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             ★ オリジナル問題解答 《第16回 》 ★

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  憲法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 憲法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第102号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第102回はこちら↓
  
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
 ◆ 参考文献
   
   憲法 芦部 信喜 著  岩波書店


 
 ▲  問題 1

     ◆ 総説

        衆議院の解散決定権については、内閣にその決定権があるこ
    とについては争いはない。

        しかし、これについては、憲法69条のほかの他の条文に明
    文がないため、諸説ある。

       1 憲法69条限定説とも言うべきもので、衆議院の不信任決
     議が可決された場合にのみ、内閣が衆議院を解散できるとい
     うもの。
              
        (条文)
 
          憲法69条・内閣は、衆議院で不信任の決議を可決し、又は
    信任 の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散さ
    れない限 り、 総辞職しなければならない。

          しかし、内閣に自由な解散権を認めるのが、大勢である。

        2 内閣に自由な解散権を求める根拠として、憲法の全体の構造
         (権力分立制・議院内閣制を持ち出す)に求めるもの。

        3  憲法7条の内閣の「助言と承認」は、本来形式的・儀礼的行
     為に対して、行うことが要求されるが、解散などの場合には、
     この「助言と承認」の中には内閣の実質的決定を含むという考
     え方。

  
           この考え方には、「助言と承認」のなかに内閣の実質決定を
     含まないもの(原則)と含むもの(例外)を併存させるという
         問題点もあるが、現に実務では、この7条説により、内閣に自
         由な解散権が 認められている。
            
        (注)なお、7条2号の「国会の召集」についても、この3と
             同様の 考え方に立ち、内閣に実質的決定権を認める。
 
        (注)憲法53条の臨時会には、内閣の召集の決定権が明記さ
             れてい るが、52条の常会、54条の特別会には、内閣
             に召集権のあることが規定されていない。


       ◆ 各肢の検討

        1について

       69条限定説に限定説(A説)に対する批判である。

      2について

       これは、総説2からして、内閣に自由な解散を認めるという
        B説の論 拠である。

        3について

       総説3記述のとおり、慣習化しているのは、B説である。

      4について

      総説3記述のとおり、これはB説の考え方である。

      5について

       総説3において、B説では、実質的決定を含む場合とそう
     でない 場合を併存させることとなるという問題点が指摘さ
        れている。
       したがって、本肢は、B説の問題点であるから、A説から
        B説に対する批判となりうるものであって、B説からA説に
        対する批判としては妥当ではない。


   --------------------------------------------------------------------

        以上により、本問は5が正解である。

   ------------------------------------------------------------------


 ▲  問題 2


        肢1について

     「もっとも、7条により内閣に自由な自由な解散権が認めら
         れるとしても、解散は国民に対して内閣が信を問う制度である
         から、それにふさわしい理由が存在しなければならない」
      (前掲書)
      
          したがって、当該見解を採用しても、内閣の解散権には限界
        がないとはいえないので、本肢は妥当である。

    肢2について

     既述したとおり(本欄  ▲  問題 1 ◆ 総説 3)、当
    該見解を採用した場合には、本肢のような問題点があるので、
    本肢は妥当である。

    肢3について

     憲法69条限定説には、本肢のような問題点があるので、本
        肢は、妥当である。

    肢4について

     内閣の解散権の行使が、憲法の全体的構造に反する場合には、
    解散は許されないので、内閣の解散権に限界がある。
     したがって、本肢は妥当でない。

    肢5について

     「衆議院の解散決議による解散も可能だという説もあるが、
          自律的解散は、多数者の意思によって、少数者の議員たる
          地位が剥奪されることになるので、明文の規定がない以上、
          認められない」(前掲書)。

      したがって、通説によれば、衆議院の解散決議による解
          散は許されないことになる。本肢は妥当である。

    
------------------------------------------------------------------

           以上により、本問は4が正解である。

 -----------------------------------------------------------------

 
 
 ▲  問題 3

 
 ア 憲法58条は、国会の自律権について定めている。

 「自律権とは、懲罰や議事手続など、国会または各議院の内部
  事項については自主的に決定できる機能のことを言う。判例
  は、国会内部での議事手続について裁判所は審査できないと
   している。」(前掲書)

   ここでいう判例とは、最大判昭和37・3・7民集16−
 3−445) 警察法改正無効事件であり、本肢のように判示
 した。

  したがって、本肢は妥当である。

 
 イ 最大判昭和35・6・8民集14−71206 苫米地事
  件では、解散事由及び閣議決定の方式の問題いずれについて
   も、統治行為に該当するた め、 裁判所の審査権は及ばない
   としている。
 
   本肢は、妥当でない。

 
 ウ   最判昭和52・3・15民集31−2−234 富山大学
  事件によれば、単位授与(認定)行為は、特段の事情の事情
  のない限り、司法審査の対象 にならないと判示したのに対し
  て、本肢の場合には、以下のように判示した。
 
   学生が専攻科修了の要件を充足したにもかかわらず、大学が
    その認定をしなときは(認定には格別教育上の見地からの専門
    的な判断を要しない)、一般市民としての有する公の施設を利
    用する権利を侵害されるので、司法審査の対象となる。

  本肢は、以上の記述に反するので、妥当でない。

 
 エ 最判昭和63・12・20 共産党袴田事件によれば、判例の
   趣旨は、このとおりである。
 

   本肢は妥当である。

 
 オ 最判昭和56・4・7民集35−3−443 「板まんだら」
  事件は、以下のように判示して、裁判所の審査の対象にならない
   とした。
 
      訴訟が当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する
    訴訟 であっても、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関
    する判断は請求の当否を決するについての前提問題にとどまる
    とされていても、それが訴訟の帰すうを左右する必要不可欠の
    ものであり、紛争の核心となっている場合には、その訴訟は・・
    法律上の訴訟にあたらない。

  
   以上の判示に反する本肢は、妥当でない。


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  妥当であるのは、アとエであるから、正解は1である。

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              ★ オリジナル問題解答 《第14回》 ★

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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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  ▲ 問題 1

     
 Aの相談について

  昭和37・4・20によると、無権代理人が本人を単独相続し、
  本人と代理人の資格が同一人に帰するに至った場合は、本人が自ら
  法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じると解される。

  以上のとおり、当然有効となるので、Aは当該無権代理行為を追
 認拒絶できない(民法113条参照)。
 
 「できません」に該当する。 

 
 Bの相談について                              

    本人が追認しないまま死亡し、無権代理人が他の相続人とともに本
 人を共同相続した場合に、その相続分について無権代理行為が当然有
 効となるかについて、

  最判平51・21は以下のとおり判示する。

  他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理
  人の相続分においても、当然に有効となるものではない。

  したがって、母の追認がなければ、Bの2分の1の相続分に相当す
 る部分について、本件連帯保証契約が有効になったことを前提とした
 貸金請求に対して、Bは支払いを拒絶できる。

