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            ★  【過去問解説第106回 】  ★

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                   PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法=行政契約

  【目 次】 過去問・解説
              
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 ■ 平成24年度・問題9
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   行政契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。見解が
 分かれる場合は、最高裁判所の判例による。

 1 行政契約でも、その内容が国民に義務を課したり、その権利を
   制限するものについては、法律の留保の原則に関する侵害留保理
   論に立った場合、法律の根拠が必要であると解される。

 2  地方公共団体が、地方自治法上、随意契約によることができな
   い場合であるにもかかわらず、随意契約を行ったとしても、かか
   る違法な契約は、私法上、当然に無効となるものではない。

 3 地方公共団体がごみ焼却場を建設するために、建設会社と建築
  請負契約を結んだ場合、ごみ焼却場の操業によって重大な損害が
   生ずるおそれのある周辺住民は、当該契約の締結行為について、
   当該地方公共団体を被告として、抗告訴訟としての差止めの訴え
   を提起することができる。

 4  地方公共団体の長が、指名競争入札の際に行う入札参加者の指
  名に当たって、法令の趣旨に反して域内の業者のみを指名する運
  用方針の下に、当該運用方針に該当しないことのみを理由に、継
  続して入札に参加してきた業者を指名競争入札に参加させない判
  断をしたとしても、その判断は、裁量権の逸脱、濫用には当たら
  ず、違法ではない。

 5   地方公共団体が、産業廃棄物処理施設を操業する企業との間で、
  一定の期日をもって当該施設の操業を停止する旨の公害防止協定
  を結んだものの、所定の期日を過ぎても当該企業が操業を停止し
  ない場合において、当該地方公共団体が当該企業を被告として操
  業差止めを求める訴訟は、法律上の争訟に該当せず、不適法であ
    る。

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 ■  解説 
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  ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行


 ■ 本問の位置づけ

    平成24年度過去問においては、行政法の分野においては、本問
 のほかに、最高裁判所判例と関連付けて、「行政法における信頼保
 護」(問題8)・「行政裁量」(問題26)という大きなテーマの
 出題が行われている。本問もまた、その趣旨に副った出題である。

  したがって、今後とも類似の問題が出題される蓋然性は高いと
 予測されるので、その対策として、本問を通じて、解答の要領を
 取得する必要がある。

  なお、「行政法における信頼保護」については、当サイト10
 2回において解説を行ったが、「行政裁量」については、同じく
 当サイト欄において、将来、折りをみて、解説を行うつもりであ
 る。
 
 
 ■ 本問のポイント

     肢2に注目。

  行政契約に関する肢1〜5の記述すべてについて、正しいか
 どうかの判断を適確に行うことは、かなり困難なことである。

  本問に関していえば、一般的な教科書で説明されている最高
 裁判所判例(昭和62年5月19日判決・民集41巻4号68
 7頁)の知識があれば、肢2の記述が正しいことが即座にわかる
 のであるから、今後とも、普段の本試験の準備段階において、教
 科書に載っている主要判例にはできるだけ目を通しておいて、本
 試験当日において、その判例知識が、頭の隅に留まっているよう
 に心がけたいものである。

   
 ■ 各肢の検討
  
  
 ○ 肢1について。

  侵害留保説・行政契約に関する基礎知識があれば、本肢が
 正しくないことが判明する。

 (1)侵害留保説とは、国民の権利や自由を権力的に侵害す
   る行政についてのみ法律の根拠を必要とする説であるの
    で、その妥当する分野は、権力的行政である。

 (2)これに対して、行政契約とは、行政(国・公共団体)
   が一方の当事者となって締結される契約である。非権力
   的法行為である。
  
   《読本54頁・177頁参照》
 
 (3)以上から導かれる帰結は、侵害留保説によれば、非権
   力的公行政行為である行政契約には、法律の授権は必要
   ない。このような非権力的公行政についても法律の授権
   を要するとする説は、公行政留保説である(読本55頁)。

   したがって、以上の記述に反する本肢は正しくない。

  
  ※ 参考事項

    (a)行政契約でも、その内容が国民に義務を課したり、
        その権利を制限するものについては、法律の授権を要
        するものもあるというのは、通説であるが、しかし、
        前述したとおり、侵害留保説によるかぎり、この場合
        でも法律の授権を要しないことになるのである。その
        ことに混乱を生じないことが、肝要である。
   
   (b)少々我田引水になるが、私の散見した範囲では、市販
      の解説書では、(a)に記載した混乱を脱して、侵害留
      保説の定義から導かれる当該自明の理について、明確に
      記されたものはなかった。

      (c)ついでに言っておくと、行政契約の内容よっては、強
     制の度合いの強いものは、法律の授権を要するという
     通説を疎外するのが、侵害留保説となるが、そういった
     定義ひいては理論が硬直した固定観念を生む危険をつと
     に主張されたのが故小林秀雄氏だった。


 ○ 肢2について。

    前記最高裁判所判例(昭和62年5月19日判決・民集
   41巻4号687頁)は、地方公共団体の行政契約の手続
   に関して、つぎのとおり判示した。

    入札手続をとるべきであるにもかかわらずこれをとらず
   随意契約によった公有財産の売却契約は、法令の規定の趣
   旨を没却する特段の事情がない限り、私法上無効ではない。

       本肢は、当該判例に照応するものであるから、正しいこと
   は、歴然としている。

  
  ※ 参考事項

  (a)一般的にいって、取締法規に違反した取引は無効ではな
     いとするのが最高裁の判例だという認識があれば、かりに、
     前記判例知識がなくても、本肢が正しいという結論を導く
     ことができるかもしれない。

  (b)本肢に関しては、その前提として、次のような知識の取
    得が要請される。
     地方自治法234条1項・2項によれば、「原則は一般
    競争入札であり、指名競争入札、随意契約、せり売りは政
    令に定めがある場合にのみ許される。
     しかし、一般競争入札は面倒な手続であるから行政とし
     ては指名競争入札や随意契約をとりがちである。」《読本》

     なお、それぞれの各手続の内容については、過去問平成
    19年度問題24を参考にするとよい。

     その肢1では「指名競争入札とは、・・政令に特段の定
    めのない場合にはこの方法によるものとされる」とあるが、
    前述したところにより、当該記述に相当するのは、一般競
    争入札であって、本肢は誤りであって、本肢が正解となる
    (このような過去問との連動関係を尊重する勉強≪研究≫
     方法を私は、芋づる方式と呼ぶ)。
  
  (c)関連する判例(平成昭和62年3月20日判決・民集41
    巻2号189頁)

         地方自治法施行令によると

     地方公共団体が随意契約よることのできることの要件の一
    つとして、以下のように定める。

      契約の性質又は目的が競争入札に適しないこと

    最高裁判所は、以下の場合、当該要件に該当すると判断した。

    「競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難と
    は いえな」くとも随意契約の方法をとることが「当該契約の
       性質に照らし又はその目的を窮極的に達成する上でより妥当
       であり、ひいては当該地方公共団体の利益の増進につながる
       と合理的に判断される場合」

       《以上は、読本183頁参照)

     以上、本肢の判例では、法令違反の随意契約について、当該
    随意契約によった公有財産の売却契約は、特段の事情がない限
    り、私法上無効ではないとした。
     同時に前記関連判決では、法令で定める随意契約によること
    のできることの要件自体をゆるやか解釈することを認めたとい
    える。

 
    ○ 肢3について。

       地方公共団体が建設会社と結んだ建設請負契約は抗告訴訟の対象
   にならないため、当該契約の締結行為に対して、第三者である周辺
   住民は、行政事件訴訟法3条7号の抗告訴訟としての差止めの訴え
   を提起できない。以上の考え方は、当該行為について「処分」性を
   否定した最高裁判例(昭和39年10月29日民集18巻8号18
   09頁ー東京都ごみ焼却事件判決)に副うものである。

    ここでいう「処分」性については、種々の議論があるようである
   が、本肢については、以上の正確な知識があればよしとして、これ
   以上深入りしない。

    以上の記述に反する本肢は、正しくない。

 
   ○ 肢4について。

       本肢については、判例(最判平18・10・26判時1953−
  122)があって、それによれば、「指名競走入札に長年指名を受
    けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず参
    加させなかった措置の理由として、上記業者が域外業者であること
    のみである場合は違法である」とするものである。
 
   本肢は、当該判例に基づくものと思われるが、その記述内容が必
  ずしも明確でないこと、さらに一般に疎遠と思われる当該判例の知
  識まで要求されることに違和感があるが、常識に照らして、本肢は
  正しくないと判断せざるを得ないでろう。

