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          ★ 【過去問の詳細な解説】 第69回 ★

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                       PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政事件訴訟法

     
  【目次】   問題・解説


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 ■ 問題 平成21年度問題18
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   行政事件訴訟法の定める当事者訴訟に関する次の記述のうち、正
 しいものはどれか。

 1 当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分に関する訴訟
  で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするも
  のは、当事者訴訟である。

 2 地方自治法の定める住民訴訟のうち、当該執行機関または職員
   に対する怠る事実の違法確認請求は、当事者訴訟である。

 3 国または公共団体の機関相互間における権限の存否に関する紛
   争についての訴訟は、公法上の法律関係に関するものであるから、
  当事者訴訟である。

 4 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされな
   いとき、行政庁がその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟
   は、当事者訴訟である。

 5 公職選挙法に定める選挙無効訴訟は、国民の選挙権に関する訴
  訟であるから、当事者訴訟である。

   
 
  

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 ■ 解説
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
 ◆ 序説

   本問は、行訴法4条の条文が頭にあれば、1が正しいもので
 あると即答し得たであろう。

 しかし、それだけでは、解説にならないので、将来の本試験を
 見据えて、より詳しく見ておく必要がある。「当事者訴訟」は
 近時注目をあびているようであり、今後とも形を換えて出題
 される可能性がある。
  
 ◆ 総説

  
  行政訴訟は、主観訴訟と客観訴訟に分かれる

 
 ○ 主観訴訟=権利保護の制度・つまり救済の制度。

  
    抗告訴訟と当事者訴訟に分かれる。

    「抗告訴訟」=取消訴訟・無効等確認訴訟・不作為の違法確認
           ・義務付け訴訟・差止訴訟


     「当事者訴訟」=実質的当事者訴訟・形式的当事者訴訟

 

 ○ 客観訴訟=権利救済のためでなく、国・公共団体の違法行為を
                是正し、その活動の適法性を確保することを目的と
                する。


     「民衆訴訟」・「機関訴訟」


 (前掲書・読本 266頁の図表を参考にした)


 ◆ 各肢の検討

 
  ●  肢1について。
 
   本肢は、行訴法4条前段の「形式的当事者訴訟」である。
 
  これに対比されるのが同条後段の「実質的当事者訴訟」である。 

  いずれも、総説の「当事者訴訟」に含まれるる。
 
  いずれにせよ、本肢が当事者訴訟であることに相違ないから、本肢
  は正しい。

   以下において、「形式的当事者訴訟}について説明する。
  
   まず、条文の意味するところは、難解であるが、「本来は取消訴訟
  であるべきところ、法律の規定により当事者訴訟とされているので
  『形式的当事者訴訟」と呼ばれている。」(読本270頁)

 「この訴訟の代表例は、土地収用の場合において土地所有者に支払
   われる損失補償に関する争いである。損失補償は、都道府県に設
   けらている収用委員会の裁決によって定められるが、、裁決は
   行政処分であり・・従って土地所有者がその損失補償に不服がある
   場合には、本来収用委員会を被告として取消訴訟を提起しなければ
   ならないはずである。ところが、土地収用法133条2項は、損失
  補償に関する訴訟は、損失補償の法律関係の当事者つまり、土地
   所有者と土地所有権を取得し補償の義務を負担する起業者との間
   で行われるべきものとしている。」(読本270頁)

  条文の定義は、上のような関係の訴訟を意味しているとされる
 (このあたりまでの把握は、本試験の射程距離といえるのでは
    ないか)。

  これに対して、行訴法4後段の「実質的当事者訴訟」に関しては、
  最大判H17・9・14を参照すべきである(これも本試験の射程
  距離といえる)。

   在外国民が「次回の衆議院の総選挙における小選挙区選出議員の
 選挙および参議院の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において、
 在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票できる地位にあ
 ること」の確認を求める訴えは「公法上の法律関係に関する訴え」
 として確認の利益が肯定され適法である。

 (入門211頁以下・読本337頁以下)

  なお、この他、当該訴訟の例として、「公務員の身分の確認を求
 める訴訟や公務員の俸給の支払を求める訴訟などがこれに該当する。」
 とされる(読本 269頁)

 
  ☆  関連事項

   過去問 平成19年度・問題19をみよ!!

  行政事件訴訟法4条の当事者訴訟に当たるものの組合せとして
 正しいものとして、次の肢が挙げられている。

  ア  土地収用法に基づいて、土地所有者が起業者を被告として
  提起する損失補償に関する訴え

 オ 日本国籍を有することの確認の訴え


 アが、形式的当事者訴訟であり、オが、実質的当事者訴訟である。

 
  ● 肢2・肢5について

   地方自治法242条の2に定める「住民訴訟」は、行訴法5条
  が規定する民衆訴訟である(総説・○客観訴訟「民衆訴訟」参照)。

   肢2のように、「住民訴訟」のうち、一部が「当事者訴訟」に
   になることはない。

   選挙に関する訴訟は公職選挙法(203条以下)で定められ、
   これもまた、民衆訴訟である(総説参照)。
   肢5は誤り。
  
   次の指摘に注意。

   「選挙に関する訴訟は公職選挙法(203条以下)で定められ、
    住民訴訟は地方自治法(242条の2)で定められている。
    行政事件訴訟法5条の規定は、それらの訴訟を行政訴訟に
    組み込むという意味を持っている」(読本271頁)
        
              ↓

     このように、法律・条文の仕組みを体系的にとらえる
     ことが重要。

              ↓

     過去問を素材として、「行政法」の体系的理解を!!
     という実践例(その他講座では、このような指導は
     しないというのが、私の実感)。

 ● 肢3について

     本肢は、行訴法6条の機関訴訟である(総説・○客観訴訟
     「機関訴訟」参照)。当事者訴訟ではない。

     次の指摘に注意

   「機関訴訟も、法律が定めている場合に限り、法律で認
    められた者だけが提起することができる」(読本271
        頁)

 ● 肢4について

  本肢は、行訴法3条6項の規定する「抗告訴訟」のなかの
  義務付け訴訟である(総説・参照)。

  なお、次の条文は、常に念頭におくべきである。

   行訴法3条1項

   この法律において、「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力
  の行使に関する不服の訴訟をいう。

   行政事件訴訟法の中心的命題である。      


 
 
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        ★ 過去問の詳細な解説・第68回 ★

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 ■ 問題 平成21年度問題17
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   行政事件訴訟法に定められた仮の救済制度に関する次の記述の
 うち、正しいものはどれか。

   1 行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為については、
   行政事件訴訟法の定める執行停止、仮の義務付けおよび仮の差
   止めのほか、民事保全法に規定する仮処分を行うことができる。
   
   2 仮の義務付けおよび仮の差止めは、それぞれ義務付け訴訟ないし
   差止め訴訟を提起しなければ申し立てることができないが、執行
     停止については、取消訴訟または無効等確認訴訟を提起しなくても、
     単独でこれを申し立てることができる

   3 申請に対する拒否処分に対して執行停止を申し立て、それが認め
     られた場合、当該申請が認められたのと同じ状態をもたらすことに
     なるので、その限りにおいて当該処分についての仮の義務付けが認
     められたのと変わりがない。

  4 執行停止は、本案について理由がないとみえるときはすることが
     できないのに対して、仮の義務付けおよび仮の差止は、本案について
   理由があるとみえるときでなければすることができない。

   5 処分の執行停止は、当該処分の相手方のほか、一定の第三者も申し
     立てることができるが、処分の仮の義務付けおよび仮の差止めは、
     当該処分の相手方に限り申し立てることができる。
 
  

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 ■ 解説
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
 
 ◆ 各肢の検討


  ● 肢1について。

  行訴法44条によれば、「行政庁の処分その他の公権力の行使に
 当たる行為」ついては、仮処分が許されないとしている。

  したがって、本肢は誤りである。

   なお、次の指摘は大切である。

   「・・この仮処分制限の代償として、抗告訴訟について執行停止
   、仮の義務付け、仮の差止めという仮の救済制度が設けられて
  いる」(前掲 読本354頁)
 
   ここにおいて、本問のテーマの導入部分が提示されたことになる。

 
 ● 肢2について。

 (1)仮の義務付けの積極的要件として、義務付け訴訟の提起を
    要する(行訴法37条の5第1項)。

     この点において、本肢は正しい。

 (2)仮の差止めいついても、同様に差止め訴訟の提起を要する
    (行訴法37条の5第2項)。

     この点も、本肢は正しい。
  
 (3)執行停止の形式的要件として、「処分の取消しの訴えの提起
   があること、すなわち本案訴訟である取り消し訴訟が適法に裁
   判所に提起されていることが必要である」(行訴法25条2項)
    
  (前掲 読本 348頁)