  「できます」に該当する。

 
 Cの相談について
  
    本人が無権代理人を相続した場合に、本人は無権代理人が行った行為
 の無効を主張できるかについて、

 Aの相談でも掲げた最判昭37・4・20は、以下のとおり判示する。

   無権代理人が本人を相続した場合においては、自らした無権代理行為
 につき本人の資格において追認を拒絶する余地を認めるのは信義則に反
 するから、右無権代理行為は相続と共に当然有効となる解するのが相当
 であるけれども、本人が無権代理人を相続した場合は、これと同様に論
 ずることはできない。後者の場合においては、相続人たる本人は被相続
 人の無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはない
 から、被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効とな
 るものではないと解するのが相当である。

  したがって、Cは、当然有効として、家屋の明渡し等を求める相手方
 に対し、これを拒否できる。


  「できます」に該当する。
  


 Dの相談について

  最判平10・7・17によると、本人が無権代理行為の追認を拒絶し
 た後に死亡し、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、有効
 になるもではないと解するにが相当であるとした。

  この場合には、本人の追認拒絶により、無権代理行為の無効が確定し
 たからである。Aの相談では、本人が追認拒絶をしないまま にして、
 無権代理人が本人を単独相続した場合、当然有効となるとしたものであ
 り、その違いに注意する必要がある。

 Dの場合には、当然有効になるもではないので、履行を拒絶できる。

   「できます」に該当する。

 

  Eの相談について
               
  
  最判昭63・3・1によると、無権代理人を本人とともに相続した
 者が、その後さらに本人を相続した場合には、その者は本人の資格で
 無権代理行為の追認を拒絶する余地はなく、本人が自ら法律行為をし
 たのと同様の法律上の地位ないし効果を生じるとしている。

   したがって、Eは、本人の資格に基づいて、追認拒絶できない
  ため、当該無権代理行為は有効になるので、本件土地の意移転登記
  の抹消を請求できない。

  「できません」に該当する。
 
-----------------------------------------------------------------
  
  以上、「できません」に該当するのは、AとEであるから、2が
  正解である。

-------------------------------------------------------------------

 

 ▲ 問題 2


 ★ 総 説  
   
   遺贈とは、遺言者による財産の無償譲与である。

    遺贈には包括遺贈と特定遺贈とがある(964条)。前者は、積極
   ・消極の財産を包括する相続財産の全部またはその分数的的部分ない
     し割合による遺贈であり(たとえば相続財産の2分の1、または4割
     がその例)、後者は、特定の具体的な財産的利益の遺贈である(勁草
     民法3)。

   ★  各肢の検討

   
  ○ 1・2について

   「包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する」ものとされる
  (990条)。したがって、遺言で定められた割合の相続分を有す
   る相続人が一人ふえたと考えればよい(勁草民法3)。

   したがって、遺贈の承認・放棄についても、相続に関する915
  条ないし940条の適用があり、遺贈の承認・放棄に関する986
  条および987条の適用はない。

    包括受遺者=915条1項 であり、肢1は妥当である。

   包括受遺者に適用されない986条は、特定遺贈において適用され
   るので、肢2も妥当である。

 
  ○ 3・5について

   以下は、包括・特定を問わず、遺贈に共通することに注意!

   受遺者は、遺言が効力を生じた時、つまり遺言者が死亡した時に
    生存していなければならない(同時存在の原則)。
   
   遺言者の死亡以前に受遺者が死亡した場合には、受遺者たる地位
    の承継(一種の代襲受遺)は認められないから、結局その効力は生
    じない(994条1項)。

   したがって、この場合、受遺者の相続人がその財産を承継すると
    ことはないので、5は妥当でない。

   次に、胎児は遺贈に関してもすでに生まれたものとみなされる
  (965条・886条)ので、胎児に遺贈することができる。

   3は妥当である。

   ☆ 参考事項

    肢5について、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡した場合
   には、受遺者の相続人はその財産を承継しないが、遺言中に
   特に受遺者の相続人に承継を認める旨を表示してあれば、
   (これを補充遺贈という)それに従うということに注意。

    なお、この補充遺贈のない場合には、受遺者が受けるべき
      であったものは、遺贈者の相続人に帰属するのである(99
   5条)。

     (以上は、勁草 民法 3 参照)

  ○ 4について

   本肢は、特定の不動産の遺贈であるから、特定遺贈になる。
   
   以下の判例がある。

   甲から乙への不動産の遺贈による所有権移転登記未了の間
  に、甲の共同相続人の1人の債権者が当該不動産の相続分の
  の差押えの申立てをし、その旨の登記がされた場合、当該債
  権者は、民法177条の第三者にあたる(受遺者は登記なし
  に遺贈を当該債権者に対抗できない。(最判昭39・3・6
  ・・・・・)

   以上の判例に従えば、本肢は妥当である。


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 本問については、妥当でないのは、5であるので、5が正解である。

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              ★ オリジナル問題解答 《第11回 》 ★

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  【テーマ】  民法
   
    
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 ▲ 問題1

  
  ☆  参照文献

   民法 2  勁草書房


  ◆ 各肢の検討

  
  ○  アについて

     受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、
       事務を処理すべきである(644条)。

    対価の有無もしくは多少を問わずにこの義務が認められると
      ころに信任関係に基づく委任の本質が現れる(大判大正10・
      4・23・・)。

    したがって、無償の受任者も善管注意義務を負うので、本肢
      は妥当でない。

    ★ 参考事項

     善良な管理者の注意とは、社会人の一般人として取引上要
        求さされる程度の注意。

     自己の財産に対するのと同一の注意とは、その人の注意能
        力を標準としてその人が普通に用いる注意の程度を示す。
                ↓
     
     注意の程度を軽減し責任を軽くするのを妥当とする特殊な
        場合にだけこの程度の注意を標準とする(659条・無償の
        受寄者827条・親権者)。
   
    (前掲書)
 
  ○ イについて

    委任者は、受任者に対して、委任によって損害を被らせない
      ようにする義務がある。そのような委任者の義務として費用前
      払いの義務(649条)がある。

    本肢は妥当である。

  ○ ウについて

    原則→委任は信任関係に立つものであるから、受任者はみずか
              ら事務を処理すべきである。

    例外→任意代理人の復人権の規定を類推して、同一の条件と責
              任のもとに復委任を許すのが至当(104条・105条)。
       判例・通説もこのように解する(前掲書)。

     本肢では、104条の類推により、やむを得ない事由があるとき
    は、第三者をして代わって事務を処理させることができるので、妥
    当でない。

  ○ エについて

    委任契約において、報酬の特約があるときは(648条1項)、
   履行の中途で終了したときでも、本肢の場合には、報酬請求がで
   きる(648条3項)。なお、この点が請負と異なるところであ
     る。

   本肢は妥当である。

  
    ○ オについて

   650条3項が規定する委任者の損害賠償義務は、委任者の責に
  帰すべものかどうかを問わない無過失賠償責任である。
  
   本肢は妥当でない。

------------------------------------------------------------------

   妥当であるのは、イとエであるから、正解は3である

-----------------------------------------------------------------  

  ◆ 付 言

  委任契約に関しては、委任の特質を念頭において、本試験直前に
  条文を読み込んでおくとよい。

 