  
  ○ 肢5について。

     行政契約の一つとしての公害防止協定は、事業者に対しては安全
  確保などのため義務を課することになるが、違法操業に対して、当
  該協約の当事者の一方である地方公共団体が訴訟で操業差止めなど
  の法的措置を求めることができるかという問題がある。
  しかし、協定は、行政処分ではないため、行政上の強制執行はで
 きないので、民事訴訟を提起せざるを得ないが、当該訴訟が、法律
 上の争訟に該当するかが、さらに問題となる。

  本肢は、以上の問題点を提起した記述であるが、公害防止協定に
  は、契約としての効力があるとして、当該協定に基づく義務の履行
 を求める訴訟を認めたのが最判平成21年7月10日判決のようで
 ある。

  したがって、当該訴訟が不適法であるとする本肢は、以上の記述
 に反するので、妥当でない。

  なお、細かい当該判例知識がないのは、一般的にいって極めて普
 通のことであるから、以上のような訴訟が認められなければ、「協
 定は法的意味を失うであろう」(読本183頁)という法常識(私
 は、これをリーガルマインドと呼びたい)があれば、本肢は正しく
 ないという判断が即座に可能となるであろう。

 ※ 参考判例

 ● 国または地方公共団体がもっぱら行政権の主体として(つまり
   公権力の行使の主体として)行政上の義務の履行を求める訴訟は、
  そういったことを認める特別の規定がない限り許されない(最判
  平14年7月9日民集56巻6号1134頁。いわゆる「宝塚パ
  チンコ条例事件判決」)。《入門173頁》

 ● 本件は、「ある市が、パチンコ店の建築に着手した者に対して、
  条例に基づき建築工事中止命令を発したが、相手方がそれに従わ
  なかったので、さらに工事の続行の禁止を求めて裁判所に出訴し 
  た事件」である。「市としては、法律上も条例上も、行政上の
  強制執行(この事件の場合は直接強制か執行罰)、刑罰、行政
  的措置のいずれも認められていなかったので、最後の手段とし
  て訴訟を提起したのであるが、最高裁判所は、・・現行の法律
  には「特別の規定」が存在しないことを認定して、理屈抜きで
  一刀両断的にこの訴訟が「法律上の争訟」に当たらないとした
  のである(読本141頁以下)。

 ● 「学説。判例は、従来一般に、行政庁であっても、行政法上の
  強制執行手段がないばあいには、私人とおなじように、通常の
  民事執行の手続によって、裁判所の手を借りた強制執行をする
  ことができるのだ、と考えてきました」が、最高裁判所は当該
  判決によって、これを覆したのである(入門173頁)。

 ● 当該判決によると、「訴訟で義務の履行を強制できるのは財
  産上の義務だけである」(読本184頁)ということになる。

  《当該判決は、大きな議論を招いた有名なものであるので、理
   解が深められるように、参考図書から該当箇所を引用し、列
   記した》

-------------------------------------------------------------
 
 ◆ 以上の参考判例に対して、本肢の判例では、本件公害防止協
  定(行政契約)については、義務の履行を求める訴訟が認めら
  れたので、裁判所による強制執行が行われることになる。

  私の記憶では、当該参考判例もまた、いずれかの過去問で出題
 されていたように思う。もし、私の記憶に誤りがあったとしても、
 当該判決は、将来の本試験で出題される可能性大であるといえる。
  そういう観点に立った場合、以上で述べた「本肢と参考判例の
 対比」もまた、前述した、過去問の連動関係を尊重する芋づる方
 式勉強方法に相当するであろう。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  以上によれば、本問の正解は、肢2である。

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 ★ 付 言


  私は、本問の解説には、丸3日間を要したのであり、みなさま
 の熟読を祈念いたします。


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 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
  ▽本文に記載されている内容の無断での転載は禁じます。
 
  ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
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       一切責任を負いかねますことをご了承ください。
       
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            ★ オリジナル問題解答 《第55回 》★

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  【テーマ】 行政法
    
  【目次】   解説
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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    問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第154号掲載してある。
 
 
 ☆ メルマガ第154回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
 
 ◆ 各肢の検討


  
   ○ 肢1について

   行政不服審査法34条2項以下。行政事件訴訟法25条2項以下。
 
    正しい。


   
   ○ 肢2について

   正しい。行審法34条4項。行訴法25条4項。ただし、厳密に
    言うと、前者では、義務的でなくなり、後者では することができ
    なくなる という違いがあるように思われる(○ 肢4について
   ※(b)参照)

     審査庁も裁判所も、執行停止にあたり、「本案について理由がない
  とみえるとき」に該当するかどうかを判断する

  
  
   ○ 肢3について

    行審法34条2項。正しい。行訴法25条2項によれば、「申立て
  によ」る。


 
  
   ○ 肢4について

    審査庁が処分庁の上級庁である場合には、3のとおり、執行停止の
     要件は緩和されているが、「審査庁が処分庁の上級庁でない場合につ
     いても、裁判所が執行停止する場合よりはその要件が緩和されている」
   (入門)
  
  (1) 審査庁の場合は、「必要があると認めるときは」が要件になって
    いる(行審法法34条3項)。
  
 (2)裁判所の場合は、「重大な損害」「緊急の必要」が要件になって
   いる(行訴法法25条2項)。
 
   したがって、要件は同じではなくて、緩和されているので、本肢は
  誤りである。
 
 
  ※(a) ただし、次の点に注意せよ。審査庁の場合にも、「重大な
            損害」等がが掲げられているが(行審法法34条4項)、こ
            れは、義務的であるための要件である。裁判所の場合が、執
            行停止発動の要件であるのとは、異なる。

            
                             執行停止可 ○   不可 ×
              
                           
               審査庁     裁判所
    
  「必要があると認める」   ○       ×

 
   「重大な損害等」      ○(義務的)  ○(発動の要件)

 
   以上を総括して、「入門」より、以下の文章を記しておく。
 
  「行政上の不服申立てのばあいには、争いを裁断するのは裁判所では
  なくて行政機関ですから、不服申立てに対する審査も、いわば、行政
   組織内部でのコントロールとしての性格を持つことになります。そう
   だとすると、取消訴訟のばあいには、司法権としての裁判所の立場上、
  そうかんたんに認められなかった例外としての執行停止も、かなり
   ゆるやかに認めてもよい、ということになるのでしょう。」 

 
  ※(b) ついでにいっておくと、

   審査庁においては、「本案について理由がないとめるときは」義務
   的でなくなるのに対して(行審法34条4項)、裁判所においては、
 「本案について理由がないとめるときは」執行停止をすることができな
 くなるのである(行訴法25条4項)。

   さらに、「仮の義務付け・仮の差止め」では、「本案について理由
  があるとみえるとき」が、積極的要件になっている(行訴法37条の
  5第1項)。

  
 
 ○ 肢5について

   正しい。
 
  内閣総理大臣の異議は、行政事件訴訟法25条の取消訴訟の場合
(無効等確認の訴を含む・38条3項による 準用)及び 仮の義務付け・
 仮の差止めの場合(37条の5第4項による準用)である(27条)こ
 とを明確に把握しておくこと。

  内閣総理大臣の異議という制度は、行政不服審査法にはない。


------------------------------------------------------------------

  本問では、肢4が誤りであるので、正解は、4である。 


-----------------------------------------------------------------

  ◆ 付 言
  
   本問の肢4の解説にみられるように、条文に忠実に条文を丁寧に読
  むいわば条文主義という観点もまた、本試験によって要請されている
  と私は思料します。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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             ★ オリジナル問題解答 《第54回 》★

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  【テーマ】 行政法
    
  【目次】   解説
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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    問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第153号掲載してある。
 
 
 ☆ メルマガ第153回はこちら
           ↓
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 

  本問は、サイト第68回が基本となっているので、これを参照願い
  たい。
 
 ☆サイト68回はコチラです↓
  http://examination-support.livedoor.biz/archives/1342578.html
  

  ◆ 各肢の検討


  ○ 肢アについて

   本肢は、正しい。このとおり、覚えておくとよい。
   本肢は、本問のテーマの導入部門である。

      参照条文 行訴法44条


  ○ 肢イについて

   参照条文 執行停止=25条4項 
   仮の義務付け・仮の差止め=37条の5第1項・2項

    本案に理由がないとは、行政処分に、取消事由に当たる違法性が
      がないことである。

    本案に理由があるときは、行政処分に、取消事由に当たる違法
   性があることである。
    
    執行停止は処分の執行を停止するのに対して、仮の義務付け等は、
   義務付けを行うのであるから、厳格な要件を要する。
    したがって、仮の義務付け等は、本案に違法性があるとみえると
     きでなければ、することはできない。
       これに対して、執行停止は、本案について違法性がないとみえる
    ときには、することができない。

