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★ オリジナル問題解答 《第49回 》 ★
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PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】 行政法
【目次】 解説
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■ オリジナル問題 解説
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問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
第144号掲載してある。
☆ メルマガ第145回はこちら
↓
http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
○ 参考書籍
行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣
発行
◆ 序説(要点)
1 行政指導とは「行政機関が、相手型方の任意的な協力を得て行
政目的を達成しようとする非権力的事実行為である」(前掲書・
読本152頁)
行政手続法2条6項にその定義規定がある。
2 本講座では、前回まで、「行政調査」「行政計画」が主題だっ
た。
「これらは、権力的に行われることもあれば、非権力的に行われ
ることもある。また、法行為に当たるものもあれば、事実行為
に当たるものもある。」(前掲 読本25頁)
これに対して、今回の主題である「行政指導」は、前述した
ように非権力行為であり、事実行為であると言われていること
に注意する必要がある。
3 前回(144号)のオリジナル問題肢アでは、「行政計画」に
関して「侵害留保説」「権力作用留保説」「公行政留保説」と法
律の根拠が主題になった。
本問では、「行政指導」に焦点を当て、同じ主題を論じたもの
を出題した。
以上からすれば、次の指摘は重要である。
「これらの学説(筆者注・『侵害留保説』『権力作用留保説』
『公行政留保説』)が激しく対立している論争点の一つが
・・・・
実は行政指導についての法律の授権の要否の問題である。」
《前掲読本157頁》
(濁点は、筆者が付した)
◆ 各肢の検討
1 侵害留保説→「国民の権利や自由を権力的に侵害する行政
についてのみ法律の授権を必要とするという説である」
(前掲 読本)
この説によれば、権力的行政のうち、侵害的行為(税金を
課したり、営業停止命令を発する行為)には、法律の授権を
を要することになるので、問題文(本文)にもあるとおり、
「非権力的行為である行政指導については法律の授権は必要
ではないことになる。」
アには、7の「侵害留保説」が妥当する。
2 権力作用留保説→行政活動のうち権力的なものについて、
法律の授権を要するという説である。逆に言うと、非権力的
な行政活動については、法律の授権は必要ではないというこ
となる。(前掲 読本)
したがって、イには、2の「権力作用留保説」が妥当する。
※ 侵害留保説と権力作用留保説の違い
権力作用留保説は、権力作用を重視するのであるから、侵
害的かつ権力的な行為でない、授益的かつ権力的な行為つい
ても法律の授権を要するのである。
換言すると、侵害留保説では、授益的かつ権力的な行為つ
いては、法律の授権を要しないことになる。そこに両者の違
いがある。
ちなみに、非権力的公行政については、侵害的行為・授益
的行為を問わず、両説とも、法律の授権を要しない。
3 公行政留保説(完全全部留保説)→権力的行政のみならず、
非権力的公行政についても法律の授権を要するとする説であ
る。
この説は、「行政指導」に法律の授権を要することを導く
ものともいえる。
したがって、ウには、14の「公行政留保説」が妥当する。
4 非権力的公行政である「行政指導」にも行政処分と同様に
「授益」的なものものもあって、これについては、法律の
授権を要しないといえる。しかし、侵害的なものについては、
一律に法律の授権を要しないといえないであろう
したがってエには、17の「授益」が該当する。
5 強い「規制」的な力を持った行政指導にあっては、以上
1・2・3いずれの学説によっても、法律の授権を要する
という結論を導くことが可能である。
したがって、オには、20の「規制」が該当する。
↓↓
※ 参考事項
(1) ここで、とりあげられているのは、行政指導の分類に
よれば、「規制的行政指導」に該当するであろう。
「規制的行政指導」は、「その目的または内容において、
相手方に対する規制的な力を持った行政指導である。これ
には、・・違法建築がある場合の行政指導のように、国民
の違法行為是正のための指導や、減反のための行政指導の
ように、独自の規制目的達成のための行政指導がある。」
(前掲読本156頁)。
(2)強い強制力を持った行政指導について、判例(最高裁
2005《平成17》年7月15日判決・民集59−6
−1661)が処分性を認めた例として、病院の開設の
中止を求める 医療法に基づく勧告が、行訴法3条2項
にいう「行政庁の処分その他公権力に当たる行為」に当
たると解するのが相当であるとしたものがある。
なお、当該判決については、ズバリ、過去問平成24
年度問題18肢1で出題されているが、これについては、
別途解説をする。
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以上の記述によれば、正解は、以下のとおりになる。
ア=7・侵害留保説 イ=2・権力作用留保説 ウ=14・
公行政留保説 エ=17・授益 オ=20・規制
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【著者】司法書士 藤本 昌一
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