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             ★ 【過去問解説第103回 】 ★

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                     PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 民法=不法行為

  【目 次】 過去問・解説
    
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 ■ 平成24年度・問題34
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   不法行為に基づく損害賠償に関する次のア〜オの記述のうち、民法
 の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

 ア Aの運転する自動車がAの前方不注意によりBの運転する自動車
    と衝突して、Bの自動車の助手席に乗っていたBの妻Cを負傷させ
    損害を生じさせた。CがAに対して損害賠償請求をする場合には、
    原則としてBの過失も考慮される。

 イ Aの運転する自動車と、Bの運転する自動車が、それぞれの運転
    ミスにより衝突し、歩行中のCを巻き込んで負傷させ損害を生じさ
    せた。CがBに対して損害賠償債務の一部を免除しても、原則とし
    てAの損害賠償債務に影響はない。

 ウ A社の従業員Bが、A社所有の配達用トラックを運転中、運転操
    作を誤って歩行中のCをはねて負傷させ損害を生じさせた。A社が
    Cに対して損害の全額を賠償した場合、A社は、Bに対し、事情の
    いかんにかかわらずCに賠償した全額を求償することができる。

 エ Aの運転する自動車が、見通しが悪く遮断機のない踏切を通過中
    にB鉄道会社の運行する列車と接触し、Aが負傷して損害が生じた。
    この場合、線路は土地工作物にはあたらないから、AがB鉄道会社
    に対して土地工作物責任に基づく損害賠償を請求することはできな
  い。

 オ Aの運転する自動車がAの前方不注意によりBの運転する自動車に
    追突してBを負傷させ損害を生じさせた。BのAに対する損害賠償
    請求権は、Bの負傷の程度にかかわりなく、また、症状について現
    実に認識できなくても、事故により直ちに発生し、3年で消減時効
    にかかる。


 1 ア・イ

 2 ア・エ

 3 イ・オ

 4 ウ・エ

  5  ウ・オ


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 ■  解説 
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 ●  本問のポイント 1

  次の2点に関して、正確な知識があれば、ただちに正解に達する。

 (1)不法行為における 過失相殺においては、「被害者側の過失」
      は考慮される。

   (2) 共同不法行為者の責任としての連帯債務は、不真正連帯債務
   であって、共同不法行為者の1人に対する免除は、他の共同不
   法行為者にその効力が及ばない。

   肢アの記述は、(1)に照らし、妥当であり、肢イの記述は、
  (2)に照らし、妥当であるので、妥当なものの組合せは、ア・
  イとなり、1が正解である。

 ● その他の肢に関するポイント

 (1) 肢ウについて

   使用者責任において、被用者への求償については、限度が認め
  られるので、本肢は×である。

 
   (2) 肢エについて

   線路は土地の工作物にあたるので、その設置に瑕疵がある場合
  には、鉄道会社は、土地の工作物責任をおうので、本肢×である。

   (3) 肢オについて

   不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、被害者が損害等
  を確実かつ現実に知った時から進行するというのが判例であるか
  ら、本肢は×である。

 ● 各肢の検討

  
 ○ 肢アについて

 (1) 条文

   722条2項によると、被害者に過失があるときは、裁判所は
  損害賠償の額を定めるのにこれを考慮することができる。
   
   本肢では、Bの自動車の助手席に乗っていたBの妻Cである被
  害者に過失はなくても、運転者であるBに過失があった場合にお
  いて、Bの過失を考慮できるかが論点になる。

 (2)判例

   a 722条2項にいわゆる過失とは単に被害者本人の過失だ
    けでなく、広く被害者側の過失をも包含する趣旨と解するの
    が相当である(最判昭36・1・24民集15ー1−35)。

   b 園児を引率していた保育園の保母は被害者と身分上ないし
    生活関係上一体をなす関係にはないとしてその者の過失を否
    定した(最判昭42・6・27民集21−6−1507)。

    以上の判例によれば、本肢では、夫であるBの過失について
   は、Bの妻であるCがAに対して損害賠償をする場合において
   考慮されることになるので、本肢は妥当である。

  (3)法常識

   加害者の立場からすれば、夫である運転者の過失を考慮されな
  いことは、不公平であると考えれば、かりに「被害者側」の過失
  の判例理論を知らなくても、本肢では、正解に達する。
   なお、さきの園児の例では、肉親の立場にたてば、保母の過失
  が考慮されることは、耐えがたいことになるであろう。

 
  ※ 過失相殺に関連する事項

   (ア) 事理弁識能力

     被害者が未成年者であっても、たとえば赤信号のとき通っ
    てはいけないなどのように、事理を弁識するに足る知能を備
    えていれば、その過失を考慮すべきことである(最判昭和3
    9・6・24民集18巻5号854頁・・小学校2年生につ
    いて肯定)。《後掲 民法 2 467頁)

   (イ) 債務不履行との違い

         不法行為の場合には、債務不履行(418条)の場合と異
    なって、額についてだけ、考慮しうるにすぎない(過失を認
    定しても、諸般の事情により考慮しなくとも違法ではない)。
   《後掲書 467頁》

     債務不履行の場合には、過失を認定すれば、これを考慮し
    なければ、違法になるということなのであろう。

     しかし、「債務不履行との間にこのような差異を設ける十
    分な根拠があるかどうか、すこぶる疑問である」(後掲書4
    67頁)。
    


  ○ 肢イについて

    
      (1) 条文

      719条は、共同不法行為者の責任として、連帯債務
          を生ずるとしている。

    (2) 通説・判例

            共同不法行為者各自の行為がそれぞれ独立に不法行為
     の要件を備えるときは、各自は違法な加害行為と相当因
          果にある全損害の賠償責任を負う(昭和43年4月23
     日民集22巻4号964頁)

      その共同不法行為の態様としては、過失が競合する場
     合も含む(大判大正3・10・29民録20−824)。

      本肢は、過失が競合する競合する場合に該当するので、
     A・BはCに対して共同不法行為者の責任を負う。

      当該連帯債務とは、学説に従って判例は、不真正連帯
     債務であるとみる(最判昭和57・3・4判時1042
     号87頁ほか)。

      不真正連帯債務にあっては、債権者が債務者の1人に
     対し、または同時もしくは順次に総債務者に対して、全
     部または一部の履行を請求しうるという点では連帯債務
     と同一だが(432条参照)、弁済その他の満足のほか
     は、ことごとく、相対的効力を有するにとどまる点で連
     帯債務と異なる(消滅時効につき大判昭和12・6・3
     0民集16巻1285頁。免除につき最判昭和57・3
     ・4判時1042号87頁。最判平成6・11・24
     判時1514号82頁・・・)《後掲書 124頁》

