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            ★ オリジナル問題解答 《第19回 》 ★

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                     PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  会社法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■   オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第105号に掲載してある。

 
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           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
  
  

 

 ★ 参考文献
   
  会社法 弘文堂 / 会社法入門 岩波新書 ・ 神田秀樹著

 
 
 
 ▲  問題 1

   1について

    327条1項1号が公開会社における、取締役会設置会社の設
  置強制をしているが、非公開会社も、326条2項に基づき、任
  意に取締役会設置会社になることができる。後段が妥当でない。
   
   2 について
 
     株主総会の権限は、会社の意思決定に限られ、執行行為をするこ
  とはできない(執行は取締役または執行役)が、その意思決定の権
  限は、取締役会設置会社では、原則として法律上定められた事項に
  限られる(295条2項・ 3項)。
  
  それ以外の事項に関する業務執行の決定は取締役会にゆだねられる。
  
  しかし、取締役会設置会社でも、定款で定めれば、法定事項以外の
 事項を株主総会の権限とすることもできる(295条2項)。
 
  以上の記述を総合すると、法令・定款で株主総会の権限であると定
 められた事項は、取締役会の権限とすることはできないので、本肢は
 妥当でない。
 
   なお、「以上に対して、取締役会設置会社でない会社では、株主総
  会は一切の事項について決議できる万能の機関である(295条1項)。」
 (前掲会社法)ことに注意せよ。

 
  3について

  362条4項6号によれば、大会社以外においても、「内部統制シス
  テム」の整備については、代表取締役が決定することは許されないが、
  ただ、大会社においては、当該事項の決定が、取締役会の義務づけられ
  ることになるのである(362条5項)。

  以上の記述に反する本肢は、妥当でない。

   4について

    法定事項や重要な業務執行につぃての決定権限は、362条4項に
  規定があり、そのとおりである。
  特別取締役の制度については、373条に規定があるが、その概略は
  以下のとおりである。

  取締役のメンバーの一部を特別取締役としてあらかじめ選定してお
  き、取締役会で決定すべき事項のうちで迅速な意思決定が必要と考え
  られる重要な財産の処分・譲受けと多額の借財(362条 4項1号・
  2号)について特別取締役により決議し、それを取締役会決議とする
  ことを認める制度である(前掲 会社法)。

  本来、取締役会は全員の取締役で組織し、その会議により業務執行
  の意思決定を行う(362条1項・2項1号)のであるから、法定事
  項の 一部について、特別取締役による決議を取締役会決議とするのは、
  その 例外に属する(前掲書)。)。
 
  本肢は、妥当である。

   5について

    取締役会は、業務執行に関する意思決定を行う(362条2項1号)。
  そして、362条4項各号の法定事項は必ず取締役会で決定しなけれ
   ばならない。この決定権限のなかには、本肢が指摘するように、「具
   体的な法定事項のほか『重要な業務執行』を含む」(前掲会社法)こ
   とに注意する必要がある。
 「362条4項以外にも、会社法が取締役会の決議事項と定めている事
  項は多数ある。以上のような法定事項以外の事項についても取締役会で
  決定することはできるが(決定すれば代表取締役を拘束する)、取締役
  は招集によって会合する機関にすぎないため、それらの事項(日常的事
  項)の決定は代表取締役等に委譲されていると考えられる」(前掲書)。
    また、定款によって、法定事項以外を代表取締役にゆだねることもで
  きる。
 
 以上に反する本肢は、妥当でない。

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 妥当であるのは、肢4であるから、本問の正解は4である。

---------------------------------------------------------

 


 ▲  問題 2


 
 (1)356条1項2号に該当する利益相反行為

     取締役みずから当事者として(=自己のため)または他人の代理
  人・ 代表者として(=第三者のため)会社と取引をする場合には
  (会社から財産を譲り受け、金銭の貸付を受け、会社に財産を譲渡
  する等)その取締役がみずから会社を代表するときはもちろん、他
  の取締役が会社を代表するときであっても、会社の利益を害するお
  それがある。
   ここでいう利益相反行為は、会社・取締役の直接取引である。

  (2)356条1項3号に該当する利益相反行為

     会社が取締役の債務につき取締役の債権者に対して保証や債務引
  受をする場合等の場合にも、会社の利益が害されるおそれがある。
  ここでいう利益相反行為は、間接取引である。

  (3)取締役会の承認

     取締役会設置会社では、(1)(2)のような利益相反行為をする
  場合には、その取引について重要な事実を開示して取締役会の事前の
  承認を得なければならない(356条1項2号・3号 365条)。
   その承認を受けた場合には、民法108条は適用せず、その取締役
  が同時に会社を代表することも認められる(356条2項)。


 (4) 本問の検討

 
    アについて

    (1)によれば、(代表)取締役が他人の代理人として(=第三者の
   ため)会社と取引をする場合には(会社に財産を譲渡する)その(代表)
   取締役がみずから会社を代表するときに相当する。自己ためでなく、第
   三者のためであっても、利益相反行為に該当する。取締役会の承認を要
   するので、本肢は妥当でない。


   イについて

    これは、(2)の間接取引に該当し、取締役会の承認を要するので、
   本肢は妥当である。

    
     ウ について

    (1)によれば、取締役がみずから当事者として(=自己のため)(金
  銭の貸付を受け)他の取締役が会社を代表するときも、利益相反行為にな
  るので、 取締役会の承認を要する。本肢は妥当でない。この場合は、自
  己契約にはならないが、会社の利益を害するのである。


    エについて

    これは、(1)の直接取引のうちの自己契約に該当するが、(3)で記
 述したとおり、取締役会の承認を受けた場合には、民法108条は適用せ
 ず、当事者であるAが、会社を代表し得る。妥当である。


   オについて  

    これは、(1)に当てはめると、(代表)取締役が他の会社の代表者
   として(=第三者のため)会社と取引をする場合(会社から財産を譲り
  受ける)、その(代表)取締役がみずから会社を代表するときに相当す
   る。
   したがって、(3)の取締役会の承認を要する。なお、この場合も、
  直接取引であって、ただ、第三者のための取引に該当する。

    本肢は、妥当でない。

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  以上妥当であるのは、イ・エの二つであるから、3が正解である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

 【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
       
 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
 ▽本文に記載されている内容は無断での転載は禁じます。
 
 ▽免責事項:内容には万全を期しておりますが、万一当サイトの内容を
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       一切責任を負いかねますことをご了承ください。

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             ★ オリジナル問題解答 《第16回 》 ★

