━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           ★  【過去問解説第100回 】  ★

          ワンポイント・レッスン その1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-------------------------------------------------------------
                    PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
 
  【テーマ】 行政法/行政処分 その2

        ★ 本試験では、瞬時にポイントを掴み、正解を
         導くことが要請されるので、今回は、そのポイ
         ントに絞り込み、コンパクトに解説するように
         試みた。

   【目 次】 過去問・解説
              

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 平成23年度・問題13
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
   行政手続法の定める用語の定義についての次の記述のうち、正し
 いものはどれか(但し、各文章は法律の規定そのままではなく、一
 部表現を修正している)。

  1 処分・・・行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、
                審査請求・異議申立てその他不服申立てに対する
                裁決・決定を含むもの。

  2 不利益処分・・・行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あ
                      て人として、直接に、これに義務を課し、
                      又は申請を拒否する処分。

 3 届出・・・行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、
                当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこ
                ととされているもの。

 4 行政指導・・・行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内に
                    おいて一定の行政目的を実現するため特定又
                    は不特定の者に一定の作為又は不作為を求め
                    る指導、勧告、助言その他の行為であって処
                    分に該当しないもの。

 5 審査基準・・・申請により求められた許認可等をするかどうか
                  をその法令の定めに従って判断するために必要
                  とされる基準。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■  解説 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

  ◆ ポイント

  
    ○ その1 

    行政手続法は、行政の事前手続を定めたものであるから、
   事後手続である不服申立てに対する裁決・決定は対象にな
   らない。したがって、行手法第2条第2号にいう処分には、
   当該裁決・決定は、含まれない。

    行政訴訟制度(当該行政上の不服申立・抗告訴訟)と行
   政の事前手続という体系的理解がポイント。

    肢1は、正しくない。

     ○ その2

       行政手続法上の具体的仕組みとして、処分には、申請に対
   する処分(第2条第3号・第2章)と不利益処分(第2条4
   号・第3章)があり、申請を拒否する処分は、不利益処分に
   該当しない。

    行手法上、処分には、申請に対する処分と不利益処分が
   あるということが、ポイント。
   
      肢2は、正しくない。

  
 ○ その3

    届出制と許可制の根本的違いは、許可制が、申請に対す
   る処分として、行政庁に許可・不許可(拒否処分)という
   「諾否の応答をすべき」義務を課しているものである
   (第2条第3号)に対して、届出制は、許可に代わる届出で
    だけで、法効果を生ずるするものである(第2条第7号)。
   

    届出制と許可制の違いを把握しているかどうかがポイント。

   
    したがって、 届出について、行政庁が諾否の応答をすべ
   きこととされているとする肢3は、正しくない。

 ○ その4


      行政活動としては、行政立法・行政処分・行政指導等がある
  が、行政立法は、一般的抽象的であるのに対して、行政処分は
  個別的かつ具体的であって、相手方が特定されるのが通常であ
  る。とりわけ、行政指導は、事実行為であるため、特定性が要
  件になる。

   以上の体系的知識により、行政指導から「不特定の者」が省
  かれることに気づくことがポイント。

   したがって、行手法第2条第6号では、「特定の者」のみ
  が対象になっているので、肢4は正しくない。

 
 ○ その5

   審査基準の定義は、行手法第2条第8号ロの文言どおりで
  あって、肢5は正しい。

     本肢が正しいので、本問は、5が正解である。

 


 ------------------------------------------------------------- 

 ◆ 参考事項

     上記のポイントに絞り、当該欄は読み飛ばしていただいても、
  差し支えない。
  
  ○ その1 

   行手法第3条1項15号では、不服申立てに対する裁決・決
  定も行政庁の処分としたうえで、これは行手法の適用除外であ
  るとしている。そうであれば、行手法第2条第2号には、裁決
  等も含み、同法第3条15号において、適用除外にしたともと
  れるので、肢1は、正しいことになるが、この点については、
  出題者の想定外のこととして、目を瞑るべきであろうか。