  ▲ 問題2


  ☆ 参考書籍

   民法2  勁草書房 ・ 民法二 内田貴著  東京大学出版会

 
  ◆ 各肢の検討

   ア・イは、請負の目的物の所有権の帰属に関して、請負人帰属説に
  立つ判例の見解の成否が問われているである。

   
  ◎ アについて
  
   判例は、請負人帰属説に立ちながらも、注文者が材料を提供した
    場合には、注文者に帰属するとする(大判昭7・5・9・・・)。
   この場合には、加工(246条1項ただし書き)の適用はない、

   したがって、本肢は前段は正しいが、後段は誤りであり、全体と
    して、誤りである。

   ☆ 過去問の検討

    建物新築の請負契約に当たり、注文者が材料の全部を供給した
      場合には、特約の有無にかかわらず、注文者に所有権が帰属する。
    (1998年問31・肢1)

    上記判例は「特約がない限り、原始的に注文者に所有権が帰属
      する」としているので、「特約の有無にかかわらず」ではない。

    ×

  ◎ イについて

    建築請負では、注文者の土地の上に請負人が材料を提供して建物
   を建築するのが通常である。
   
    この場合には、請負人が所有権を取得し、引渡によって注文者
   に移転することになる(大判大正3年・12・26・・)。

    以上が、請負人帰属説の骨子である。

    しかし、請負人の材料提供の場合でも、特約があれば、竣工と
   同時に注文者の所有となるというのが、判例である(大判大正
   5・12・3・・)。

    したがって、本肢は正しい。
   
   ☆ 参考事項

    請負人の材料提供の場合のおける、特約について、以下の判例
      が注目される。

    注文者が代金の全部または大部分を支払っている場合には、特
     約の存在が推認され、特段の事情のない限り、建物所有権は完成と
     同時原始的に注文者に帰属する(大判昭和18・7.20・・最判
     昭和44・9・12・・)。

    以上の判例を基準に出題された2002年問29 肢5。

   最高裁判例によれば、仕事完成までの間に注文者が請負代金の大部
  分を支払っていた場合でも、請負人が材料全部を供給したときは、完
    成した仕事の目的物である建物の所有権は請負人に帰属する。

   本肢は、上記判例に照らし、×


   学説の多数は、以下のとおり、注文者帰属説に立つ。

   目的物の所有権に関しては、むしろ当事者の通常の意識を尊重して、
    完成と同時または工事の進捗に応じて注文者に帰属すると考えるべき
    である。


  (以上、前掲書 内田 貴著 参照)

 
  ◎ ウについて

    請負人の担保責任として、瑕疵修補請求権および損害賠償請求権が
    ある。両者の関係は以下のとおりである。

   瑕疵修補請求権→相当の期間を定めて修補できるのを原則とするが、
   瑕疵が重要でなく、しかもその修補に過分の費用を要するときは、
   損害賠償請求権があるだけである(634条1項)

   損害賠償請求権→瑕疵の修補とともにまた修補に代えて、常に請求
   できる(634条2項)。

   (前掲書 民法 2)


      当該瑕疵修補に代わる損害賠償請求権については、本肢のとおり
  の判例がある(最判平9・7・15・・)ので、本肢は正しい。

   
   ☆  関連する過去問について

     請負契約の履行に当たり生じた瑕疵の修補に代わる注文者の
    損害賠償請求権と請負人の報酬請求権は相殺することができる。
   (1998年問31・肢3)

     前記判例は、両者は同時履行の関係にあり、相互に現実の履行
    をなすべき特別の利益はないとして、相殺を認めた。(533条
    ・505条)

     ○


     完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があった場合、注文者
    は修補か、損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求すること
    ができるが、両方同時に請求することはできない(2002年
    問29・肢5)。

     前記記述に照らし、注文者の選択によるのでもなく、両方同時
    に請求できる。

     ×


  ◎ エについて

    判例によれば、本事例において、「注文者が期日に報酬を提供
   しないときでも、請負人は当然遅滞の責めに任ずべきものである。」
    (大判大正13・6・6・・)とする。

    したがって、本肢は誤りである。


     ☆ 関連する過去問

    請負人が約定期日までに仕事を完成できず、そのために目的物
   の引渡しができない場合でも、報酬の提供がなければ、履行遅滞
   とならない(1998年問31・肢5)。

     前記判例によれば、履行遅滞になるので、×

   ◎ オについて

   本肢は、ウで掲げた請負人の担保責任である瑕疵修補請求権・
  損害賠償請求権と並ぶ契約の解除権に関する問題である。

  契約の解除権→瑕疵が重要なもので、これがため契約の目的を達す
  ることができないときにだけ解除できる。ただし、修補の可能なと
  きはまずこれを請求すべきものと解さねばならない。のみならず、
  建物その他の土地の工作物の請負においては、解除は許されないこ
  とに注意 すべきである(635条)。
 
    (前掲書 民法2 )
  
   
     本肢は、請負の目的物が建物であるから、注文者は解除できない。
  したがって、誤りである。


-----------------------------------------------------------------

  正しいのは、イとウであるから、正解は4である。
   
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 ◆ 付 言

   請負については、見過ごされがちであるが、重要論点満載であるので、
  注意されたい。

 

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            ★ オリジナル問題解答 《第10回 》 ★

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  【テーマ】  行政法・民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法・行政法・オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第96号に掲載してある。

 
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   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
  ▲  問題 1
  
    本問は、メルマガ第96回・◎ 平成22年度 問題 18を
 参照することによって、正解を導くことができるが、ここでは、
 各肢の要点を示すことにする

 
  ○ 肢アについて

    取消判決には形成力がある。すなわち、本肢におけるように「不
  利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した
  場合に]は「行政処分はその効力を失う。つまり、行政庁の手によ
  る取消を必要としない。」(後掲書 読本 312頁参照)

   不利益処分の取消訴訟にあっては、拘束力の積極的効果は働かず、
    その形成力により、行政処分はその効力を失い、行政庁の手による
    取消を必要としないのであるから、処分庁が、判決確定の後、当該
  不利益処分を職権で取り消す必要がない。
   
   本肢は正しい。

 ○ 肢イについて

  本肢における拒否処分については、以下のようになる。

     1 まず、取消判決があると、取消判決の形成力により拒否処分は
        過去に遡って消滅する。

   2 そうすると、申請人(原告)が行った申請が残っている状態に
        なる。

   3 そこで行政庁は、取消判決の拘束力により、この申請について
        改めて審査し、処分をしなければならない。

     以上のとおり、拘束力の積極的効果により、行政庁はもう一
        度申請を審査して処分をやり直さなければならない(行訴法33
        条2項)。

   (後掲書 読本 316頁参照)

    以上の記述に反する本肢は誤りである。

 ○ 肢ウについて

   前記肢イ3によれば、「行政庁はもう一度申請を審査して処分をや
    り直さなければならない」のであって、「申請を認容する処分を義務
    づけられる。」のではない。