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                    PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  憲法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 憲法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第102号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第102回はこちら↓
  
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 ◆ 参考文献
   
   憲法 芦部 信喜 著  岩波書店


 
 ▲  問題 1

     ◆ 総説

        衆議院の解散決定権については、内閣にその決定権があるこ
    とについては争いはない。

        しかし、これについては、憲法69条のほかの他の条文に明
    文がないため、諸説ある。

       1 憲法69条限定説とも言うべきもので、衆議院の不信任決
     議が可決された場合にのみ、内閣が衆議院を解散できるとい
     うもの。
              
        (条文)
 
          憲法69条・内閣は、衆議院で不信任の決議を可決し、又は
    信任 の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散さ
    れない限 り、 総辞職しなければならない。

          しかし、内閣に自由な解散権を認めるのが、大勢である。

        2 内閣に自由な解散権を求める根拠として、憲法の全体の構造
         (権力分立制・議院内閣制を持ち出す)に求めるもの。

        3  憲法7条の内閣の「助言と承認」は、本来形式的・儀礼的行
     為に対して、行うことが要求されるが、解散などの場合には、
     この「助言と承認」の中には内閣の実質的決定を含むという考
     え方。

  
           この考え方には、「助言と承認」のなかに内閣の実質決定を
     含まないもの(原則)と含むもの(例外)を併存させるという
         問題点もあるが、現に実務では、この7条説により、内閣に自
         由な解散権が 認められている。
            
        (注)なお、7条2号の「国会の召集」についても、この3と
             同様の 考え方に立ち、内閣に実質的決定権を認める。
 
        (注)憲法53条の臨時会には、内閣の召集の決定権が明記さ
             れてい るが、52条の常会、54条の特別会には、内閣
             に召集権のあることが規定されていない。


       ◆ 各肢の検討

        1について

       69条限定説に限定説(A説)に対する批判である。

      2について

       これは、総説2からして、内閣に自由な解散を認めるという
        B説の論 拠である。

        3について

       総説3記述のとおり、慣習化しているのは、B説である。

      4について

      総説3記述のとおり、これはB説の考え方である。

      5について

       総説3において、B説では、実質的決定を含む場合とそう
     でない 場合を併存させることとなるという問題点が指摘さ
        れている。
       したがって、本肢は、B説の問題点であるから、A説から
        B説に対する批判となりうるものであって、B説からA説に
        対する批判としては妥当ではない。


   --------------------------------------------------------------------

        以上により、本問は5が正解である。

   ------------------------------------------------------------------


 ▲  問題 2


        肢1について

     「もっとも、7条により内閣に自由な自由な解散権が認めら
         れるとしても、解散は国民に対して内閣が信を問う制度である
         から、それにふさわしい理由が存在しなければならない」
      (前掲書)
      
          したがって、当該見解を採用しても、内閣の解散権には限界
        がないとはいえないので、本肢は妥当である。

    肢2について

     既述したとおり(本欄  ▲  問題 1 ◆ 総説 3)、当
    該見解を採用した場合には、本肢のような問題点があるので、
    本肢は妥当である。

    肢3について

     憲法69条限定説には、本肢のような問題点があるので、本
        肢は、妥当である。

    肢4について

     内閣の解散権の行使が、憲法の全体的構造に反する場合には、
    解散は許されないので、内閣の解散権に限界がある。
     したがって、本肢は妥当でない。

    肢5について

     「衆議院の解散決議による解散も可能だという説もあるが、
          自律的解散は、多数者の意思によって、少数者の議員たる
          地位が剥奪されることになるので、明文の規定がない以上、
          認められない」(前掲書)。

      したがって、通説によれば、衆議院の解散決議による解
          散は許されないことになる。本肢は妥当である。

    
------------------------------------------------------------------

           以上により、本問は4が正解である。

 -----------------------------------------------------------------

 
 
 ▲  問題 3

 
 ア 憲法58条は、国会の自律権について定めている。

 「自律権とは、懲罰や議事手続など、国会または各議院の内部
  事項については自主的に決定できる機能のことを言う。判例
  は、国会内部での議事手続について裁判所は審査できないと
   している。」(前掲書)

   ここでいう判例とは、最大判昭和37・3・7民集16−
 3−445) 警察法改正無効事件であり、本肢のように判示
 した。

  したがって、本肢は妥当である。

 
 イ 最大判昭和35・6・8民集14−71206 苫米地事
  件では、解散事由及び閣議決定の方式の問題いずれについて
   も、統治行為に該当するた め、 裁判所の審査権は及ばない
   としている。
 
   本肢は、妥当でない。

 
 ウ   最判昭和52・3・15民集31−2−234 富山大学
  事件によれば、単位授与(認定)行為は、特段の事情の事情
  のない限り、司法審査の対象 にならないと判示したのに対し
  て、本肢の場合には、以下のように判示した。
 
   学生が専攻科修了の要件を充足したにもかかわらず、大学が
    その認定をしなときは(認定には格別教育上の見地からの専門
    的な判断を要しない)、一般市民としての有する公の施設を利
    用する権利を侵害されるので、司法審査の対象となる。

  本肢は、以上の記述に反するので、妥当でない。

 
 エ 最判昭和63・12・20 共産党袴田事件によれば、判例の
   趣旨は、このとおりである。
 

   本肢は妥当である。

 
 オ 最判昭和56・4・7民集35−3−443 「板まんだら」
  事件は、以下のように判示して、裁判所の審査の対象にならない
   とした。
 
      訴訟が当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する
    訴訟 であっても、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関
    する判断は請求の当否を決するについての前提問題にとどまる
    とされていても、それが訴訟の帰すうを左右する必要不可欠の
    ものであり、紛争の核心となっている場合には、その訴訟は・・
    法律上の訴訟にあたらない。

  
   以上の判示に反する本肢は、妥当でない。


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  妥当であるのは、アとエであるから、正解は1である。

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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           ★ オリジナル問題解答 《第15回 》 ★

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  【テーマ】  憲法/民法

   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 憲法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第101号に掲載してある。

 
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  ▲  問題 1

    

  ◆ 参考文献
   
  憲法 芦部 信喜 著  岩波書店


 
 ◆ 総説

  憲法における、「公共の福祉」の用法としては、人権について、

  「『公共の福祉』による制約が存する旨を一般的に定める方式をとって
  いる。
  すなわち、12条で、国民は基本的人権を『公共の福祉のために』利
  用する責任を負うと言い、13条で国民の権利については、『公共の福
 祉 の福祉に反しない限り』国政の上で最大の尊重を必要とすると定める。
    また、経済的自由(職業の自由、財産権)については、『公共の福祉』
  による制限がある旨をとくに規定している(22条・29条)」
 
