!

   また、(イ)群にある「行政立法」は、行政処分と同様、権力
    的行為であり、法行為でって同類である。
    しかし、行政立法は、「不特定多数のひとびとを対象とした
  一般的・抽象的なものであって、特定の私人を対象とした個別的・
  具体的なものものでは」ない(入門141頁)から、強制執行と
  結びつかないことに注意!!
  
   次に、即時強制については、以下の記述を参照されたい。

      直接強制に類似する実力行使として、「即時強制」がある。
  これは、法令や行政行為等によってひとまず私人に義務を課し、
  その自発的な履行を待つのでなく、いきなり行政主体の実力が
  行われるのを特徴とする。「義務の履行強制を目的とするもの
  でないことを特徴とする。」(入門183頁)

      したがって、(ウ)には、直接強制ではなく「即時強制」が入る。
   
   また、後述するように、「行政調査」と「即時強制」を分かつの
  は「強制」であるから、(エ)には「強制」が入る。

  
  -------------------------------------------------------------  

    以上によれば、4が正解である。

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 [問題2] 


 ●  要点
   
  行政法学で特に「行政調査」というばあいには、行政機関の行う調査
  のすべてをいうのではなく、そのなかでも以下のようなものを指すとさ
  れる。
  
  「行政機関が私人に対して質問や検査をしようとするばあいで、私人
   がこれに自発的に応じないばあいには、なんらかのかたちでの公権
   力の行使がおこなわれる可能性があるもの」

  これらの「行政調査」のうち、なんらかの調査の目的でおこなわれる
  行為であっても、直接に身体や財産に手をかけるようなケースは、「即
 時強制」の方に入る。

   (以上 入門185頁)

 
 ●  各肢の検討
  
 
 ○ アについて
 
   妥当である。

  「行政上の即時強制については(行政上の代執行とは異なり)一般法は
   存在せず、従ってまた、ここで説明すべき一般的仕組みも存在しない。
  
   行政機関が行政上の即時強制を行うについては、法律の授権が必要
 である。そして、行政機関としては、法律の授権が存在すれば、授権
  を行う法律の定めるところに従って即時強制を行えば足りる

 (読本 143頁)

 ○ イについて
 
  さきに述べた要点によれば、相手方の任意の協力を求めて行われる自動車
 検問は、「即時強制」に該当しないであろう。

  妥当でない。

 
  ○   ウについて

   妥当でない。

   実際上、即時強制に際して、司法機関の令状ないし許可状をとることが
 必要であることとされている例は個別法にある(出入国管理及び難民認定
 法31条・警察官職務執行法3条3項)。

  「ただ、こういうことを一般的に定めている法律はないので、そこで、
  こういうような規定がないばあいについても(憲法の規定からして≪※
  注1≫)裁判所がまったくかかわることなしのこなわれた即時強制・行
  政調査≪※注2≫は違法となるのではないか、という問題があるわけで
  す」(入門 187頁)

   ※ 注 1 憲法35条

  ※  注 2 [問題3] 肢ウ 参照

 

 ○ エについて 

  本肢のような継続的な性質を有する即時強制は、行政上の不服申立て
 の対象となる(行審法2条1項に明記)。取消訴訟も提起できるだろう
 (読本143頁)。

  妥当でない。

 ○ オについて

  義務の賦課なくいきなり強制が加えられるのが、即時強制の特徴である
 から、本肢は、即時強制に該当する。

  
  妥当である。

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     アとオが妥当であるので、2が正解である。

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 [問題3]


 ● 本問は、[問題2]とは異なった観点に立脚していることに注意せよ。

  [問題2]では、行政調査のうち強制行為については、「即時強制」に
  該当するとした。
  
    これに対して、本問では、「行政調査」全体について、強制行為
 (権力的)に該当するものとそうでない(非権力的)ものが存在する
   ことを認めたうえで、それぞれの規制を考察しようとするものである。
  
  むしろ、現在では、この手法が普通であろうと思われる。

 ● 各肢の検討

 
 ○ 肢アについて

  前記の観点に立てば、行政調査は、いずれの場合にも行われる。

  妥当でない。


 ○ 肢イについて

  これは、ズバリ、行手法3条1項14号の適用除外の問題である。

 「・・資料提出や出頭を命じる調査は、行政処分の形式で行われ
 るものであり、一種の不利益処分として行政手続法を適用するこ
 とも可能であるが、行政手続法は、『情報の収集を直接の目的し
 てされる処分・・』を適用除外している(行手法3条1項14号)。」
 (読本191頁)。

 妥当でない。


 ○ 肢ウについて

   ここでの論点は、以下のとおりである(読本190頁以下参照)


    行政手続においても、個別法において、憲法35条2項の令状
   主義が採用されている場合がある。

   「そこで問題になるのは、令状主義について法律に規定がない場
     合に、憲法35条2項の令状主義の適用があるかということで
     ある。」
    本来この規定は、刑事責任を追及する刑事上の手続に適用され
   るものだからである。

    最高裁判所大法廷は、1972(昭和47)年11月22日判決
 =川崎民商事件において、本肢のように述べて、「強制の性格の調
 査について憲法35条2項の令状主義の要請の及ぶ余地を認めた・・」

  妥当である。

  なお、当該判決は、よく引用される重要なものである。
   

  ○ 肢エについて。 

   これは、最高裁判所昭和55年9月22日決定からの出題である。

   当該判決によると、自動車の一斉検問は、警察法2条1項が「交通
 の取締」を警察の職務としていることを根拠にしているが、「任意」
 であって、強制力を伴わなければ、「一般的に許容されるべき」とし
 ている。

  この一斉検問は、犯罪にかかわる職務質問に付随する所持品検査に
 対して、犯罪とは関係なく無差別に行われる検問であるあるから、か
 りに任意であっても、この自動車検問自体が「法律の留保の原則」(注)
 に違反して違法ではないかという問題がある。