   本肢は誤りである。

 
 ○ 肢エについて

   メルマガ第96回・◎ 平成22年度 問題 18 肢イ を言い
    換えただけであるから、当該解説欄を再読されたい。
   
     (なお、本肢は、後掲書 読本 319頁から一部引用した)

   本肢は正しい。
   

    以上によれば、ア・エが正しいので、正解は、2 である。    
 


   ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行

 


  ▲  問題 2


    本問は、メルマガ第93回「余禄」欄において、主題になった「民法
 96条3項の第三者として保護されるためには、登記を要するか」に基
 づき出題したものである。

  当該「余禄」欄を再読されたい。

  解答例として、以下に二例を提示しておく。

    仮登記により保全される売買契約 
      上の権利確保のため、仮登記移転 
      の付記登記を行う 。  
  
    
        知事の許可を条件とする所有権移
       転の権利確保のため、仮登記移転 
      の付記登記を行う 。  


               以上 いずれも39字

  
  なお、「仮登記」「付記登記」の説明ないしは仮登記の登記事項とし
 て、条件付所有権移転仮登記・(条件 農地法の許可)と記録されるこ
 となどについては、不動産登記に立ち入ることになるので、省略する。

 

 


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              ★ オリジナル問題解答 《第9回 》 ★

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  【テーマ】  民法
   
    
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 ■ 民法 オリジナル問題 解説
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    問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第95号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第95回はこちら↓
  
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  ▲  問題 1
 

  ★ 総説
                                


 (1)

                  連帯保証→保証人が主たる債務者
                 と連帯することを保証契において
                 約束した場合
   1,000万円
 B---------------→A      
         主たる債務者
                  共同保証→数人の保証人が同一
          C・D     の主たる債務を保証する関係
         連帯保証人
         共同保証人


 (2) 

   C・Dの共同保証人が、連帯保証人でない場合

 

    ◎(1)は、連帯保証と共同保証をからめた問題である。
   これを(2)と比較した場合の検討が本問である。


 ★ 各肢の検討


  ○ 肢アについて

    民法457条は、普通の保証にも連帯保証にも適用されるので
  債務の承認による時効中断の効力(147条3号)は、いずれの
  場合も、保証人C・Dに及ぶ。
 
   主たる債務者に生じた事由は、保証人に及ぶのが原則。
 しかし、時効は各別に進むのが原則。

   そこで、民法は、債権者の立場を考慮して、時効中断の効力は保証
 人に及ぶとして、立法的に解決。
   以上の思考過程は、大切である。
 
    誤り。


 ○ 肢イについて

   保証人に生じた事由は、主たる債務者に影響を及ぼさないのが原則。
 しかし、連帯保証に関しては、458条・434条により、主たる
 債務者に及ぶ。
 
   したがって、普通の保証では、Aに対して、請求による時効中断の
 効力が生じないが、連帯保証では、その効力が及ぶ(民法147条
 1号)。
 
   誤り。
 

 
  ○  肢ウについて

  この問題は、普通の保証、連帯保証を問わず、「保証」の特質から
  論じられる問題。
 
  主たる債務者について生じた事由は、保証人についても効力を生じる
 という付従性の原則からすれば、Aの時効の利益の放棄(146条)の
  効果はC・Dに対しても及ぶようにも思える。

  しかし、時効は各当事者について別々に進行すべきだという原則に照
  らせば、Aが時効の利益を放棄しても、C・Dの債権消滅時効の進行は、
 各別に進行することになる。
  
  判例もまた、以下のとおり判示する。

  主債務者が時効利益を放棄しても、保証人に効力を及ぼさない
    (大判大5・12・25)。

  また、民法448条の法意からすれば、従来の保証人の負担が、
  主債務者の時効利益の放棄により加重されるべきでないといえる。

  したがって、本肢は正しい。

  
 ○ 肢エについて

   その前提として、共同保証人が主たる債務者に対して求償することは
  当然であるので、CがAに求償することは問題ない。

   問題は、連帯保証人間の求償であるが、465条1項(各保証人が
   全額を弁済すべき特約とは共同保証人が連帯保証人でである場合も
   含む取扱である) の適用により、共同保証人間の求償も認めら
  れている。
  
    なお、普通の保証でも、適用条文が異なるだけで、共同保証人
   間の求償が認められている(465条2項・462条)。

   いずれの場合も求償できるので、本肢は正しい。


 ○  肢オについて
 
   普通の共同保証では、各保証人は債務額を全保証人間に平分して
   その一部を保証することになっている(456条)。これを保証人の
   分別の利益という。

   しかし、連帯保証は、この分別の利益を持 たないことを特徴に
   している。

     保証人間に連帯の特約があるとき、主たる債務の目的が不可分な
   ときは分別の利益はない。
   この場合と同様、判例は、連帯保証人が数人あるときも、保証人
   間において、分別の利益を有しないものとした(大判大6・4・28)。

   従って、連帯保証では、Cは1,000万円を返済する義務があるが、
    普通の保証では、分別の利益があるので、平分した額500万円を支払
    えば足りる。

   本肢は誤りである。

 
 《参考事項》

   問題が複雑になるので、ここは飛ばしてもらってもよいが、以下の
   記述に注目せよ!

  連帯保証人が数人ある場合は、各保証人は分別の利益を有しないが、
  保証人間に連帯の特約があるか、商法511条2項の適用がある場合
  でなければ、連帯債務ないしこれに準ずる法律関係は生じない。
  したがって、債権者が保証人の一人の債務を免除しても、他の連帯
  保証人の債務には何の効果も及ぼさないとされる(最判昭和43・11
  15)(勁草書房 2)。(民法437条)


   以上、妥当であるのは、ウ・エであるから、正解は4である。
 

 

 ▲  問題 2
 
  
   ◆ それぞれ長文になっているが、ポイントを押さえれば、正解を導く
   くのは、困難なことではない。各肢について、要点を解説する。


  ◆ 各肢の検討

 
  ○ Aの相談

   時効を援用することのできる者は、時効によって債務を免れた者
  である。これが、本来、民法145条の「当事者」の意味である。

   この当事者について、判例はかつて一般的に狭く解していたが、
  「これらの義務に基づいて義務を免れる者を広く包含する」。
 (勁草書房)
  
  この見地からすれば、物上保証人も、自分の負担する抵当権の
  基礎としての債務の消滅時効を援用して、抵当権を消滅させる
  ことができる(最判昭和42・10・27 最判昭和43・9・26)。

  以上の理解さえがあれば、この問題は正解しうる。

    「できます」に該当する。


 注 関連事項


 (1) 民法166条1項・167条1項により、債権は、権利を
      行使することができる時から10年間行使しないときに時効
   消滅するから、本肢においては、当該債務は、弁済期から
   12年経過になっている。