  (前掲書 96頁)

  以上は、「公共の福祉」に関しての出発点であるから、明確に把握
  しておく必要がある。


  ◆ 各肢の検討

   
      順序不同で、要点を整理しながら、解説を進める。

   ◎ [A説]は、「憲法12条・13条の『公共の福祉』は、人権の外
    にあって、それを制約することのできる一般的原理である」とする。

   この説は、「一般に、『公共の福祉』の意味を・・抽象的な最高
   概念として捉えているので、法律による人権制限が容易に肯定され
   るおそれがすくなくな」いので、 ア  のようにいえる。

   (前掲書 97頁)
   
   ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ア は、「A」説に対する、問題点の指摘として、妥当である。

  注 「法律の留保」
   
   ここでは「法律に基づくかぎり権利・自由の制限・侵害は可能と
    いう意味で使われ」ている。

      (前掲書 20頁)

   [A説]によると、22条・29条の「公共の福祉」は、特別の
    意味をもたないことになる。なぜならば、前述した一般的原理で
    ある「公共の福祉」によって、22条・29条の権利も制限され
    るからである。

   ・・・・・・・・・・・・・・・ 
   したがって、オ  は妥当でない。

   オは、[B説]に対する問題点である。

  
  
 ◎  [B説]によれば、「公共の福祉」によって制約が認められ人権は、
  その旨が明文で定められている経済的自由権等に限られるので、12
    条・13条は、訓示的・倫理的な規定であるにとどまる(前掲97
  頁参照)。

   以上のとおり、「13条を倫理的な規定であるとしてしまうと、それ
      ( 注)
  を新しい人権をを基礎づける包括的な人権条項と解釈できなくなるので
    はないか」という問題点が生じる。 
   
           (前掲書 98頁)
   
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   したがって、イは、B説に対する、問題点の指摘として、妥当である。

  注 「新しい人権」

    13条の規定する「個人尊重の原理に基づく幸福追求権は、憲法に
      に列挙されていない人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であり、
   この幸福追求権によって基礎づけられる個々の権利は、裁判上の救済
      を受けることのできる具体的権利である、と解されるようになったの
      である。判例も具体的権利性を肯定している。」

     参考・最大判 昭和44・12・14・・京都府学連事件

     (前掲書  116頁)


 ◎ [C説]によれば、「この原理は、自由権を各人に公平に保障する
  ための制約を根拠づける場合には、必要最小限度の規制のみを求め
   (自由国家的公共の福祉)、社会権を実質的に保障するために自由権の
   規制を根拠づける場合には、必要な限度の規制を認めるもの(社会国
  家的公共の福祉)としてはたらく。」

    
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  したがって、エは、[C]説の問題点の指摘として、妥当である。


  ウはについては、イ欄で詳述したように、[B]説に対する問題点であ
  って、[C]説に対する問題点ではない。
  [C]説は、憲法規定を問題にせず、「公共の福祉」はすべての人権に
 論理必然的に内在するというのであるから、12条・13条を訓示的
  規定であるとみる必要はない。

   
  ・・・・・・・・・・・・・
  したがって、ウは妥当でない。

  
    以上により、ウとオが妥当でないので、5が正解である。


  ◆ 付 言

   以上の3説の対比は、少し厄介であるが、基本的人権に関する
   基礎知識に属するので、この際、面倒がらずに、要点を把握して
  おく必要がある。


  
 
 
 ▲  問題 2

 

 
 ◆ 参考図書

   民法 1 内田 貴著 財団法人 東京大学出版会

   民法1 勁草書房


  ◆ 本問の検討

  はじめに、 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 13回 と連
  動しているので、こちらを通読願いたい。
 
 ☆サイト13回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/257325.html 

  サイト13回の検討結果をまとめると、以下のようになる。
   


         法定解除=合意解除


       解除前の転売      ・   解除後の転売

    A−−−C        A−−−−C
           ↓
          保護されるには
      登記要         対抗関係
        
   ●結局、先に登記           ●先に登記した
    した方が優先           方が優先

 

 1について。

  法定解除であり、解除後の転売であるから、AとCは対抗関係。
 Aは、登記なくして対抗できない。

   妥当。


 2について。

  合意解除であり、解除後の転売であるから、AとCは対抗関係。
 Aは、登記なくして対抗できない。

 妥当。


 3について。

  合意解除であり、解除前の転売であるから、Cが保護されるには
 Cに登記必要。

 妥当でない。正解。


 4について。

  法定解除であり、解除前の転売であるから、Cが保護されるには
 Cに登記必要。

 妥当。

 5について。

  法定解除か合意解除か不明。どちらでも同じであるから、詮索する
 要なし。解除前の転売であるから、Cに登記必要。Aがさきに登記
 したのだから、Aが優先。

 妥当。


   以上正解は、3である。

 

 
 ▲  問題 3

 

  ◆ 参考図書

  民法 1 内田 貴 著  財団法人 東京大学出版会


 ◆ サイト・民法【 過去問の詳細な解説≪第2コース≫ 第 10回  
    の発展問題である。

  ◇サイト第10回はこちらです↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/227992.html

  ◆ 総説

  判例によれば、AによるBの詐欺を理由にした取り消し(96条1項)
  後の転売については、Aと買主Cは対抗関係に立たち、先に登記した方が
 優先することになる。177条の適用である。

   しかし、近時の有力説は、94条2項の類推適用説を採用する。

      売却  登記   転売
   A−−−−−−B−−−−−−C
  取り消し    94条2項
  121条    登記の外観を信頼した
  初めから無効  第三者保護


  AとBに通謀があったとは言えないため、虚偽表示が適用される事例
  とは言えないが、「取消後に放置された実体関係に合わない登記の外観
 を信頼した第三者保護」という「権利外観法理」に従って、94条を2
  項類推適用しようというのが、その主張の骨子である(前掲書)。 