   なお、当該規定は、無効等確認訴訟にも準用されていること
  にも注意すべきである(行訴法38条3項)。
 
     (3)に反する本肢は、全体として、正しくない。


   ○ 関連事項

   義務付け訴訟に関連して、平成19年度過去問・問題17肢3(正しい)
 とその解説を掲げておく(サイト36回)。

   
    Xが市立保育園に長女Aの入園を申込んだところ拒否された場合
  において、Xが入園承諾の義務付訴訟を提起する場合には、同時に
    拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して提起しなければ
    ならない。

  《解説》 

  不作為の違法確認では、違法だということの「確認」を求めるだけで
  あるから、有効であるとはいえないため、裁判所が行政庁に何らかの
  行為をすべきことを命ずる判決することが要請される。これが3条6号
  の義務付け訴訟である。
  この義務付け訴訟の場合(3条6項2号=申請型不作為≪入門≫)には、
 不作為の違法確認訴訟も併合して行わなければならない
(37条の3第3項1号)。
  つまり、建築確認申請に対し、行政庁の不作為のあった場合、これに
 応答するよう求める訴えがこれに該当する。
 
   これに対し、本肢のように、申請に対して、すでに拒否処分がなされた
 場合(入園の拒否)において、義務付け(入園の承諾)訴訟を提起する
 場合には、同時に拒否処分の取消訴訟または無効確認訴訟も併合して
 提起しな ければならない(37条の3第3項2号)。注(1)(2)

 したがって、本肢が正しい。

  注
(1) 義務付け訴訟は、不作為違法確認訴訟・取消訴訟・無効確認訴訟の
    補充的な制度である(入門)。だから、当該訴訟には、以上いづれかの
    抗告訴訟を併合する必要があるといえる。

 (2)義務付け訴訟にはもうひとつある。これが、3条6項1号に該当する
    「直接型不作為」(入門)である。これは、隣地の建物が違法建築で
    ある場合に、行政庁に対し、改善命令を訴求するものであるから、肢1
    に相当する事案である。つまり、肢1のような申請型不作為でないもの
    には、不作為違法確認訴訟の提起はできないが、義務付け訴訟はできる
    のである。

   参考 肢1とその解説
 
  Xの家の隣地にある建築物が建築基準法に違反した危険なもので
   あるにもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない
  場合、Xは、当該規制権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟
   を提起することができる。

  ≪解説≫
  
   3条5項による不作為の違法確認の訴えとは、建築確認の申請をした
 のにいつまでも返事がない、あるいはなんらかの営業許可の申請をした
 のだけれど、いつまでたっても行政庁からの返事がない、というような
 場合に、裁判所に、なんらの返事もしないのは違法である、といことを
 確認してもらうのがこの訴え、ということになる(入門)。
 本肢のように、近隣の者が、規制権限の不行使(たとえば、取り壊しを
 命ずる処分の不行使)を理由にして当該訴えを提起することはできない。

  正しくない。

 

 
  ● 肢3について。

   本肢は題意が掴みにくいが、生活保護の申請の拒否処分を例に説明
 する。

  当該拒否処分に対して、取消判決があれば、判決の拘束力に基づいて
 行政庁は、判決の趣旨に従って、生活保護の給付決定をしなければな
 らない。(行訴法33条2項)。
  しかし、執行停止の決定には行訴法33条2項の準用がないので、
 裁判所が執行停止の決定をしても、行政庁は何らの措置をとることも
 義務づけられない。
  もし、取消判決前に行政庁を義務づけようとすると、肢2で述べた
 「仮の義務付け」を申し立てることになる。
  すなわち、当該拒否処分については、取消訴訟と義務付け訴訟を
 併合提起し、仮の救済である「仮の義務付け」を用いることになる
  のである。
 (以上 前掲 読本 351頁 参照)


   上記記述は、「執行停止が認められた場合、当該処分についての
 仮の義務付けが認められたのと変わりがない」という本肢の趣旨に
 明らかに反する。
 

 誤りである。

   ちなみに、本講座では、第43回F 平成18年度過去問・問題15
 肢 3 の解説において、上記テーマについて説明しているので、
 本講座を丁寧に受講されていれば、平成21年度本試験・本肢の
  題意を把握できたと思う。
  
 
  
 ● 肢4について。

   執行停止については、25条4項に規定がある。仮の義務付け
  および仮の差止めについては、37条の5第1項・2項に規定が
  ある。

   本肢が正しくて、正解である。

  ただし、次の2点に注意せよ。

   (1) 本案について理由がない=行政処分に、取消事由に当たる
       違法性がない。

 (2) 「本案について理由がないとみえる」は、執行停止にあって
   は、消極要件であり、仮の義務付けおよび仮の差止にあっては
   積極要件である。(前掲書 読本348頁 353頁)
    
        つまり、本肢は、ここに焦点を当てている。
      あるいは、「仮の義務付け」等にあっては、厳格な要件が
   設けられているということがが頭の隅にあれば、この肢が
      正しいという見当がついたかもしれない。

 ● 肢5について


   行訴法25条2項によれば、執行停止を申立てるには、本案訴訟
 である取消訴訟が適法に裁判所に提起されていることが必要である。
  
   取消訴訟の原告適格について、行訴法9条2項は、処分の相手方以外
 の第三者利害関係人にもその適格を認める

 ○  たとえば、マンションの建設についての建築確認に対し、第三者で
  ある近隣の住民が取消訴訟を起こす場合である。この場合、その者
  が執行停止を求めることができる。

 × 行訴法3条6項1号に該当する「直接型不作為」に基づく「義務付け
  の訴え」の提起があった場合において、[仮の義務付け]ができる。
  さきのマンション建設についていえば、第三者が、改善命令を訴求し、
 「仮の義務付け」ができることになる(37条5第1項)。    
     

 × 行訴法3条7号の「差止めの訴え」の提起があった場合において、
  「仮の差止め」ができる。第三者が違法建築の差止めの訴えを提起
  し、「仮の差止め」ができる(37条の5第2項)。

  以上○の記述は、本肢に合致するが、×の記述は、本肢に反する。
 全体として、誤りである。

  この肢を正確に理解しようとすれば、本案訴訟を考察の対象とする
 と同時に条文も錯綜していて、大変である。しかし、一度時間をかけ
 てその仕組みを把握しておく必要がある。これらは、行政法の中枢
 部分であり、これからの本試験で繰り返し問われる可能性がある。


  ◆ 付 言

   本問は、新型の問題であり、過去問とは重なり難い。しかし、前述
 したように、一部重なる。
  そのほかにも、下記のサイトでも、一部重なりがある。

     第36回・第41回・第43回

 ◇第36回はコチラ↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/792006.html
 ◇第41回はコチラ↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/854713.html
 ◇第43回はコチラ↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870899.html


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    ★ 過去問の詳細な解説《第2コース》第67回 ★

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  【テーマ】 行政事件訴訟法

     
  【目次】   問題・解説


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 ■ 問題 平成21年度問題16
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   行政事件訴訟法に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものは
 いくつあるか。

 
 ア  国の行政庁がした処分に関する取消訴訟の被告は、国である。

 イ 国の行政庁が行うべき処分に関する不作為の違法確認訴訟の被告
  は、当該行政庁である。

 ウ 国の行政庁が行うべき処分に関する義務付け訴訟の被告は、当該
   行政庁である。

 エ 国の行政庁が行おうとしている処分に関する差止め訴訟の被告は、
   当該行政庁である。

 オ 国又は地方公共団体に所属しない行政庁がした処分に関する取消
   訴訟の被告は、当該行政庁である。

  
 1 一つ

 2  二つ

 3 三つ

 4 四つ

 5 五つ


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 ■ 解説
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
 
  ◆ 序説

   サイト41回を参照すれば、本問は容易に正解に達するはずである。

 ☆サイト第41回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/854713.html
 
 したがって、過去において、当講座に参加されていた方は、該当箇所
 に目を通していただいておれば、21年度のこの問題は、即座に正解
 に達したはずである。

  とはいっても、当該論点は、普通の教科書には、普通に掲載されて
 いるのだろう。

 

 ◆ 本論

   以下において、本問と関連する箇所について、過去問と対照しながら、
 要点を再説する。

 (1)平成17年度過去問・問題16

   平成16年の行政事件訴訟法改正では、行政訴訟における国民の救済
 範囲の拡大と国民にとっての利用しやすさの増進がはかられた。次の
 記述のうち、改正法でなお実現されなかったものはどれか。

 肢1
 
   従来、抗告訴訟における被告は行政庁とされていたが、改正後
 は、国家賠償法と同様に、国または公共団体を被告とすることに
 なった。

 《解答欄》
 
  これは、被告適格の問題である。改正法で実現されたものであるから、
 肢としては、正しくないことになる。
 
 平成16年に改正された行政事件訴訟法11条1項によると、
 処分または裁決をした行政庁が国または公共団体に所属する場合
 には、取消訴訟は、それぞれ、国またはその公共団体を被告として
 提起しなければならないことになっている。

   なお、この11条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟 にも適用
 されることになっていることに注意せよ!!(同法38条1項)。