(2) 民法147条の時効の中断事由があれば、時効は成立しない
    ので、本肢において、その該当事実がないことが記されている。
 

 ○ Bの相談

   民法167条2項によれば、所有権は消滅時効にかからない。
  以上を前提とした下記判決がある

  不動産の譲渡による所有権移転登記請求権は、右譲渡によって生
 じた所有権移転に付随するものであるから、所有権移転の事実が
  存する限り独立して消滅時効にかかるものではないと解すべきで
 ある(最判昭和51・5・25)。

  したがって、私は、知人を相続した乙氏に対して、移転登記を
 求めることはできる。

 関連事項

  同旨判決として、以下のものがある。

  遺留分権利者が減殺請求によって取得した不動産の所有権に基づく
  登記手続請求権は時効によって消滅することはない(最判H7・6・9)。

  これを主題に出題されたのが、平成21年度問題28の「Cの相談」
  である。

  ここで、この判例と「Cの相談」をよく対照されれば、最近の
  本試験の特徴を把握できるであろう。

 
 ○ Cの相談

    本肢は、民法第158条第1項の条文適用問題である。
 
 平成21年11月20日が時効の期間の満了日であるが、その前の
  6箇月以内の間に父に成年後見人がいない。後見人である母が同年
  7月10日死亡したため、後見が終了しているからである。
  この場合には、娘である私が後見人に就任した時から6箇月を
  経過するまでの間は、時効が停止する。私は、同年11月25日
  後見人に就任し、今年の1月20日に返済を求めているから、
 時効停止期間中の返還請求であるから、本肢は「できます」に
  該当する。

 ○ Dの相談

   「Aの相談」と連動する。

  抵当不動産の第3取得者も、自分の負担する抵当権の基礎としての
 債務の消滅時効を援用して、抵当権を消滅させることができる(最
  判昭和48・12・14)
 
 「できます」に該当する。

 その他の解説は、「Aの相談」に譲る。

 ○ Eの相談
 
   本肢は、民法162条1項の取得時効の援用の問題である(民法
145条)。
 
  なお、本肢では、2点に注意すべきである。一つは、土地の時効
 取得者が私に地上権を設定させていたのであるから、162条に
 いう「占有」は、代理占有である(民法181条)
 
  もうひとつは、本肢の中の、これまで紛争になることもなかった
 という記載により、162条の「平穏・公然」が示されている。

   しかし、以上の点は、本肢の前提になっているのであるから、
 実際の本試験では、こだわる必要はない。
 
  本題に移る。

   民法145条の援用の当事者を広く包含するという立場からは、
 以下のように論述される。

 「この見地からは、取得時効につてみると、たとえばAの所有地を
 時効によって取得するBから地上権等の設定を受けたCにはBの
 取得時効の援用権がある。つまり、この場合Bが援用しなければ、
 Cは独自にBの取得時効を援用して、Aに対し、当該の土地の上
 に地上権等を有することを主張できることになる。」(勁草書房)

 
  本肢は、この論述と同じ事案であるから、私は独自に甲氏の取得
 時効を援用して、乙氏の相続人である丙氏に対し、当該土地の上
 に地上権を有することを主張できることになる

 私は土地の明け渡しを拒否「できます」となる。

 関連事項

  この地上権が、賃借権であっても、おそらくは結論は変わらない
 だろう。しかし、平成21年度問題28「Bの相談」のように、
 アパートの賃借となると、時効取得の主張は認められないことに
 なる。

   つまり、当該土地に建物に家を建てた者と当該土地の上に建って
 いる家を借りた者との違いだ!!

   以上のとおり、本問は、いずれも「できます」に該当するので、
 正解は5である。

 ◆ 付言

  いずれについても、素早く事実関係を把握し、論点の抽出・
 ないし適格な条文の適用にに到達しうるよう、日々訓練を行う
 ことが 望まれる。


  ◎ 以上参考書籍 
  
  民法 ・内田 貴 著・東京大学出版会
   
   民法  ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房

 


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               ★ オリジナル問題解答 《第7回 》 ★

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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第93号に掲載してある。

 ★ メルマガ第93回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 


 ☆サイト第41回・第43回 参照
 ⇒第41回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/854713.html

 ⇒第43回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870899.html

 

 ◆  本問の解説


 ○ 肢1について

   審査請求の審査庁が、処分庁の上級庁である場合には、私人の申立
    をまたず職権によっても執行停止をすることができる(行審法34条
  2項)。

   これに対して、審査庁が処分庁の上級庁でない場合およおび裁判所
  の場合には、職権によって執行停止を行うことはできず、申立による
 (行審法34条3項・行訴法25条2項)。
 
   これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して、一般
  的指揮監督権を有するから、職権に基づく執行停止も一般的指揮権の発
  動として正当化されることに基づく。

   本肢は、妥当である。

  
   ○ 肢2について

   行審法は、審査請求がなされたとき、執行不停止の原則を採用して
  いる(34条1項)。同様に、行訴法もまた、処分取消の提起のとき、
  執行不停止の原則を選択を選択している(25条1項)。
 
   その根拠は、行政処分の公定力に基づく公益重視にある。

   しかし、国税通則法105条1項のように、個別法において、執行
  不停止の原則に修正が加えられている場合もある(過去問2007年
  問15参照)。

   その根拠としては、行審法第1条第2項における「他の法律に特別の
  定めがある」場合に該当する。


     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢3について

    執行停止の要件は、以下のとおり、審査庁と裁判所の場合で異なって
   いる。

    審査庁の場合は、「必要があると認めるとき」が要件になっている
   (行審法34条2項・3項)。

    裁判所の場合は、処分等の「続行により生ずる重大な損害を避ける
      ため緊急の必要があるとき」が要件になっている
   (行訴法法25条2項)。

      ただし、次の点に注意せよ。

      審査庁の場合にも、「重大な損害」等が掲げられているが(行訴法34
  条4項)、これは、義務的であるための要件である。裁判所の場合が、執
    行停止発動の要件であるのとは、異なる。

   
   執行停止可 ○ 不可 ×
       
 
               審査庁     裁判所
 
 「必要があると認める」    ○        ×

 「重大な損害等」       ○(義務的)   ○(発動の要件)

  以上を総括して、「入門」より、以下の文章を記しておく。

  「行政上の不服申立てのばあいには、争いを裁断するのは裁判所では
    なくて行政機関ですから、不服申立てに対する審査も、いわば、行政
    組織内部でのコントロールとしての性格を持つことになります。そう
    だとすると、取消訴訟のばあいには、司法権としての裁判所の立場上、
    そうかんたんに認められなかった例外としての執行停止も、かなり
    ゆるやかに認めてもよい、ということになるのでしょう。」

     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢4について

   ここでは 申請拒否処分として、生活保護却下処分をとりあげる。

  裁決によって、当該処分が取消されると、処分庁は、裁決の趣旨に従
 って、生活保護決定をしなければならない(法43条1項・2項)。
   
     それでは、この裁決の前に審査庁が執行停止を行ったら、どうなるか。
 
  処分庁は、生活保護決定を義務付けらるのではないというのが、実際の
  取扱であるから、拒否処分についての執行停止の決定はやっても意味は
  なく、結局、執行停止の申立の利益がないということになる。
  もし、裁決の前に、義務付け(生活保護決定)をさせるためには、仮
  の義務付けを認める必要がある。(以上「読本」参照)
 