    「本案について理由がないとみえる」は、執行停止にあっては、
     消極要件であり、仮の義務付けおよび仮の差止にあっては積極要
   件である。(前掲書 読本348頁 353頁)

       本肢の記述は逆になっているので、誤っている。

   ○ 肢ウについて

   本肢は題意が掴みにくいが、生活保護の申請の拒否処分を例に説明
    する。

    当該拒否処分に対して、取消判決があれば、判決の拘束力に基づい
   て行政庁は、判決の趣旨に従って、生活保護の給付決定をしなければ
   ならない。(行訴法33条2項)。
 
     しかし、執行停止の決定には行訴法33条2項の準用がないので、
   裁判所が執行停止の決定をしても、行政庁は何らの措置をとることも
   義務づけられない。
   もし、取消判決前に行政庁を義務づけようとすると、「仮の義務付け」
  を申し立てることになる。
  すなわち、当該拒否処分については、取消訴訟と義務付け訴訟を
 併合提起し、仮の救済である「仮の義務付け」を用いることになる
  のである≪肢オ参照≫。
 
  (以上 前掲 読本 351頁 参照)

  以上の記述は、本肢に相応するので、本肢は正しい。


 ○ 肢エについて

 (1)執行停止について

     行訴法25条2項によれば、執行停止を申立てるには、本案訴訟
 である取消訴訟が適法に裁判所に提起されていることが必要である。
  
     取消訴訟の原告適格について、行訴法9条2項は、処分の相手方
 以外の第三者利害関係人にもその適格を認める

     たとえば、マンションの建設についての建築確認に対し、第三者で
 ある近隣の住民が取消訴訟を起こす場合である。この場合、その者
  が執行停止を求めることができる。

   (2)仮の義務付けについて

   行訴法3条6項1号に該当する「直接型不作為」に基づく「義務付
    けの訴え」の提起があった場合において、「仮の義務付け」ができる。
   
   さきのマンション建設についていえば、第三者が、改善命令を訴求
   し、「仮の義務付け」ができることになる(37条5第1項)。   
    
 (3)仮の差止め

   行訴法3条7号の「差止めの訴え」の提起があった場合において、
  「仮の差止め」ができる。第三者が違法建築の差止めの訴えを提起
  し、「仮の差止め」ができる(37条の5第2項)。

   いずれも、当該処分の相手方のほか、一定の第三者も申し立てるこ
    と ができるので、本肢は正しい。

 ○ オについて


 (1)仮の義務付けの積極的要件として、義務付け訴訟の提起を
    要する(行訴法37条の5第1項)。

     この点において、本肢は正しい。

 (2)仮の差止めいついても、同様に差止め訴訟の提起を要する
    (行訴法37条の5第2項)。

     この点も、本肢は正しい。
  
 (3)執行停止の形式的要件として、「処分の取消しの訴えの提起
   があること、すなわち本案訴訟である取り消し訴訟が適法に裁
   判所に提起されていることが必要である」(行訴法25条2項)
    
      (前掲 読本 348頁)

   なお、当該規定は、無効等確認訴訟にも準用されていること
  にも注意すべきである(行訴法38条3項)。
 
    本肢は、(3)の なお以下に反するので、正しくない。


   ☆ 付 言

    これら、すべては、本案という義務付け訴訟・差止え訴訟・
      ないしは取消訴訟・無効確認訴訟を前提とする仮の救済制度で
      あることをはっきり認識する必要がある。

 
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   以上、本問は、イとオが正しくないので、正解は5である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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            ★ オリジナル問題解答 《第53回 》★

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 ◆  参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣


 
  【問題1】


 
 ◆ サイト30回に掲載の平成18年度過去問・問題11及び解説参照

 
    第30回はコチラです
              ↓
  http://examination-support.livedoor.biz/archives/683857.html


  ◆ 各肢の検討

  
  ○ アについて

   平成21年度問題11の肢4の以下の記述をみてほしい。

   聴聞において、当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず、
  行政庁がこれを不許可とした場合には、行政不服審査法に基づく不服
  申立てをすることができる。

   妥当でない。

   条文は、行手法17条1項・同法27条1項である。
   つまり、同法17条1項に違反する違法な処分(行審法1条の行政
   庁の違法処分に該当する)は、行手法27条1項により、行審法による
  不服申立てをすることはできない。

  同様に行手法18条1項の文書等の閲覧規定に反する行政庁の処分も
  また、行審法の不服申立ての対象にならない。

   以上、本肢は妥当である。

  ○ イについて

  聴聞を経てなされた不利益処分については、行政不服審査法に基づく
  異議申立てはできないが、弁明の機会付与の不利益処分にはこうした
  制限がないので、本肢は妥当である(27条2項・29条以下にはこ
 うした規定もなく、準用もされていない)。

   しかし、27条2項によれば「審査請求」はできることになっている
  ことに注意。
  「異議申立て」は処分庁に対する不服申立てであるから(不服審査法
  3条2項)、聴聞という丁寧な手続を経た処分が覆る可能性がほとんど
  ないことが立法趣旨である。

  以上、本肢は妥当である。


 ○ ウについて

   行手法29条と同法20条の比較。なお、同法20条3項の審理の
 非公開原則に注意。これについては、学者の批判がある。

   以上、本肢も妥当である。

 ○ エについて
              ・・・・・・・・・
  丁寧な手続である聴聞は、許認可を撤回したり 資格 または地位
  を 剥奪するといった相手方に重大な不利益を与える不利益処分に
 ついて行われる。これが「特定不利益処分」であり、行手法13条
1項1号に列挙されている。
   この不利益処分には、行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる
 (同旨・平成21年度問題11・肢2)。

    以上に反する本肢は妥当でない。


 ○ オについて

  行政庁が、相手方から、申請により求められた許認可等を拒否する
 処分は、申請に対する処分(行手法2条3号)であるから、不利益処
  分に該当しないので、聴聞ないしは弁明が実施されることはない

  以上に反する本肢は、妥当でない。


-----------------------------------------------------------------

   以上により、妥当でないのは、エとオであるから、4が正解である。

-----------------------------------------------------------------


 ◆  付 言

   エとオの対比を通じて、「特定不利益処分」の概念をはっきりと把握
 することが肝要だ!

  一度行政庁がした許認可を取り消したり、撤回するのが、「特定不利益
 処分」であり、申請者から求められた許認可を拒否するのは、それが、い
 かに申請者の重大な利益に関わることであっても、「不利益処分」ではな
 く、「申請に対する処分」である。

   以上は、行政手続法の根幹をなすものであり、過去問でも繰り返し問わ
 れている。混同しないように!


   また、アとイの混同も回避すべき。

   アは、聴聞の手続そのものに対する不服。イは、聴聞・弁明を経て
 なされた不利益処分に対する不服申立ての問題。
   

 
 【問題2】

 

 ◆   参照サイト  行政法・審査基準 第27回

  ☆第27回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/640603.html


  ◆ 総 説

     審査基準とは

      「申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定め
     に従って判断するために必要とされる基準」である(行手法2条8
     号ロ)。

    処分基準とは

   「不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかに
  についてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準」
    である(行手法2条8号ハ)。

   裁量基準

     これらは、「法律で裁量権が認められ、または政令・省令などにも
   十分に具体的な規定がない場合に、行政庁に行政裁量の基準つまり裁
  量基準を作らせ、それを手がかりに審査をするという方法である。」

 ( 前掲読本76頁等参照 )

◆ 各肢の検討 

 ◎ 肢アについて 
  

  審査基準は、行政立法の一つである。
  
  その行政立法には、2種類がある。その一つが「法規命令」であって、
 これは、法的拘束力を有する。
  もう一つは、「行政規則」であって、法的拘束力を有しない。
 
  審査基準は、「行政規則」に該当する


   したがって、本肢の「処分が違法となることはない」という記述は
 正しい。

  この場合には、憲法14条の平等原則違反に反し、違法となることが
 あるので、本肢の後段の記述も正しい。

   本肢は、全体として、正しい。

   
  ☆ 参考事項

  (1)平成19年度過去問 問題12・肢ウに注目!