      つまり、不真正連帯債務にあっては、絶対的効力を生
     ずる434条から439条は不適用になるのあって、免
     除に関する437条も適用されない。
   
      したがって、共同不法行為者の一人に対する免除は、
     他の共同不法行為者にその効力が及ばないというのが通
      説判例だから、本肢において、CがBに対して損害賠償
     債務の一部を免除しても、原則としてAの損害賠償債務
     に影響しないことになる。本肢は妥当である。

    ※ 補足事項

        (ア)被害者が共同不法行為者A・Bのうちの一人Bとし
      た訴訟上の和解においてAの残債務をも免除する意思
      を有していたときは、免除の効力はAにも及ぶとする
      判例がある(最判平成10・9・10民集52巻6号
      1494頁)。

       本肢では、CがBに対して損害賠償債務の一部を免
      除しても、「原則として」Aの損害賠償債務に影響は
      ないとなっているが、この「原則」としての文言は、
      「例外」に属する当該判例を想定したものであろう。

       この判例は、は、共同不法行為者の一人に対する免
      除は、他の共同不法行為者にその効力が及ばないとい
      うのに対して、免除の意思による修正が可能だという
      観点を導入したものと位置づけられる。

       内部の求償権を故意・過失の割合を基礎にして決め
      ることになるが(最判昭和41・11・18民集20
      巻9号1886頁)、それが不明のときは平等割合と
      解して処理するほかはあるまい(後掲書486頁参照)。


       当該判例を基礎にして、記述式問題を作成するとい
      うのも、一つの観点として、ありうると思われる。
       というのも、過去問では、以前の択一式を基礎にし
      て記述式問題が作成されていると思われるものが散見
      されるからである。

    (イ) 不真正連帯債務につい は、「連帯債務のように両
             債務者間に共同目的のための主観的連結がない」と
             説明されるが(後掲書124頁)、その主観的連結
             が負担部分を通じた横のつながりであり、共同不法
             行為者双方には、このような連結がないため、これ
       を前提とした絶対的効力を生ずる規定が不適用とな
             るのであろう。


   ○ 肢ウについて

     
     本肢では、715条1項の使用者責任に基づき、使用者
    であるA社が被害者であるC対して損害の全額を賠償した
    場合にも、加害者であるA社従業員B自身の責任が解除さ
    れるのではなく、同条3項に基づき、AはBからこれを償
    還させるという筋道になる。

     この場合、判例は信義則上相当と認められる限度で求償
    できるとする(最判昭和51・7・8民集30巻7号69
    8頁)ので、本肢は妥当でない。

     本肢の「事情のいかんにかかわらず・・賠償した全額を
    求償することができる」という記述に関しては、当該判例
    を知らなくても、おそらくは、判例はそこまで過酷に使用
    者の被用者に対する求償を認めないであろうという察しは
    つくであろう。

    
   ○ 肢エについて 

          717条1項の工作物責任に関して、土地の工作物と
     は、土地と密接な関係にある工作物全般をいい、これに
     は鉄道も含むのは、通説・判例であるから、本肢では、
     鉄道からの損害であって、被害者であるAは、B鉄道
     会社に対して土地工作物責任に基づく損害賠償を請求
         することができる。本肢は妥当でない。

      なお、以下の記述を参照されたい。

      717条1項にいう「瑕疵とは設置・保存に不十分な
     点があるという意味であるが、物質的な瑕疵に限らず機
     能的瑕疵を含む。従って設備を全体として観察し、たと
     えば、鉄道会社が必要な場所に踏切番人その他の設備を
     しないという保安施設を欠くことなども、土地の工作物
     の設置上の瑕疵と考えられる(46・4・23民集25
     巻3号351頁)。」《後掲書481頁》

      したがって、本肢の記述にある、見通しが悪い場所に
     遮断機のない踏切を設けるのは、土地の工作物の設置上
     の瑕疵であると考えられる。

      本肢もまた、詳細に判例を知らなくても、容易に判例
     の存在を推定できるであろう。
      

   ○ 肢オについて

    
    724条前段によれば、不法行為による損害賠償請求権に
   ついては、被害者またはその法定代理人が損害および加害者
   を知った時から3年という比較的短い期間で消滅時効にかか
   るが、判例によれば、損害等を知った時というのは、被害者
    がそれを確実かつ現実に知った時を意味する(最判昭和42・
   7・18民集21巻6号1559頁、最判平成6・2・22
   民集48巻2号441頁・最判平成14・1・29民集56
   巻1号218頁)。《前掲書 470頁)
    したがって、「症状について現実に認識できなくても」と
   いう本肢の記述は、判例に反するので、本肢は妥当でない。

    本肢もまた、法常識に照らしまた多数の同趣旨の判例もあ
   ることからして、妥当でないことは容易にわかると思う。

    
     ※ 参考事項

     当該損害賠償の請求権が比較的短い期間で時効にかかる
    根拠

     「なるべく速やかに問題を片づけないと要件の有無や損
    害の証明が困難となることと、被害者の感情が鎮静すべき
    時期が過ぎてから問題をまき起こすのは不当だ、というこ
    とを考えたものである。」《後掲書470頁》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      
   再説するまでもないが、本問については、ア・イが妥当なも
  の組合せとなるので、1が正解である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  
 ● 付 言 

   判例問題については、かりに判例知識がなくても、思考の幅
  を拡げて、法常識の観点から各肢の記述の妥当性を考えてみる
  ことも大切であると私は思料する。 
    


 ★ 参考書籍 
  
 
     民法 2 ・ 我妻榮/有泉亨/川井健 著・勁草書房
 


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 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
  ▽本文に記載されている内容の無断での転載は禁じます。
 
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             ★ オリジナル問題解答 《第27回》 ★