   以上の前提知識を基に本肢を検討すると、

  行審法では、仮の義務付けの制度はない。これは、行訴法において規定
 されている(37条の5)。本肢は、行訟法の説明である。
  申請拒否処分に対する審査請求については、仮の義務付けの制度がない
 ため、執行停止の申立の利益がないことになる。
 
 《以上の記述は、やや、こみいっているが、この際、その関係を正確に
  把握しておくべきである》

   以上のとおり、本肢は、妥当でない。


 ○ 肢5について

  執行停止の申立があった場合、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を
 述べることができるが、審査庁に対しては、異議を述べることはできない。

  行訟法によって、当該異議が認められ、この場合、裁判所は、執行停止
 をすることができず、その決定をしているときは、これを取り消さなけれ
 ばならない(27条1項・4項)。

  しかし、内閣総理大臣の異議という制度は、行政不服審査法にはない。

  以上の記述に反する本肢は、妥当でない。

----------------------------------------------------------------------
  
   肢1が妥当であるので、正解は1である。

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    ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣
 

 

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              ★ オリジナル問題解答 《第6回 》 ★

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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣


   
  ◆ 論 点

  1 行政審判とは

      これは、公正取引委員会とか中央労働委員会といった、いわゆる
   「行政委員会」またはそれに似たような行政機関が、ふつう「準司
    法手続・・」とよばれる、特殊の手続によっておこなう審査手続の
    ことをいいます。

      行政審判というのは、行政機関がおこなう審理手続であるけれど
   も、じつは、裁判所が裁判をおこなうばあいと似たような、組織上
   または手続上の保障をして・・、審査の中立・公正さを守り、権利
   救済制度として十分に機能させようというものなのです。

  (前掲書 入門243頁)

   次に、平成17年問37の旧記述式問題の一部を抜粋する。
      みごとに、行政審判の定義が記述されている。

   独占禁止法による公正取引委員会の審判・裁決、特許法による
    特許庁の審判・裁決、土地収用法による収用委員会の審理・裁決、
    労働組合法による労働委員会の諮問・命令の手続など、独立性・
    中立性の高い行政委員会が、準司法的手続に従って、争訟の裁定
    などの特定の処分をする手続を総称して  A  と呼ぶ。
 
      もちろん、A=行政審判 である。
  
   本問に照らせば、アに「特許庁」、イには「労働委員会」の記述
    がある。   

  
  2 その分類(前掲 入門による・243頁以下)

  (1) これからある処分をおこなうための手続=行政の事前
      手続としておこなわれるもの=「処分先行型」

       これは、行政手続法に対応するものであり、「行政審判」
      は、行手法1条2項により、他の個別法によって定められ
            る。   

       

  (2) もうすでにおこなわれている行政処分をあとから審査す
            る不服申立手続=「後行型」

       これは、行審法1条2項の規定する「個別的な法律に
            よって定められた特別の不服申立制度」である。

  
  ◆ 各肢の検討

      
     ○ 肢アについて
 
        これは、特許の査定を受けた者とこれを無効とする者の私人間紛争
      の裁定に当たることは容易に察しがつく(特許法123条参照)。
 
        妥当である。
       
   ○ 肢イについて

     労働委員会が、使用者の労働者に対する行為が、不当労働行為に
      あたるかどうかを審査する(労働組合法27条・7条)のは、
      論点2・(1)に該当する。すなわち、論点2・(2)の不服申立
      手続型ではない。

     本肢は、妥当でない。

     ○ 肢ウについて

    当該審査手続は、論点2(1)に該当する。

    本肢は妥当である。

     ○ 肢エについて

   以下の、実質的証拠の法則の記述を参照されたい。 

-------------------------------------------------------------------  

    前記平成17年問題37における旧記述式問題の後半部分の抜粋。


    この手続(筆者注 行政審判)に基づく決定(裁決)に関しては、
  それについての訴訟の局面でも、「委員会の認定した事実は一定の場合
  に裁判所を拘束するという  B  の法則」や審級の省略など、通常
  の行政処分取消訴訟に対する特例が法定されていることがある。

  ≪解説≫  

   B=実質的証拠 である。

   たとえば、独占禁止法77条では、公正取引委員会の審判(行政審判)
  の結果なされた審判に対して、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起
  し得るものとしているのは、通常の処分や裁決と異ならない。
   
   ただし、同法80条1項では、この訴訟については、「公正取引委員会
  の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所
 を拘束する」と定めている。

   その意味は、公正取引委員会の審判が準司法的な性格を有していること
  から、これをいわば、裁判審級の上での事実審(第一審)と見立てて、一
  部、裁判所に代わる役割を与えようということである。

 ( 前掲 入門 244頁参照)

  以上記述したところが、要するに、「実質的証拠法則」と呼ばれるもの
  である。

----------------------------------------------------------------------
  
  本肢の言うように、「 いかなる場合でも」裁判所を拘束するのではなく、
  これを立証する実質的な証拠があるときという限定が付される。

  したがって、本肢は妥当でない。

  
   ○ オについて

  そのとおり。

  たとえば、、公正取引委員会の審決に対する取消訴訟では、地方裁
  判所に起こすのでなくて、もっぱら東京高等裁判所が扱うものとさ
  れている。

  なお、肢エでみた実質的証拠法則を採用している他の行政審判に
 おいても、同様の例がある。

  実質的証拠法則は、審判を裁判審級の上での事実審(第一審)と
  見立ててるのであるから、このように審級の省略が認められのであ
 ろう。


 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 以上のとおり、妥当でないのは、イ・エであるから、3が正解である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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 ■       一般知識  アラカルト(2)
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   日本の雇用・労働  その1


   ○ 日本型雇用システム

    
    日本雇用制度の三種の神器

     日本の雇用制度を象徴する、「終身雇用制度」、「年功序列型
    賃金」、「企業別労働組合」

   
    ★ 三種の神器の盛衰 

      年功型賃金や終身雇用制度がみられるようになったのは、第
     一次大戦後の1920年代(大正2年〜)ごろからの大企業か
     らである。
      さらに、企業別労働組合を加えて普及したのは戦後のことで
     ある。

      こうした日本的雇用制度は、少なくても大企業の正社員に限
     ってみればかなり一般的であったが、1990年代中盤以降(
     平成7年〜)徐々に崩れてきた。

    ★  日本の労働組合

          ・・・・・
     欧米では、職業別組合(同一職種の熟練工を中心とした組合)
      ・・・・・
    から産業別組合(職種や企業の枠をこえた同一の産業の組合)
        へと発展してきた。

     これに対して日本では、終身雇用制を背景として、会社ごと
                  ・・・・・
    の従業員組合という性格をもつ企業別組合である。
      そのため、組合員に会社あっての組合という企業意識が強く、
    交渉力や他労組との連帯行動に弱点がある。

