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             ★ オリジナル問題解答 《第62回》★

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               PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 会社法

  【目次】   解説
                 
   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第162号掲載してある。
   
  ☆ メルマガ第162号はこちら
             ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.html
 

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 ■  解説
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 ★ 参照書籍

  
  会社法 神田秀樹 著 ・ 弘文堂
 
 
 【問題1】  株主名簿

 
  ◆  各肢の検討

   
   ○ ア・イについて

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  株式の譲渡

  1 株券発行会社

  (1) 株券の引き渡しは、権利移転の要件であり、第三者に対する
         対抗要件である(128条1項本文・130条2項)。

     (2) 株主名簿の名簿書換えが会社に対する対抗要件である(130
         条1項・2項)。

  2 株券不発行会社

    権利移転の要件は、意思表示であるが、会社その他の第三者に対す
     る 対抗要件は、株主名簿の名簿書換えである(130条1項)。

       
    注 130条の条文の仕組み

     会社は原則として株券を発行しないものとし、株券の発行を
        定款で定めた場合に限って株券を発行することにしたため
   (214条1項)、130条1項は、株券不発行会社に適用さ
       れる。権利移転の要件が意思表示であるというのは、私法の一般
    原則に従う( 2 参照)。


     130条2項は、株券発行会社に適用される。
     会社に対する対抗要件が、株主名簿の書換えであることを規定
    したものであるが、その前提として、株券の引き渡しが(権利
        移転要件であると同時に)第三者対抗要件であることを読み取る
    必要がある
        ( 1 (1)(2) 参照)

     しかし、いずれにせよ、まどろっこしい規定の仕方である。
   -------------------------------------------------------------------
   
     
          以上の記述からすると、株券発行会社についての ア の肢は
       妥当である。
         
     しかし、株券不発行会社に関する イ の肢については、第三者
    に対する対抗要件は、株主名簿の名簿書換えであるので、妥当でない。

   ○ ウについて

  
     基準日とは

  議決権行使等の権利を有する株主は、その時点における株主名簿上の
  株主である。しかし、株主が多数いる会社では誰がその時点における名
  簿上の株主か把握することが容易でないので、会社法は、一時点におけ
  る株主に権利行使を認めるために基準日を設けることを認めている
  (124条1項)。
   なお、基準日後に新たに株主となった者について、会社のほうの判断
  で、総会の議決などを認めることはさしつかえない(124条4項)。
 
 

  したがって、なお書きの記述に反するするウは妥当でない。
 

  ★ 過去問との比較

   平成21年度過去問38肢イについて

    基準日以前に株式を取得した者で、株主名簿に株主として記載
   または記録されていない者について、会社は、その者を株主とし
   て扱い、権利の行使を容認することができる。

    これは、本肢と異なり、基準日以前に株式を取得した者が対象に
   なっているが、妥当である。

    基準日以前であっても、会社が自己のリスクで、当該株主を株主
     として取り扱うことができるのであろう。これは、本問の オ と
     も照応する。

  ○ エ・オについて

    原則

    (株主名簿の)名義書換えがなされると、以後、株式譲受人は
       会社に対して株主であることを主張することができ、会社もその
       者を株主として取り扱う義務がある(ただし、無権利者が名義書
       換えを受けたときは、会社はその者を株主として取り扱う義務は
       ない)。


    例外に関する判例
 
     エについて

      例外的に名義書換未了の者が会社に対して自己が株主であることを
       主張できる場合には、過失の場合を含むとするのが、判例である
    (最判昭和41・7・28民集20−6−1251)。

         本肢は、前段は妥当であるが、後段が妥当でないので、全体として
       妥当でない。

       
      オについて

     判例は、会社のこの例外的な取り扱いを認める(最判昭和30・
    10・20民集9−11―1657.)

