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             ★ オリジナル問題解答 《第57回》★

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法

   
  【目次】   解説
    
  
   問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第156号掲載してある。
 
 
 ☆ メルマガ第156回はこちら
           ↓
 
 
 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣



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■ 解説
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  ☆ 参考書籍

  「行政法入門」藤田 宙靖 著 ・「行政法読本」芝池 義一 著
  ・ともに有斐閣発行


  ☆ 参考サイト

  行政事件法第38回
  
  ■  サイト第38回はこちら
                ↓


 ◆ 各肢の検討

  
  ○ アについて

   本肢は、行訴法8条1項の「自由選択主義」に対する例外の同条同
    同項のただし書きが規定する「不服申立ての前置」が取消訴訟の要件
    になっている場合である。

   8条2項各号により、例外として、前置なく取り消し訴訟が提起で
    きる場合が規定されている。 本肢は、同条同項二号に規定がある。

   以上のとおり、本肢は妥当である。

  ★ 参考事項

    行政不服審査法によると、異義申立てには決定がなされ、審査
   請求には裁決がなされることになっているが、行政事件訴訟法では、
     両者を含めて、「審査請求」「裁決」という言葉に統一されている
     ことに注意せよ。

  
  ○ イについて

   法8条第1項ただし書きによれば、不服申立ての「前置」は「処分
    取消しの訴」 に該当する。
     法38条は、法8条1項ただし書きを無効確認訴訟に 準用していな
   い。

     無効確認訴訟については、まさに「前置」といった制限を設けず、
   いつ でも起こせる抗告訴訟であるところにこそ、この訴訟のほんら
   いの意味があるからである。(入門参照)したがって、個別の法に
   おいて、前置の規定があっても、無効確認訴訟には適用がない。

     以上の記述に反する本肢は妥当でない。


    ○ ウについて

      本肢では、前置が処分取消訴訟の要件とされていない場合において、
  いきなり処分取消訴訟を提起しないで、審査請求を選択した場合に相
   当する。
    換言すると、「自由選択主義」に基づいて、行政上の不服申立てを先
  行させた場合である。

  審査請求があったときの出訴期間に関する14条3項の規定は、前置
 の場合に限っていないので、この場合にも適用されることになる。
    したがって、この場合にも、処分取消訴訟の出訴期間は裁決の時点を
  基準として判断されることになる。
  おそらく、当該規定は、裁決の結果 をみて、原処分の取消訴訟を提
  起しようとする相手方の意思を尊重したものであろう。そうであれば、
 前置に限定する必要はない。
  
  なお、これは、教科書では一般に触れられていないので、常識によ
  って判断することになるだろう。

  以上の記述に従えば、本肢は妥当である。


 ○ エについて

   原則は、「原処分主義」である。
   例外としての「裁決主義」は次のとおりである。

   個別法が裁決主義を採用している場合においては、元の処分に対
    する取消訴訟は提起できず、裁決取消訴訟のみが提起でき、元の処
    分の違法についても、そこで主張すべきこととなる。

     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


 ○ オについて

     前段は妥当である。しかし、原処分主義が採用されている場合で
   も、裁決に対しても取消訴訟を提起することは許されている。

    なお、「裁決の取消の訴え」を「処分の取消しの訴え」と併合し
  て提起することも許されている。

  以上の記述に従えば、後段が妥当でない。



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   以上に従えば、アとウが妥当であるので、正解は1である

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  ◆ 付 言

    本試験でも散見される組合せ問題については、1〜5の組合せ自体
  に時間短縮のヒントが伏在していることに思いをいたすべきである。
   自分で確信のもてる肢があれば、たとえば、それが、アであれば、
  その相棒は、ウかエの選択に絞られる。また、確信のもてる肢が、ウ
  であれば、アかオの選択にかぎられる。
   もしも、どの肢にも確信がなければ、1〜5の組合せの比較による
  相対比較によることになるが、この場合でも、1〜5の組合せの探索
  が先行することになる。

  このように考えると、普段の勉強において、あいまいな知識を排除
 して、いかにして正確なる知識を構築できるかが、本試験合格の要諦
 であると言えると思う。


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
        
 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp> 
 
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               ★ 【過去問解説第105回】 ★