  
   ○ その2

     申請を拒否する処分は、名あて人にとって、不利益な処分で
  はあるが、不利益処分でないことは、第2条第4号ロが規定し
  ている。

   そして、不利益な処分である拒否処分と不利益処分について、
  理由の提示を義務づけているのが、行手法全体としての特徴で
  ある(第8条第1項・第14条第1項)。

 
  ○ その3

   例えば、個室付き浴場は、届出だけで開業できるのに対し、
  パチンコの営業には、許可が必要という違いを想定せよ。
  

  ○ その4

   関連するものとして、次の記述が注目される(後掲・読本
  95頁)。

   行政処分は、個別的かつ具体的であるのが通例である。し
  かし、個別性は行政処分の不可欠の要素ではなく、相手方が
  不特定で一般的な行政処分もある。これが一般処分である。

   以上の記述に照らして、行政指導の場合は、相手方の
  「特定」が要件になるのである。

   
 ◆ 総括

   もし、前述したポイントを把握していなければ、肢5も含
  めて全部が正しいように思えて、最後は、勘でいずれかを選
  択することになる。しかも、即座にポイントを把握すること
  は、試験場の現場感覚からすれば、必ずしも容易ではない。

   市販の解説書によると、後追い解説により、本問は易しい・
  正解すべきものとされているが、私からすれば、そのような
  コメントは、不要であって、受験生の不安心理を煽るもので
  しかないように思う。

   早い話が厳密に言って、肢1と肢5いずれも正解であるの
  ではという疑問だって、そんなに簡単なことではないと、私
  には思われるのですが・・。


 ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行
 
 
  なお、次回においても、引き続き「行政処分」に関する過去問
 の解説を行うことにします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
  ▽本文に記載されている内容の無断での転載は禁じます。
 
  ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。
       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


examination_support at 12:26コメント(0) 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

             ★ オリジナル問題解答 《第49回 》 ★

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-------------------------------------------------------------
                       PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
 
  【テーマ】 行政法
       
  【目次】   解説
              
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■   オリジナル問題 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
   
  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第144号掲載してある。
 
 
  ☆ メルマガ第145回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

 ○ 参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣 
 発行


 ◆ 序説(要点)

   1 行政指導とは「行政機関が、相手型方の任意的な協力を得て行
   政目的を達成しようとする非権力的事実行為である」(前掲書・
     読本152頁)

   行政手続法2条6項にその定義規定がある。
 
  2 本講座では、前回まで、「行政調査」「行政計画」が主題だっ
   た。
  
  「これらは、権力的に行われることもあれば、非権力的に行われ
      ることもある。また、法行為に当たるものもあれば、事実行為
      に当たるものもある。」(前掲 読本25頁)

    これに対して、今回の主題である「行政指導」は、前述した
      ように非権力行為であり、事実行為であると言われていること
      に注意する必要がある。
  
  3 前回(144号)のオリジナル問題肢アでは、「行政計画」に
   関して「侵害留保説」「権力作用留保説」「公行政留保説」と法
   律の根拠が主題になった。

       本問では、「行政指導」に焦点を当て、同じ主題を論じたもの
   を出題した。

  
    以上からすれば、次の指摘は重要である。

   「これらの学説(筆者注・『侵害留保説』『権力作用留保説』
   『公行政留保説』)が激しく対立している論争点の一つが
    ・・・・
  実は行政指導についての法律の授権の要否の問題である。」
 
  《前掲読本157頁》
  
 (濁点は、筆者が付した)


 ◆   各肢の検討

   1 侵害留保説→「国民の権利や自由を権力的に侵害する行政
   についてのみ法律の授権を必要とするという説である」
   (前掲 読本)
   