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                      PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第113号掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第113回はこちら
              ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
   
  ★ 参考図書
 
      民法一・二 内田 貴 著・東京大学出版会
   
     民法1・2 我妻栄/有泉亨著・勁草書房

  ● 各肢の検討

 
  ○ アについて

      以下の判例に照らし、本肢は妥当である。

    錯誤の規定が表意者を保護しようとするものであるから、表
   意者が無効を主張しない限り、第三者は原則として無効を主張
   することは許されない(最判 昭和40・9・10民集19−
   6-1512)。

    なお、参照条文は民法95条。 
  

  ○ イについて

      以下の判例に照らし、本肢は妥当である。

    第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合に、表
   意者が要素の錯誤を認めているときは、表意者はみずから無効を
   主張する意思がなくても、右の第三者は意思表示の無効を主張す
   ることができる(最判昭和45・3・26民集24−3−151)。

    なお、参照条文はア同様、民法95条。

   
    ○ ウについて

    民法第120条2項によれば、強迫によって取り消すことがで
   きる      者は、瑕疵ある意思表示をした者又は代理人もしくは
     承継人に限り、保証人はこれに含まれないので、保証人は、強迫
     を理由に取り消すことができない。

       したがって、本肢は妥当である。。

   
   ○ エについて

   民法96条1項の規定に基づき取り消されると、民法121条本
    文の規定に基づき無効になるので、すでに交付された金銭は不当利
    得として返還されなくてはならない。

   その返還の範囲について、制限行為能力者は、現存利益に限られ
    ているのに対して(民法121条ただし書き)、本肢の場合にはそ
    のような特則はないので、受領したもの全部を返還するのが原則で
    ある。

   したがって、本肢は妥当でない。

   なお、「受領した金銭を浪費したときは、現存利益がない」とい
    うのは、正しい。
  

 
   ○ オについて

      本肢は、法定追認に該当する(民法125条1号)。なお、法定
     追認 は、取消しの原因となっている状況が消滅した後であること
   を要するが (民法125条・124条1項)、本肢では、取消権者
     が、詐欺に気がついた後に、法定追認行為をなっているので、その
     要件も充足している。
    したがって、本肢におけるBは、Aとの売買契約を取り消すこと
     はできないので、本肢は妥当である。


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   以上によれば、妥当であるのは、ア・イ・ウ・オであるから、正解
 は4である

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  ◆ 付 言

   本問全般について、より詳細な知識を取得されたい場合には、メル
    マガ113号過去問・解説欄を参照されたい。


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
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              ★ オリジナル問題解答 《第24回》 ★

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                        PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第110号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第110回はこち
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  ★ 参考図書
 
     民法一 ・ 内田 貴 著・東京大学出版会
   
     民法 1 ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房
 


  ◆ 本問に関しては、記述式・択一式を通じて、「表見代理と無権
  代理」の関係を考察しようとするものである。

   従来の通説によると、
  
   もし、表見代理を相手方保護のために代理権があったのと同様
  に扱う制度だと理解すると、いわば追認があったのと同じである
  から、相手方としてはまずこれを主張すべきだということになり、
  無権代理人の責任を追及認めた117条は、表見代理が成立しな
  い場合のための規定である(補充的責任)《前掲民法一》。

   現在の通説・判例(最判昭62・7・7民集41ー5−11
  33)によると、

  (1) 117条と表見代理とは独立の制度である。

  (2) 相手方は表見代理の主張と無権代理の責任追及いずれか
          を選択するかは自由であり、相手方が無権代理を主張して
          無権代理人の責任を追及しているときに、無権代理人の方
      から表見代理が成立することを抗弁として主張して責任を
          免れることはできないことになる。

  (3) 以上の解釈は、117条も表見代理もともに無権代理の
          場合に相手方がとりうる選択的な手段であるという理解を
          前提としている。つまり、表見代理も無権代理の一種とい
          う理解である。《前掲民法一》
 
     
 

  [図示]

          その一 本人と無権代理人との間に特殊の関係
                    があるために本人について代理権が真実存在す
                    るのと同様の効果を生じさせるもの(109条
                    ・110条・112条)
          
                    ● 表見代理
  
  無権代理 
   ↓
  113条〜         
    118条        その二 本人との間に上のような関係がないもの  

          ●狭義の無権代理

  
   
   ※ 以上からすれば、表見代理が成立する場合にもまた、無権代
    理(表見代理を含む)に適用される117条の適用があり。 
 
    《 当該図示は、前掲民法1の記述を参考にした》
  
 
 
 ◆ 各問の検討


  ○  [問題・1]
  
    本件事案では、99条にいう「本人のためにすることを示して
  した意思表示」、110条にいう「「正当な理由」の要件も充足
  している。
   したがって、これは、110条の権限外の行為の表見代理に該
  当する(メルマガで指摘したように、本試験の事案では、この点
  が省いてあった)。

   この場合、総説によれば、XはAに対して、「表見代理の主張
  と無権代理の責任追及いずれかを選択するかは自由であ」るから、
  解答としては、そのことを記述すればよい。
    その際、注意するのは、設問が「いかなる請求をすればよいか」
  となっているので、117条について、「履行又は損害賠償」を
  明確に示す必要がある。

   正解例としては、以下のようになるであろう。
  
  表見代理の成立を根拠とする代金請求。無権代理人の責任を理由と
   する代金請求又は損害賠償請求。
 
    45字
 
  なお、窮屈だと思えば、「代金又は損害賠償請求」などとすれば、
 よいであろう。
 
 

 ○  [問題・2]

  ア・イについては、[問題・1]の解説に照らし、いずれも正し
  い。

  
  ウ・エ・オについて

   表見代理も無権代理の一種であるから、無権代理人に適用される
  条文はすべて適用されることは、総説で明らかにした。そのことを
  これらの肢に当てはめると、

  ウは、115条の適用により、正しい。

  エは、116条により、Bは追認して、有効な契約にすることができ
     るので、正しくない。
  
  オは、114条により、Cには催告権があるので、正しくない。


 ----------------------------------------------------------------

   以上、正しいのは、ア・イ・ウであるから、正解は3である。

 ----------------------------------------------------------------


 ◆ 参考事項

    今回取りあげた論点と不即不離の関係にあるのが、117条2項の
 「過失」は「重過失」と読むべきかという問題である。
  ここでは、これ以上立ち入らないが、文言どおり「過失」と読むべ
 きであると最高裁が判断したことは、念頭に置いておいたほうがよい
 だろう(当該判例は、さきにあげた最判昭62・7・7民集41ー5−
 11である)。
 