   内容を明確にするため、「入門」(224頁以下)から、次の文章
 を引用する。
 
 「民事訴訟法の原則からいえば、これはあたりまえのことですが、
  じつは今回の法改正の以前においては、『処分の取消しの訴えは、
 処分をした行政庁を、裁決の取消しの訴えは、裁決をした行政庁
 を被告として提起しなければならない」とされてたのでした
 (改正前11条)。
  ・・・・・・・・
 『行政庁』は、『処分または裁決をおこなう権限を与えられている行政
 機関』のことだ、と考えておけばよいでしょう。
 
 こうして旧法のもとでは、 たとえば、課税処分の取消訴訟だったら、
『国』を相手として訴えを起こすのではなく、その課税処分をした税務
 署長 を相手としなければならない。

  運転免許取消処分の取消訴訟だったら、知事ではなくて、免許を取り消し
 た公安委員会を被告として訴えを起こさなければならない、という状態
 でした。

  これは大変まぎらわしいことですが、ここのところをまちがえると、
 それだけで訴えは門前払い(却下)になってしまったわけで、国民の
 権利救済制度という見地からは、大きな問題がありました。

  そこで、 今回の法改正では、これを改めて、民事訴訟の原則に戻す
 ことにした・・」
 
   本肢では、国家賠償法が挙がっているが、これは民事訴訟法の適用
 を受けるので、以上述べたことは、国家賠償法にも妥当する。
 
   なお、「入門」による次の指摘にも注意せよ。

  「国または公共団体が被告になる場合でも、訴訟において、実質的には
   行政庁が主体となって活動することとなっています(法11条4項〜6項を
   参照)。」
 
                        ↓
 ◎ 本問のア・イ・ウ・エについて。

 アの取消訴訟の被告が「国」であることは、前述したとろにより正しい。

 行訴法3条各号によれば、「不作為の違法確認の訴え」(5号)、
「義務付けの訴え」(6号)、「差止めの訴え」(7号)はいずれも、
 抗告訴訟であるから、前述したところから明らかなように、行訴法38
 条1項の規定の準用により、いずれも、被告は「国」である。
 
  したがって、被告を「当該行政庁」とするイ・ウ・エはいずれも誤り
 である。

  


 (2) 平成18年度・問題18

  平成16年の行政事件訴訟法改正後の行政事件訴訟制度の記述として、
 正しいものはどれか。

 肢 3

   処分が、国または公共団体に所属しない行政庁によって行われた
 場合、 当該処分の取消しを求める訴えは、処分取消訴訟に替わり、
 民事訴訟によることとなった。

 《解答欄》

  これもまた、被告適格に関する問題であるが、以下により、正しくない。

  法11条1項では当該行政庁の所属する国または公共団体に被告適格
 があるが、本肢の場合には、11条2項により、当該行政庁を被告とす
 る抗告訴訟を提起することになる。平成16年の改正により追加された
 条項である。

                    ↓

 ◎ したがって、本問の肢オは正しい。


 ◆  総括

   以上により、本問は、アとオが正しいことになるので、正解は2である。

  本問は、行訴法11条と38条1項の適用により正解に達する問題では
  あるが、解説欄において述べたことを把握しておけば、応用力がつく。
 
    この問題については、関連部分に関し、将来とも出題される可能性が
 ある。本講座においても、将来有料メルマガで出題する見込みだ!!

  
 ◆ 付言

   以上の体験を通じて、過去問の肢の一つひとつの検討の重要性が痛感
 される。いうならば、過去問を素材として、「行政法の体系的理解」が
 肝要であるということである。
 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
       
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     ★ 過去問の詳細な解説《第2コース》第64回★
      
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 【テーマ】 行政行為の取消しと撤回(続)
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           「サイト32回」に掲載がある。
           ↓
  http://examination-support.livedoor.biz/archives/729085.html  
       
      本過去問に即して、理解しやすいように当該サイトを整理
      し、所要事項を付加した。
    
      平成19年度以降におけるこのテーマからの出題は、20
      年度 問題8がズバリ!! そろそろ、将来の本試験で問
      われる可能性あり。
 
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 【目次】   問題・解説

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 問題 平成18年度問題10
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
   行政行為の職権取消と撤回に関する次の記述のうち、妥当なもの
 はどれか。

 1 行政行為の撤回は、処分庁が、当該行政行為が違法になされた
  ことを理由にその効力を消滅させる行為であるが、効力の消滅が
   将来に向かってなされる点で職権取消と異なる。

 2 旅館業法8条が定める許可の取消は、営業者の行為の違法性を
  理由とするものであるから、行政行為の職権取消にあたる。

 3 公務員の懲戒免職処分は、当該公務員の個別の行為に対しその
  責任を追及し、公務員に制裁を課すものであるから、任命行為の
  職権取消にあたる。

 4 行政行為の職権取消は、私人が既に有している権利や法的地位
   を変動(消滅)させる行為であるから、当該行政行為の根拠法令
    において個別に法律上の根拠を必要とする。

 5 行政行為の職権取消は、行政活動の適法性ないし合目的性の
  回復を目的とするものであるが、私人の信頼保護の要請等との
   比較衡量により制限されることがある。
    
 (参考)旅館業法8条「都道府県知事は、営業者が、この法律
    若しくはこの法律に基づく処分に違反したとき、又は第
    三条第二項第三号に該当するに至ったときは、同条第一
    項の許可を取り消し、又は期間を定めて営業の停止を命
    ずることができる(以下略)」

 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣
  

 
 ○ 総説

  行政行為の職権取消と撤回に関しては、以下の要点を把握しておき
 たい(一部再説)。


 1 行政行為の取消しと撤回の違い

 (1) 行政行為の取消しは、行政行為成立時の違法性を理由に取り
      消すものであり、
      
    効果としては、原則として遡及効あり(行政行為の効果を行政
     行為時にさかのぼって失わせる)。

  (2) 行政行為の撤回とは、行政行為が行われた後に発生した事情
  (事後的事情・後発的事情)を理由として、当該行政行為を破棄
     することを言う。

    効果としては、遡及効なし。

 (3) 法律の中では、撤回は「取消し」と表現されている。

 

 2 行政行為の取消しの種別

 (1)職権取消し
 
       行政庁が行政行為の違法性を認めた場合におこなわれる。
 
     当該職権取消しをなしうるのは、行政庁(処分庁)のみである。


 (2)争訟取消し

    行政行為には「公定力」があるから、行政行為は一応有効なもの
    として通用する。
     したがって、相手方や第三者がこの行政行為の存在を否定するため
  には、行政上の不服申立てをしたり、取消訴訟を提起して、その行政
   行為を散り消してもらう必要がある。
 
    これらが、「争訟取消し」である。

   当該「争訟取消し」をなしうるのは、訴訟については裁判所であり、
  行政不服申立てについては、行政庁である。


  以上のとおり、1において、行政行為の取消しと撤回の違いについて、
 その要件としては、行政行為時の違法性の有無、その効果として、
  遡及効の有無にあることが分かった。

  2において、行政行為の取消しの種別として、処分庁の行う
 「職権取消し」と裁判所と行政庁の行う「争訟取消し」があることが
   判明した。

 
 ○ 各説

 
 肢1・2・3については、以上の理解があれば、難なく解答できる。


 ☆ 肢1について

  行政行為の撤回は、事後的事情を理由になされるものであり、効力は
 将来に向かってなされるから,前段は誤りであり、後段は正しい。全体
 として、誤り。

  処分庁が、違法を理由に取り消すのは、職権取消である
 
  また、当該行政行為を破棄しうるのは、処分庁であることにも注目。

  したがって、サイト63回(平成10年問34 肢4)の次の肢も
 誤りである。

   行政行為の撤回をなし得るのは、処分庁又は裁判所である。

 

 ☆ 肢2について 

  行政行為の撤回は、瑕疵なく成立した行政行為を後発的事情
 を理由に破棄することであり、本肢は、営業者の法律違反等を
 理由とする後発的事情を理由とする営業許可の撤回に該当する。

 本肢は、職権取消しではなく、撤回であるから、誤りである。

 
 
 ☆  肢3について
  
  公務員の任命行為という行政行為について、その後に発生した懲戒
 事由を理由に破棄するものであるから、撤回に該当する.

  誤り。 

 
  肢4・5については、前回(63回)(平成10年問34 肢2)の
 問題・ 解説欄において述べたところと連動する。

  再説する。       

                        ↓

 問題  

    授益的行政行為については、これを取り消すことによって当該
   行政行為の相手方の権利又は利益を侵害することにならない場合
   に限り、取り消すことができる。

 解説

  ここでは、「授益的行政行為」の概念を把握することが大切である。
  そのためには、これと反対の概念である侵害処分と対比することに
 より「授益的行政行為」の理解が深まる。

  以下の記述に注意せよ!!