  注 「行政の行為のうち一定の範囲のものについては、行為の着手
     自体が行政の自由ではなく、その着手について法律の承認が必
     要であると考えられている。この一定の行為について法律の承
     認(つまり授権)が必要である、という原則を『法律の留保の
     原則』と呼ぶ。」

    これについては、前述したとおり、最高裁判所は、警察法の規定
  する「交通の取締」を根拠にしているが、学者はそれにはかなり無
  理があるとして「『法律の留保の原則』の見地からは、一斉検問を
  正面から授権する規定を法律(道路交通法になろう)の中に設ける
  ことがあるべき解決策といえる。」としている。

   (以上、読本58頁を参照した)

    以上の記述に従えば、本肢の見解は、最高裁判所の判決に反する
  ものといえる。

  妥当でない。


 ○ 肢オについて

  本問肢ウの川崎民商事件では、「所得税法の質問検査権については、
 それが『直接物理的な強制を認めるものでなく、検査を拒んだものに
 対する罰則による間接的強制をおこなうものであることにすぎないこ
 と』」(入門187頁)を理由に、令状主義による強制調査の適用外
 とした。
 
  したがって、肢オの罰則を伴う間接的強制を最高裁判所は、容認して
 いる。

  肢オは誤りである。


  換言すると、この場合、裁判所の令状がなくても違憲・違法とはいえ
 ないのは、直接物理的な強制ではなく、罰則による間接的強制をおこな
 うものだからである、というものである。

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   本問においては、ア・イ・エ・オが妥当でないので、4が正解である。
  

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   ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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             ★ オリジナル問題解答 《第44回》 ★

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 ★ 参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 
 /有斐閣 発行


 
 ●  アについて

   行政上の強制執行としては、まず、行政代執行がある。これは、
 行政代執行法に規定がある。義務者がその義務を自発的に履行し
 ないならば、 行政庁が代わってその行為をやってしまって(また
 は第三者にこれをやらせてしまって)その代わり、そのためにか
 かった費用を、あとで義務者から取り立てようという制度である。
(入門)

 同法1条によれば、この方法が、行政上の強制執行の原則である。
 
 2条では、限定がなされていて、「他人が代わってなすことので
 きる行為」(代替的作為義務)に限られる。

   したがって、代執行は代替的作為義務に限られるので、作為義
 務があれば、いかなる場合でも代執行できるのではない。
 

   その他の義務の履行確保は、別に法律で定めるというのは正しい
(同法1条)。 

  全体として、誤りである。


 ● イについて


    その、別に法律で定めるもの(代執行法1条の原則以外)として
  の、行政上の強制執行に該当するのが、行政上の直接強制である。
    これは、結核患者が入所を拒んだら、強制的に療養所に送りこむ
  ようなことである。ただし、法律にこれを許す規定がないので、以上
  のことはできないことに注意。現在の法律で直接強制が認められてい
  るのは、ごくわずかである。

    本肢は、行政上の強制執行の一つの行政上の「直接強制」の説明で
  ある。誤りである。

 
 ● ウについて

     直接強制に類似する実力行使として、「即時強制」がある。
   これは、法令や行政行為等によってひとまず私人に義務を課し、
   その自発的な履行を待つのでなく、いきなり行政主体の実力が行わ
   れる(入門) のを特徴とする。したがって、「義務の履行強制を
   目的とするものでないことを特徴とする」 

     本肢は、直接強制に類似する「即時強制」の説明であり、誤りで
   ある。


 ● エについて

    間接強制制度として、行政罰を課するものがある。これは、刑法上
 の刑事罰を課する「行政刑罰」と過料を課する「秩序罰」に分かれる。

   本肢は、「秩序罰」の説明である。正しい。

 
 ● オについて

  行政罰は、エでみたように、間接的手段により、強制執行をしたの
  と同じような効果をもたらすものであり、行政法によって課せられた
  義務に対して制裁として行われる処罰である。
    これに対し、執行罰は、行政罰が間接強制制度であるのと異なり 直
  接強制と並ぶ行政上の強制執行の一つである。この執行罰というのは、
 義務を履行しない義務者に対して心理的強制を 加えるために、金銭的
  な罰を科するという方法である(戦前は、この方法も一般的 に認めら
  れていたが、戦後は砂防法という法律で残っているだけ である)。
 《入門》

  本肢は以上の要約であって、正しい。

 ----------------------------------------------------------------

    以上、本問は、エとオが正しいので、正解は2である。
 
 ----------------------------------------------------------------

 

  以上ア〜オで述べたところをざっと要約すると、以下のとおりである。
 (以下入門参照)
 

   以下を総称して「行政強制」という。


 ○ 強制執行制度

 
 原則 →  「行政代執行」
   
 別の法律の定め →「直接強制」・「執行罰」

         →「滞納処分」(金銭の強制徴収手続・ア〜オには
           登場しないが、平成21年度問題10肢4で
           姿を表す※)

 ○ 間接的強制制度                    
 
(法律違反の行為に対する制裁を目的として行われる処罰である。
  強制執行ではないが、その威嚇的効果からすれば、行政上の
  義務の間接的な強制手段の一種)
  
  
  行政罰→ 「行政刑罰」・ 刑法上の「死刑」「懲役」「禁錮」
               「罰金」「拘留」「科料」のうち
               どれかが行われる場合。
       
       「秩序罰」 ・ 過料(刑法上の刑罰ではない) 

 

  ※ 強制徴収手続は、租税債務の不履行のみならず、法律の定め
   がある場合には、その他の金銭債権の徴収についても実施され
   る。
              ↓

    本肢は、正しい肢である。
    

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
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