  以上のとおり、A説が前者の対抗関係説ともいうべきものであり、
 後者がB説の94条2項の類推適用説であることが明らかになった。


 このことを前提に以下において、各肢を検討する。

 ◆ 各肢の検討


  ○ アについて。

   AとBと先に登記した方が優先するというのは、「対抗問題」のA説
  である。

   ○  イについて

    94条2項の善意の第三者として保護されるには、登記を要しないと
  いうのが通説である。これは、B説である。

   ○ ウについて。

    94条2項には無過失は要求されていないが、権利外観法理に従
     えば、無過失であることを要する、などの議論がある。
   これは、B説である。

    ○ エについて。

    このように、所有権の復帰(移転)があったと扱うことにを前提にした
   場合 に初めて対抗問題とすることができる。A説の立場である。
  
    ○  オについて。

     取り消しの効果である遡及効(始めから無効)を前提にするのは、94条
  2項類推適用のB説である。

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   したっがて、B説は、イ・ウ・オであり、正解は3である。

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           ★ オリジナル問題解答 《第13回 》 ★

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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第99号に掲載してある。

 
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   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

  ▲ 問題 1

    ★ 各肢の検討
     

  ○ 1について

    判例によれば、立法権および司法権の行使も国家賠償法1条1項の
  「公権力の行使」に当たる。

        本肢は正しい。


   しかし、以下の点に注意すべきである。

    裁判官がした争訟の裁判については、当該裁判官の単なる過失では
   なく、違法又は不当な目的をもって裁判をしたなどの特別の事情が
   なければ国 の賠償責任の問題は生じないとするのが判例の立場で
   ある。(最判昭57・3・12・・)
 
   立法権も賠償責任の対象になるが、国会議員の立法行為等が、違法
  の評価を受けるのは、例外的であることにに注意。(最大判平17・
  9・14・・)

  ○ 2について

    国公立病院での医療事故については、民法の規定を適用するという
   実務が、最高裁判所昭和36年2月16日判決=東大病院梅毒輸血事件
  以来定着している(但し、予防接種被害については、国家賠償法1条1
  項が適用されている。東京高等裁判所平成4年12月18日判決)。
  (読本)
  
      以上、本肢は正しくない。


  ○ 3について

   国家賠償法1条1項を見ると、加害者が正規の公務員であることが
  公権力行使責任が認められるための要件であるように見える。しかし、
  裁判例ではそうは考えられていない。加害行為が行政の仕事、つまり
  公務であればよいと考えることができる。(読本)
  
  したがって、特殊法人の職員であっても、公務に従事していれば、
  法1条1条1項の「公務員」に該当する。
    以上の趣旨に従えば、判例は、一時的に公務を行う非常勤公務員
  を法1条の「公務員」とみるので、この者の行為に起因する損害は、
  国家賠償責任の対象となる。

    以上、本肢は正しくない。

 
  ○ 4について

   国家賠償法1条1項の「公務員が、その職務を行うについて」という
 規定は、加害行為が厳密に公務そのものに該当しない場合であっても公務
 との間に一定の関連性を持つ行為(公務関連行為)による被害についても
 公権力行使責任が認められるという意味である。(読本)
  
  最高裁判所はその適用の場面として、「客観的に職務執行の外形をそな
 える行為」について、国・公共団体の賠償責任を認めるという外形主義の
 考え方をとる。(読本)
  
   しかし、

   この外形主義による国・公共団体の賠償責任が認められるためには、
 加害公務員が正規の公務員でなければならないし、また加害行為はその
 公務員の職務の範囲内でなければならないとするのが定説である。
  したがって、正規の公務員でない者が警察官を装って私人に損害を
 与えても、都道府県の責任は認められない。(読本)
  
  また公務員ではあるが警察官ではない者が警察官を装って損害を与えた
 場合も都道府県の責任は認められないことにも注意せよ(読本)。

  以上の記述に反する本肢は正しくない。

 
  ○ 5について

  代置責任説は、公権力行使責任を、加害者である公務員が負うべき
 賠償責任を国・公共団体が代位したものと捉える。この説によると、国・
 公共団体の賠償責任が認められるためには、加害公務員を特定しその
 公務員に過失があったことを証明する必要があると言えそうである。
  
  他方、自己責任説(公権力責任を本来的に国・公共団体が負うべき
 責任として理解しようとする説)に立つとこの必要性はない。ここに、
 代置責任説と自己責任説の対立の一つの意味があると言える。
  
  もっとも、今日では、・・過失は客観的に捉えられ、組織過失・・が
 認められるようになっているので、代位責任説に立っても、加害公務員
 を特定してその公務員に過失があったことを証明する必要はないだろう。
 (読本)。判例も同様の立場に立つ。《最判昭57・4・1・》
  95)

    本肢は、代位責任説に引っ張られたたものであり、判例では加害公務
  員の特定を要しないとするから、本肢は正しくない。

    
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   以上により、本問は1が正しい。

------------------------------------------------------------------

 

 

   ▲ 問題 2
 
   ★  各肢の検討

  
    ○ 1について

    平成21年度問題20において、「権限の不行使と国家賠償責任」
  に関する最高裁判所判例が出題されたが、本肢は、当該テーマにつ
  いての最高裁が示す基本的見解である(最判平1・11・24・・)。

   平成21年度問題20肢3の示す以下の記述も同旨である。

   国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を
  定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情
  の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性
  を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関
  係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

   以上により、本肢は正しい。

  ○ 2について


   公定力とは。

    特定の機関が特定の手続によって取消す場合を除き、いっさいの者は、
  一度なされた行政行為に拘束されるという効力をいう。
                            ・・
     したがって、「違法な行政行為も取消されるまでは原則として有効で
            ・・
   ある」ことになる。原則論からいえば、「行政行為は公定力を有するから、
   正当な権限を有する行政庁又は裁判所により取り消されるまでは一応有効
   である」ことになる。

    以上、 「公定力」という観点 からすると、違法な行政行為も一応有効
  であることになる。そうすると、当該行政行為の違法性を理由に国家賠償
  を行う場合にも、あらかじめ当該行政行為の取消し等の判決を得て違法で
  あることが確定していなければならないことになる。

  しかし、そこまで、「公定力」を拡大すべきではない。当該国家賠償請
 求訴訟において、違法性を判断してもらえばよいといことになる(最判
   S36・4・21・・同旨)
  

  以上の記述からすれば、本肢は誤りである。

  ○ 3について


  本肢は、以下の判例を想定している。

  第三者が国道上に故障車を交通に危険な状態で放置して相当時間を
 経過したにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全
 保持に必要な措置を全く講じなかったときは、道路の管理に瑕疵が
 ある(最判S50・7・25・・)。