 

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            ★ オリジナル問題解答 《第22回》 ★

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  【テーマ】  民法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第108号に掲載してある。

 
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  ★ 参考図書
 
     民法 1・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房
 

 
 ◆ 図示
 
  
     A

     ↓ 抵当権《登記》

    甲土地(所有者B)→ C(第三取得者)
                《登記》

  ◆ 論点
 
 
 (1)前者の場合について。

   ズバリ本問前者では、396条の適用の問題になる。すなわち、
  前者のCは、債務者・抵当権設定者以外の抵当不動産の第三取得者
  に該当するため、この者との関係では、抵当権はその担保する債権
  から独立して時効消滅に係る。
   その時効期間は、20年である(167条2項)。

   ※ 参考事項

    ア 前記本文の記述は、396条の解釈によって、自然に導
     くことができるが、同趣旨の判例があることに注意(大判
     昭15・11・26民集19ー2100)。

    イ 396条について、もう少し分析してみると、以下のと
     おりである。
      
      担保物権はその担保する債権が時効消滅しない間は独立
     に消滅時効にかからないのが原則である。抵当権は債務者
     および抵当権設定者に対する関係においてはその原則に従
     うが、前記本文に明らかなように、その他の者である第三
     取得者・後順位権者などの他の債権者に対する関係におい
     ては、債権が消滅時効にかからない間においても、独立に
     消滅時効にかかるものとされるのである。

    ウ 本問の事例では、「被担保債権について時効中断を生じ
     た場合」に限定している それは、以下のような趣旨を含
     むものであることに注意すべきである。

      債権は一般に10年で消滅時効にかかるから(167条
          1項)、本事例のように抵当権が20年で時効消滅するの
          は、債権について時効中断の行われた場合に生ずることに
          なる(147条以下・特に157条参照)。

  (2)後者の場合について

    ズバリ本問後者では、397条の適用の問題になる。すなわち、
      後者のCも、債務者または抵当権設定者以外の者に該当するため、
      Cが抵当不動産について取得時効に必要な条件を具備する占有を
      したときは、抵当権はこれによって消滅する(397条)。

    本事例では、Cは無効であることに善意無過失であった場合に
      該当するので、その時効期間は、10年である(162条2項)。
     
   ※ 参考事項

    ア 397条について、もう少し分析してみると、以下のとお
     りである。  
     
     取得時効は原始取得として完全な所有権を取得させるものだ
        から抵当不動産について取得時効が完成した場合には、抵当権
        を消滅させることにしたのである。また、債務者または抵当権
        設定者を例外としたのは、「みずから債務を負担し、またはみ
        ずから抵当権の負担を受けた者について取得時効による抵当権
        の消滅を認めるのは不穏当だからである」(前掲書)。

    イ 162条2項の適用については、「善意・無過失」である
           ことが要件になっているが、そこで言う「善意」とは、占
           有者が自分の所有に属すると信ずることであり、「 無過失」
          とはこのように信じることについて過失のないことを意味す
     る。
      本事例では、売買に無効原因があるため、所有権は移転し
     ていないが、Cがそのことを知らなかったというのであるか
     ら、以後、甲土地を占有するCは当該土地が自分の所有に属
     すると信じていたのであり、そのように信じることに過失が
     なかったとされているので、本事例では、その点について、
     162条2項適用の要件を満たしていることになる。

  
   ◆ 解答例

    前に掲げた(1)(2)の本文を要約すると、本問の回答例が
   導かれることになる。以下、その過程を示しながら、最後に解答
   例を示すことにする。

    問題文は、「それぞれの場合において、CはAに対して、どの
   ような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか」ということ
   であるから、その質問内容に添って忠実に答えなくてはならない。

    まず、前者の場合については、CはA対して、Aが20年抵当
   権を行使しないことを根拠にして、抵当権の消滅を主張すればよ
   い(厳密には145条の時効の援用である)。

    次に、後者の場合については、Cが平穏に、かつ、公然と甲土
   地を占有したことを根拠にして、所有権の時効取得を主張する
  (前記と同様に145条の時効の援用をする)ことにより、抵当権
   の消滅を主張することになる。

    以上について、文言を省略して、解答例を示すと、以下のとお
   りである。
   
 
   Aが20年抵当権の不行使ため、抵当権の消滅時効。Cが10年甲
      占有のため、所有権の取得時効。(45字)
     

   ◆ 付言

     本問については、1、20年間抵当権を行使しないこと 
    2、抵当権の消滅時効 3、10年間甲土地を占有 4、
    所有権の取得時効 という4つのポイントが記載されてい
    れば、満点ないしはそれに近い点数を稼ぎだすことができ
    るであろう。

     なお、過去問としては、第三者が、抵当不動産の所有権
    を時効 によって取得した場合には、当該抵当権は確定的に
    消滅する(397条)という肢が、妥当なものとして呈示
    されている(平成21年度問題29肢エ)。
  

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              ★ オリジナル問題解答 《第17回 》 ★

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  【テーマ】  行政法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第103号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第103回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
 ◆ 参考文献
   
  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行
 


 
 ▲  問題 1

  
   ☆ 参考サイト

  行政事件法第38回
 
 ■サイト第38回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/814527.html


 ◆ 各肢の検討

  
  ○ アについて

   本肢は、行訴法8条1項の「自由選択主義」に対する例外の同条
    同項のただし書きが規定する「不服申立ての前置」が取消訴訟の要
    件になっている場合である。

   8条2項各号により、例外として、前置なく取り消し訴訟が提起
    できる場合が規定されている。 本肢は、同条同項二号に規定があ
    る。

   以上のとおり、本肢は妥当である。

   ★ 参考事項

   行政不服審査法によると、異義申立てには決定がなされ、審査請
    求には裁決がなされることになっているが、行政事件訴訟法では、
    両者を含めて、「審査請求」「裁決」という言葉に統一されている
    ことに注意せよ。