          
 (1)侵害処分とは、その相手方の権利や利益を侵害するものである
     から、申請によらず、職権によって行われる。
   
(2)これに対し、申請に基づいて行われる処分のほとんどは、その
   性質上授益処分である。

(3)行政手続法の規定によれば、(1)が第3章の不利益処分であり
 (2)が第2章の申請に対する処分である。

(4)建築確認が(2)に該当する授益処分であるのに対して、税務署
  の課税処分が(1)に該当する侵害処分の典型である。

 注 授益的行政行為と授益処分は同義である。

 
   ここで、建築確認(授益的行政行為の典型)を例にとって、本肢に
 即して説明する。

  行政庁が後から当該建築確認の違法性を認めて取り消しをすれば、
 必ず、「当該行政行為の相手方の権利又は利益を侵害することに
 なる」から、この肢は、事実上、授益処分についての「職権取消し
 否認説」に立っていることになる。

 しかし、この説は、次のように批判される(読本)。
 
「法治主義の原則から生じる違法状態の解消よりも、相手方の被る
 であろう不利益を重視するものであって・・・一面的な考え方」
 である。
 
   職権取消しを肯定する説は、次のように述べる(読本)。
 
「授益処分については、行政処分の違法性がどの程度か、職権取消し
 をすれば相手方に生じる不利益はどの程度のものか、不利益を緩和
 する措置をとることができないかどうか、といったことを総合的に
 考慮して 職権取消しが認められるどうか判断すべきである。」

  以上のとおり、本問は微妙な問題であるが、相手方の利益などを
 侵害すれば、取り消しができないとするのは、一面的であって、
 相手方の権利を侵害しても、総合的判断により取り消し得るという
 のが正しい。

 本肢は誤りである。

           ・ 
 ☆ 以上を前提に本肢4を検討する。


 私人が既に有している権利などを消滅させるという点から、ここで
 取り上げられている職権取消しも授益処分が対象になっている。
 ちなみに侵害処分であると、課税処分を例にとれば、分かるように
 その取消は、相手方の利益になることであるから、行政庁が違法性を
 認めて職権取消しを行うのに一々法律の授権を要しないという回答は、
 すっと出てくる。
 しかし、授益処分である建築確認であっても、もともと行政庁に
 処分権限が与えられているから、改めて法律の授権を要しないで、
 職権取り消しができる。
 
  したがって、本旨4は誤りである。

  ただし、さきの記述にあるように、その職権取消には制限があること
 になる。

 

  ☆ 肢5について

  行政行為の職権取消は、「行政庁が行政行為の違法性を認めた場合に
 おこなわれる」のであるから、「行政行為の適法性の回復を目的とする」
 という前段は正しい。
  しかし、授益処分の職権取消 については、相手方の信頼を侵害する
 ことになるから、全体的な考察による比較衡量が重要になる。後段も
 正しい。

 これはさきに述べた議論の結論そのものである。

  したがって、肢5が正しく、これが正解である。

 


 ○ 付言

 
   本問・肢4に関連して、授益処分の撤回について、法律の授権を
 要するかという問題がある。これについては、以下のように2点を
 把握しておくべきである(読本 123頁以下参照)

 (1) 最高裁判所1988(昭和63)年6月17日判決において、医師会
     における、母体保護法上の指定(妊婦中絶手術をできる医師
   としての指定)の撤回に関連して、次のように判示された。
  
   法律の授権がなくても、撤回を行うべき社会的必要性が高ければ、
    撤回をすることが認められる。

 (2) しかし、自動車の運転免許や宅地建物取引業の免許について
     考えると、制裁としての撤回には、法律の根拠が必要であり、
   これが、職権取消しとの違いであるという学者の指摘がある。

 以上については、これ以上深入りしないが、その他この分野
 については、侵害処分もからみ、把握しておくべき論点
(将来本試験でも踏み込んで問われる可能性あり)がある。
 
  後日、有料メルマガを通じ、これら論点にもふれたい。


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      ★ 過去問の詳細な解説《第2コース》第59回 ★
      
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 【テーマ】 行政上の義務違反
         

 【目次】   問題・解説


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■ 問題 平成21度問題42
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   行政上の義務違反に関する次の文章の空欄 ア〜エ に当てはまる
 語句を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。


   行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として
 科せられる罰を ア という。
  ア には、行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科す
 ものと、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対
 し科す行政上の イ がある。 イ としては、届出義務違反など
 に科される ウ がある。普通公共団体も、法律に特別に特別の定
 めがあるものを除くほか、その条例中に ウ を科す旨の規定を設
 けることができる。 ウ を科す手続については、法律に基づくも
 のと、条例に基づくものとで相違がある。条例上の義務違反に対し
 て普通地方公共の長が科す ウ は、エ に定める手続により科さ
 れる。

 

   1 秩序罰  2 行政代執行法  3 科料   4  公表
  
   5 懲役   6 行政罰     7 代執行  8  強制執行

  9 罰金   10 刑事訴訟法  11  間接強制 12 過料

 13 課徴金  14 非訟事件手続法15  行政刑罰 16 直接強制
 
 17 禁錮   18 懲戒罰 19 行政事件訴訟法 20 地方自治法
  
 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 解説
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 △ 参考書籍 

 行政法入門・藤田 宙靖著  行政法読本・芝池 義一/有斐閣

 ●  序論

   最新の平成21年度の本問も、サイト35号およびオリジナル問題
 
 23号[問題3](サイト58回に掲載)をこなしていれば、完璧

 に正解に達し得たであろう。

 ● 本論

   本問に則して、全体的に要点を掲げる。

   1 行政罰とは

   行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として
  科せられる罰をいう。

   より詳しくは
      ↓

   法律違反の行為に対する制裁を目的として行われる処罰であって、
  強制執行ではない。
   しかし、その威嚇的効果からすれば、行政上の義務の間接的な
    強制手段の一種であり、これを「間接的強制制度」という。

 2 行政罰の種類


    行政刑罰→行政上の義務違反に対し刑法典に刑名のある罰を科す
        もの。

        より詳しくは

          刑法典に刑名のある罰⇒「死刑」「懲役」「禁錮」
                     「罰金」・「拘留」「科料」

       秩序罰→行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に
        科すもの。
                    ・・・
               届出義務違反などに科される過料がこれに相当

        注・これは、刑法上の刑罰ではない。


    
    過料と地方公共団体の関係

       (前述のオリジナル問題23号[問題3]肢3・4参照)


         普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除く
    ほか、条例中に過料を科す旨の規定を設けることができる
    (地方自治法14条3項)。
               
                その手続(条例上の義務違反に
              ↓ に対して普通地方公共団体の長
                が科す)

      
     「地方自治法」に定める手続により科される(参照、15条2項・
      149条3項・231条の3第3項・255条の3など)


     その他関連事項

     (1)法律に基づく過料は、当該法律の定めによる手続による。
       その定めのないときは、「非訟事件手続法」161条以下
       の手続による。

     (2)行政刑罰は法律に基づく場合と条例に基づく場合《地方
       自治法14条3項》がある。
        その処罰の手続は原則として、刑事訴訟法である。
        例外・交通事件における即決裁判手続 道路交通法で定め
              る反則金制度など(入門)


     以上の要点を辿れば、以下が正解になる。


          ア 6の行政罰  イ 1の秩序罰  ウ 12の過料 

     エ 20の地方自治法

 
 ● 付言
                           
   本問では、12の過料を3の刑罰に該当する科料としないこと。

   正確な知識によって、20の「地方自治法」という正解に到達することが
 望まれる。


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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第52回 】★      
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 2009/8/18


             
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【テーマ】株式会社の資金調達方法
 

【目 次】問題・解説 
           
      
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■ 問題
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 平成20年度過去問・問題39

   甲株式会社(以下、甲会社という)の資金調達に関する次の文章
 の空欄(ア)〜(キ)に当てはまる語句の組合わせとして、正しい
 ものはどれか。なお、以下の文章中の発言・指摘・提案の内容は、
 正しいものとする。


   東京証券取引所に上場する甲会社は、遺伝子研究のために必要な
 資金調達の方法を検討している。甲会社取締役会において、財務
 担当の業務執行取締役は、資金調達の方法として株式の発行、
 (ア)の発行、銀行借入れの方法が考えられるが、銀行借入れの
 方法は、交渉の結果、金利の負担が大きく、新規の事業を圧迫
 することになるので、今回の検討から外したいと述べた。次に
 株式の発行の場合には、甲会社の経営や既存株主に対する影響
 を避けるために、(イ)とすることが望ましいのであるが、会社
 法は(ウ)について(イ)の発行限度額を定めているため、十分
 な量の資金を調達できないことが見込まれると指摘した。社外
 取締役から、発行コストを省くという観点では、(エ)を処分する
 方法が考えられるという意見が出された。