  上記判例に照らし、本肢は正しい。

   ○ 4について

  最判S45・8・20・・によれば、「その過失の存在を必要と
 しない」としているので、本肢は正しい。

 
  ○ 5について

   最高裁判所は、本肢のとおり、外形主義の考え方をとっている
  ので、本肢は正しい(最判S31・11・30・・・)。


△ 参照サイト・過去問の詳細な解説 第42回・ 第70回・第71回

 ★ サイト・過去問の詳細な解説 42回 参照↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870896.html

 ★第70回↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/1369392.html

 ★第71回↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/1394869.html

 

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  以上誤りは、2であるから、正解は2である。
 
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               ★ オリジナル問題解答 《第7回 》 ★

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  【テーマ】  行政法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ☆サイト第41回・第43回 参照
 ⇒第41回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/854713.html

 ⇒第43回はこちら↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870899.html

 

 ◆  本問の解説


 ○ 肢1について

   審査請求の審査庁が、処分庁の上級庁である場合には、私人の申立
    をまたず職権によっても執行停止をすることができる(行審法34条
  2項)。

   これに対して、審査庁が処分庁の上級庁でない場合およおび裁判所
  の場合には、職権によって執行停止を行うことはできず、申立による
 (行審法34条3項・行訴法25条2項)。
 
   これは、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して、一般
  的指揮監督権を有するから、職権に基づく執行停止も一般的指揮権の発
  動として正当化されることに基づく。

   本肢は、妥当である。

  
   ○ 肢2について

   行審法は、審査請求がなされたとき、執行不停止の原則を採用して
  いる(34条1項)。同様に、行訴法もまた、処分取消の提起のとき、
  執行不停止の原則を選択を選択している(25条1項)。
 
   その根拠は、行政処分の公定力に基づく公益重視にある。

   しかし、国税通則法105条1項のように、個別法において、執行
  不停止の原則に修正が加えられている場合もある(過去問2007年
  問15参照)。

   その根拠としては、行審法第1条第2項における「他の法律に特別の
  定めがある」場合に該当する。


     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢3について

    執行停止の要件は、以下のとおり、審査庁と裁判所の場合で異なって
   いる。

    審査庁の場合は、「必要があると認めるとき」が要件になっている
   (行審法34条2項・3項)。

    裁判所の場合は、処分等の「続行により生ずる重大な損害を避ける
      ため緊急の必要があるとき」が要件になっている
   (行訴法法25条2項)。

      ただし、次の点に注意せよ。

      審査庁の場合にも、「重大な損害」等が掲げられているが(行訴法34
  条4項)、これは、義務的であるための要件である。裁判所の場合が、執
    行停止発動の要件であるのとは、異なる。

   
   執行停止可 ○ 不可 ×
       
 
               審査庁     裁判所
 
 「必要があると認める」    ○        ×

 「重大な損害等」       ○(義務的)   ○(発動の要件)

  以上を総括して、「入門」より、以下の文章を記しておく。

  「行政上の不服申立てのばあいには、争いを裁断するのは裁判所では
    なくて行政機関ですから、不服申立てに対する審査も、いわば、行政
    組織内部でのコントロールとしての性格を持つことになります。そう
    だとすると、取消訴訟のばあいには、司法権としての裁判所の立場上、
    そうかんたんに認められなかった例外としての執行停止も、かなり
    ゆるやかに認めてもよい、ということになるのでしょう。」

     以上の記述に反する本肢は、妥当でない。


  ○ 肢4について

   ここでは 申請拒否処分として、生活保護却下処分をとりあげる。

  裁決によって、当該処分が取消されると、処分庁は、裁決の趣旨に従
 って、生活保護決定をしなければならない(法43条1項・2項)。
   
     それでは、この裁決の前に審査庁が執行停止を行ったら、どうなるか。
 
  処分庁は、生活保護決定を義務付けらるのではないというのが、実際の
  取扱であるから、拒否処分についての執行停止の決定はやっても意味は
  なく、結局、執行停止の申立の利益がないということになる。
  もし、裁決の前に、義務付け(生活保護決定)をさせるためには、仮
  の義務付けを認める必要がある。(以上「読本」参照)
 
   以上の前提知識を基に本肢を検討すると、

  行審法では、仮の義務付けの制度はない。これは、行訴法において規定
 されている(37条の5)。本肢は、行訟法の説明である。
  申請拒否処分に対する審査請求については、仮の義務付けの制度がない
 ため、執行停止の申立の利益がないことになる。
 
 《以上の記述は、やや、こみいっているが、この際、その関係を正確に
  把握しておくべきである》

   以上のとおり、本肢は、妥当でない。


 ○ 肢5について

  執行停止の申立があった場合、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を
 述べることができるが、審査庁に対しては、異議を述べることはできない。

  行訟法によって、当該異議が認められ、この場合、裁判所は、執行停止
 をすることができず、その決定をしているときは、これを取り消さなけれ
 ばならない(27条1項・4項)。

  しかし、内閣総理大臣の異議という制度は、行政不服審査法にはない。

  以上の記述に反する本肢は、妥当でない。

----------------------------------------------------------------------
  
   肢1が妥当であるので、正解は1である。

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    ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣
 

 

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             ★ オリジナル問題解答 《第5回 》 ★

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 ▲  問題 1

  
  ◎ 序論

   不服申立ての種類

   行政不服審査法は、不服申立ての種類として、「異議申立て」
 「審査請求」「再審査請求」の三つのものを定めている。
  
  「異議申立て」というのは、問題となっている処分をした
  (またはしなかった)行政庁それ自体(処分庁または不作為庁)
    に対する不服申立てである。

   これに対して「審査請求」 とは、それ以外の行政庁
   (上級監督庁であるのが普通であるが、 そのための特別
   の機関が設けられているケースもある)に対する不服
     申立てである。(同法3条2項)。
   
   また「再審査請求」というのは一度審査請求をおえたのち
    にさらにおこなう、例外的な不服申立てなのであるが(同法3条
  1項)、行政不服審査法自体が定めている特定のばあいのほか
    は、法律または条例によって特に定められているばあいにだけ、
  その法律・条例が特にに定める行政庁に申立てできる(同法8条
  1項および2項参照)

   異議申立てに対して行われる裁断行為は「決定」とよばれ
    同法47条)審査請求および再審査請求に対するそれは、「裁決」
  とよばれている(同法40条、55条)。
  (以上、入門235頁以下参照)。


  ◎  各肢の検討

 
  ○ ア・イについて

     行審法41条1項によれば、裁決の方式として、書面で行い、かつ
     理由を附すことになっている。
  
      条文の上で、「しなければならない」と規定されていることからすれ
  ば、 裁決に理由が附されていなければ違法になる。
  
     行手法の規定によく見られる「努めなければならない」が努力義務で
    あることと対比される。

     以上の規定は、処分についての異議申立てに準用されている(48条)