  
  ○ イについて

   法8条第1項ただし書きによれば、不服申立ての「前置」は「処
    分取消しの訴」 に該当する。
     法38条は、法8条1項ただし書きを無効確認訴訟に 準用してい
   ない。

     無効確認訴訟については、まさに「前置」といった制限を設けず、
   いつでも起こせる抗告訴訟であるところにこそ、この訴訟のほんら
   いの意味があるからである。(入門参照)したがって、個別の法に
   おいて、前置の規定があっても、無効確認訴訟には適用がない。

     以上の記述に反する本肢は妥当でない。


    ○ ウについて

     本肢では、前置が処分取消訴訟の要件とされていない場合におい
   て、いきなり処分取消訴訟を提起しないで、審査請求を選択した場
   合に相当する。
    換言すると、「自由選択主義」に基づいて、行政上の不服申立て
  を先行させた場合である。

  審査請求があったときの出訴期間に関する14条3項の規定は、
  前置の場合に限っていないので、この場合にも適用されることになる。
   したがって、この場合にも、処分取消訴訟の出訴期間は裁決の時点を
  基 準として判断されることになる。
  おそらく、当該規定は、裁決の結果 をみて、原処分の取消訴訟を提
  起 しようとする相手方の意思を尊重したものであろう。そうであれば、
 前置に限定する必要はない。
  
  なお、これは、教科書では一般に触れられていないので、常識によ
  っ て判断することになるだろう。

  以上の記述に従えば、本肢は妥当である。


 ○ エについて

   原則は、「原処分主義」である。
   例外としての「裁決主義」は次のとおりである。

   個別法が裁決主義を採用している場合においては、元の処分に対
    する取消訴訟は提起できず、裁決取消訴訟のみが提起でき、元の処
    分の違法についても、そこで主張すべきこととなる。

     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


 ○ オについて

     前段は妥当である。しかし、原処分主義が採用されている場合
   でも、裁決に対しても取消訴訟を提起することは許されている。
 
    なお、「裁決の取消の訴え」を「処分の取消しの訴え」と併合し
  て提起することも許されている。

  以上の記述に従えば、後段が妥当でない。

 

 ------------------------------------------------------------------

   以上に従えば、アとウが妥当であるので、正解は1である

 ------------------------------------------------------------------


   ▲  問題 2

   アが、10。イが、19。ウが、4。エが、16。
   
   アが裁決。イが原処分。ウが修正裁決。エが原処分主義。

   メルマガ第103回《余禄》欄参照のこと。
 

  ▲  問題 3

 
   法3条によれば、不服申立ての種類は、アのとおり、3種類
    であり、正しい。エは40条2項により正しい     

    イについては、以下のとおりであるから、誤りである。
   
   再審査請求とは、一度審査請求を終えた後にさらに行う例外的
    な不服申立てである(法3条1項)。この申立ては、当該審査請
    求の裁決に不服がある場合、当然にすることができるのではない。
    行政不服審査法自体が定めている特定の場合・法律または条例
    によって特に定められている場合にだけ、その法律、条例が特に
    定める行政庁へ申立てができる(法8条)。したがって、法律に
   「再審査をすることができる旨」の定めがある場合に当該申立てが
    できるのである。
 

  ウは47条1項で「裁決」が「決定」である。誤り。
  オは、47条2項で、「却下」が「棄却」である。誤り。
      
   したがって、ア・エが正しくて、正解は3である。
          
   公式として、不服申立て要件をみたさないときは、門前払いの
 「却下」。 本案の審理がなされたうえ、言い分を認めないときは、
 「棄却」。異議申立てに対する裁断行為が「決定」であり、審査
  請求に対しては「裁決」である。 
   結局、これらの組合わせの問題である。

 
  ▲  問題 4

   解答例

   審査庁は、審査請求が不適法であることを理由として、裁決で
    当該審査請求を却下する。   
               
             40字

 
     法40条参照

 

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            ★ オリジナル問題解答 《第10回 》 ★

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  【テーマ】  行政法・民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法・行政法・オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第96号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第96回はこちら↓
  
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
  ▲  問題 1
  
    本問は、メルマガ第96回・◎ 平成22年度 問題 18を
 参照することによって、正解を導くことができるが、ここでは、
 各肢の要点を示すことにする

 
  ○ 肢アについて

    取消判決には形成力がある。すなわち、本肢におけるように「不
  利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した
  場合に]は「行政処分はその効力を失う。つまり、行政庁の手によ
  る取消を必要としない。」(後掲書 読本 312頁参照)

   不利益処分の取消訴訟にあっては、拘束力の積極的効果は働かず、
    その形成力により、行政処分はその効力を失い、行政庁の手による
    取消を必要としないのであるから、処分庁が、判決確定の後、当該
  不利益処分を職権で取り消す必要がない。
   
   本肢は正しい。

 ○ 肢イについて

  本肢における拒否処分については、以下のようになる。

     1 まず、取消判決があると、取消判決の形成力により拒否処分は
        過去に遡って消滅する。

   2 そうすると、申請人(原告)が行った申請が残っている状態に
        なる。

   3 そこで行政庁は、取消判決の拘束力により、この申請について
        改めて審査し、処分をしなければならない。

     以上のとおり、拘束力の積極的効果により、行政庁はもう一
        度申請を審査して処分をやり直さなければならない(行訴法33
        条2項)。

   (後掲書 読本 316頁参照)

    以上の記述に反する本肢は誤りである。

 ○ 肢ウについて

   前記肢イ3によれば、「行政庁はもう一度申請を審査して処分をや
    り直さなければならない」のであって、「申請を認容する処分を義務
    づけられる。」のではない。

   本肢は誤りである。

 
 ○ 肢エについて

   メルマガ第96回・◎ 平成22年度 問題 18 肢イ を言い
    換えただけであるから、当該解説欄を再読されたい。
   
     (なお、本肢は、後掲書 読本 319頁から一部引用した)

   本肢は正しい。
   

    以上によれば、ア・エが正しいので、正解は、2 である。    
 


   ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行

 