   この説によれば、権力的行政のうち、侵害的行為(税金を
  課したり、営業停止命令を発する行為)には、法律の授権を
  を要することになるので、問題文(本文)にもあるとおり、
  「非権力的行為である行政指導については法律の授権は必要
  ではないことになる。」

   アには、7の「侵害留保説」が妥当する。

  2 権力作用留保説→行政活動のうち権力的なものについて、
   法律の授権を要するという説である。逆に言うと、非権力的
   な行政活動については、法律の授権は必要ではないというこ
   となる。(前掲 読本)

    したがって、イには、2の「権力作用留保説」が妥当する。

   ※ 侵害留保説と権力作用留保説の違い
    
    権力作用留保説は、権力作用を重視するのであるから、侵
   害的かつ権力的な行為でない、授益的かつ権力的な行為つい
   ても法律の授権を要するのである。
    換言すると、侵害留保説では、授益的かつ権力的な行為つ
   いては、法律の授権を要しないことになる。そこに両者の違
   いがある。
    ちなみに、非権力的公行政については、侵害的行為・授益
   的行為を問わず、両説とも、法律の授権を要しない。

  3 公行政留保説(完全全部留保説)→権力的行政のみならず、
      非権力的公行政についても法律の授権を要するとする説であ
   る。

    この説は、「行政指導」に法律の授権を要することを導く
   ものともいえる。
    
    したがって、ウには、14の「公行政留保説」が妥当する。

    4 非権力的公行政である「行政指導」にも行政処分と同様に
   「授益」的なものものもあって、これについては、法律の
    授権を要しないといえる。しかし、侵害的なものについては、
   一律に法律の授権を要しないといえないであろう

    したがってエには、17の「授益」が該当する。

  5 強い「規制」的な力を持った行政指導にあっては、以上
   1・2・3いずれの学説によっても、法律の授権を要する
   という結論を導くことが可能である。

        したがって、オには、20の「規制」が該当する。
           ↓↓
 
   ※  参考事項 


    (1) ここで、とりあげられているのは、行政指導の分類に
     よれば、「規制的行政指導」に該当するであろう。
   
    「規制的行政指導」は、「その目的または内容において、
    相手方に対する規制的な力を持った行政指導である。これ
    には、・・違法建築がある場合の行政指導のように、国民
    の違法行為是正のための指導や、減反のための行政指導の
    ように、独自の規制目的達成のための行政指導がある。」
    (前掲読本156頁)。

  (2)強い強制力を持った行政指導について、判例(最高裁
    2005《平成17》年7月15日判決・民集59−6
    −1661)が処分性を認めた例として、病院の開設の
    中止を求める 医療法に基づく勧告が、行訴法3条2項
    にいう「行政庁の処分その他公権力に当たる行為」に当
    たると解するのが相当であるとしたものがある。

     なお、当該判決については、ズバリ、過去問平成24
    年度問題18肢1で出題されているが、これについては、
    別途解説をする。

--------------------------------------------------------------

    以上の記述によれば、正解は、以下のとおりになる。

   ア=7・侵害留保説 イ=2・権力作用留保説 ウ=14・

   公行政留保説 エ=17・授益 オ=20・規制

--------------------------------------------------------------

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【著者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


examination_support at 13:51コメント(0) 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                ★  【過去問解説第97回 】  ★

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-------------------------------------------------------------
                 PRODUCED BY 藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
 
  【テーマ】 行政法

    
  【目 次】 過去問・解説
              
   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 平成24年度問題44・記述式  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
    Xは、A県 B市内に土地を所有していたが、B市による市道の
  拡張工事のために、当該土地の買収の打診を受けた。Xは、土地
  を手放すこと自体には異議がなかったものの、B市から提示された
   買収価格に不満があったため、買収に応じなかった。ところが、B
  市の申請を受けたA県収用委員会は、当該土地について土地収用法
  48条に基づく収用裁決(権利取得裁決)をした。しかし、Xは、こ
  の裁決において決定された損失補償の額についても、低額にすぎる
   として、不服である。より高額な補償を求めるためには、Xは、だ
  れを被告として、どのような訴訟を提起を提起すべきか。また、こ
  のような訴訟を行政法学において何と呼ぶか。40字程度で記述し
   なさい。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
 