-------------------------------------------------------------------

   以上からすれば、裁決・決定いずれにおいても、書面で行い、理由を
  附することが義務である。したがって、これに反するア・イとも妥当で
  ない。                   

-------------------------------------------------------------------
 
 
  ○ ウについて
  
   行審法第1条1項によると、「不当な処分」も不服申立ての対象と
  している。
 
   以下の記述にも注意。

 「・・裁判所というのは、もっぱら、紛争を法的に解決することをその
 任務とする機関ですから、裁判所が審理できるのは、とうぜんに法問題
( 行政処分の違法性)にかぎられ、自由裁量行為のばあいに行政庁がおこ
 なった裁量が不当ではなかったかどうか、といったような判断はできない
 わけですが、行政上の不服申立てのばあいだったらそういった制限はない、
 ということになります」(入門233頁)。

  この場合における、不服申立てには、審査請求と異議申立てを含むので、
  本肢では、「決定」にも当てはまる。

------------------------------------------------------------------
   
    以上の記述に相応する本肢は、妥当である。

-----------------------------------------------------------------
 
 
  ○ エについて

   行政事件訴訟法3条3項によると、裁決・決定に対して不服がある
   場合、 抗告訴訟の対象になる。 
  
   また、行審法は、審査請求と異議申立ての関係については、相互
  独立主義を採用しているのである(5条・6条参照)から、決定に
    対して、不服がある場合にも、取消訴訟を提起できる。

----------------------------------------------------------------
  
    以上の記述に反する本肢は妥当でない。

-----------------------------------------------------------------

 
  ○ オについて

   40条5項によれば、審査庁が、処分庁の上級行政庁であるとき
   における「裁決」において、処分の変更が許される。
    この場合には、審査請求人の不利益変更禁止の原則が働く(同条
   同項ただしがき)。
 
   以上と類似の過去問は、以下のとおりである。

   行政不服審査法は、行政の適正な運営も目的としているので、
  裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に
  当該処分を変更することを命じることもできる。
 (平成19年問14 肢4)

   前述したところにより、これは×である。

--------------------------------------------------------------------
 
    以上の記述に相応する本肢は、妥当である。

------------------------------------------------------------------

 
   本問については、ウとオが妥当であるから、正解は4である。


 ▼ 問題 2
  

 ★ サイト39回  参照

  ★ 各肢の検討

   アについて

   法3条1項によれば、不服申立ての種類は、このとおり、3種類
  であり、正しい。

   イについて

       再審査請求とは、一度審査請求を終えた後にさらに行う例外的な不服
   申立てである(法3条1項)。この申立ては、当該審査請求の裁決に
   不服がある場合、当然にすることができるのではない。
    行政不服審査法自体が定めている特定の場合・法律または条例によって
     特に定められている場合にだけ、その法律、条例が特に定める行政庁へ
     申立てができる(法8条)。したがって、法律に「再審査をすることが
     できる旨」の定めがある場合に当該申立てができる。

     本肢は誤りである。

      ウは47条1項で「裁決」が「決定」である。誤り。

   エは40条2項により正しい     

   オは、47条2項で、「却下」が「棄却」である。誤り。

   以上については、次の公式が該当する。

    不服申立て要件をみたさないときは、門前払いの「却下」。
    本案の審理がなされたうえ、言い分を認めないときは、「棄却」。

     異議申立てに対する裁断行為が「決定」であり、審査請求に
    対しては「裁決」である。 
    
     結局、これらの組合わせの問題である。

--------------------------------------------------------------------

     以上、ア・エが正しくて、正解は3である。
          
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  ◆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣   


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 ■       一般知識  アラカルト
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   ◎ 政治とマスメデイアの関係


  要点集


   1 マスメデイアは、ニュース報道や評論を通じて世論の形成に重大
        な影響を与えることから、立法・行政・司法に続く、「第4の権
        力」と言われている。

   2 アナウンス効果

     報道によりその対象に影響を与えること。

     その例
      
     (1) マスメデイアは、政治的関心を関心を高めるうえで不可
        欠の存在になっているが、その負の要素として、マスメ
           デイアは、政治についての質の低い情報を伝えることによ
           って、政治的無関心を助長する場合もある。

          たとえば、民主党内の菅・小沢間の感情的対立に基づく
             ゴタゴタを報道することによって、政治に嫌気ををきたす
             層を増やす。

      
         (2) 金融政策の変更や当局者の発言が実体経済の変更に先行
       して経済主体の行動変化をおこさせることもある。

       経済関係では、「アナウンスメント効果」といわれるこ
      とが多い。


      選挙報道における例

     (3) マスメデイアが選挙報道において、ある候補者の有利・不
              利を報道することによって候補者の得票を増減させてしまう
       ことがある。

       (a) アンダードッグ効果(負け犬効果)

          ある候補者が苦戦していると報道されると、激励票
         や同情が集まること。

          小選挙区制度では、選挙期間中にマスメデイアが不利
         と報道した候補者については、その潜在的な支持者が
         積極的に投票に行くようになり、得票を大きく伸ばす
         現象が見られる。


       (b) バンドワゴン効果(勝ち馬効果)

          バンドワゴンというのは、大きな祭りのパレードに
         登場する楽団車のこと。

          選挙予測報道で有利とされた政党(候補者)が勢い
         がついて有利になること。

          かつての小泉政治の劇場型ないしさきの選挙におけ
         る民主党の躍進にその例を見ることができる。

    3 会員制の記者クラブ制度について 

         日本の官公庁や政党では、取材や情報提供が円滑に行わ
        れるように会員制の記者クラブ制度がとられているが、こ
        れについては、報道の画一化や官庁への無批判な報道につ
        ながるとして廃止を求める意見がある。しかし、現在でも
        この制度は存続している。


 ------------------------------------------------------------------

       以上の要点が把握されていれば、過去問・平成22年度 問題47に
   ついては、正解が導き得たであろう。

   しかし、

   以上の正確な知識を欠如していても、以下の2点から、正解をが得られ
  たかもしれない。

   1 前述したバンドワゴンの語彙からして、エの記述に沿う不利との報
    道という概念は、生じ難いと推理しうる。

   2 記者クラブが現在廃止されたとは聴いていない。

    以上から、エとオが×。

  (また、常識に照らせば、アイウは○だ!ともいえる)