   
   ○ 日本の労働者派遣制度ー労働者派遣法を中心にしてーについて
    の要点

    
     ▲ 労働者派遣法とは


    1 「労働者派遣法」※は、「派遣労働者の就業条件の整備等」を
     図るため、1985(昭和60年)に制定されたが、施行当初、
     対象は高度な専門業務に限られていた。

    2 「労働者派遣法」は、労働者派遣事業者(派遣元企業)が、労
     働者をほかの企業(派遣先企業)に派遣して、その(派遣先)企
     業における業務を遂行させる仕組みを規定する。

      同法の定める二つの形態

      「常用型派遣」⇒派遣元企業が労働者と長期の雇用契約を結び、
      派遣元企業が自ら雇用する常用労働者を派遣する。

      「登録型派遣」⇒派遣元企業には、派遣労働者の登録だけして
      おいて、仕事のあるときにのみ派遣される。

      
    △ 1999年(平成11)年改正

     当該改正法により、派遣業務の対象が専門業務以外にも拡大し、
    一定の業務を除き原則として自由化した。
     
     その結果、人材ビジネスとしての派遣事業は拡大を続け、究極
    の細切れ雇用の「日雇い派遣」も増加。「ネットカフェ難民」
    「ワーキングプア」の温床になっているとの指摘もある。

   
    ▼  その近時の傾向

     2010(平成22)年に政府は労働者派遣法の改正案を閣議
    決定し国会に提出に提出したが、その後、継続審議になり、現在
    まだ成立していない。

     その内容は、

     専門26業種などを除き「登録型派遣」の原則禁止。
     長期の雇用契約を結ぶ「常用型派遣」を除き製造業派遣禁止。

     つまり、「それまでの規制緩和(自由化)に対する見直しとして、
    労働者派遣法の規制強化策が現在の検討課題になっている」と、し
    っかり覚えておくこと。

      

   (注)※ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業
       条件の整備等に関する法律

     
      =次回に続く。


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 ■       一般知識  アラカルト
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   ◎ 政治とマスメデイアの関係


  要点集


   1 マスメデイアは、ニュース報道や評論を通じて世論の形成に重大
        な影響を与えることから、立法・行政・司法に続く、「第4の権
        力」と言われている。

   2 アナウンス効果

     報道によりその対象に影響を与えること。

     その例
      
     (1) マスメデイアは、政治的関心を関心を高めるうえで不可
        欠の存在になっているが、その負の要素として、マスメ
           デイアは、政治についての質の低い情報を伝えることによ
           って、政治的無関心を助長する場合もある。

          たとえば、民主党内の菅・小沢間の感情的対立に基づく
             ゴタゴタを報道することによって、政治に嫌気ををきたす
             層を増やす。

      
         (2) 金融政策の変更や当局者の発言が実体経済の変更に先行
       して経済主体の行動変化をおこさせることもある。

       経済関係では、「アナウンスメント効果」といわれるこ
      とが多い。


      選挙報道における例

     (3) マスメデイアが選挙報道において、ある候補者の有利・不
              利を報道することによって候補者の得票を増減させてしまう
       ことがある。

       (a) アンダードッグ効果(負け犬効果)

          ある候補者が苦戦していると報道されると、激励票
         や同情が集まること。

          小選挙区制度では、選挙期間中にマスメデイアが不利
         と報道した候補者については、その潜在的な支持者が
         積極的に投票に行くようになり、得票を大きく伸ばす
         現象が見られる。


       (b) バンドワゴン効果(勝ち馬効果)

          バンドワゴンというのは、大きな祭りのパレードに
         登場する楽団車のこと。

          選挙予測報道で有利とされた政党(候補者)が勢い
         がついて有利になること。

          かつての小泉政治の劇場型ないしさきの選挙におけ
         る民主党の躍進にその例を見ることができる。

    3 会員制の記者クラブ制度について 

         日本の官公庁や政党では、取材や情報提供が円滑に行わ
        れるように会員制の記者クラブ制度がとられているが、こ
        れについては、報道の画一化や官庁への無批判な報道につ
        ながるとして廃止を求める意見がある。しかし、現在でも
        この制度は存続している。


 ------------------------------------------------------------------

       以上の要点が把握されていれば、過去問・平成22年度 問題47に
   ついては、正解が導き得たであろう。

   しかし、

   以上の正確な知識を欠如していても、以下の2点から、正解をが得られ
  たかもしれない。

   1 前述したバンドワゴンの語彙からして、エの記述に沿う不利との報
    道という概念は、生じ難いと推理しうる。

   2 記者クラブが現在廃止されたとは聴いていない。

    以上から、エとオが×。

  (また、常識に照らせば、アイウは○だ!ともいえる)

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              ★ オリジナル問題解答 《第3回 》 ★

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                         PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 行政法・オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第89号に掲載してある。

 ◆第89号はこちら↓
http://archive.mag2.com/0000279296/20110207150232000.html
 
 ★ 参考書籍 
  
  行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣

 

 ◆  問題 1


  ▼ 各肢の検討


   ○ アについて。

  最高裁判所は、行政手続法の行政指導の定義に依拠しながら、「一般
 に、行政機関は、その任務ないし所掌事務の範囲内において、一定の
 行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める
 指導、勧告、助言等をすることができ」る、と判示している(前掲
 読本57頁)。
 
  したがって、アは正しい。

 注
 1 上にいう判決とは、1955(平成7)年2月22日のロッキード
   事件丸紅ルート大法廷判決のことである。
 
 2 定義は、行手法2条6号。行政指導の一般原則の規定は32条1項 。
 
 3 行政機関の任務と所掌事務は、各省の設置法などで規定されている。
 
    環境省設置法は、「環境省は、地球環境保全・・・・・その他の
 環境の保全を図ることを任務とする。」というように環境省の
「任務」を一般的に定め、その具体的内容を「所掌事務」として25項目
 にわたり列挙している。
  ちなみに、最多の所掌事務を誇るのは128項目の国土交通省。次いで
 110項目の厚生労働省。(読本57頁以下)

  ○ イについて。

   アで述べたとおり、「行政機関の任務または所掌事務の範囲」
 において、行政指導が行われるのであり、行政指導については、
 法律ないし条例の授権を要しない。
  また、行政手続条例において、 行政指導について、条例の授権
 を要すると定めることは許されない。
 
  したがって、本肢は妥当でない。

 注
   地方公共団体の行う行政指導には、行手法の規定が適用されないので、
 行政手続条例が定められ、その規定に従うことになる。(法3条3項・
 46条)しかし、その規定において、行政指導に条例の授権を要すると
 定めることは許されないのである。

 