 ●  総説

 
 本問では、ズバリ、形式的当事者訴訟について問われている。


 1 形式的当事者訴訟の占める位置

   
  ○ 抗告訴訟(行政事件訴訟法第3条第1項・第
   2項)

  ○ 形式的当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条前段)

  ○ 実質的当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条後段)

  ○ 民事訴訟

 
  以上の訴訟形態の中において、中心的なテーマになるのは、抗告
 訴訟・実質的当事者訴訟・民事訴訟である。

  
    その区別は以下のとおりである。
    
   
   ▲   行政「処分の取消しの訴」は、「行政庁の公権力の行使に関す
      る不服の訴訟」である抗告訴訟である(行政事件訴訟法第3条第
      1項・第2項)から、「行政主体と一般市民との間における対等
       当事者としての法律関係に関する訴訟]ではない。※1

   ▲  「行政主体と一般市民との間における対等当事者としての法律関
   係に関する訴訟」のうち、公法上の法律関係に関する訴訟が実質
      的当事者訴訟であり、私法上の法律関係に関する訴訟は民事訴訟
      となる。※2

   
    ※1「対等当事者としての法律関係」とは、「公権力を行使し
        ない」行政主体との関係というほどの意味として捉えるべきで
        あろう。   

    ※2 その具体例

     行政指導は、一般に「公権力の行使」に該当しないので、「処
        分の取消の訴」の対象にはならない。したがって、行政指導が違
        法である場合には、行政指導の違法の確認を求める訴訟形態を認
        める必要がある。これが、行政事件訴訟法4条後段で規定される
       「実質的当事者訴訟」なのである。

     以上に対して、「例えば、水道料金のような私法上の債務の不
        存在確認訴訟(民事確認訴訟)」(読本 参照)は、「私法上の
        法律関係に関する」ものとして、民事訴訟になる。

     (本講座メルマガ 2011/ 12 /26・107号を要約した)

  ▲ 以上のメンテーマに比較して、形式的当事者とは、特殊・例外的な
   訴訟形態である。

    後掲書「読本」によると、以下のような記述により、その説明が省
   かれている。あえて、そこを、記述式によって、突いてくるところに
   本試験の特徴があるといってもよいのかもしれない。

    ・・この訴えが実質的に見ると「公権力の行使に対する不服の訴訟」
    つまり「抗告訴訟」としての性質を持っているのだけれども、法形
    式の上では対等な当事者の間での訴訟というかたちになっている、
        ということなのです。ただ、こういった例」はそもそもほんとうに
        例外的にしか認められていませんし(例として、土地収用法133
        条3項、特許法については略 藤本)、行政法入門の段階では、こ
        ういうものがあるということについてあまり気にする必要はないと
        思います。

  
 2 形式的当事者訴訟(行政事件訴訟法第4条前段)

   行政事件訴訟法第4条前段が規定する。この訴えは実質的にみると
    「公権力の行使に対する不服の訴訟」つまり「抗告訴訟」としての性
     質を持っているが、法形式の上では対等な当事者での訴訟というか
     たちをとる(入門)。

   代表例としては、土地収用の場合において土地所有者に支払われる
    損失補償に関する争いである。訴訟の対象は、都道府県に設けられて
    いる収用委員会の裁決という行政処分であるため、この争いの実質は、
   「抗告訴訟」である。ところが、土地収用法は、「損失補償に関する
    訴訟は、損失補償の法律関係の当事者つまり土地所有者と土地所有権
    を取得し補償の義務を負担する起業者との間で行われるべきものとし
    ている」(読本)

  (本講座メルマガ 2011/ 12 /26・107号から抜粋)