  ▲  問題 2


    本問は、メルマガ第93回「余禄」欄において、主題になった「民法
 96条3項の第三者として保護されるためには、登記を要するか」に基
 づき出題したものである。

  当該「余禄」欄を再読されたい。

  解答例として、以下に二例を提示しておく。

    仮登記により保全される売買契約 
      上の権利確保のため、仮登記移転 
      の付記登記を行う 。  
  
    
        知事の許可を条件とする所有権移
       転の権利確保のため、仮登記移転 
      の付記登記を行う 。  


               以上 いずれも39字

  
  なお、「仮登記」「付記登記」の説明ないしは仮登記の登記事項とし
 て、条件付所有権移転仮登記・(条件 農地法の許可)と記録されるこ
 となどについては、不動産登記に立ち入ることになるので、省略する。

 

 


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           ★ オリジナル問題解答 《第4回 》 ★

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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法・オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第90号に掲載してある。

 ★ メルマガ第90回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.html

 
 ★ 参考書籍 
  
  民法一 内田 貴 著・東京大学出版会
   
   民法 1 ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房


 ▲  問題 1


  ◎ 総説

   共有の性質については、一個の所有権を数人が量的に分有する
  状態だという説と、各共有者が一つずつの所有権を有し、各所有
  権が目的物が一固であるために互いに制限しあっている状態だと
  いう説とがある。
   後の説は、いささか技巧的にすぎるようだが、民法の共有の性
  質に適するであろう。

   共有者が目的物の上にもつ権利すなわち共有持分権は目的物を
  全面的に支配するという点では両説の間に差異がない。

  (以上、前掲 勁草書房・参照条文は民法249条)) 


  ◎ 各肢の検討

   
   ○ アについて

    Aの使用方法は、共有物の管理に関する合意(民法252条
   参照)に基づくものではないから、他の共有者の持分権を侵害
   している。
    
    しかし、個々の共有者は、元来共有物全体を使用する権利を
   有するから、BCは、持分権を侵害されたからといって、Aに
   対して当然には共有物の引渡を求めることはできない(最判
   昭和41年5月19日・摸六 249条 3・請求者側の持分
   の割合が12の11であっても、明渡請求はできないとされた)
   《以上 前掲 内田著》
    

    本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

    ★ 参考事項

    なお、以下の判例に注目!

     他の共有者は、単独で共有不動産を占有する共有者に対して、
    その持分割合に応じて、占有部分に係る地代相当額の不当利得
    金ないし損害賠償金を請求することができる(摸六 703条 
    23・最判平12・4・7・・)。
  
     占有している共有者から共有物の占有を承認された第三者は、
    その占有が承認した共有者の持分の基づくものと認められる限
    りは、他の共有者は、その第三者に対して当然には共有物の明
    渡しを請求することはできない(摸六 249条 12・
    最判昭和63・5・20・・)。
     つまり、本肢において、Aが第三者に対して使用を承認した
    場合、B・Cは当然にその第三者対し、共有物の明渡しを請求
    することはできないのである。

   ○ イについて

    当該登記の抹消を求めることは、妨害排除請求だから保存行為
   に当たり、共有者の一人は、単独で所有権移転登記の全部抹消を
   求めうる(摸六 249条 6・最判昭和31・5・
   10・・)

     本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

    ★ 参考事項

     当該判例は、共有物の管理に関する民法252条ただし書きの
    保存行為を根拠としているが、共有持分権は目的物を全面的に支
    配することから妨害排除請求を導くこともできるであろう。

  
   ○ ウについて

    第三者に対して、A・B・Cの共有であるということの確認を求
   める共有物の所有権確認の訴えを提起するには、全員で行うことを
   要するので、本肢は妥当である。
  
     
   ○ エについて

    共同相続の場合、相続人の一人が単独所有権取得の登記をなし、
   これを第三者に譲渡し、所有権移転の登記をしても、他の相続人は
   自己の持分を登記なくして、これに対抗できる。
    この場合、Aが請求できるのは、本肢のような全部抹消ではなく、
   Aの持分に限っての一部抹消である(摸六 民法177条 9・
   249条 7 最判昭38・2・22・・)。

    本肢は、以上の判例に反するので、妥当でない。

   ○ オについて

    この場合は、イの妨害排除請求とは異なり、他人の持分に対して
   は何ら請求権を持たないから、本肢のとおりとする判例がある(摸
   六 249条 9 最判昭和41・3・3・・最判昭和51・9・7
   ・・)

    本肢は妥当である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    本問は、ウとオが妥当であるので、5が正解である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  

 
 ▲  問題 2


  ◎ 本問の解説は、便宜上、基礎の基礎に立ち返って、説明してある
  ので、不要と思われる箇所は、適当に読み飛ばしていただきたい。


  ○ アについて

   これは、民法177条が適用される典型的な例である。
  
      この条文解釈における要点を示す(勁草書房参照)。

    ★ 甲土地の所有権移転が「不動産の物権の得喪」に該当する
      ことには問題がない。

       ★ 次に、条文における「第三者」には、ア 登記なしでは
      対抗できない「第三者」と、イ 登記なしでも対抗できる
       「第三者」がある。

          これは、大審院判決(大連判明治41・12・15・・)に
        よって認められた理論であり、今日では通説になっている。

          その区別する基準として、さきの大審院判決は、「登記の欠缺
        ヲ主張スル正当ナ利益ヲ有スル」第三者という理論構成をした。

          本事例の「Bは登記なくしてCに対抗することができる」かどう
    かという設問に則してみてゆくと、Cにおいて、Bが登記を欠くこ
        とを主張し得る正当な利益を有する第三者に該当するかどうかとい
        うことが問題になる。。

         これに該当するときは、アの場合に 当たり、Bは 登記なくして
        Cに対抗できない。 逆に、Cがこれに該当しないときは、イの場
        合にあたり、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
 
         この両者の関係について、[一言でいえば、同一不動産について、
       結局において互いに相容れない権利を有する者である」(前掲勁草
       書房)。

       設問では、A・B間とA・C間とどちらも有効な売買契約であり
     (どちらも債権であり、先に成立したものに優先的効力なし)、Bと
      Cは、 同一不動産に相容れない権利を有するものであって、Bは登
      記なくしてCに対抗できないことになる。

   ★  最後に、Cが悪意である点が問題になる。つまり、悪意の第三者で
        あるC対しては、Bは登記なくして、対抗できるのではないかという
        ことである。この点については、悪意の第三者に対しても、登記なく
        しては、対抗できないというのが通説である。