  ○  ウについて。

  ア・イで述べたところで明らかなように、、行政指導は、各省設置法に
 基づく任務ないし所掌事務の範囲で事実上行われる(行手法2条6号・
 32条1項)。

 一般に、法的拘束力を有しないとされている。本肢は妥当である。
 
 
  ○ エについて 

   行政指導の一般原則として、行政指導における不利益取扱いの禁止が
 行手法に規定されている(32条2項)。
 

  問題は、本肢の後段部分である。これは、農業従事者に対する減反の
 行政指導が念頭にあるものと思われる。行政指導に従った者は補助金
 をもらうことができるが、その指導に従わなかった者は、補助金を
 もらえないことが、後者に対する「不利益取扱い」になるのではないか
 という問題である。これについては、行政実務上では、「行政手続法が
 禁止しているのは、『行政指導に従わない者に対する不利益措置』であり
 『行政指導に従った者に対する優遇措置』は別である」という説明が
 なされているようである。(読本160頁)。

   当該行政指導は、不利益取扱いに含まれないとすべきである
 から、本肢は妥当でない。

 
  ○ オについて


   ここでは、行手法33条の規定に関する説明を提示する。

 
 「 建築確認の申請でよく問題になるが、適法な申請であっても、
 当該マンヨンの建築に際し、近隣の苦情のため、適法な申請で
 あっても、その建築確認を受理せず、留保したままで、行政指導
 を続けるということがある。
  この場合において、「『申請者が当該行政指導に従う意思が
 ない旨を表明した』場合には、行政指導を続けることによって
『申請者の 権利の行使を妨げて』はならない、つまり申請者が自己
 の欲する申請をすることを妨げてはならない」ということになる。
(読本161頁)
 つまり、建築確認を受理しなければならないことになる。
 
  なお、このような事案に対して、最高裁判所は、建築確認の
 留保が違法になるための要件の一つとして、「行政指導に対する
 建築主の不協力が社会社会通念上正義の観念に反するものと
 いえるような特別の事情が存在しない」ことを挙げている
(最判昭和60年7月16日)
  
   つまり、近隣住民が当該マンションの建築により受忍の
 限度を超える苦痛を蒙る場合には、適法な建築確認を留保して、
 住民の立場に立って、行政指導を継続することが適法になる
 のであろう。このような行政指導(ほかにも地方公共団体が環境
 保全のなどのために事業者に対する行政指導がある)は、地方公共
 団体によって行われるために、「地方公共団体の行政手続条例では、
 行政指導を尊重すべきことを定めたり、行政指導を広げる規定が
 おかれることがある。」(読本161頁)

 行手法46条にも注意せよ!

  この規定は行手法と同一内容の行政手続条例の制定を求めて
 いるのではない。むしろ法の趣旨にのっとりその地方公共団体
  の独自性を生かした方向での条例の制定が望まれる。

 以上により本肢は妥当である。

 
   以上妥当でないのは、イ・エであるから、正解は3である。


   ▼ 付 言

   最高裁判所の判例もあり、重要論点を含むのは、とりわけ
 オの肢ないしその解説であると、私は思う。

 

 ◆  問題 2

  
  ☆   参照サイト  行政法・審査基準 第27回

     第27回はコチラです↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/640603.html


   ▲ 総 説

     審査基準とは

      「申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定め
     に従って判断するために必要とされる基準」である(行手法2条8
     号ロ)。

    処分基準とは

   「不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかに
  についてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準」
    である(行手法2条8号ハ)。

   裁量基準

     これらは、「法律で裁量権が認められ、または政令・省令などにも
   十分に具体的な規定がない場合に、行政庁に行政裁量の基準つまり裁
  量基準を作らせ、それを手がかりに審査をするという方法である。」

 ( 前掲読本76頁等参照 )

  ▲ 各肢の検討 

 
    ◎ 肢アについて 
  

  審査基準は、行政立法の一つである。
  
  その行政立法には、2種類がある。その一つが「法規命令」であって、
 これは、法的拘束力を有する。
 もう一つは、「行政規則」であって、法的拘束力を有しない。
 
  審査基準は、「行政規則」に該当する

  したがって、本肢の「処分が違法となることはない」という記述は
 正しい。

 この場合には、憲法14条の平等原則違反に反し、違法となることが
 あるので、本肢の後段の記述も正しい。

 本肢は、全体として、正しい。

   
  ☆ 参考事項

  (1)平成19年度過去問 問題12・肢ウに注目!

   審査基準に違反して申請を拒否する処分をしても、その理由
    だけで処分が違法となることはないが、他の申請者と異なる
    取扱をすることになるため、比例原則違反として、違法となる
    ことがある。

      ×

   比例原則違反ではない。平等原則違反である。

   (2)処分を行う際の裁量基準(処分基準)の「平等原則」をズバリ
   問うたものとして、平成19年度過去問・問題42がある。

     ☆ サイト23回参照

     第23回はコチラです↓
    http://examination-support.livedoor.biz/archives/592220.html

 
  ◎ 肢イについて

   
    本問は、題意が掴みにくい。
  
  平成21年度問題11・肢エにおいて、以下の肢が出題された。

   「 審査基準には、法律に基づき処分の要件を定める政省令は含まれ
  ない。」

    ○ である。

   行手法2条8号イ・ロが手がかりになる。
    まず、イの法律に基づく命令が、「法律に基づき処分の要件を定める
  政省令」に該当する。
  次に、ロには、審査基準が掲げてある。

  イとロが並列して列記されている以上、イには、ロは含まれないことに
   なり正しい。それにしても、なんとも紛らわしい記述である。

  端的に言えば、政省令は、「法規命令」であり、審査基準は、「行政
  規則」であるから、両者は厳然と区別される。


  本肢に戻ろう。ハには、処分基準が掲げらているので、審査基準も処分
 基準も、政省令には含まれないので、本肢は誤りである。

 
   ◎ 肢ウについて

   行手法5条1項と同法12条1項の対比から、審査基準が法的義務と
  されるのに対して、処分基準の設定が努力義務であって、逆である。

  本肢は誤りである。

 
   ☆ 参考事項

  (1) それぞれの公表義務についても、同様に、審査基準が法的義務
     であり(5条2項)、処分基準が努力義務である(12条1項)。

  (2) 行手法5条1項の「・・・とする」文言は、通例は義務づけを
     回避するために用いられるものであるが、処分基準の「・・・・
     努めなければならない」という文言と比較すると、審査基準の
     設定を行政庁に原則として義務づけるものと解釈するのが自然
     である。」(読本220頁参照)

  (3) 処分基準の公表が努力義務にとどまるのは、「処分基準を公表
         すると、場合によっては、違反すれすれの行為が行われたり、処分
         を巧妙に免れる脱法行為が行われたりすることがあることに配慮し  
         たためである。」(読本225頁)。

 
 
  ◎ 肢エについて

       肢ア・エで述べたとおり、両者とも、行政規則に該当するので、
   正しい。

 
   ◎ 肢オについて

      行手法法2条8号ロ・ハによれば、審査基準も処分基準も、 同法39
   条1項のいう「命令等」に該当する。
    したがって、両者を設定するには、行政庁は、原則として、意見公募
 手続 を実施しなければならないが、同法39条4項各号に該当するときは、
  これを実施しなくてもよいとされる。

  以上によれば、本肢は、明らかに誤りである。

 

  本問は、アとエが正しいので、正解は1である。
 

 

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