   審査基準に違反して申請を拒否する処分をしても、その理由
    だけで処分が違法となることはないが、他の申請者と異なる
    取扱をすることになるため、比例原則違反として、違法となる
    ことがある。

      誤りである。

   比例原則違反ではない。平等原則違反である。

     ※ 比例原則は、公務員に対する懲戒処分でよく問題になるが、
   「処分の原因となる行為の悪質さとそれに対する処分の強さと
     の間には、合理的な比例関係がなければならなという原則で
     ある」(読本71頁)。


   (2)処分を行う際の裁量基準(処分基準)の「平等原則」をズバリ
   問うたものとして、平成19年度過去問・問題42がある。

   サイト23回参照

  ☆第23回はコチラです
      ↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/592220.html

   なお、サイト22回も参照

   ☆第22回はコチラです
      ↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/592202.html


 ◎ 肢イについて

   
    本問は、題意が掴みにくい。
  
  平成21年度問題11・肢エにおいて、以下の肢が出題された。

   「 審査基準には、法律に基づき処分の要件を定める政省令は含まれ
  ない。」

    正しい。

   行手法2条8号イ・ロが手がかりになる。
    まず、イの法律に基づく命令が、「法律に基づき処分の要件を定める
  政省令」に該当する。
  次に、ロには、審査基準が掲げてある。

  イとロが並列して列記されている以上、イには、ロは含まれないことに
   なり正しい。それにしても、なんとも紛らわしい記述である。

  端的に言えば、政省令は、「法規命令」であり、審査基準は、「行政
  規則」であるから、両者は厳然と区別される。


  本肢に戻ろう。ハには、処分基準が掲げらているので、審査基準も処
 分基準も、政省令には含まれないので、本肢は誤りである。

 
 ◎ 肢ウについて

   行手法5条1項と同法12条1項の対比から、審査基準が法的義務と
  されるのに対して、処分基準の設定が努力義務であって、逆である。

   本肢は誤りである。

 
   ☆ 参考事項

  (1) それぞれの公表義務についても、同様に、審査基準が法的義務
     であり(5条2項)、処分基準が努力義務である(12条1項)。

  (2) 行手法5条1項の「・・・とする」文言は、通例は義務づけを
     回避するために用いられるものであるが、処分基準の「・・・・
     努めなければならない」という文言と比較すると、審査基準の
     設定を行政庁に原則として義務づけるものと解釈するのが自然
     である。」(読本220頁参照)

  (3) 処分基準の公表が努力義務にとどまるのは、「処分基準を公表
         すると、場合によっては、違反すれすれの行為が行われたり、処
     分を巧妙に免れる脱法行為が行われたりすることがあることに配
         慮し   たためである。」(読本225頁)。

 

  ◎ 肢エについて

       肢ア・エで述べたとおり、両者とも、行政規則に該当するので、正
     しい。

 
  ◎ 肢オについて

      行手法法2条8号ロ・ハによれば、審査基準も処分基準も、 同法3
    9 条1項のいう「命令等」に該当する。
    したがって、両者を設定するには、行政庁は、原則として、意見公募
   手続を実施しなければならないが、同法39条4項各号に該当するとき
   は、これを実施しなくてもよいとされる。

   以上によれば、本肢は、明らかに誤りである。


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    本問は、アとエが正しいので、正解は1である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
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          ★  【過去問解説第101回 】  ★

         ワンポイント・レッスン その2

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法/行政処分 その3

        ★ 本試験では、瞬時にポイントを掴み、正解を
         導くことが要請されるので、今回は、そのポイ
         ントに絞り込み、コンパクトに解説するように
         試みた。
  
        ★ ただし、後半部分の各肢の検討では、詳細な
         解説もおこなった。
   

  【目 次】 過去問・解説
              
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 ■ 平成22年度・問題16
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(1)平成22年度・問題16

  
   次のア〜オの訴えのうち、抗告訴訟にあたるものの組合せはどれか。

  ア  建築基準法に基づき私法人たる指定確認検査機関が行った建築確
   認拒否処分の取消しを求める申請者の訴え。

  イ 土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決において
   示された補償額の増額を求める土地所有者の訴え。

  ウ  土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決の無効を
    前提とした所有権の確認を求める土地所有者の訴え。

   エ  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき
     許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める
     周辺住民の訴え。

   オ  住民基本台帳法に基づき、行政機関が住民票における氏名の記載
     を削除することの差止めを求める当該住民の訴え。

 
 1 ア・イ
 
 2 ア・オ

 3 イ・ウ

 4 ウ・エ

 5 エ・オ


(2)平成13年度・問題11

   行政事件訴訟法が定める「抗告訴訟」ではないものは、次のうち
   どれか。

 1 処分の取消しの訴え

 2 無効等確認の訴え

 3 不作為の違法確認の訴え

 4 当事者訴訟

 5 裁決の取消しの訴え

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■  解説 
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  ◆ 本問(1)のポイント

   本問については、三つの正確な知識があれば、即座に正解に
  達する。

   ○ イの訴訟は、形式的当事者訴訟の代表例である。

   ○ ウの訴訟は、民事訴訟である「争点訴訟」の典型例である。

   ○ エについては、抗告訴訟である差止め訴訟は、行政庁の処
    分を対象とするものであるから、運転者(事業者)に対して
    原子炉施設の運転の差止めを求める訴えは、抗告訴訟ではな
    い。

    -----------------------------------------------------------
  
   イ・ウ・エいずれも、抗告訴訟に該当しないのであるから、
  抗告訴訟にあたるもの組合せは、ア・オ以外にはありえない
   ので、2が正解である。

 -------------------------------------------------------------

   ◆ 本問(2)の解答

   .
  1 抗告訴訟(行政事件訴訟法第3条2項)


  2 抗告訴訟(行訴法第3条4項)。


  3 抗告訴訟(行訴法第3条5項)。


  4 抗告訴訟ではない(行訴法第2条、4条)。


  5 抗告訴訟(行訴法第3条3項)。

------------------------------------------------------------------

    抗告訴訟でないのは、4の当事者訴訟であるので、正解は4である。

-------------------------------------------------------------------

  なお、その他の抗告訴訟として、義務付けの訴え(行訴法3条6号)
 ・差止めの訴え(行訴法3条6号)がある。
 
 

  以上で、ワンポイント・レッスン 終了
 

 
 ◆ 本問(1)の各肢の検討

  
   ● アについて

     行訴法3条1項によれば、「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力
    の行使に関する不服の訴訟をいうとされるが、本肢における私法
    人たる指定確認検査機関は、行訴法11条2項にいう公共団体に
    所属しない「行政庁」と判断し、本肢の機関を被告として取消訴
    訟が提起できると考えるのが妥当である。
   
     本肢は、抗告訴訟にあたる。
    
    
    ※ 参考事項

     当該機関に被告適格を認める建築基準法の細かい規定の探索は
    無用であろう。

     行訴法11条の被告適格に関する過去問として、平成21年度
    問題16がある。


   ● イについて

     以下の記述を参照されたい(後掲書 読本270頁)。

     
     土地所有者がその損失補償に不服がある場合には、本来は収
    用委員会を被告として取消訴訟を提起しなければならないはず
    である。
     ところが、土地収用法133条3項は、損失補償に関する訴
    訟は、損失補償の当事者、つまり土地所有者と土地所有権を取
    得し補償の義務を負担する起業者との間で行われるべきものと
    している。(行訴法4条1項の『当事者間の法律関係を確認し
    又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりそ
    の法律関係の当事者の一方を被告とする』ものという・筆者
    加筆)定義は、このような損失訴訟を指している。この損失
    補償に関する訴訟は、本来は取消訴訟であるべきところ、法
    律の規定により当事者訴訟とされているので「形式的当事者
    訴訟」と呼ばれている。

      以上のとおり、本肢は、形式的当事者訴訟であって、抗告
   訴訟ではない。
    


   ※ 参考事項

     土地収用法に基づく形式的当事者訴訟の仕組みを具体的
    に説明する。


     
     ◎ 本件では、A県収用委員会が、起業者であるB市の申
      請に基づき、同市の市道の用地として、2000万円の
      損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決
      (権利取得裁決)をなした場合を想定する。

      
      申請者 B市(起業者)

           ↓

      本件土地所有権を奪う権限権限を有する者
     
      A県知事とA県収用委員会
              ↓
            
           ↓ 裁決
              ↓
          
         X (土地所有者)

     

      ○ 本来的には、土地所有権を奪われるXとの関係では
       A県が補償の義務を負い、起業者B市はA県に対して
       補償額相当の金員を支払う義務を負うことになるはず
       であるが、土地収用法では、損失補償の義務を負うの
       は、収用により土地所有権を取得することになる起業
       者B市である(68条)。

      ○ 補償額に争いがある場合には、「土地収用において
       は、補償額の決定は(A県)収用委員会の裁決によっ
       て行われるが、この裁決は行政処分であるから、本来
       は補償額に不服があればこの裁決を争うべきである。
        しかし法律(土地収用法)は、補償額に関する訴訟
       は、起業者と土地所有者との間で行われることにして
       いる(133条3項)。これは、形式的当事者訴訟の
       代表例である」(読本 418頁)。