         その論拠としては、次のように、言われている。

        「・・登記がない限り、その不動産に関してに関して取引関係に
          たった第三者に対しては、原則としてその善意悪意を問題とせず
          に対抗できないとすることが、不動産取引の整一簡明を期する
          ゆえんである。」(前掲勁草書房)
      要するに、行為者の内心を問題にせず、登記の有無によって決
          着しようというのが、通説の立場だということになる。
 

      以上述べたところにより、Bは登記なくしてCに対抗することはで
     きない。結局、さきに登記をしたCが、Bに優先することになる。

       以上により、本肢は妥当でない。

   ○ イについて

     本事例は、前の設問と比べると、Cが悪意者だったのが、背信的悪意
    者になったのみで、その他の点には変わりない。

    ★ 前には、悪意の第三者に対しては登記なくして対抗できなかったが、
     背信的悪意者には、登記なくして対抗できるかというのが、ポイント
     になる。
      さきの大審院判決の基準に照らすと、 背信的悪意者とは「登記ノ
     欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル」 第三者ではないということに
     なる。平たく言えば、単に「知っている」という度合を超えて、より
     背信の要素が強いため、この者に対しては、登記なくしても対抗でき
     るということになる。

    ★ この「背信的悪意者」という概念は、大審院の基準に当てはめ
     をした最高裁判所によって確立されたものである。判旨は、以下の
     とおりである。

      実体上物権変動があった事実を知る者において右物権変動に
     ついて
     登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が
     ある場合には、このような背信的悪意者は、登記の欠缺を主張する
          について正当な利益を有しない(最判昭和31・4・24・・・)
      
            要するに、繰り返しになるが、単なる悪意を超え、背信の度合
     が、 強度のものである。
      具体例としては、「ABの不動産の売買に立ち会ったCがBの
     未登記に乗じてAよりこの不動産を買い受け移転登記を得たよう
     な場合」が相当する(前掲勁草書房)。

      以上述べたところにより、本肢では、Bは登記なくしてCに所有
     権の取得を対抗できることになる。

     本肢は妥当である。

   ○ ウについて


    ★ まず、肢イの回答からして、Bは登記なくして、背信的悪意者C
     に対し、所有権の取得を対抗できる。

          ここで、その理屈を考えてみると、

        (a)もともと、AB間の売買契約も、AC間の売買契約も有効である。
    (b)ただ、C個人が背信的悪意者であるために、Bは登記なくしてC
      に対抗できるということである。

     そのポイントが押さえられていれば、Cから売却を受けたDの立場
    は明確である。もともと、AC間の売買は有効であるから、CDの売買
    も有効である。Cが背信的悪意者であるというのは、Cの個人的事情
    であって、Cを離れた以上、もう関係ない。ただし、今度は、D個人が、
    AB間の売買について、背信的悪意者であれば、BはDに対して、登記
    なくして、対抗できるが、本例のように、DがAB間の売買の存在を
    知っている(悪意)だけでは、Bは登記なくしてDに対抗できない。

    ★ 本事例には、判例がある(最判平成8・10・29・・・・)。

 
     本肢は、妥当でない。


  ○  エについて

      ★ 前例は、登記なくして対抗できる第三者として、背信的悪意者
    について、 勉強したが、これも同列に論じることができる。

     不法占有者は、登記しなければ、所有権を対抗することができない
    第三者に該当せず、177条の「第三者」ではない。

     したがって、Bは登記なくして、Cに対抗できる。そのため、
    Bは、登記がなくてもCに対し、土地の明渡しを請求し、損害賠償
    を請求することができる(709条)。

    これには判例がある(最判昭和25・12・19・・)。

    本肢は妥当である。

  ○ オについて

    Aの 取り消し後の転売の場合には、AとCは対抗関係に立ち、先に
   登記をした方が優先することになる。民法177条の適用である。判
   例もある(大判昭和17・9・30)


    本肢は妥当である。

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    妥当でないのは、アとウであるから、正解は1である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第6回 】★      
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 2009/1/19
             
             PRODUCE by  藤本 昌一
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【テーマ】 民法・総則

【目 次】 1 民法(無権代理・虚偽表示等)(問題)

       2 解説


 
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■ 民法総則・問題(無権代理・虚偽表示)
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(平成19年度過去問)

問題  27

AがB所有の土地をCに売却した場合に関する次の記述のうち、誤って
いるものはどれか。


1 AがBから土地の所有権を取得してCに移転できない場合、Cは、
契約時にAに土地の所有権がないことを知っていたとしても、契約
の解除ができる。

2 Cは、悪意または有過失であっても、20年間、所有の意思をもって
平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効
取得する。

3 AがBの代理人と称して売却した場合、代理権のないことを知らな
かったCがこの売買契約を取り消せば、BはもはやAの代理行為を追認
することはできない。

4 AがBの代理人と称して売却した場合、CはAに代理権のないことを
過失によって知らなかったとしても、無権代理を行ったAに対して責任
を追及できる。

5 所有権者Bが自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、
そのまま放置していた場合には、Bは、Aを所有者だと信頼して買った
Cに対抗できない。
 


 
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■ 解説
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状況把握
 

他人の権利   売主  売却  買主
B所有土地   A―−−−−−−C          
             →    ←
           代金    土地


1について。


これは、他人の権利の売買における民法560条〜562条の問題。
 
(1)民法第560条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、
その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
  
解釈・Aは、B所有の土地を売買の目的とすることができる。
この場合は、Aは、Bから土地の所有権を取得してCに移転する義務
を負う。

(2)民法561条 前条の場合において、売主がその売却した権利を
取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除
をすることができる。この場合において、契約のときにおいてその権利
が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすること
できない。

解釈・この場合、Aは、その権利をBから取得してCに移転できない
ときは、契約時にCがその権利がAに属していることを知っている
いないにかかわらず、常に契約の解除をすることができる。
いずれにしても、Cは権利の移転を受けることができないのだから、
常に契約の解除ができなければ、おかしい。
 