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                              PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法=行政不服審査法
    
  【目 次】 過去問・解説
              
    
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 ■ 平成24年度・問題15
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  行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 1 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不
 適法であるときは、審査庁は、棄却裁決を行う。

 2 処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処
  分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことが
  できる。

 3 不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該
  不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきこ
  とを命ずるとともに、裁決でその旨を宣言する。

 4 不作為について異議申立てがなされた場合、不作為庁は、当該異
 議申立てが不適法でない限り、不作為の違法を確認する決定を行う
 かうか、 異議申立てを棄却する決定を行う。

 5 事情裁決は、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様、処分が違
  法であるときに一定の要件の下で行われるものであって、処分が違
  法ではなく、不当であるにとどまる場合において行われることはな
  い。


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 ■  解説 
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 ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行
 
 
 ◆ 本問のポイント

   各肢いずれにおいても、条文知識が試されているので、特に
 行審法においては、条文を丁寧に読むことが求められている。

 ◆  各肢の検討

 
 ○ 肢1について。

  行審法40条1項では、本肢の場合には、審査庁は、裁決で
 却下する。

  行政上の不服申立ての場合にも、行政訴訟の場合の訴訟要件
 に対応する不服申立要件を満たしていない不服申立ては、本案
 の審理をしてもらうことができず、いわゆる門前払い(却下)
 をされてしまうのであるが(前掲入門237頁)、本肢はこれ
 に該当する。

  これに対し、棄却裁決とは、本案に理由がないときに行われ
 るものである(40条2項)。

  したがって、本肢は正しくない。

  なお、これらに対応する決定については、47条1項・2項
 を参照すること。


 ○ 肢2について。

  処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該
 処分を取消す(40条3項)。この場合には、裁決の拘束力に基
 づき、、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分
 をしなければならない(43条1項・2項)のであって、審査庁
 が、処分庁に代わって一定の処分を行うことができるのではない。

  したがって、本肢は正しくない。

  なお、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、
 裁決で当該処分を変更できることに注意(40条5項)。

  さらに、事実行為については、審査庁は処分庁に対し撤廃を命
 じ、その旨を宣言し、また同様に変更を命じ、その旨宣言するこ
 とにも注目(40条4項・5項)。

  ※ 決定における処分の取消し・変更は、47条3項をみよ。
   また事実行為の撤廃・変更については、47条4項をみよ。

 
  ○ 肢3について。

  51条3項の条文どおりであり、本肢は正しい。

  なお、51条1項・2項の審査請求の却下・同請求の棄却に
 ついても、注意。

 
  ※ 51条3項については、次の記述を参考にされたい(前掲
   書入門237頁参照)
 
    不服申立てについては、裁判所でなく行政機関が裁断を行
   うものであるということから、私人がもらえる(主張できる)
   決定や裁決の内容が、訴訟の場合に裁判所からもらえる判決
   の内容より少し広いものになることが、注目されてよいでし
   ょう。たとえば、不作為の違法確認訴訟(行訴法3条5項)
   の場合には、裁判所の司法機関としての性格から、行政庁
   の不作為に対しては、はなはだ消極的なコトロールしかで
   きなかったわけですが、不作為の審査請求の場合には、審
   査庁は、訴訟の場合のようにただ不作為が違法であること
   を確認するにとどまるのではなく、さらに積極的に、不作
   為庁に対して「すみやかに申請に対するなんらかの行為を
   すべきこと命ずる」ことができる、とされています(行政
   不服審査法51条3項)。


 ○ 肢4について。

    50条2項によれば、不作為庁は、当該異議申立てが不適法で
  ない限り、一定期間内に申請に対するなんらかの行為をするか、
 または書面で不作為の理由を示さなければならないことになって
 いるので、これに反する肢4の記述は正しくない。

  なお、不作為の異議申立がなされた場合には、認容するにも
 棄却するにも、「なんらかの行為をする」(認容)・「書面
 で不作為の理由を示」す(棄却)のであって、決定を行わない
 ことに注意せよ。