       したがって、本肢は妥当である。

   
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

     以上のとおり、妥当であるのは、ア・オであるから、正解は
    2である。
   
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     
 
  
 【問題2】 取締役の選任および解任 

   
   
  ◆  各肢の検討

   
  ○ アについて

    会社法854条が規定する役員の解任の訴は、本肢の通りである。
    妥当である。

  参考事項

 (1) 当該解任の訴えは、株主総会で多数が得られず解任決議が成立
       しなかったときに、少数株主にその修正を求める制度であること
    に注意!。
    この点、平成21年度問題40・肢5では、「株主は直ちに」
    取締役の解任の訴えを提起できるとしているとしているのは、正
       しくない。
       
   (2) 役員=取締役のほか、会計参与及び監査役(329条1項)。

   (3) 少数株主に株主総会の招集権あることに注意!(297条)

     通常、少数株主は、総会の招集を求め、総会で解任決議が成功
       しなかったときに、解任の訴えを提起する。
   
  
  ○ イについて

      前段は、会社法339条1項により妥当である。しかし、同条2
    項により、会社が取締役を正当な理由なく解任した場合には、会社
    は損害賠償しなければならない。

   したがって、後段は妥当でない。

  ○ ウについて

   定款で、取締役の資格を株主に限定することは許されないが、
  公開会社以外の会社は別である(331条2項)。

    妥当である。

  関連事項

 (1)公開会社の定義は、2条5号にある。要するに、全部株式譲渡
    制限会社以外の会社である。

  (2)公開会社においても、株主を取締役に選任することはもちろん
       認められ、実際にもそのような場合が多い。


   ○ エについて

       取締役の欠員の場合の処置として、前段は、妥当である(346条
     1項)。しかし、その間退任の登記はできない(最判昭和43・12
   ・24民集22−13−3334)。

   本肢は妥当でない。

  
  ○ オについて

   会社法331条4項により、妥当である。

   なお、定款で最低数を高め、最高数を定めることもできる。

      次に、非取締役会設置会社では、取締役は1人でもよい(326条
  1項参照)。

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   
    以上妥当でないのは、イとエであるから、正解は3である。

     −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−    

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
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       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

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             ★ オリジナル問題解答 《第34回》 ★

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  【テーマ】  会社法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第120号掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第120回はこちら
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   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
   
 ★ 参考書籍 
  
  会社法(第十四版) 神田秀樹 著 ・ 弘文堂
 
  リーガルマインド
  会社法(第9版) 弥永真生 著 ・ 有斐閣


 ● 序 説

   メルマガ120号・● 株式における新株予約権に関するQ&Aに
 おいて、募集株式と対比しながら説明が行われている。これを読めば、
 ア・ウ・オは、正解に達する。イとエについては、Q&Aでは、直接
 触れていない。


 ● 各肢の検討

 
   ○ アについて
   
  募集株式の引受人については、本肢のとおりである(208条1
 項・2項)。なお、募集引受人が、出資の履行をしないときは、法
 津上当然失権する(株主となる権利を失う)ことも、208条3項
 に規定がある。
  新株予約予約権についても、本肢のとおりである。割当日に新株
 予約権を取得した新株予約権者は、払込期日または行使期間の前日
 までに払込みをしなければ、新株予約権を行使することができなく
 なる(246条3項)。なお、この場合に当該新株予約権は、消滅
 する(287条)。
 
  
  ※ 参考事項

    募集株式の場合場合には、払込期日を定めることのほか、払
   込期間を定めることが可能であるが(199条1項4号)、新
   株予約権の場合は、払込期日を定めないことも可能である(2
   381項5号)。しかし、新株予約権の行使期間は定めなけれ
   ばならない(236条1項4号)。

   本肢は正しい。 


  ○ イについて

    募集株式にあっては、新株発行の際に資本金額に相当する財産が
 会社に現実に拠出されなければならないとする資本充実の原則に従
 い株主からの相殺の禁止が規定されたのである(208条3項)。
 《前掲書 リーガルマインド22頁)。これに対して、新株予約権
 の払込金額では、相殺は禁じられていない(246条3項)。
  445条1項によれば、募集株式の発行に際して、出資される財
 産の額が資本金に計上されるが、新株予約権の払込金額は、資本金
 に計上されないのである(肢オ参照)。