ただし、Cがその権利がAに属しないことを知っていたときは、
Cは損害賠償の請求はできない。この場合は、Cとしては、Aが権利
を取得できないことも予測すべきだから、損害賠償の請求はできない
としたのだろう。

(3)民法第562条第1項 売主が契約の時においてその売却した
権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を
取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償
して、契約の解除をすることができる。 

解釈・Bから取得してCに土地を売ろうとしたAが当該土地を取得
できなかったため、Aに解除権を認めるのは妥当でないが、
Aが自分の土地だと思っていたが、実はBの土地だった場合には、
Aに解除権を認めるべきである。
この場合には、Cに損害が生じると、賠償すべきである。
 
(4)民法第562条第2項 前項の場合において、買主が契約の時
においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、
売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない
旨を通知して、契約の解除をすることができる。

解釈・これは、当然の規定。買主が売主の権利に属しないことを知って
いた場合には、561条で損害賠償の請求ができないことになっている
のだから、自己の権利に属することを知らなかった売主は、単に通知
だけで解除できる。

以上を総合すると、以下のようになる(善意=知らない・悪意=知って
いる)
 
イ 善意・悪意を問わず、買主に解除権あり。

ロ 悪意の買主には損害賠償請求権なし。
  
ハ 善意の売主のみ解除権あり。

解答  1は、(2)から正しい。

2について。
 

 本問は、民法第162条の所有権の取得時効

条文
 
民法第162条第1項 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、
公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
 
民法第162条第2項 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、
公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、
かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
 
CがAから売買によってBの土地の占有を取得しても、Bに所有権が
ある以上、Cが当該土地の所有権を取得することはない。
しかし、一定期間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人
の物を占有した者は、当該物の所有権を時効取得する。
  
民法第162条の第1項と第2項の対比により、占有の開始時に悪意
であり、または有過失であっても、20年間占有をすれば、その物の
所有権をするので、本問2は正しい。


3について

 
B(本人)―――――――A(無権代理人)―――――――C(相手方)

条文

民法第115条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認を
しない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時に
おいて代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限
りでない。


(1)原則=Aが勝手にCと契約をしたのだから、本人Bは何らの
法律効果(売主として土地を引き渡す義務・代金請求)を生じない。
(2)例外=しかし、本人Bに得になることなら、この契約のあった
ことを知ったBは、これを追認して最初から代理権があったのと同様
の効果を生じさせることができる。 

(1)(2)についいては、民法第113条第1項に定めあり
(条文を必ず見ておくこと)

(3)相手方Cの立場=果たして、Bが追認するのかどうか、Cは不安定
なので、CにAとの間で行った契約を取り消す(Bの追認の可能性をなく
する)権利を認めている。(民法第115条をもう一回見る)。
 
この場合注意すべき二点。

イ 本人Bが追認する以前に取り消さなければならない。「本人が追認を
しない間は」と条文にある。理論的にも、Bが追認すれば、(Bの追認の
可能性をなくする)権利が喪失するのは当然。

ロ 民法第115条ただし書きによると、相手方であるCが、契約の当時
にAに代理権のないことを知っていた場合には、Cに取消権はない。
政策的にも、そのようなCに取消権を認めるべきではない。

(4) もう一つの相手方Cの立場を考慮した措置=相手方の催告権
(民法114条・条文を必ず見ておくこと)。不安定な立場のCに対し、
催告権を認めて、法律関係を確定させる権利を付与。

この場合注意すべき点。
この場合は、(3)と異なって、Aに代理権がないことを知っていたCにも、
この権利は認められる。このような相手方にも以上の保護は与えるべきだ。


解答

(3)によれば、代理権のなかったことを知らなかったCには、取消権があり、
Cが取り消すと、Bには追認の可能性はなくなるのだから、3は正しい。


4について。
 
 

B(本人)―――――――A(無権代理人)―――――C(相手方)

条文

民法第第117条第1項 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権
を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、
相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

民法第117条第2項・前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が
代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって
知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有し
なかったときは、適用しない。

本問は、無権代理人が相手方に対して負担する責任の問題。
 
(1)原則=AがBの追認を得るか、または真実代理権を有したことを証明
できない限り、相手方の選択に従い、自ら行為の当事者としての履行をするか、
または本人に対して効力を生じなかったことから相手方の被る全損害を賠償する
という重い責任を負わなければならない(民法第117条第1項)。
  
(2)例外=以下の場合には責任を免れる(民法第117条第2項)。
   
イ Cが、行為の当時において、Aに無権代理人の権限のないことを知っていた
場合。
   
ロ または、知らないにしてもそれは過失だといえるとき。ただし、その過失は
軽過失も含み、重大な過失を意味しないというのが判例(最判昭和62・7・7)。

ハ Aが無能力であるとき。

解答 民法第117条第2項中段・(2)ロより、「Cは、Aに代理権のない
ことを過失によって知らなかったとしても、無権代理を行ったAに対して責任を
追及できる」のは誤りである。

これが、正解だ。

5について。
 
積極的に作出         信頼・買う
B――――→A名義の虚偽の登記←−−−−−C 
  売買

条文・
民法第94条第1項・相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
民法94条第2項・前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗する
ことができない。

本問は、民法94条第2項の適用の問題。本条は第三者保護ないし取引の
安全のための非常に重要な規定である。

(1) まず、Bが積極的に作出したAの虚偽の登記は、外形はBからAに
所有権移転登記がなされているようにみえても、無効である
(これは、Bの財産隠しのために利用される。つまり、Bが債権者からの
差し押さえを回避するため、唯一の不動産をA名義の登記に移すことなどである)。

民法第94条第1項によれば、Bの行った虚偽の意思表示である売買に基づく
A名義の登記は、本来無効だからである。

(2)しかし、民法第94条第2項によれば、当該登記を信頼した善意の第三者
であるCが出現すれば、この無効の登記を積極的に作出したBは、Cに対抗でき
なくなる。Cの買主としての立場が優先するのである。

(3)本問では、A名義の不実の登記について、Aの承諾がないが(94条1項の
「相手方と通じて」という通謀の要件を欠く)、判例はこのような場合にも第三者
保護のため、本条の類推適用を認める。


解答 ズバリ、民法第94条第2項の類推適用[(2)(3)参照)]により、
5は正しい。


結局、4が誤りで、4が正解である。


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