      ○  「・・この条文(筆者注・行訴法第4条)は、当事
       者訴訟の中にふたつの種類のものがある、というこ
       とを定めていることがわかります。そのうちのひと
       つは、はじめの方(前段)で定めている『当事者間
       の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関
       する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者
       の一方を被告とする』であるわけですが、このタイ
       プの当事者訴訟を、ふつう『形式的当事者訴訟』と
       よんでいます。この『形式的』ということの意味は、
       ・・・この訴えが実質的にみると『公権力の行使に
       対する不服の訴訟』つまり『抗告訴訟』としての
       性質を持っているのだけれども、法形式の上では対
       等な当事者の間での訴訟というかたちになっている、
       ということなのです」(後掲書 入門208頁以下)。
      
          -------------------------------------------------------
       
       なお、本件において、Xが土地の収用そのものを
      違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求め
      ることになるが、この訴訟は、A県収用委員会の所
      属するA県を被告として、収用裁決の取消訴訟を提
      起することになることに注意せよ(行訴法3条2項
      ・11条1項1号)。
    
    -------------------------------------------------------

     ★ 本件は、過去問平成23年度・問題16から引用
      した。 
      
   
  ● ウについて


   本肢でも、「A県収用委員会が、起業者であるB市の申請に
  基づき、同市の市道の用地として、2000万円の損失補償に
  よってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)
  をなした場合を想定」して、説明する。
        
                ・・
   A県収用委員会の収用裁決が無効であるので、Xが土地を
  取り返したい場合には、収用裁決に瑕疵があって取消しを求
  める場合とは異なって、収用裁決という行政処分には公定力
  もないため、抗告訴訟を起こしたうえで、その後、A市を被
  告として、土地の返還を請求する等の民事訴訟を提起する必
  要はない。

   その観点から、行訴法36条をみると、収用裁決という処
  分それ自体の「無効確認の訴え」という抗告訴訟(行訴法第
  3条第4項)を起こすというのはよけいなまわり道だから、
  それはできないことにして、もっぱら直接「土地の返還を請
  求する」といった民事訴訟で争うことしかできないとするの
  が同条の趣旨であるといえる。

   つまり、36条にいう「現在の法律関係に関する訴え」が
  「土地の返還を請求する」といった民事訴訟のことであり、
  本肢に照らせば、(Xが、B市に対して)所有権の確認を
  求める民事訴訟のことである。

   こういった場合のことを特に「争点訴訟」とよぶ。この
  争点訴訟というのは、民事訴訟であって、当該訴訟のなか
  で、行政処分の無効を争点とすることができるということ
  である(行訴法45条参照)。

   したがって、本肢は、民事訴訟である「争点訴訟」であ
  って、抗告訴訟ではない。
   
   本肢の解説は、入門198頁以下を参照した。

 

  ● エについて

  ◆ 本問(1)のポイントで述べた「抗告訴訟である差止
   め訴訟は、行政庁の処分を対象とするものであるから、
   運転者(事業者)に対して原子炉施設の運転の差止めを
   求める訴えは、抗告訴訟ではない」ことに付加すると、
   (1)本肢は、民事訴訟である。(2)行訴法3条7項
   の定義の規定を参照せよ ということである。


 ● オについて 

  行政機関が住民票における氏名の記載を削除することが、
 行訴法3条7号にいう「差止めの訴え」の対象となる処分
 にあたるかということは、普段考えたことのないテーマで
 あるが、他の肢との比較により、肯定すべきことになるの
 であろう。

  下級審による判例があるようであるが、その知識まで要
 求されているとすれば、要求過多であると思う。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  本問の正解は、前述したとおり、2である。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

 ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行
 
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 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
  ▽本文に記載されている内容の無断での転載は禁じます。
 
  ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
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           ★ オリジナル問題解答 《第48回 》★

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              PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法
       
  【目次】   解説
              
   
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 ■ オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第144号掲載してある。
 
 
  ☆ メルマガ第144回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

  ▲ 総説 

  行政計画とは、行政機関が行政活動を計画的に行うために作成・
 決定(策定)する計画である。都市計画法に基づく都市計画がその
  代表例である(読本284頁)
 
  
  ▼ 各肢の検討

 
  ○ 肢アについて

   
   (1) 侵害留保説とは、国民の権利や自由を権力的に侵害する行政
        についてのみ法律の授権を必要とする説である

       この説によれば、本肢のような侵害的行為については、法律の
    授権を要する。

    (2)権力作用留保説とは、行政活動のうちの権力的なものについて、
       法律の授権を要するという説である。
 
      この説によれば、本肢のような権力的行政には、法律の授権を
      を要する。

  
    (3)公行政留保説(完全全部留保説)

    これは、権力的行政のみならず、非権力的公行政にについても
   法律の授権を要するとする説である。

     この説によれば、本肢のような権力的行政には、法律の授権を
      を要する。


       したがって、本肢のよな侵害的行為については、(1)(2)
  (3)いずれの説によっても、法律の授権を要するので、本肢
   は、妥当である。

 
  ※ 参考事項

  1 (1) 侵害留保説・ (2)権力作用留保説・ (3)公行政留
   保説(完全全部留保説)の主な違い

    a (1)は、国民の権利や自由を権力的に侵害する行政につ
     いてのみ法律の授権を必要とする説であるのであるから、授
     益的な行為については、法律の授権を要しない。
      これに対し、(2)は、権力作用に注目するのであるから、
     授益的かつ権力的な行為についても法律の授権が必要である。
      しかし、(1)も(2)も、非権力な行為については、法
     律の授権は必要でない。

    b  (1)(2)に対して、(3)は、権力的行政のみならず、
     非権力的公行政についても法律の授権を要する。
     この説は公行政全般につて、法律の監視を求めるもであろう。
    しかし、この説によっても、私行政については、法律の授権を
    要しない。

   2 過去問との対比

    正面から「行政計画」について、問うた過去問として、平成21
    年問題8 があるが、その肢1の記述は以下のとおりである。
 
    土地利用を制限する用途地域などの都市計画の決定についても、
   侵害留保説によれば法律の根拠が必要である。

   ● 本肢は、侵害留保説に照らし、妥当である。

 
  ○ 肢イについて
  
  
    本肢は、最高裁判所大法廷(平成20)年9月10日判決に反する。
  
    従来、最高裁判所は「事業計画は『いわば当該土地区画整理事業の
  青写真たるにすぎない一般的・抽象的な計画にとどまる』」(読本2
 86頁)ことを理由に行政訴訟の対象にならないとしてきたが、前記
 判例がこの先例を変更したのである。この判決は、前記事業計画につ
 いて、宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告
 訴訟の対象になるとしたのである。

    本肢は妥当でない。

 
  ○ 肢ウについて
  
    「この行政計画の事前手続については行政手続法では定めておらず、
   個別の法で定められている。」(読本173頁)
  
  たとえば、都市計画法16条の「公聴会の開催等」、同条17条の
 「都市計画の案の縦覧等)。


   本肢は妥当である。。  


  ○ 肢エについて


  最高裁判所1982(昭和57)年4月22日判決は、用途地域
 に対しての訴訟の可能性を否定し、後続の処分、つまり、建築確認
 が用途地域指定との関係で拒否された段階で、建築確認に対して
 取消訴訟を起こし、その訴訟の中で用途地域の違法を主張すれば
 よいとした(読本287頁)。

  「実効的な権利救済を図るという観点」に立ったのは、肢イの
  判例である。
 
   本肢は妥当でない。

 
 ※ 過去問との対比

  平成24年−問題18 肢3

  行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当た
 る行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高
 裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、
 行政処分に該当する。

  ● 当該用途地域の指定は、取消訴訟の対象にならないとしたのが、
   前記判例であるから、本肢は妥当でない。


 ○ 肢オについて

  行手法39条1項によれば、意見公募手続は、命令等を定める場合
 に問題になり、「行政計画」は、その対象にならない。

    ・・・
   命令等の概念については、2条8号をみよ。それらは、以下のもの
 であり、「行政計画」は入っていない

   法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む)・審査基準・
 処分基準・行政指導方針 

  本肢は妥当である。

 
 ※ 過去問との対比

  平成21年問題8 ・肢2

  広範な計画裁量については裁判所による十分な統制を期待すること
 ができないため、計画の策定は、行政手続法に基づく意見公募手続
 の対象となっている。

   ● 前記に照らし、本肢は妥当でない。

 
...............................................................