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               ★ オリジナル問題解答 《第2回 》 ★

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 http://archive.mag2.com/0000279296/index.html

 
 ▲ 問題1

  ★  本問については、サイト29回 参照

     第29回はコチラです↓
   http://examination-support.livedoor.biz/archives/683845.html


  ★ 各肢の検討

    アについて

    到達によって、標準処理期間は、進行を開始するのが、原則
  であるが、形式的要件に適合しないとして、申請者に対して
    補正指導をしている間は、その進行を停止するというのが、通
    例の取扱いであって、本肢は妥当でない。

   本肢は、行手法6条・7条の組み合わせによる。

  イについて

   6条によると、標準処理期間は、申請がその事務所に到達した時
    点から進行する。この点は、7条に関しても同じことが言えるが、
    申請を受け取っておきながら、正式に受理していないことを理由に
   「預かり」とか「返戻」という措置とることを許さないことにしたと
   いう当該立法の経緯 からしても、受理を当該期間の基準とすること
   は、明からな誤りである。 (読本参照)


    ウについて

      後者は、法的義務であるから妥当でない(7条参照)。


  エについて

   妥当である(6条・9条)。

  
  オについて

   6条末尾の記載により、妥当である。


----------------------------------------------------------------

   以上により、正解は2である。

---------------------------------------------------------------


 ▲ 問題 2
  
 
 ◆ サイト30回に掲載の平成18年度過去問・問題11及び解説参照

 

   第30回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/683857.html

 
  ◆ 各肢の検討

  ○ アについて

   平成21年度問題11の肢4の以下の記述をみてほしい。

   聴聞において、当事者が利害関係者の参加を求めたにもかかわらず、
  行政庁がこれを不許可とした場合には、行政不服審査法に基づく不服
  申立てをすることができる。

  ×である

   条文は、行手法17条1項・同法27条1項である。
   つまり、同法17条1項に違反する違法な処分(行審法1条の行政
   庁の違法処分に該当する)は、行手法27条1項により、行審法による
  不服申立てをすることはできない。

  同様に行手法18条1項の文書等の閲覧規定に反する行政庁の処分も
  また、行審法の不服申立ての対象にならない。

  以上、本肢は正しい。

 ○ イについて

  聴聞を経てなされた不利益処分については、行政不服審査法に基づく
 異議申立てはできないが、弁明の機会付与の不利益処分にはこうした
 制限がないので、本肢は正しい(27条2項・29条以下にはこうした
 規定もなく、準用もされていない)。

  しかし、27条2項によれば「審査請求」はできることになっている
 ことに注意。
 「異議申立て」は処分庁に対する不服申立てであるから(不服審査法
 3条2項)、聴聞という丁寧な手続を経た処分が覆る可能性がほとんど
 ないことが立法趣旨である。

  以上、本肢は正しい。


 ○ ウについて

  行手法29条と同法20条の比較。なお、同法20条3項の審理の
 非公開原則に注意。これについては、学者の批判がある。

  以上、本肢も正しい。

 ○ エについて
              ・・・・・・・・・
  丁寧な手続である聴聞は、許認可を撤回したり 資格 または地位
  を 剥奪するといった相手方に重大な不利益を与える不利益処分に
 ついて行われる。これが「特定不利益処分」であり、行手法13条
 1項1号に列挙されている。
   この不利益処分には、行政法学上の取消しと撤回の双方が含まれる
 (同旨・平成21年度問題11・肢2)。

  以上に反する本肢は妥当でない。


 ○ オについて

  行政庁が、相手方から、申請により求められた許認可等を拒否する
 処分は、申請に対する処分(行手法2条3号)であるから、不利益処
  分に該当しないので、聴聞ないしは弁明が実施されることはない

  以上に反する本肢は、妥当でない。


 --------------------------------------------------------------

  以上によれば、妥当でないのは、エとオであるから、正解は4である

---------------------------------------------------------------

 

 ◆  付 言

   エとオの対比を通じて、「特定不利益処分」の概念をはっきりと把握
 することが肝要だ!

  一度行政庁がした許認可を取り消したり、撤回するのが、「特定
 不利益処分」であり、申請者から求められた許認可を拒否するのは、
 それが、いかに申請者の重大な利益に関わることであっても、
「不利益処分」ではなく、「申請に対する処分」である。

   以上は、行政手続法の根幹をなすものであり、過去問でも繰り返し
 問われている。混同しないように!


 また、アとイの混同も回避すべき。
 
   アは、聴聞の手続そのものに対する不服。イは、聴聞・弁明を経て
 なされた不利益処分に対する不服申立ての問題。

 

 

  参考書籍 
  
 行政法入門 藤田 宙靖著・ 行政法読本 芝池 義一 /有斐閣

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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         ★ 過去問の詳細な解説  第95回 ★

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                        PRODUCED BY 藤本 昌一
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【テーマ】  民法


【目次】    問題・解説

            余禄          
     

 

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 ■ 平成22年度・問題46(記述式)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
   以下の【相談】に対して、[  ]の中に適切な文章を40字程度で
 記述して補い、最高裁判所の判例を踏まえた【回答】を完成させなさい。


 【相談】

  私は、X氏から200万円を借りていますが、先日自宅でその返済に関
 してX氏と話し合いをしているうちに口論になり、激昂したX氏が投げた
 灰皿が、居間にあったシャンデリア(時価相当150万円相当)に当たり、
 シャンデリアが全損してしまいました。X氏はこの件については謝罪し、
 きちんと弁償するとはいっていますが、貸したお金についてはいますぐに
 でも現金で返してくれないと困るといっています。私としては、損害賠償
 額を差し引いて50万円のみ支払えばよいと思っているのですが、このよ
 うなことはできるでしょか。

 【回答】

   民法509条は「債務不法行為によって生じたときは、その債務者は、
 相殺をもって債権者に対抗することができない。」としています。その
 趣旨は、判例によれば[     ]ことにあるとされています。ですか
 ら今回の場合のように、不法行為の被害者であるあなた自身が自ら不法
 行為にもとづく損害賠償債権を自動債権として、不法行為による損害賠
 償債権以外の債権を受動債権として相殺することは、禁止されていませ
 ん。

  


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  


 ●  序論


  1 本問においては、全体として考察すれば、【相談】内容に目を通す
   必要がない。

   【回答】欄において、「今回の場合ように 不法行為の被害者・・
   が自ら不法行為にも とづく損害賠償債権を自動債権として、不法行為
   による損害賠償債権以外の債権を受動債権として相殺することは、禁止
   されていません」として、相談内容を要約したものが呈示されているか
   らである。