   これに対して、財務担当の業務執行役は、株式の発行価格が、
 原則として資本金に計上されるのに対して、(エ)の場合は、
 その価格はその他(オ)に計上されるという違いがあると説明
 した。こうした審議に中で、甲会社代表取締役は、(ア)の発行
 であれば、経営に対する関与が生じないこと、(ア)を(カ)付
 とし、(キ)額を(カ)の行使価格に充当させるものとして発行
 すれば、(キ)に応じるため資金を甲会社が準備する必要ななく、
 現段階では、有利な資金調達ができるだろうと提案した。

 
1 ア 社債 イ 議決権のない株式 ウ 公開会社 エ 金庫株式
   オ 資本準備金 カ 新株予約金 キ 払戻し

 2 ア 債券 イ 議決権のない株式 ウ 上場会社 エ 金庫株式
     オ 資本剰余金  カ 取得請求権 キ 払戻し

 3 ア 社債 イ 議決権のない株式 ウ 公開会社 エ 自己株式
   オ 資本剰余金 カ 新株予約権 キ 償還

 4 ア 債券 イ 配当請求権のない株式 ウ上場会社 エ 募集株式
     オ 資本準備金 カ 買取請求権 キ 払戻し

 5 ア 社債 イ 配当請求権のない株式 ウ 公開会社 エ 自己株式
   オ 利益準備金 カ 取得請求権 キ 償還
 
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 解説
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 ▽ 参考書籍

 会社法 神田 秀樹 著 ・弘文堂   リーガルマインド 会社法
 
  弥永真生著 著・有斐閣


 ア について

   株式会社における外部からの資金調達手段としては、(1)株式の
 発行 (2)「社債の発行」 (3)銀行借入れ その他企業間信用が
 考えられる。したがって、アは、「社債」である。ここで正解は、1・
 3・5に絞られる。

 イについて

   議決権制限種類株式とは、株主総会の全部または一部の事項について
 議決権を行使することができない株式をいう(108条1項3号)。(神田
 会社法)
   とくに総会のすべての事項について議決を有しない株式(完全無議決
 権株式)≪神田会社法≫を発行すれば、旧経営陣ないし既存株主の支配
 関係の維持に役立つ。したがって、株式発行の場合は、甲会社の経営や
 既存株主に対する影響を避けるために、「議決権のない株式」とする
 ことが望ましい。イは、「議決権のない株式」である。
   ここで、5が除かれ、1と3に絞られる。

 ウについて

   会社法は、「公開会社」では、議決権制限株式の総数は発行済株式総数
 の2分の1を超えてはならないとしている(115条)ので、ウは「公開会社」
 である。ここでは、1・3いずれを選択しても、「公開会社」になり、決め
 手にはならない。

 エについて

   199条1項によると、「その処分する『自己株式』を引き受ける者
  の募集」は、新株発行と同じ手続による。新株を発行すると、株券の
 発行を要するが、「自己株式」の処分の場合は不要である。したがって、
  発行のコストを省くという観点では、「自己株式」を処分する方法が
  が考えられることになり、エは「自己株式」である。
    なお、1のエに 当たる「金庫株」も一応考慮の対象になる。金庫株とは、
 会社が自己株式を期間制限なくその金庫に入れておくことから命名された
(神田 参照)ものであり、この金庫株は、弊害があったため、禁止されて
 いたのを平成13年6月改正により、「金庫株の解禁」が行われたのである。
  したがって、ここでは、「金庫株式」でも意味が通じないことはないが、
 法律用語としては、「自己株式」の処分が正しい。さらに、後に続く記述
 では、「自己株式」の価格の計上が問題になっているので、「自己株式」
 が確定的になるのである。

  ここで3に確定するのであるが、このあたりまで順調に来れば、時間の
 節約のため、3として後は見ないで、最後に時間あれば、後半部分を確認
 するのも一策である。

 オについて

   新株発行では資本金の額が増加する(445条1項〜3項)が、自己株式の
 処分益は分配可能額に含まれる(その他資本剰余金」。(神田会社法)
  しかし、このあたりは相当の高度な知識を要する。
  したがって、株式の発行価格が資本金に計上されるのに対して、自己株式
 の場合は、その価格はその他「資本剰余金」(オ)に計上されるということ
 になる。

 カ・キについて

   こうした審議の中で、・・・・・という最後の記述を全体としてみて
 みよう。このあたりで、皆さんは不安に襲われるのではないか。会社法
 にそんなに時間かけられないよ。助けてくれ!! しかし、本試験では
 会社法から確実に4問は出題されている。苦手意識を持って投げてしまえば、
 失う代償は大きい。少しの辛抱だ。じっくりと、一定の時間をかけて論点
 の理解に挑むという意欲が大切だ。だれでも会社法にはてこずっている。

  私も現に、「しんぼう」がパソコンで漢字では出てこず、辞書を引き、
「てこづる」 か「てこずる」かでまた辞書を開いている。

  本題に入る。
 
  社債とは、会社の債務であり、社債権者は会社に対する債権者であって、
 会社の経営に対する関与が生じない。次に、新株予約権付社債(2条22号)
 について、新株予約権を行使されると、会社は、新株予約権者に対して、
 新株を発行する義務を生じる(236条以下)。
  新株予約権の行使は、あらかじめ定めた一定の期間(行使期間)内に
 あらかじめ定めた一定の金額(行使価格)の払込みをすることによって
 行う(神田会社法)。
  社債については、会社は、発行時に定めた条件で元本の返済(償還)
 と利息の支払いをしなければならない(2条23号・676条特に4号の償還
 に注目)。
  そこで、新株予約権付社債の発行にあたり、償還額を新株予約権の
 行使価格に充当させるものとすれば、償還に応じるための資金を会社
 が準備する必要がない。

  以上の理解があれば、カが「新株予約権」であり、キが「償還」
 であることは明らかである。

   以上正解は、3である。

 

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第48回 】★      
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 2009/8/4


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】会社と取締役との利益相反行為
 

【目 次】問題・解説 
           
      
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■ 問題
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 平成19年度過去問・問題39

   取締役会設置会社の代表取締役Aが、取締役会の承認を得て、会社
 から金銭の貸付を受けた場合に関する次の記述のうち、誤っている
 ものはどれか。

 1 取締役会の承認を得て金銭の貸付を受けた場合であっても、Aは、
   事後にその貸付に関する重要な事実を取締役会に報告しなければ
   ならない。

 2 Aが自ら会社を代表してA自身を借主とする契約を締結することは、
  自己契約に当たるため、他の取締役が会社を代表しなければならない。

 3 Aが代金の返済を怠った場合には、取締役会で金銭の貸付を承認
  した他の取締役は、Aと連帯して会社に対する弁済責任を負う。

 4 Aへの金銭貸付に関する承認決議に参加した他の取締役は、取締
   役会の議事録に当該貸付について異議をとどめなければ、決議に
   賛成したものと推定される。

 5 金銭の貸付を受けたAの損害賠償責任は、株主総会の特別決議に
   よっても一部免除することができない。
 

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■ 解説
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 ▽ 参考書籍

 会社法 神田 秀樹 著 ・弘文堂   リーガルマインド 会社法
 
  弥永真生著 著・有斐閣


 1・2について、その関連部分を含めて、まとめて解説する。

 本問の設例は、356条1項2号の利益相反行為(取締役・会社間の
 取引)に該当する。この場合は、取締役と会社の直接取引に該当する。

 ア例

   (代表取締役A)
   取締役会設会社ーーーーーーーーーーーーーー A
          会社から金銭の貸付を受ける
          (本問の場合)

          その他・会社から財産譲り受け
          ・会社に財産を譲渡する

    本問のような取締役会設置会社では、代表取締役Aは、その取引
  について重要な事実を開示して取締役会の事前の承認を受けなければ
  ならない(356条1項2号・365条1項)。この場合は、Aはみずから
 当事者として、自己のために、会社と取引をし、その会社を代表する
  ことになる。これは、民法108条の「同一の法律行為について、
 相手方の代理人に なる」という自己契約に該当し、本来は、会社の
  利益を害するおそれがあるため、許されないが、前記承認があれば、
 許されることとしたのである(356条2項)。したがって、2は誤り
 であり、他の取締役が会社を代表する のではなく、Aが当該会社
 を代表し得る。ズバリ、2が誤りであって、これが、正解である。

   1については、365条2項が、本肢のとおり、当該取引後の
 取締役会へ の報告を規定しているので、正しい。

 関連事項

 イ例

  (代表取締役A)
    取締役会設置会社ーーーーーーーーーーーーーー取締役B
            金銭の貸付を受けるなど
            ア例と同じ直接取引

  この場合は、ア例と異なり、取引の当事者であるAみずから会社を
 代表するのではなく、取引当事者Bとは異なる他の取締役Aが会社を
 代表する場合に該当する。この場合も、取締役会の承認を要する
 356条1項2号の利益相反行為に該当する。会社の利益を害する
 おそれがある点では、ア例と同じだからである。

 ウ例

  債権者ーーーーーーーーーーーーーー取締役A

      ーーーーーーーーーーーーAの債務の保証・債務引受
                   取締役会設置会社
                   (代表取締役A)