   
     参照条文としては、土地収用法133条2項・3項 が重要である。
  


   ●  本問の検討

    前記総説 2 をそのまま、あてはめればよい。
  
    
   すなわち、

   損失補償の法律関係の当事者(土地収用法113条3項)
   
   X=土地所有者

   B市=土地所有権を取得し補償の義務を負担する起業者

   
   どのような訴訟=A収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する
           訴え(同法113条2項)・具体的には、「損
           失補償の増額請求の訴え」

   このような訴訟を行政法学において、形式的当事者訴訟と呼ぶ
  (行政事件訴訟法第4条前段)。

    したがって、本問の正解例は、次のとおりになる。

  --------------------------------------------------------------
   
     B市を被告として、損失補償の増額請求の訴えを提起すべきで、
   これを形式的当事者訴訟と呼ぶ。(44字)

  ---------------------------------------------------------------
   
       つまり、(1) B市を被告とすること (2)損失補償の増額
   請求の訴え (3)形式的当事者訴訟 の三つの記載がされていれ
   ば満点になるのだろう

  
   ●  付言 

   (1) 本問に関しては、当該本試験前において、前述のとおり、
      メルマガ107号で解説が実施されていることに、私は、
      ほっとしている。

   (2) 当事者訴訟とくに実質的当事者訴訟については、論点は多
      岐に渡っているので、将来の本試験対策として、メルマガ135号
     の「オリジナル問題出題・解説」において、詳述した。
          


     ★  参考図書

     
       行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

      ・有斐閣発行

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【発行者】 司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】 行政書士試験独学合格を助ける講座
 
  ▽本文に記載されている内容の無断での転載は禁じます。
 
  ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。
       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


examination_support at 18:38コメント(0) 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 26回 】★      
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            
-------------------------------------------------------------
 2009/4/28


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
-------------------------------------------------------------
 
【テーマ】行政法・行政指導
 

【目 次】問題・解説 
           

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 問題・解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ▲ 参照書籍 行政読本 芝池義一著・行政法入門 藤田宙靖著とも
   に 有斐閣発行 

 ▲ 本コーナーでは、標題に掲げたテーマに絞り、過去問の肢を参照
    しながら、解説を進める。なお、各肢が過去問のいずれかに該当
    するかの指摘は省くことにする。


  スタート! 解答は、○×で表示する。

 【行政指導】


 《問題》

 ◎ 行政指導に携わる者は、当該行政機関の任務または所掌事務の範囲
   を逸脱してはならない。ー(1)   

 ◎ 行政手続法および行政手続条例では、法律または条例の規定に基づ
   かない行政指導は許されないものと定められている。−(2)

 ◎ 行政機関が行政手続法による規律をうける行政指導を行うことが
   できるのは、行政機関が行政処分権限を法律上有しており、処分に
   代替して事前に行政指導をする場合に限られる。これに対し、組織
   上の権限のみに基づいて行われる事実上の行政指導については、
   行政手続上の規定は適用されない。ー(3) 

 《解説》

 (1)について。

 最高裁判所は、行政手続法の行政指導の定義に依拠しながら、「一般
 に、行政機関は、その任務ないし所掌事務の範囲内において、一定の
 行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める
 指導、勧告、助言等をすることができ」る、と判示している(読本)。
 ことから、正しい。    ○
 
 注
 1 上にいう判決とは、1955(平成7)年2月22日のロッキード事件
  丸紅ルート大法廷判決のことである。
 2 定義は、法2条6号 行政指導の一般原則の規定は法32条1項 。
 3 行政機関の任務と所掌事務は、各省の設置法などで規定されている。
 環境省設置法は、「環境省は、地球環境保全・・・・・その他の環境
  の保全を図ることを任務とする。」というように環境省の「任務」を
 一般的に定め、その具体的内容を「所掌事務」として25項目にわたり
  列挙している。ちなみに、最多の所掌事務を誇るのは128項目の国土
  交通省。次いで110項目の厚生労働省。(読本)