  
    以上妥当でないのは、イとエであるから、正解は3である。

................................................................ 

  ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行


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 【著者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

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            ★ オリジナル問題解答 《第43回 》 ★

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法=行政行為の分類

    
  【目次】   解説
   
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■   オリジナル問題 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第139号掲載してある。

 ☆ メルマガ第139回はこちら
           ↓↓↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
 ★ 参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 
 /有斐閣 発行


 ●  行政法の手始めとして、その基礎的部分である冒頭のテーマに
   ついて、オリジナル問題を作成した。
  本問に関しては、過去問において、コンスタントに出題されてい
 るものであり、今後とも、注意を要する分野である。

 
   【問題1】


 アについて。

  認可は、形成行為であるといっても、私人のなんらかの法律行為が
 先におこなわれている、ということを大前提としている。


 認可の典型例である農地を例にとると、
 
                            認可

 先行            ↓  補充              


 農地の売買-------------法的効果を完成


  つまり、先に行われた法律行為が有効であることが大前提になって
 いる。

 ですからたとえば、農地の売買に認可(法律上の言葉では許可)が
 与えら れたとしても、私人間での売買の合意自体に瑕疵があって、
  民法上無効であったり取り消されたりした場合には、農業委員会の
 認可がもう出ているからといって、そのことによってこの売買が
  有効になるということ はないのです(入門)。

    したがって、本問の場合には、私人は認可後も取消しが可能であ
  るから、誤っている。


  イについて。

   命令的行為とは,「私人が事実としてある行動をすること(しないこ
 と)」自体を規制の対象とする行政行為。

(1) いろいろな営業許可(営業免許)のばあいにも、私人は許可
   (免許)を受けないで営業活動をすることはできない。

(2)ふつうは、無許可で営業活動をしたということに対しては罰則が
    適用される

(3)しかし原則として、おこなわれてしまった営業上の取引行為が法
   的に無効とされることはない。
  
  (3)については、肢オに掲げた判例を参照されたい。

    以上(1)(2)により、「命令的行為」(許可を要する行為)は、
 「どれも私人のある行為が事実上なされること(なされないこと)を
  規制しようとするものですから、相手方である私人がこれにしたが
  わないときにはなんらか の手段によって、命じた結果を強制的に実
  現する必要が出てくることになります。こういった手段としては、ふ
  つうは・・法律が定めている罰則の適用による制裁《処罰》が中心に
  なるわけですが、さらにばあいによっては、実力をもって、いわゆる
  行政上の強制執行がおこなわれることもあります」(入門)。

  したがって、以上の記述に相応する本肢は、正しい。
 
   ウ について。

   許可は、一般的な禁止を特定の場合に解除するものであり、自動車の
 運転免許についても、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転で
 きることとして、禁止を解除することになる。したがって、自動車の
 運転免許は、許可に該当する。

   本肢は、正しい。


 エについて。
  
  認可とは、許可が命令的行為であるのに対して形成的行為に該当する。
 形成的行為とは、私人の行う行動の法的効果をコントロールの対象とす
 る行政行為である。

  以上を前提として、

  「認可」のばあいには、私人相互のあいだで法律行為が先にすでにおこ
 なわれているということ前提として、いわばこれらの行為を補充して、
 その法的効果を完成させる、という効果を持つものであるところに、そ
 の特徴があります(入門)。

  したがって、認可の対象となる行為は、法律行為に限られるのであって、
 事実行為は含まれないことになる。

   したがって、本肢は正しい。

 オについて。

   最判昭35・3・18民集14−4−483は、以下のように判示した。

  食肉の売買契約をした者が、食品衛生法による営業許可を受けていない
 としても、同法は単なる取締法規にすぎないから、取引は無効でない。
 
   したがって、消費者保護の法理の適用により、取引無効にはならない。
 肢イとも連動している。

  本肢は誤りである。


-----------------------------------------------------------------

 以上誤っているのは、ア・オであるから、正解は2である

-----------------------------------------------------------------


  【問題2】


 アについて。

  各種の営業許可は、命令的行為になる。妥当でない。

 
 イについて。

  この肢は、形成的行為の説明であり、妥当でない。。


 ウについて。

   この肢は、「鉱業権」を与える行為が特許に該当することの説明
 として妥当である。


 エについて。

  ここでは、一般ガス事業者がガス利用者との間で行う供給約款が
 問題になる。

 次の図をみよ。

           経済産業大臣の認可 
              ↓ 
           ガス供給約款
 一般ガス事業者─────────一 一般利用者
            

  ここでいう約款というのも、契約の一種であって、その内容が、
 企業側によって、一方的、定型的に定められるもので、ガス利用
 者は、従属的立場でこれに従わざる得なくなるものです。ここで
 は、経済産業大臣が、消費者保護の立場に立って、約款の効力を
 判断するというのですから、この「認可」は文字どおり、理論的
 にも「認可」ということになります。したがって、これは、「特
 許」に該当しない。妥当でない。

 


 オについて。

 
  「確認」は法律関係の存否を公的に確認し、これを対外的に公示す
 る表示行為であって、準法律行為的行政行為ととらえられる。ここ
 でいう「建築確認」は、上記の「確認」い該当するというのが、通
 説である。しかし、本肢のように捉えると、営業許可と同じように
 考えられるので、法律行為的行政行為のなかの許可に該当すること
 になる。

   本肢は、妥当である。。

---------------------------------------------------------------

   本問は、ウとオが正しいので、正解は5である。
 
---------------------------------------------------------------

 

 ● 過去問通覧

 
  この分野に属する過去問を年度順に、ざっとみておくと、次のと
 おりである。

 
 
 (1) 昭和62年度・問題問39


   講学上の行政行為の種類に関する次の組合せのうち、誤ってい
  るものはどれか。

  1 自動車の運転免許・・・・・・・・・許可

  2 公有水面の埋立免許・・・・・・・特許
 
  3 河川占用権の譲渡の承認・・・認可

  4 選挙人名簿への登録・・・・・・・公証

  5 発明の特許・・・・・・・・・・・・・・・特許

 

  ◆  解説

 

   1 正しい。

     
    前記【問題1】 ウについて。参照


   2 正しい。

      前記【問題2】 ウについて。参照 

    公有水面の埋立などの公物使用権・公物占有権を与える行
   為は、私人に直接、特定の排他的独占的な権利を与えるので、
     行政行為の分類理論でいうところの特許に該当する。

   
     3 正しい。

    前記【問題1】・【問題2】における記述に照らすと、河川占
     用権の譲渡は、当事者間で合意しただけでは有効に譲渡すること
   はできず、行政の承認が必要となるということであるから、当該
     行政庁の承認は、当事者の法律行為を補充して、法律上の効力を
     完成させる行為を指すことになり、認可に該当することになる。
 
    ただし、河川占有権の許可自体は特許であることに注意せよ。

  4 正しい。

   選挙人名簿への登録は、選挙人たる資格という特定の事実又は法律
    関係の存在について、公的に証明する行為であって、これは、、講学
    上の公証に該当する。

  5 発明の特許は、発明があったという特定の事実について、公の権
      威を持って判断したり、確定したりする行為であるので、、講学上
      の確認に当たる。
    法令の用語と講学上における行政行為の種類とでは異なる場合も
      あることに注意。
 

         本問の正解は5である。


 
(2) 平成3年度・問題35


  特許とは、講学上、行政庁が相手方に対し、法律上の権利、能力又は
 包括的法律関係を設定する行為をいうが、次の事項のうち、この特許に
 当たらないものはどれか。

 1 医師の免許

 2 道路に電柱を設置するための道路管理者の許可

 3 外国人の帰化の許可

 4 公有水面埋立ての免許

 5 鉱業権設定の許可


 
 ◆ 解説


   医師等の免許といった各種の資格に基づく営業免許は、講学上の許可
  に当たり、その他の肢は、講学上、特許に該当する。

       本問の正解は1である。


      
  (3) 平成9年度・問題33

   
     アからオまでの行政行為の種類の組合せとして正しいものは、次の
   うちどれか。


    ア許可 イ認可 ウ特許 エ確認 オ公証

  1 ア公益法人設立の許可  イ公共料金値上げの認可 ウ鉱業権
         設定の許可 エ所得税額の決定 オ医師免許の付与

  2 ア火薬類輸入の許可 イ鉱業権設定の許可 ウ医師免許の付与 
        エ当選人の決定 オ選挙人名簿の登録 
   
  3 ア風俗営業の許可 イ農地転用の許可 ウ医師免許の付与 
        エ審査請求の裁決 オ当選人の決定

  4 ア公益法人設立の許可 イ鉱業権設定の許可 ウ火薬類輸入の
        許可 エ当選人の決定 オ所得税額の決定
   
  5 ア風俗営業の許可 イ公共料金値上げの認可 ウ鉱業権設定の
        許可 エ審査請求の裁決 オ選挙人名簿の登録 
 

  