   この場合は、会社・取締役間の直接取引ではなく、会社が取締役の
             ・・・・・・・・・・・
 債務につき、取締役の債権者に対して保証や債務引受をする間接取引
 に該当する。このような間接取引もまた、会社の利益が害されるおそれ
 があるため、取締役会の承認を要する(356条1項3号・365条)。本例
 では、債務者である取締役Aが会社を代表して債権者との間で保証契約
 を行うことになっているが、イ例でみたように、取締役Bの債務をAが
 会社を代表して保証を行う場合も含む。

 
 3について

   Aが金銭の返済を怠って、会社に損害を生じたときは、423条3項
 1号によってAが責任を負うとともに、同条同項3号により、当該承認
 決議に賛成した取締役も会社に対して弁済責任を負う。これらの者は
 連帯責任である(430条)。なお、条文によると、任務を怠ったものと
 推定されることになっているから、過失のなかったことを立証すれば、
 責任を免れる(過失責任)。しかし、直接取引をしたAは、無過失
 責任を負う(428条)。本当にうまくなっていますね。当事者と単なる
 賛成者では、責任の度合が異なる。

 4について

   369条5項のとおりであり、正しい。この者も賛成したと推定さ
 れ反対の事実を証明しない限り、肢3と同様、Aと連帯して弁済責任
 を負う。

  5について

   株主総会の特別決議によって、取締役等役員の責任の一部を免除する
 ことができる(425条・309条2項7号)が、直接取引した当事者たるAは
 当該規定の適用を受けないので、本肢は正しい。
 


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第39回 】★      
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 2009/7/1


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政上の不服申立てー行政不服審査法を中心として
 

【目 次】問題・解説 
           
      
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■ 問題 ・解説
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 ▽ 参考書籍

  行政法入門・藤田 宙靖  行政法読本・芝池 義一
 ともに有斐閣 発行

 ▽ 過去問の検討
 
  各テーマごとに、過去問の肢を抜粋した。○×で解答してください。
 なお例により、その出典を一々明らかにする手間を省いた。


 A 「行政訴訟」と「行政上の不服申立て」

 1 処分につき不服申立てをすることができる場合においても、処分  
   取消しの訴えを直ちに提起してもかまわない。

 2 憲法は、行政機関が裁判を行うことを禁止しているから、裁判手続
  に類似した行政上の不服申立てを整備することによって地方裁判所  
   における審級を省略することは許されない。

 3 申請拒否処分に対する審査請求については、平成16年の法改正に
   より、執行停止制度に加えて、「仮の義務付け」と「仮の差止め」の     
   制度が明文化された。

 
 《解説》

 1について

  現行法は、原則として、自由選択主義を採用する(行政事件訴訟法
 8条1項本文)。ただ、同条ただし書きにおいて、例外としての、
 不服申立ての前置を認めていることに注意せよ。  ○

 2について

  本肢は、平成20年度の出題であり、難化傾向に歩調を合わせたもの
 であって、題意が掴み難いうえに細かい専門知識を要する。即答できな
 ければ、保留にして、他の肢で勝負するのが賢明か。
  ここでは、そうはいっておられないから、順次説明する。
 憲法は、「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」と規定
 しているのであって(76条2項後段)裁判手続に類似した行政上の不服
 申立てを整備することは大いに推奨される。(これは、行政不服審査法の
 勉学の目的でもある)ここまでわたりをつければ、スパっと審級の省略
 も許されると推定して、×とすれば正解です。次のBの問題の1 を見て
 ください。これも×です。したがって、独占禁止法とか、特許法に基づき、
 行政庁が不服審査の審判を行うことができる。そして、これに関する抗告
 訴訟は、高等裁判所に行うことになっている。つまり地裁・高裁・最高裁
 という三審制の地裁の省略である。もちろん、この措置は、終審が司法
 機関になっているので、憲法違反ではない。細かい条文省略。×

 3について

  これは、行政事件訴訟法の説明であって、「行政上の不服申し立て」
 には、「仮の義務付け」などはない。また、執行停止制度は、従来から
 存在していて、平成16年の行政事件訴訟法改正により、要件が緩和さ
 れた。二重の誤り。これは、上等の肢とはいえないと思う。×


  
 B 「行政不服審査法」の地位

 1 「不服申立て」に関する法律の定めは、行政不服審査法にしか存在
   していない。                          
 
 2 行政上の不服申立ての道を開くことは、憲法上の要請ではないので、
  この制度を廃止しても、憲法違反とはならない。          

 3 法は、不服制度全般について統一的、整合的に規律することを目的
   とするので、別に個別の法令で特別な不服申立制度を規定することは
   できない。                            


 《解説》

 1および3について

  行政不服審査法第1条第2項によると、「行政上の不服申立て」について
 は、個別の法で定め得る。1も3も誤り。1・3とも×

 2について

  これも難化傾向に基づく平成20年度出題の肢である。これについての
 文献を漁れば出所があるかもしれない。趣味としては、そうしてもよい
 かもしれないが、暇のない受験対策には不適当である。できるだけ自分
 の頭で考えるようにした方がよい。憲法が直接に保障するのは、裁判を
 受ける権利である(32条)。これに気がつけば、○に直結する。
  ソレデヨイノダ。憲法は、ほかに法定手続を保障している(31条)が、
 これが 行政手続に及ぶか争いがある。かりに及ぶとしても、行政上の
 不服制度を設けることまで要請していないであろう。結局、当該制度を
 廃止するのは、望ましくはないが、憲法違反とまではいえないという
 ことになるのだろう。 ○
 


 C  法第1条〜2条

 
 1 行政不服審査法は、「行政庁の違法な処分その他公権力の行使に当
   たる行為」に限り不服申立てのみちを開いている。           
 
 2 法において「処分」には、「人の収容、物の留置その他その内容が
  継続的性質を有するもの」などの事実行為が含まれるが、これは取消    
   訴訟の対象にはならないが不服申立ての対象となる行為を特に明文で
   指示したものである。                                               

 3 取消訴訟においては処分の適法性のみを争うことができるが、行政
   不服申立てにおいては処分の適法性のみならず、処分の不当性をも
   争うことができる。                                                 

 4 処分の全部または一部の取消しの申立てのほか、処分の不存在確認
  の申立、不作為についての申立てを行うことができる。         

 

 ≪解説≫

 1および3について

  行政不服審査法第1条第1項によると、「不当な処分」も不服申立ての
 対象としている。したがって、1は× 3は○。
  「・・裁判所というのは、もっぱら、紛争を法的に解決することをその
 任務とする機関ですから、裁判所が審理できるのは、とうぜんに法問題
( 行政処分の違法性)にかぎられ、自由裁量行為のばあいに行政庁がおこ
 なった裁量が不当ではなかったかどうか、といったような判断はできない
 わけですが、行政上の不服申立てのばあいだったらそういった制限はない、
 ということになります」(入門)

 2について

  他の過去問の肢には、次のような類似問題がある。

  行政不服審査法にいう「処分」には「公権力の行使に当たる事実上の
 行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するする
 もの」が含まれる。

  これは、法2条1項の条文のとおりで、「処分」に含まれる事実行為の
 定義であって、○である。これに対し、本肢は、平成20年度の発展問題
 である。しかし、最近では、最高裁は、行政事件訴訟法の対象となる
「処分」(法3条2項)について、行政指導などのように、私人の権利義務
 に対して直接に法的な効果効果を持たないが、事実上非常に大きな影響を
 与える事実行為も「処分」と認めるべきとする傾向にある(入門)。
  したがって、事実行為が、取消訴訟の対象にならないとする点で×。

 3について

  法3条において、行政庁の処分又は不作為について行うものである。
 不作為のほか、処分については、処分のあったことが前提になって
 いるので、「処分の不存在確認の申立て」は許されない。×


 D 不服申立ての種類

 
 1 行政不服審査法が定める「不服申立て」には、異議申立て、再異義
   申立て、審査請求および再審査請求の4つの種類がある。

 2 行政不服審査法によると、行政庁の処分についての異議申立ては、
  「処分庁に上級行政庁があるとき」にすることができる。

 3 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。  

 4 再審査請求は、法律に「再審査請求をすることができる」旨の定め
   がなくても、審査請求が認められていれば、当該審査請求の裁決に   
   不服がある場合、当然にすることができる。

 5 審査請求の裁決に不服がある者は、法律または条例に再審査請求を 
   することができる旨の定めがあるときは、再審査請求をすることが
   できる。

 6 審査請求手続は、決定により終了するのが原則であるが、審査請求 
   を認容する決定についても理由を付さなければならない。

 
 ≪解説≫

 1について

  法3条1項によれば、「再異議申立て」はない。本肢に掲げる三つの
 種類しかない。 ×

 2について

  法3条2項によれば、「異議申立て」は、問題となっている処分をした
(またはしなかった)行政庁それ自体(処分庁または不作為庁)へ申立て
 をするものである。これと裏腹になるが、「処分庁に上級行政庁がある
 とき]は審査請求をすることになる。 ×