  本肢は正しい。


 ○ ウについて

    通常の新株発行も新株予約権の有利発行も、公開会社・非公開会
 社を問わず、募集事項の決定は、株主総会の特別決議を要する。

  以上の点については、

  メルマガ120号・● 株式における新株予約権に関するQ&A
 3において、説明したが、その概略を再説すると、以下のとおりで
 ある。

  募集株式の発行について。

      株主割当て以外の方法で新株を「特に有利な払込金額」で発行
    する場合は、既存株主保護ののため、株主総会の特別決議が必要
    になる。
   非公開会社一般においては、募集事項の決定は、株主総会の特
  別決議を要する(199条2項・309条2項5号)。
   したがって、この場合には、有利発行を含めて、株主総会の特
  別決議を要する。
   公開会社においては、有利発行を除く募集事項の決定は、取締
  役会の決定となる(201条1項・199条3項=有利発行)。
   ということは、公開会社についても、有利発行に関する募集事
  項の決定については、常に株主総会の特別決議によることになる。

   以上の流れを公開会社に照らして、眺めてみるとと、公開会社
  では、取締役会で払込金額を定めることになるが(199条1項
  2号・199条2項・201条1項)、その額が募集株式を引き
  受ける者に「特に有利な」金額である場合には、募集事項の決定
  は、株主総会の特別決議が必要になる(201条1項・199条
  3項)。 
 
  
  新株予約権の発行について。 

      非公開会社一般について、みてみると、「有利発行」を含む募
  集事項の決定は、株主総会の特別決議を要する(238条2項・
  309条2項6号)。
   以上が原則であるが、公開会社においては、有利発行を除く募
  集事項の決定は、取締役会の決定となる。
   ということは、公開会社についても、有利発行に関する募集事項
  の決定については、常に株主総会の特別決議によることになる。

   
  以上の記述によれば、本肢の前段は正しい。しかし、後段におい
 ても、募集事項の決定は、株主総会の特別決議によることになる。

  本肢は、誤っている。

 
 ○ エについて

  208条2項によれば、株式引受人は、出資の履行において、現
 物出資財産を給付する者は、募集株式の払込金額に相当する現物出
 資財産を給付しなければならない旨規定しているので、前段は正し
 い。これに対して、新株予約権の払込みについては、金銭以外(現
 物)を対価として給付するような形での新株予約権の発行は、条文
 上一般的な規定はないが(246条1項)、「禁止する趣旨ではな
 い」(前掲書 神田 151頁)。また。246条2項ではは、払
 込金額に相当する金銭以外の財産を給付し得る旨規定している。し
 たがって、後段の記述は誤りである。

  本肢は誤っている。
  

 ○ オについて

    445条1項によれば、株式会社の資本金の額は、募集株式では、
 株主となる者が出資した財産の額である。新株予約権にあっては、
 新株予約権者が、新株予約権を行使するすることにより株主となる
 に際し、出資した全額が、資本金として計上されることになる。
  条文としては、281条・236条1項2号。282条がこれに
 該当する。
   
  以上の記述に従えば、本肢は正しい。

 
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   以上、誤っているのは、ウとエであるから、誤っているものの組合せ
 として正しいのは、4である。 
       
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  ● 付 言

  Q&Aによって、予備知識を得たために、アが○、ウが×、オが○と
 分かったとして、イとエが不明だとしたら、どうなるだろう。
  ×であるウの相棒探しになる。本問では、3と4に絞られる。イとエ
 が依然として、不明なら、確率は5分と5分だ!ただし、会社法の基本
 原則である資本充実の原則に従って、どうもイが○らしいと気づけば、
 ウの相棒は、エだろうとして、4で、正解になるだろう。
  あるいは、現物出資は、募集株式にも、新株予約権にも認められるだ
 ろうと思いつけば、エは×で、ウの相棒に相応しいことになり、やはり
 4で、正解だ。
  あるいは、その両方に気がつけば、イは○、エは×だと分かるという
 ことだから、迷わず4で、パーフェクトだ。
        

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
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