  決定をするのは、同条1項に基づく不適法による却下のみで
 ある。

  
  ※ 過去問平成22年度問題15肢4において、行政不服審
   査法における手続の終了に関する記述として、正しいもの
   として、次の分章がある。 
   
   不作為に関する異議申立てが適法になされた場合、不作為庁は、
  一定の期間内に、申請に対する何らかの行為をするかまたは書面
  で不作為の理由を示さなければならない。


  ○ 肢5について。

  事情裁決は、40条6項に規定があり、事情判決は、行訴法3
 1条1項に規定がある。
  
    事情判決は、裁判所が、行政処分が違法であることを認めなが
 ら、行政処分を取り消すことが公共の福祉に適合しない場合に、
 原告の請求を棄却するという判決であるのに対して、事情裁決と
 は、審査庁が行政処分が違法または不当であることを認めながら、
 行政処分を取り消しまたは撤廃することが公共の福祉に適合しな
 い場合に、審査請求人の請求を棄却するするという裁決である。

  以上の記述に従えば、事情裁決は、事情判決とは異なって、処
 分が違法ではなく、不当である場合にも行われることになるので、
 本肢は正しくない。

  
  ※ 参考事項

  (1)事情裁決と事情判決の以上の差異は、裁判所が審理で
    きるのは、行政処分の違法性であるのに対し、行政上の
    不服申立ての場合には、行政不服審査法1条1項に規定
    されるように、その適用対象が「行政庁の違法又は不当
    な処分」であることに起因することに注意せよ。

  (2)事情判決においては、裁判所は、判決主文において、
    処分が違法であることを宣言しなければしなければなら
    ない(行訴法31条)のに対して、事情裁決では、審査
    庁は、裁決で処分が違法または不当であることを宣言し
    なければならない(行審法40条6項)。

  (3) 事情裁決の規定は、処分についての異議申立ての決定
    ・再審査請求にも準用されていることに注意せよ(48
    条・56条)。


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   本問では、正しいのは肢3であるから、正解は3である。

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 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
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   ★【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 19回 】★      
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 2009/4/6


             
             PRODUCED by  藤本 昌一
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【テーマ】行政法・行政行為の分類 

【目 次】問題・解説 
           
      


 
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■ 問題・解説
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 ▲ 参照書籍・行政法入門 藤田宙靖著・行政法読本 芝池義一著
   ともに有斐閣発行
 
 ▲ これからは、非常に息の長い闘いが始まります。この分野は、
   本試験において、メーンになりますから、年間計画によっても、
   これから長期間「行政法」の講座が継続されます。

 ▲ 本コーナーでは、一つのテーマに絞り、過去問の肢を参照しながら、
  解説を進めます。なお、各肢が過去問のいずれに該当するかの指摘
   は、省きます。 
 
 


 それでは、スタートです!!

 
 【行政行為の分類・許可と認可を中心として】


 ● 食品衛生法の許可を得ないで取引をなした場合においては、消費者
  保護 の法理により、その取引に関する売買契約は私法上無効であり、
 買主は 代金の返金を要求することができる。ー(1)

 
 消費者保護の法理という言葉に騙されてはいけません。
 まず、判例(最判昭和35・3・18・・H21模六民法91 1 981頁)
 があります。  同法は、単なる取締法規であって、取引は無効ではない。

 いかし、みなさん。ここで、終わっては、駄目です。
 理論的にいうと、以下のようになります(入門・参照)。

 行政行為の中には、「命令的行為」と「形成的行為」があります。
            。。。。。。
 命令的行為とは,「私人が事実としてある行動をすること(しないこと)」
 自体を規制の対象とする行政行為。
 
 ア いろいろな営業許可(営業免許)のばあいにも、私人は許可(免許)
 を受けないで営業活動をすることはできない。

 イ ふつうは、無許可で営業活動をしたということに対しては罰則が適用
   されます。
 
 ハ しかし原則として、おこなわれてしまった営業上の取引行為が法的に
   無効とされることはない(先の昭和35年判例の結論)。

 以上の記述からして、「命令的行為」に相当し、「営業許可」に該当する
 本問の記述は、明らかに×です。

 
 ● 許可を要する行為を許可を受けないでした場合は、強制執行又は
   処罰の対象とされることがあることがあるのみならず、当該行為は、
   私法上も当然に無効となる。−(2)