 3について

  法17条1項のとおり、審査請求人の選択により可能である。○

 4について

  再審査請求とは、一度審査請求を終えた後にさらに行う例外的な不服
 申立てである(法3条1項)。この申立ては、当該審査請求の裁決に
 不服がある場合、当然にすることができるのではない。
  行政不服審査法自体が定めている特定の場合・法律または条例によって
 特に定められている場合にだけ、その法律、条例が特に定める行政庁へ
 申立てができる(法8条)。したがって、法律に「再審査をすることが
 できる旨」の定めがある場合に当該申立てができるので、本肢は×。

 5について

  4で記述したとおり。○

 6について

  審査請求および再審査請求に対する裁断行為は「裁決」である(40条・
 55条)。× 裁決に理由を付すこと(41条1項)・異議申立てには、
 「決定」が下されることに注意(47条)。

 

 
 E 不服申立て要件

 1 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるときは、審査庁は、
   裁決を行う必要がない。                                       

 2 審査請求人の地位は、一身専属的な法的地位であるので、審査請求
   人が死亡した場合には、相続人等に承継されることはなく、当該
  審査請求は、却下裁決をもって終結する。 


 ≪解説≫

  不服申立て要件をみたしていなければ、本案の審理をしてもらうことが
 できず、いわゆる門前払い(却下)をされてしまうことになる。

 1について

  法14条1項の審査請求期間を経過すれば、審査請求は、不適法である
 から、不服申立て要件をみたしていないことになり、裁決で却下する。
 (40条1項)裁決を行う必要がないのではない。 ×

 2について

  本肢のとおりであれば、不服申立て要件をみたさないことになり、却下
 裁決がなされる。しかし、37条1項によれば、相続人が権利を承継する
 ので、却下裁決をもって終結することはない。×

 
 F 不服申立て要件ー不服申立て事項

 
 1 行政不服審査法は、列記主義を採用している。           

 2 行政不服審査法は、不服申立ての対象となる「行政庁の処分」に
   つき、いわゆる一般概括主義をとっており、不服申立てをすること
   ができない処分を、同法は列挙していない。             

 3 法は、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分を適用除外
   としているため、そのような処分については別途条例で不服申立    
  制度を設けなければならない。

 4 不服申立てをすることができない処分については、法が列挙して   
   いるほか、他の法律において特定の処分につき不服申立てをする
   ことができない旨を規定することができる。

 
 ≪解説≫

  ここでも、不服申立て事項に該当しない処分に対し、不服申立てを
 すれば、不服申立て要件を満たさず、却下されるという視点に立つ
 必要がある。

 1について

  不服審査法の前身の訴願法の時代に採用されたもの。その列記主義
 というのは、法律で定められた一定の処分に対してしか、不服申立て
 が許されないものである。(入門) ×

 2について

  不服審査法は、対象となる処分について、列記主義をやめて、一般
 概括主義をとっている(4条1項)。この点は正しい。しかし、行政
 不服審査法は、4条1項1号から11号まで、同法に基づく不服
 申立てはできないとする。また、それ以外にも、個別法律で、不服
 申立てを許さないこととしている場合がある(4条1項ただし書き)。
 例外を認めているので、後段が×。

 3について

  これもすこし戸惑うとみれば、平成20年度過去問である。4条
 1項1号〜11号において、当該処分が適用除外になっていない
 から、条例に基づく処分についても、行政不服審査法に基づいて
 不服申立てを行うべきなのであろう。×

 4について

  2で説明した「個別法律で、不服申立てを許さないこと」に
  該当する。 ○                     
 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 25回 】★      
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 2009/4/21


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政法・行政手続法の適用範囲その2と行政手続条例
 

【目 次】問題・解説 
           
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     
■ 問題・解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 ▲ 参考書籍は、前回(24回)に掲げてある。
 
 ▲ 本コーナーでは、標題に掲げたテーマに絞り、過去問の肢を参照
 しながら、解説を進める。なお、各肢が過去問のいずれに該当するか
 の指摘は省くことにする。


 スタート! 解答は、○×で表示する。

 
 【行政手続法の適用範囲】
 

 《 問題》

 ● 地方公共団体の職員がする行政指導であっても、法律に基づく
  ものについては、行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。 
  ー(1) 

 ● 地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる
  規定が条例または規則に置かれているかどうかにかかわらず、
 行政手続法 が適用される。−(2)

 ● 行政手続法は、地方公共団体の行政指導には適用されない。−(3)  
 
        

 《解答・解説》

 行政指導とは

   行政処分が一方的に相手方である国民に権利義務に変動を与える行為
  であるのに対して、行政指導は、相手方である国民に対して任意的な
  協力を求める行為である。その定義は、行政手続法2条6号に規定
  がある(読本)。

 ポイント

   地方公共団体の行政については、行政手続法の適用が除外される
(3条3号)。注目すべきは、地方公共団体の行政指導は、行政処分
 などと異なって(後述)、全面的に適用除外になっているということ
 である。つまり、行政指導のような相手方に任意の協力を求める行為
 については、地方自治尊重から、法律で規制しないことにしたので
 あろう。
   具体的に言えば、行政手続法第4章の行政指導の規定の非適用という
 ことである。
 

 したがって、

 (1)は、行政処分などには、妥当しても、行政指導には該当せず。×
   
(2)もまた、全面適用除外であるから、×

(3)は、無限定に行政手続法適用除外である事に鑑み、○

 
 《問題》


 ● 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であっても、第3条第1項
  に 列挙されている類型に該当するものについては、行政手続法は
 適用されない。ー(4)


 ● 行政手続法は、行政処分、行政指導等について、一般的規律を定める
 法であるが、他の法律に特別の手続規定を設けた場合は、その特別規定
  が優先する。ー(5)  

 ● 行政処分、行政指導、届出に当たる行為であって、第3条1項に列挙
  されている類型に該当しないものについては、他の法律で特別の手続
 規定を設けることができる。ー(6) 

 
  《解答・解説》

 (4)法3条1項のとおりであり、正しい。ただし、ひとつ、疑問な点
    は、3条には、届出が掲げてないことである。しかも、3条では、
  第4章までとなっていて、第5章の届出が対象になっていない。
    ということは、届出は適用除外ではないのではないかという疑問
  である。届出に関する37条の解釈については、以下のとおりである。
  「・・届出が法令所定の形式上の要件を充たしている場合には、
     行政機関の窓口に届出書を提出するなどすれば、届出をすべき手続上
     の義務が履行されたものになるという規定である。『手続上の義務
   が履行された』とは、届出がなされると、届出行為は完了しており、
     行政機関が届出を受理せずあるいは返戻する余地がないことを意味
   する」(読本)
     つまり、この届出については、類型を問わず、行政機関一般に適用
     するというこではなかろうか。そうすると、届出がここに掲げられ
     ているのは、おかしく、この肢は誤りだということになる。ただし、
   過去問では、他の肢との関連から、正しい肢とせざるを得ない。
      おそらくは、出題ミスであろう。もし、私が出題者ならば、過去の
   誤りを正すという意味で、将来の試験問題において、敢えてここを
   問いたい。 そのようなしだいで、一応 ○。

     注 届出の定義は、行政手続法2条7号にある。処分の定義は、同法
    2条2号。


 (5)(6)について。

 ポイント

 行政処分・行政指導

 イ 3条1項の適用除外類型

 他の法律で定めるのは当然であって、特別の定めではない。

 ロ 3条1項に該当しない類型

 他の法律に特別の定めがあって、行政手続法の規定に抵触する場合には
  一般法と特別法の関係に立ち、他の法律優先(法1条2項)

 届出

 当然ロに該当するため、他の法律が優先。法1条2項には、「届出に関
 する 手続」が明確に掲げてある。

 
 以上のポイントに照らせば、
 
 (5)も(6)もロに該当し、いずれも○であり、○ふたつ、◎。

 なお、(6)において、届出は、3条の適用除外類型は問題にならない
 のに行政処分・行政指導と同列に扱っている点に疑問があるが、結論は
 正しい。

 
  ≪問題≫


 ● 行政手続法は、法律に基づく地方公共団体の行政処分には原則として
   適用される。ー(7) 

 ● 地方公共団体の機関がする行政処分であって、その根拠となる規定が
   条例または規則に置かれているものでないものについては、行政手続法
   が適用されるー(8) 
 
 ● 地方公共団体の条例にその根拠となる規定が置かれている届出の処理
   については、行政手続法の届出に関する規定は適用されないー(9)

    
 ● 地方公共団体の制定する命令であっても、法律の委任によって制定
  されるものについては、行政手続法の意見公募手続に関する規定が適用
 される。 ー(10)
      

 