 (2)について。

(1)で述べたとおり、「行政機関の任務または所掌事務の範囲」
 において、行政指導が行われるのであり、行政指導については、
 法律ないし条例の授権を要しない。したがって、行手法には、その
 ような規定はない(32条1項参照)。また、行政手続条例において、
 行政指導について、条例の授権を要すると定めることは許されない。
 ×
 
 注
 地方公共団体の行う行政指導には、行手法の規定が適用されないので、
 行政手続条例が定められ、その規定に従うことになる。(法3条3項.
 46条)しかし、その規定において、行政指導に条例の授権を要すると
 定めることは許されない。(このあたりは、前回の復習ですね)

 (3)について。

 (1)(2)で述べたところで明らかなように、、行政指導が許される
 のは、行政処分に代替して、事前に行われる場合に限られない。
 組織上の権限に基づいて行われるのが、さきに述べた各省設置法に
 基づく「任務ないし所掌事務」であって、その範囲で事実上行われる
 のが、行手法の規律の対象となる行政指導である。したがって、本肢
 は、前段も後段も誤りである。×

 こうして、過去問の肢を抽出して、並べてみると、同じ論点を何度も
 角度を変えて問うていることが分かる。
                

《問題》

 ◎ 行政指導は、行政機関が、相手方に一定の作為又は不作為を行わせ
   ようとする行為であるということができるが、法律上の拘束力を有す
  る手段によって求める内容を実現しようとするものではなく、
  あくまでも相手方の任意の協力を前提としている。ー( 4 )

 ◎ 行政指導は相手方私人の任意的協力を求めるもので、法令や行政
  処分のように法的拘束力を有するものではなく、宅地開発指導要綱
  のように書面で正式に公示される形式をとった場合や、指導に従わ
  なかった場合には相手方の氏名が公表されることが条例によって
  定められている場合 においても、法的拘束力がないということに
  変わりはない。ー( 5 )
     
 《解説》

 行政指導は、行政「処分」と異なって(法2条6号の定義)事実上の行為
 であり、「相手方の任意の協力によってのみ実現されるものである」
 ( 法32条)ことから、法的拘束力を持たない。(4)(5)ともその
 ことの記述であり、ともに正しい。この二つの肢を熟読しておくとよい。
 したがって、○ ○であり◎。

 
 《問題》

 ◎  行政指導に携わる者は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由
   に、不利益な取扱いをしてはならない。ー( 6  )


 ◎ 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを
   理由として、不利益な取扱いをしてはならない。この場合において、
   不利益な取扱いには、行政指導により求める作為又は不作為を行うこと
   を奨励する制度を設けてこれに従った者に対して一定の助成を行うなど
   の措置をとるときに、従わなかった者がその助成を受けられないような
   ものも含まれる。ー( 7  )


 《解説》

 行政指導の一般原則として、行政指導における不利益取扱いの禁止が
 行手法に規定されている(32条2項)。
 したがって、(6)は、条文のとおりで正しい。

 問題は、(7)の後段部分である。これは、農業従事者に対する減反の
 行政指導が念頭にあるものと思われる。行政指導に従った者は補助金
 をもらうことができるが、その指導に従わなかった者は、補助金を
 もらえないことが、後者に対する「不利益取扱い」になるのではないか
 という問題である。これについては、行政実務上では、「行政手続法が
 禁止しているのは、『行政指導に従わない者に対する不利益措置』であり
 『行政指導に従った者に対する優遇措置』は別である」という説明が
 なされているようである。(読本)ナルホドと思う反面、ソウカナア
 という疑問が相半ばします。しかし、本肢では、不利益取扱いに含ま
 れないとすべきであるから、誤り。