 (1)の説明から明らかなように、「命令的行為」は、「どれも私人の
 ある行為が事実上なされること(なされないこと)を規制しようとする
 ものですから、相手方である私人がこれにしたがわないときにはなんらか
 の手段によって、命じた結果を強制的に実現する必要が出てくることに
 なります。こういった手段としては、ふつうは・・法律が定めている
 罰則の適用による制裁《処罰》が中心になるわけですが、さらにばあい
 によっては、実力をもって、いわゆる行政上の強制執行がおこなわれる
 こともあります」(入門)。したがって、前段は正しい。しかし、後半
 は、35年判決に照らし、誤り。全体として×。


 ● 許可は、一般的な禁止を特定の場合に解除するものであり、その
   その性質上、許可された地位は、譲渡又は相続の対象とはならない。
  −(3)

 「法律で、ともかく一般に、こういった商売をかってにやってはいけない、
 ということにしておいて(禁止)、しかしぜひやりたいという申請が出て
 きたときに、行政庁が一つひとつ審査して、公衆衛生といった見地など
 から、この者ならば営業をやらせても危なくはない、と判断されたもの
 につてだけ、この禁止を解除するということにしているわけです」
(入門)
 以上が、許可の持つ性質であるから、前段は正しい。
 しかし、対物許可の場合には、許可された地位は、譲渡または相続の
 対象になる。例えば、自動車の車体検査(車検)。これに対し、対人
 許可(医師免許など)その対象にならない。(LEC過去問題集・
 解説)。後段は誤り。全体として×。

 
 ● 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車
   を運転できるという新たな法律上の地位を付与するものであるから、
   行政行為の分類理論でいうところの「特許」に該当する。

 (3)の禁止の解除は、自動車の運転にもいえるから、これは、
 「許可」に該当する。したがって、×

 注
 1 特許というのは、「許可」のような命令的行為に対して、形成的行為
  といわれるものであって、「私人 に直接、特定の排他的・独占的な
  権利を与えたり、または、私人 と行政主体との間に包括的な権利関係
 を設定する行政行為」(入門)である。鉱業許可がこれに該当する。

 2 なお、いうまでもないことであるが、「特許」とか「許可」とかいう
   のは、あくまで理論上の観念であるにすぎないので、じっさいの法律
   の条文の上で、どんな言葉であらわされているか、ということは関係
   ありません(入門)。ここでいう「特許」は「発明の特許」と異なり
  ます(ソンナノ関係ネエに注意!!)。

 
 ● 認可の対象となる行為は、法律行為に限られず、事実行為もこれに
   含まれる。

 認可とは、許可が命令的行為であるのに対して形成的行為に該当する。
 形成的行為とは、私人の行う行動の法的効果をコントロールの対象と
 する行政行為である。

 以上を前提として、
「認可」のばあいには、私人相互のあいだで法律行為が先にすでにおこ
 なわれているということ前提として、いわばこれらの行為を補充して、
 その法的効果を完成させる、という効果を持つものであるところに、
 その特徴があります(入門)。

 したがって、認可の対象となる行為は、法律行為に限られるのであって、
 事実行為は含まれないことになる。したがって、×。


 ● 認可の対象となる私人の法律行為に取消原因となる瑕疵があるときは、
  私人は、認可後も当該法律行為の取消しを主張することができる。

 認可は、形成行為であるといっても、私人のなんらかの法律行為が先
 におこなわれている、ということを大前提としている。

 
 認可の典型例である農地を例にとると、
 
                                認可
 
 先行                ↓  補充               

 
 農地の売買-------------法的効果を完成

 
 つまり、先に行われた法律行為が有効であることが大前提になって
 いる。

 ですからたとえば、農地の売買に認可(法律上の言葉では許可)が与えら
 れたとしても、私人間での売買の合意自体に瑕疵があって、民法上無効
 であったり取り消されたりした場合には、農業委員会の認可がもう出て
 いるからといって、そのことによってこの売買が有効になるということ
 はないのです(入門)。したがって、本問の場合には、私人は認可後
 も取消しが可能であるから、○。
 
 最後になって、やっと○が点灯しました!

 なお、本講座は、第20回第2コースに連動しているので、そちらを
 参照されたい。     

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