    ◆ 解説


    本問について、正しく当てはめれば、下記のとおりになる。

 


  ア 許可  
                                        。。。。。。。
 
   医師免許の付与 ・ 火薬類輸入の許可・風俗営業の許可・農地転用
    の許可

 

 イ 認可 

  。。。。。。。。。。
  公共料金値上げの認可・農地転用の許可    
 

   ※注 農地転用の許可について

    農地法では農地を売買したり、宅地にしたりすることに対し、
      制限が設けられている(農地法第3条〜5条参照)前者の権利移
      転の伴う転用ならば認可であり、後者の権利移転の伴わない転用
      ならば許可にあたる。本肢では、単に「農地転用」としているの
      で、後者と思われるが、前者ではないと言いきれないので、許可
   欄にも「農地転用」を掲げた。
    いずれにせよ、おもしろい視点である。
            

 ウ 特許  
            。。。。。。。。。
  公益法人設立の許可・ 鉱業権設定の許可
 


 エ 確認 = 特定の事実について、公の権威を持って判断したり、
               確定したりする行為が、講学上の確認に当たる。
 
                 。。。。。。。
  所得税額の決定・当選人の決定・審査請求の裁決 
 

 オ 公証

  。。。。。。。。
  選挙人名簿の登録⇒選挙人名簿への登録は、選挙人たる資格という特
                      定の事実又は法律関係の存在について、公的に証
                      明する行為であり、講学上の公証に当たる。

 

   以上ア〜オ欄の。。。。。。を付した文言に照らせば、5が正解で
    ある。      

 

 

 (4) 平成11年度・問題33

   講学上の許可及び認可に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


   1 許可を要する行為を許可を受けないでした場合は、強制執行又は
        処罰の対象とされることがあるのみならず、当該行為は、私法上も
        当然に 無効となる。

   2 許可は、一般的な禁止を特定の場合に解除するものであり、その
        性質上、許可された地位は、譲渡又は相続の対象とはならない。


   3 認可の対象となる行為は、法律行為に限られず、事実行為もこれ
        に含まれる。


   4 許可は、申請をその前提条件とするから行政庁は申請に基づかな
        いで与えることはないが、認可は、申請をその前提条件としないの
        で行政庁が進んで与えることができる。

   5 認可の対象となる私人の法律行為に取消原因となる瑕疵があると
        きは、私人は、認可後も当該法律行為の取消しを主張することがで
        きる。

 

   ◆ 解説


    1 前記【問題1】 イについて。に照らせば、誤り。

    2  許可の持つ性質からみて、前段は正しい。しかし、対物許可の
         場合には、許可された地位は、譲渡または相続の対象になる。例
     えば、自動車の車体検査(車検)。これに対し、対人許可(医師
         免許など)はその対 象にならない(LEC過去問題集・解説)。
         後段は誤り。

       3 前記【問題1】 エについて。に照らせば、本肢は誤りである。

    4 許可及び認可は、国民からの申請をその前提条件とするのが原
         則である。本肢は誤りである。

    5  前記【問題1】アについて。に照らし、正しい。

     
       本問の正解は、5である。
 

  (5) 平成19年度・問題8

 

  次のア〜オに挙げる行政行為のうち、私人の法律行為の法的効果を
 完成させる効果を有するもので、行政行為の分類上、「認可」とさ
 れるものはいくつあるか。

 ア 電気事業法に基づいて経済産業大臣が行う電気事業の「認可」

 イ ガス事業法に基づいて経済産業大臣が一般ガス事業者に対して
   行う供給約款の「認可」

 ウ 銀行法に基づいて内閣総理大臣が行う銀行どうしの合併の「認可」

 エ 建築基準法に基づいて建築主事が行う建築「確認」

 オ 農地法に基づいて農地委員会が行う農地の所有権移転の「許可」
 

 1 一つ

 2 二つ

 3 三つ

 4 四つ

 5 五つ
 

  ◆ 解説


     いままでの各問・各肢の検討によって、行政行為の分類上、アが、
 「特許」であり、エが、「確認」または、「許可」であり(【問題2】
   オについて。参照)、オが、「認可」(この場合は、権利移転の伴
  う転用であって、「認可」であることは、明確である《 (3) 平
   成9年度・問題33・イ 認可 参照》)。

    さらにイ・ウについてみると、イが、【問題2】エについて。にお
  いて、説明したように、認可に該当することは明らかであり、ウにつ
  いても、以下の説明のとおり、認可となる。

 
          内閣総理大臣の認可
            ↓
           合併
       銀行―――――――――銀行
 
    合併も合併契約という一つの契約であり、認可がなければ、認可の
  効力は生じないのあるから、ここでいう「認可」も文字通り、理論上、
  行政行為の分類からは、「認可」に相当する。


   以上の記述からすると、「認可」にあたるものは、イ・ウ・オである
 ので、3が正解となる。

   
 (6) 平成23年度・問題10


  次のア〜オのうち、伝統的に行政裁量が広く認められると解されて
 きた行政行為の組合せとして、最も適切なものはどれか。

 
 ア 道路交通法に基づく自動車の運転免許

 イ  電気事業法に基づく電気事業の許可

 ウ  建築基準法に基づく建築確認

 エ  食品衛生法に基づく飲食店の営業許可

 オ  公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許


 1 ア・オ
  
 2 イ・ウ
  
 3 イ・オ
  
 4 ウ・エ
   
 5 エ・オ

 


 ◆ 解説


   ここでも、いままでの検討によって、以下のことが判明する。

  ア・エが許可であり、ウが、確認または許可であり、イ・オが、
 特許に当たる。

  国民が本来有していない特別の権利や地位などを新たに与える
 という特許の性質に着目すると、伝統的に行政裁量が広く認めら
 れると解されてきた行政行為は、特許であることが分かる。

  したがって、イ・オの組合せである3が正解でsる。


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

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               ★ オリジナル問題解答 《第40回 》 ★

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                       PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法


    
  【目次】   解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第127号掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第127回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
 
  本問の解説については、メルマガ127回/重要論点の整理・Q&A 
 を参照を願います。

 
   本問のポイントは、行訴法9条2項の準用により「処分の相手方以外
 の者」である第三者に「原告適格」があって(37条の4第4項)、3
 7条の5第2項により、「差止めの訴えの提起」があった場合において、
 という三点であると思われる。


  解答例としては、以下のようになる。


  処分の相手方以外にも原告適格があるため、差止めの訴えを提起して、
  当該申立てができる。(42字)


  
 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
       使用されたことによって損害が生じた場合でも、
       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

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           ★ オリジナル問題解答 《第39回 》 ★

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                 PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法

    
  【目次】  解説

                 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■   オリジナル問題 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
 
   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第126号掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第126回はこちら 
                ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm

 
 
  ★ 参考書籍 
  
     行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行


   ● 総説

  公定力と収用裁決の関係(図示も含めて、前掲入門114頁以下
 参照)

  
     
      
          裁判所 C 
   
 
(2)Aを被告とした
    返還請求
   (民事訴訟)
    
     ↑              ↓ 判決(2)


           甲土地


          所有権移転
    X --------------------------→A
 (旧所有者)           (現所有者)


    ↓      行政行為    ↓ 取消判決(1)
  
           ↑
(1)Y県を被告
   とした取消
   訴訟       Y県
  (抗告訴訟) (地方公共団体)
    
           ↑
 
         裁判所 B

 

  公定力とは、

   特定の機関が特定の手続によって取り消すばあいを除き、いっ
  さいの者は、一度なされた行政行為に拘束されるという効力

   上図で言えば、C裁判所は、(2)のAを被告とした返還請求
 (民事訴訟)において、収用裁決の違法を理由に所有権移転の無効
  を主張し、甲土地の返還請求を行うXに対して、公定力が働くた
  め、一度なされた行政行為(収用裁決)に拘束されるから、甲土
  地の返還請求には応じられないということになる。ただし、「特
  定の機関が特定の手続によって取り消すばあいを除く」から、
  (1)のY県を被告とした取消訴訟(抗告訴訟)で収用裁決の取消
  判決(1)をもってきたら、返還請求を認める判決(2)をだして
  やろう、ということになる。
   以上は、最高裁が一貫して、採用する見解である(最判昭30
  年12月26日民集9−14−2070・最判昭31年7月18
   日民集10−7−890など)。
  