 したがって、(6)は○で、(7)は×

 注 さきの(5)で、「指導に従わなかった場合に相手方の氏名が公表
 される」ことは、ここでいう不利益取扱いに該当するのではないかという
 疑問がある。皆さんはどう考えられますか。答えはこうです。該当する。
 しかし、ここでは、条例の規定になっているので、行手法の32条2項の
 規定が直接適用されることはない。

 
 《問題》

 ◎  申請の取下げ指導にあっては、申請者が当該行政指導に従う意思が
   ない旨を表明したときは、行政指導を継続する等して申請者の権利を
  妨げてはならない。ー( 8)

 ◎ 申請の取下げ又は変更を求める行政指導にあっては、行政指導に
  携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明した
   にもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の
   権利の行使を妨げるようなことをしてはならないが、当該行政指導
   には、申請書の記載事項の不備、必要な添付資料の不足等の申請の
   形式上の要件に適合していないことからその補正を求めるものは
   含まれない。ー( 9 )

 《解説》

 以上の問題は、行手法33条の規定に関するものである。建築確認
 の申請でよく問題になるが、適法な申請であっても、当該マンヨン
 の建築に際し、近隣の苦情のため、適法な申請であっても、その
 建築確認を受理せず、留保したままで、行政指導を続けるということ
 がある。この場合において、「『申請者が当該行政指導に従う意思が
 ない旨を表明した』場合には、行政指導を続けることによって
『申請者の 権利の行使を妨げて』はならない、つまり申請者が自己
 の欲する申請をすることを妨げてはならない」ということになる。
(読本)つまり、建築確認を受理しなければならないことになる。
 実務上、当職が業者・付近住民いずれから相談をもちかけれれても、
 悩ましい問題である。
 なお、このような事案に対して、最高裁判所は、建築確認の留保が
 違法になるための要件の一つとして、「行政指導に対する建築主
 の不協力が社会社会通念上正義の観念に反するものといえるような
 特別の事情が存在しない」ことを挙げている(最判昭和60年7月
 16日)つまり、近隣住民が当該マンションの建築により受忍の
 限度を超える苦痛を蒙る場合には、適法な建築確認を留保して、
 住民の立場に立って、行政指導を継続することが適法になる
 のであろう。このような行政指導(ほかにも地方公共団体が環境
 保全のなどのために事業者に対する行政指導がある)は、地方公共
 団体によって行われるために、「地方公共団体の行政手続条例では、
 行政指導を尊重すべきことを定めたり、行政指導を広げる規定が
 おかれることがある。」(読本)
 ここに記述したことは、今日的な重要な問題であるから、今後
 本試験に出題される可能性は大であるため、この際に確りと把握
 しておく必要がある。

 注 法3条3項において、地方公共団体の機関がする行政指導
 について, 行手法の適用を(したがって、33条も)無限定除外
 している根本的な理由が、以上の記述によって、明確になるので
 ある。

(8)は、33条の条文どおりであり、○。

 (9)は、申請者に申靖の意思がある場合には、形式的な不備に
 対する補正には応じるべきであり、この場合には、申請者の意思
 に反して、補正の行政指導を継続しても申請者の権利の行使を
 妨げたことにはならない。したがって、「含まれない」とする
 のは正しい。   ○
 しかし、これは、常識的判断に属するものであり、冒頭の論点
 と比較すると、重要度は低いように思われる。


 《問題》

 
 ◎ 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨
   および内容ならびに責任者を明確に示さなければならない。ー(10)
      
 ◎ 行政指導に携わる者は、当該行政指導につき不服申立てをすること
   ができる旨ならびに不服申立てをすることができる旨ならびに不服
  申立てをすべき行政庁および不服申立期間を教示しなければならない。
  ー(11)
   
 ◎  行政指導の相手方以外の利害関係人に対しては、請求があっても
   書面で行政指導する必要はない。ー(12)
   

 ◎ 不利益処分に先立つ行政指導をする場合においては、行政機関は
   相手方に対し、書面で行政指導をしなければならない。ー(13)