 《解答・解説》

 いずれも、地方公共団体の行政に関するもので、法3条3号の条文問題
 である。原理は、以下のとおり、単純明快である。


 ◎ 地方公共団体の行政に関して、行政手続法の適用が除外される範囲

 
 イ 行政処分・届出→(地方公共団体の機関が定める)条例・規則に
           基づくもの。

 ロ 行政指導→すべてのもの。

 
 ハ 命令等の制定→すべてのもの

 注 条例は、地方議会が定める。規則には、地方公共団体の長つまり
  都道府権知事や市町村長が定めるものと教育委員会などの委員会が
    定めるものがある(憲法94条、地方自治法14条1項、15条1項、
  138条の4 2項)。その規則には規程も入る(地自法138条の4 2項
    行手法2条1号)
  上記の「命令等の制定」にある「命令」とは、条例は含まず、規程
    含む規則が該当する。
    (面倒ではあるが、行政法のマスターには、このような細かい概念
    の把握を重ねることも大切である)

 以上の原理を適用すれば、(7)〜(10)は、以下のとおりとなる。

 (7)の意味するところは、行政処分の根拠となる規定が条例または規則
 に置かれておらず、法律にあるのだから、イの基準に照らし、除外の
 範囲に入らない。したがって、行手法が適用される。換言すれば、
 行手法が適用されないものは、処分の根拠となる規定が条例または規則
 におかれているものに限られているのである。 ○

(8)は、結局、(7)と同じことを述べているので、○。

(9)は、イの原理に従い、行手法の不適用。○

(10)は、かりに法律の委任によって制定されるものであっても、
 地方公共団体の制定する命令は、すべて行手法の適用がないとのハ
 の原則に従い、同法の規定する意見公募手続に関する規定は適用
 されない。 ×

 注 意見公募手続は、行手法38条以下に規定されている。


  ≪問題≫


 ● 地方公共団体の機関がする不利益処分については、それが自治事務に
  該当する場合には、行政手続法の不利益処分に関する規定は適用されない。
   ー(11)    1

 ● 地方公共団体の機関がする「申請に対する処分」については、それが
 国の 法定受託事務に該当する場合に限り、行政手続法の「申請に対する
 処分」の規定が適用されるー(12)

 

 

  《解説・解答≫

 
 ポイント

 (11)(12)について。

 不利益処分は行手法2条4号に規定があり、申請に対する処分は、第2章
 に規定 があるが、いずれも、行政処分であり、行手法の適用範囲について
 は、前記◎ イ の原理に従う。

 行手法の適用の範囲については、法律に基づくものか条例・規則に基づく
 かが、基準になる(◎ イ)のであって、自治事務か法定受託事務かという
 地方公共団体の事務の種類が基準になるのではない。

 注 「自治事務」とは、「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託
 事務以外のものをいう。」法定受託事務とは、「本来は国の事務と位置
 づけられた事務で地方公共団体に委任ないし委託されたもの」である
(読本)。

 したがって、行政処分について、自治事務か法定受託事務を基準にして、
 行手法の適用範囲を定めている点において、(11)も(12)も×。
 あくまで基準は◎ イ である。

 

    

 【行政手続条例】

 《問題》

 ● 行政手続条例は、地方公共団体の行政処分だけを対象にする。

 ー(1) 

 ● 行政手続法および行政手続条例では、法律または条例の規定に
  基づかない行政指導は許されないものと定められている。ー(2)

     

 ● 行政手続条例が、地方公共団体における行政手続について、
 行政手続法と異なる内容の定めをすることも許されないわけではない。
 ー(3)

   

  《解説・解答≫

 行政手続条例とは

 行手法の適用のないつまり法3条3項により適用除外になる地方
 公共団体の行う「処分・行政指導・届出・規則・規程については
 地方公共団体が『行政運営における公正の確保と透明性の向上を
 図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。』こと
 になっており、(法46条)」(読本)これに基づいて、多くの
 地方公共 団体が制定しているのが、行政手続条例と呼ばれる。

 注 これら条例には、コピー条例と揶揄される、行手法を丸写し
    にしたものも多いようであるが、行政指導については、独自
    性のある規定を置く地方公共団体もあるとのことである。
   (読本)

 (1)について。

  行政処分のほか、行政指導、届出、規則、規程についてである
 ことは、前述したところから明らかである。したがって、×。

(2)について。

  行政機関は、その任務ないし所管事務の範囲内においては、
 法律による授権がなくても、行政指導ができる(法2条6号)。
 有名なロッキード事件でも、最高裁判所は、そのように判じた。
 (最大判平7・2・22・・)以上からすれば、条例に基づく
 必要もない。したがって、×。

 (3)について。

  行手法46条によれば、行手法と同一内容の行政手続条例の
 制定を求めているのではない。むしろ、法の趣旨にのっとり
 その地方公共団体の独自性を生かした方向での条例の制定が
 望まれる。○


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 21回 】★      
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 2009/4/6


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政法・行政立法その1
 

【目 次】問題・解説 
           
      
 
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■ 問題
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 (平成20年度過去問)

 問題 9

 各種の行政立法に関する次のア〜エの記述について、その正誤の組合
 わせを示している次の1〜5のうち、正しいものはどれか。


 ア 政令は、憲法73条6号に基づき、内閣総理大臣が制定するもので、
  閣議決定を経て成立し、天皇によって公布される。
 
 イ 内閣府令は内閣府の長である内閣総理総理大臣が制定し、省令は
   各省大臣がその分担管理する事務について制定するが、複数の省に
   またがる共管事項については、内閣府令の形式をとらなければ
   ならない。

 ウ 国税庁、林野庁、社会保険庁など、各省の外局として設置され、
   庁の名称を持つ組織の長である各庁長官は、その機関の所掌事務
   について、公示を必要とする場合においては、告示を発することが
   できる。

 エ 公正取引委員会、公害等調整委員会、中央労働委員会などの委員会
   は、庁と同様に外局の一種とされるが、合議体であるため、独自の
   規則制定権は与えられていない。 


    ア  イ ウ エ
 
 1 正  誤 正 誤

 2  誤  正  誤 正

 3  正 誤 正 正 

 4  誤 誤 正 誤
 
 5 正 誤 誤 正

 

 


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■ 解説
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 ▲ 参照書籍・行政法入門 藤田宙靖著 行政法読本 芝池義一著
 

 ▲  問題の所在

 法は、立法機関による国会によってつくられるが(憲法41条)、
 行政機関によってもつくられる。この行政立法は、命令と呼ばれる。
 この命令は、これを制定する権限を持つ機関がなんであるかの
 違いによって 区別されている(形式からする区別)が、その区別
 に関しての知識を問うのが本問である。

 ▲  本題

 アについて

 まず、内閣が定めるのが、「政令」である。政令は、憲法73条
 6条に基づき、内閣が制定することになっており、内閣総理大臣
 ではないので、これは誤。なお、「閣議を経て成立し、天皇・公布」
 というのは、次の条文により正しい。内閣法4条1項。憲法7条1号。

 したがって、全体として誤。

 イについて

 内閣府の長としての内閣総理大臣が定めるのが「内閣府令」(内閣設置法
 7条3号)であり、各省の大臣が定めるのが「省令」(国家行政組織法
 12条1項)である。これは、正。
 しかし、後段の共管事項については、不明(知らないのがあたりまえ!)
 したがって、正誤を保留とせざるを得ない。

 保留
 
 ウについて

 各大臣、各委員会、および各庁長官がその機関の所掌事務について公示
 するために用いるのが「告示」である(国家行政法14条1項) から、
 これは、正。前段では、各庁長官があがっていて、その組織の説明が
 されているが、それは、特に問題なしとみて差し支えないだろう。

 したがって、全体として、正。

 注
 また、前記機関等がその機関の所掌事務について下命またはまたは伝達
 するために、所管の諸機関および職員に対して発する「訓令・通達」
 という形式が、国家行政組織法によって定められている(14条2項)。
 この命令形式も重要であり、過去問にも出題されており、本講座でも
 今後ふれることがあるだろう。

 エについて

 ここに掲げられた各委員会ならびに先の各庁長官が定める(13条1項)
 ものが、ふつう「外局規則」と呼ばれるもである。したがって、各委員会
 にも独自の規則制定制定権はある。

 したがって、誤。

 注
 その他に、国家行政組織法が適用されない会計検査院および人事院
 (これらをふつう「独立行政機関」とよんでいます)の定める規則
 として、べつに「会計検査院」および「人事院規則」があることに
 注意すべきである。

 
 ▲ 体系的理解
 
 各肢をバラバラにせず、 以上述べた観点にしたがって、体系的知識
 として取得したうえで、ノートにされるなどして勉強を進められるのが
 望ましい。

 ▲ 正解の導出 

 イを保留にしても、ア・ウ・エの組合わせ誤・正・誤を導くのは、4
 しかない。正解は4である。ちなみに、イの共管事項については、
 法務省令をとるということらしく、イの肢は誤りである。

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