   ※ 参考事項(これもまた本試験対策として、重要論点である)

   「公定力」がはたらく範囲を必要以上に大きくさせないように
   しようという理論的な試み《学説・判例》

   (1「無効の行政行為}には、公定力は及ばない。

       (2)刑事訴訟の先決問題として行政行為の適法性・違法性
     が問題になる場合については、一般に行政行為の公定力
     はおよばない(藤本 註釈 刑法95条の職務行為≪行
     政行為≫の適法性が問題になる場合、当該刑事裁判所が、
     刑事裁判の先決として、その適法性を判断できる」
   (3)一般に判例・学説上、行政行為の違法を理由として国
      家賠償請求をおこなうばあいには、あらかじめこの行政
      行為の取消しがなされていなければならないということ
      はない・・(最判昭36年4月21日民集15−4−8
     50)。

         (以上は、基本的には、前掲書 入門から転載)


   ● 本問の検討

    本問は、最高裁判所判決1997(平成9)年10月28日
   訟月44−9−1578が基礎になっている。

    本問は、明渡しの代執行が完了したことによって、訴えの利
   益が消滅したという行訴法9条1項に焦点が当てられているこ
   とは容易に把握できるであろう。

    本問は、もう一歩進んで、訴えの利益が消滅する理由として、
   取消訴訟の目的を違法に課された義務の除去に限るかという論
   点が潜んでいるのである。どういうことかいえば、明渡しの代
   執行が完了していなければ、収用裁決によって、XからAに権
   利移転が生じるとされていても、当該裁決が違法であることに
   起因する、違法に課された明渡し義務の除去のために、収用裁
   決の取消訴訟を提起することになるのである。つまり、取消訴
   訟の目的を違法に課された義務の除去に限るとすれば、本問の
   事例のように、代執行の完了によって、XがAに対し、甲の現
   実的支配を移転する義務がなくなった場合には、違法に課され
   た義務の除去をするという取消訴訟の目的が喪失することによ
   り、訴えの利益が消滅することになるのである。

    したがって、解答例としては、以下のようになる。


    XがAに対し、

  甲の現実的支配を移転する義務がなくなったため、訴えの利益が
 消滅したので、却下判決をする。(44字)

 

  
  ※ 註 

   (1)「現実的支配を移転する義務がなくなった」ことが思い
      浮かばず(この判決を知らないときは、それが普通)辻
      褄合わせをし、例えば、「甲の返還を求めるため、取消
      訴訟を提起した場合、訴えの利益が消滅するので、却下
      判決をする。」(44字)とした場合には、点数は半減さ
      れるかもしれない。

   (2) 最高裁の見解どおり、この訴訟提起が却下されると、こ
          のあと、Aを被告とした返還請求(民事訴訟)が許されなく
     なって、Xは、甲土地を取り戻す余地はなくなる。
      結局、この収用裁決が違法である場合には、Xは、Y県を  
     被告として、損害賠償を請求することになるであろう(国家
     賠償法1条参照)。この場合には、前述したとおり(総説・
     参考事項 (3))この訴訟において、当該収用裁決の違法
     を争うことができる。

   (3)前掲書 読本は、、取消訴訟の目的を違法に課された義務
     の除去に限るとする当該最高裁判決に疑問を呈している。


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   私は、既述したとおり、本試験対策として、考えられるかぎり、
  重要論点を摘出して、できるだけ、平易に説明したつもりであるが、その
  基本的姿勢は、【平成24年版】藤本式行政書士試験直前予想問題集
  の解説でも貫徹されています。

   私としては、ひとりでも多くの方が、本書を活用され本年度の
  行政書士試験合格の栄冠に輝かれるるよう祈念しています。
 


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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           ★ オリジナル問題解答 《第38回 》 ★

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                             PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法
   
    
  【目次】   解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第124号掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第124回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 
 
 

 ▲ 行政法

  
    ★ 参考書籍 
  
     行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行

 
   ◆ 総論

    取消訴訟の要件である「訴えの客観的利益」とは、提起された
      取消訴訟について、裁判所が裁判をするに値する客観的な事情な
      いし実益のことをいう(行訴法9条の「法律上の利益」)。簡単
      に「訴えの利益」ということも多い。本問もその用法に従ってい
      る(読本302頁参照)

   ◆ 各肢の検討

   
    ○ アについて
      
     判例(最判平10・4・10民集52−3−677)によれ
        ば、本肢の場合には、不許可処分の取消しを求める訴えの利益
        は失われるとしている。

         出入国管理および難民認定法に基づく再入国の許可は、その
        者が有していた在留資格を出国後も存続させ、当該在留資格の
        ままで日本に再入国させる処分であって、日本に在留する外国
        人に対し、新たな在留許可を与えるものではない。したがって、
        再入国許可申請に対する不許可処分を受けた者が、再入国の許
        可をうけないまま日本を出国したときは、従来有していたその
        者の在留資格が消滅する結果となるので、かりに、当該不許可
        処分が取り消されても、その者に再入国を認める余地がなくな
        る。以上が、再入国の許可申請に対する不許可処分を受けた者
        が再入国の許可をうけないまま本邦から出国した場合には、前
        記不許可処分の取消しを求める訴えの利益が失われるとする判
        旨の理由である。

    
    以上の記述に照らし、本肢は妥当である。


    ○ イについて

     判例(最判昭48・3・6最高裁判所裁判集民事108号3
        87頁)によれば、違法建築物の除去命令の取消訴訟につき、
        現状回復が事実上不可能であることを理由に、訴えの利益は消
        滅するとしている。

     以上に判旨に反する本肢は妥当でない。

    ※ 参考事項

     以下の記述(読本305頁)に注意。

      最高裁の考え方「によると、訴えは却下される。除去命令が
          たとえ違法であっても、取消判決が出ることはない。」

     「裁判例では 現状回復が事実上不可能であることや行政庁
            には現状回復義務がないことなどが理由とされている。現状
            回復義務がなければ訴えの利益を否認できるのか、原状回復
            義務がないのみならず、現状回復の事実上の可能性がない場
            合にはじめて訴えの利益を否認できるのか、といった問題は
            今後の検討課題である。」


             ※ 註 本肢の判例では、現状回復が事実上不可能である
                   ことを理由に、訴えの利益は消滅するとしているが、
                   他の裁判例では、行政庁には現状回復義務がないこ
                   となどを理由としているものがある。

   

      ○ ウについて

    最判昭55・11・25民集34−6−781は、本肢のとおり
   判決をした。その理由は、この免許停止処分後1年以内に、道路交
   通違反を犯し、それに対する行政処分が行われる場合には、過去3
    年以内の免許停止処分の前歴が考慮され、普通よりも不利益な取扱
   を受ける仕組みが道路交通法にあるためである(読本306頁)。
    これは、9条1項カッコ書の適用により、「訴えの利益」の「延
   長」が認められたともいえる(前掲書参照)。

     本肢は妥当である。

  
   ○ エについて

    本肢は、例えば、近隣の者が、マンションの違法建築を理由に建
   築確認の取消しを求めるものであるから、処分の相手方以外の者に
   よって提起される第三者訴訟である(9条2項)。

    判例(最判昭55・10・26民集38−10−1619)は、
   建築確認は、それを受けなければ建築工事ができないという法的
   効果をもつものにすぎないから、当該工事の完了により訴えの利
   益は失われるとした。

    したがって、本肢は妥当でない。

   
   ※ 次の記述に注意せよ。

     建築基準法の仕組みの理解としては、是正命令は建築物が違法
    である場合に発することができるものであり、建築確認が取り消
    された場合に発されるものではないから、建築確認の取消しが是
    正命令を発することに直接につながらないことは確かである。最
    判所からすると、この仕組み故に、建築確認を取り消すことは違
    法建築物を除去する上では意味がない、ということになるのであ
    る。  中略   また、最高裁判決の理論からすると、是正命
    令を求めるためには義務付け訴訟によることになるが、この場合
    に用いられるべき非申請型の義務付け訴訟(3条6項1号・37
    条の2)は、訴訟要件が厳しく使いにくいものであることにも留
    意が必要であろう(読本304頁)。


   ○ オについて

    判例(最大判昭42・5・24民集21−5−1043=朝日訴
   訟上告審)によれば、次のように判示する。

    生活保護受給権は一身専属的で相続できないから、生活保護一
      部廃止処分取消請求の訴えの利益は原告の死亡によって消滅す
      る。
     

     本肢は、上記判決に反するので、妥当でない。

   -----------------------------------------------------------------

    本問において、妥当であるのは、ア・ウであるから、1が正解であ
  る。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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