   
 ◎ 災害の発生に伴って緊急に避難するよう行政指導により口頭で勧告
   した場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並び
   に責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に
   携わる者は、これを交付しなくてもよい。ー(14)
       
 ◎ すでに書面で相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導を
  する場合においては、行政機関は書面を求められても、これを交付
    する必要はない。ー(15)    
 
 ◎ 行政指導は、その内容および責任者を明確にするため書面で行うこと
   を原則とすべきであり、書面によることができない相当な理由がある
   場合を除いて、口頭による行政指導をすることをすることができない
   という行政手続法の定めがある。これに対し、一部の行政手続条例では、
   行政手続法の規定とは異なり、口頭の行政指導を許容する規定を置いて
   いる場合がある。ー(16)    76−オ

 

 《解説》

 ここでは、行手法35条に規定されている形式的規制がとりあげる。

 1項で定められているのは、「明確性の原則」と呼ばれる。

 (10)は、条文のとおりであって、○ ほかにも年度を跨いで
 同じ肢があり。

 (11)については、行政指導は、行政処分と異なって、事実上
 の行為であるから、不服申立て制度はない。また、行手続法は、
 事前手続に関する法であるから、行政上の不服申立て手続を
 含まない。 いずれにせよ、行手続法にこのような規定はない。
 ×

  (12)について。35条2項によれば、相手方から請求があれば、
 書面の交付を要することになっているが、相手方以外の利害関係人
 に対する書面の交付は要しない。 ○

 (13)について。前述のとおり、相手方からの請求があれば、
 書面の交付を要するが、不利益処分に先立つ行政指導に限って
 相手方に対し、書面で行政指導しなければならないという規定
 は、行手続法にはない。×

 (14)について。この場合には、35条3項1号の「その場
 において完了する行為」に該当し、書面の交付は要しない。
 ○
 
 (15)については、35条3項2号の規定どおりであり、
 そのとおり。○

  (16)については、35条2項において、口頭での行政指導
 を原則にしており、相手方からの交付を求められたときは、
 書面の交付をすべきこととされているので、本肢は×。


 《問題》


 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し
 複数の者に対し行政指導しようとするときは、行政機関は、あらかじめ、
 事案に応じ、これらの 行政指導に共通してその内容となるべき事項
(行政指導方針)を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、
 これを公表しなければならない。

 
 《解説》

 36条は、複数の者を対象とする行政指導に関し、合理的な方式と
 として採用されたものである。この問題は条文どおりであって、○
 なお、同じ内容のものが年度を挟んで3度も出題されていることに
 注意。

 

 《問題》

 規制的な行政指導によって、私人が事実上の損害を受けた場合には国家
 賠償請求訴訟によってその損害を求償することができる。これに対し、
 受益的な行政指導の場合においては、強制の要素が法律上のみならず
 事実上ももないのであるから、行政指導に基づき損害が発生した場合
 には、民法上の不法行為責任を問うことはできても、国家賠償責任を
 問うことはできない。 76ーイ

 《解説》

 国家賠償法1条の「公権力の行使」には、非権力的公行政も含むという
 というのが最高裁判所の立場である(昭和62年2月6日判決)。また、
 「公権力の行使」として、1条1項を適用する裁判例があり、民法の
 規定が適用されることもあるとのことである。(読本)したがって、
 受益的な行政指導の場合において、国家賠償責任を問うことができない
 のは誤り。 ×

 注 行政指導の分類に従えば、受益的行政指導とは、「市町村が児童・
 妊産婦の福祉に関して行う指導等」。規制的行政指導とは、「違法建築
 がある場合の指導等]がこれに該当する。
 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 【発行者】司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
       
 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:万一当サイトの内容を使用したことによって損害が生じた
       場合についても当事務所では一切責任を負いかねます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


examination_support at 18:53コメント(0)トラックバック(0) 
記事検索
  • ライブドアブログ