    したがって、わざわざ、時間を費やして、以下のように図示して、
   【相談】内容を解明する必要性に乏しい。


             ・
                       X

        
         200万円    150万円
          
         ↓ 貸金債権   ↑ 損害賠償債権

        (受動債権)   (自動債権)
             
                      私
                        ・

   2 ここでいう判例とは、「本条≪民法509条》は、不法行為に基
    づく損害賠償債権を自動債権とする相殺までも禁止する趣旨ではな
    い。(最判昭42・11・30民集28−9−2477)」

     模範六法 1059頁 509条 1 ▽ 参照

     一般的知識としては、通常このあたりまでの認識はあるであろう。
          
     しかし、
     
          このことを本問の解答として、記載しても、蛇足であるから、点数
    にはならない。

 ◎ ズバリ回答としては、

    前記最高裁判所の要旨を要約したものとなるであろう。
    
  
    その要旨

    民法第509条は、不法行為の被害者をして現実の弁済により損害の填補
   をうけしめるとともに、不法行為の誘発を防止することを目的とするもの
   であり、不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし、不法行為による
   損害賠償債権請求権以外の債権を受働債権として相殺をすることまでも
   禁止するものではないと解するのが相当である


    その要約としての本問の回答

   --------------------------------------------

    不法行為の被害者に現実の弁済に
    よる損害の填補をうけさせるとと
    もに不法行為の誘発を防止する。

                45字

    ---------------------------------------------


 ○ 付言

  
   1 ズバリ回答をゲットしようとすれば、この問題を予想し、予め、最高裁判所
   図書館もしくは国立国会図書館所蔵の「最高裁判所民事判例集第21巻9号2
  477頁」を見て、暗記した希有な者に限られるであろう。

  2 それでは、判例の暗記という観点を離れて、標準的な法律書を基に本問を
   考察してみてみよう。

   民法509条によって、不法行為債権を受動債権として相殺が禁じられる
  のは、「不法行為の債務は必ず現実に弁済させようとする趣旨である」から
  である。

   もう一つは、仕返しを回避するためである。分かりやすく言えば、頭をぼこ
  にした相手に対し、自分も相手のかしらを同程度にボコボコにして帳消しにし
  ようとすることが許されないのである。
   あるいは、「任意に履行履行しない債務者に対して債権者が自力救済その他の
  不法行為をしたうえで、それによって相手方が取得する損害賠償債権を受動債
  権として相殺をもって対抗するようなことを許さないというねらいも含んでいる。」
             ・
   したがって、受験者の頭の隅に「現実弁済」とか「自力救済の禁止」という
  言葉が浮かべば、さきの最高裁の判例の要旨を知らなくても、何とか正解に達
  する可能性が開けてくるのである。

   以下は、【余禄】欄に譲る。

   
 ▲ 参考事項

  以下の判例あるので、参考までに掲げておく。

  双方の過失に基づく同一交通事故による物的損害の賠償債権相互間でも、
 相殺は許されない。(最判昭49・6・28 民集28−5−666)

 《22年度模範六法・民法509条 2 ▽ 》

  当該判決の判旨によれば、「民法509条の趣旨は、不法行為の被害者に
                       ・
 現実の弁済によって損害の填補を受けさせること等にあるから、およそ不
 法行為による損害賠償債務を負担している者は、被害者に対する不法行為に
 よる損害賠償債権を有している場合であっても、被害者に対しその債権をも
 って対等額につき相殺により右債務を免れることは許されないものと解する
 のが相当である」。
 

  
 ★ 参考文献

  民法 2 ・ 我妻栄/有泉亨著・勁草書房
   
    


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  ■ 余禄・先生と美里さんの会話(メルマガ配信から抜粋)

     《平成22年度問題 46 を巡って》

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 永宗美里さんの紹介

 花の独身・28歳・瞳がきらきら輝き、活発・行政書士受験歴2回・
 3回目に挑戦中。

 先生の事務所に勤務・先生の姪にあたるが、事務所内では、伯父を
 先生と呼ぶ。
--------------------------------------------------------------
 
 
              どちらが先生?
              ーーーーーーーー
                 

 先生「平成22年度・問題46については、当日どう回答した?」

 美里「あまり答えたくありませんが、・・・【相談】の事例を読めば、
    受動債権が 貸金債権であって、不法行為による債権ではありま
       せんので、民法509条に照らして、相殺が可能だと考えまし
       た。」

 先生「それは、当然だ。例の最高裁の判決要旨は知らなかったんだね」

 美里「今では、その存在は分かっていますが、試験日には、その要旨に
    ついて、全然頭にありませんでした」
 
 先生「それも当然だ。その点、君は悪くない。それを知っていろという
    のは要求過多だ。それでは、なにを書いた?」

 美里「はい、509の立法趣旨として、不法行為の被害者に実際に弁済
    する必要があるから、相殺が禁止されていることは知っていまし
    たので、この場合は、自動債権が損害賠償債権ですから、相殺可
    と思い、そのことを書きました」
 
 先生「それはそれで、正しい」

 美里「でもね、先生。『不法行為の被害者に現実に弁済する必要がある』
    と書くと、空欄が半分なんです。仕方がないから、これに続けて、
   『・・・から、不法行為による債権を自動債権とするのは可』と
    かなんとか、書いたと思います。」

 先生「後半が蛇足だ」

 美里「分かってます。これは、まずいと思って、書いたんですから・・
    蛇足だと思って、空欄を埋めただけですから」

 先生「『自力救済の禁止』という文言は浮かばなかったんだな」

 美里「ちらりと、頭をかすめましたが、事例をみれば、受動債権が不法
   行為ではないわけですから、自力救済は関係ないと思ったんです」

 先生「なるほど。しかし、いまは、そのからくりはわかっているね」
   
 美里「先生。わたしが説明いたしますわ。まかせてください」

 先生「君が先生だ!どうぞ」

 美里「つまりですね。【相談]の事例によっても、受動債権が不法行為
    でなくて、貸金債権であることがポイントですね。【回答】でも、
   『不法行為による・・債権以外の債権を受動債権として』相殺可
   となっていますよね」
 
 先生「裏から言えば・・・・」

 美里「(みなまで言うなと制するように・・)受動債権が不法行為で
    ある場合には、自力救済禁止、判例によれば、「不法行為誘発
    防止」のため、相殺不可であるから、そのことも[  ]欄に
    記載しておく必要があるということですね」

 先生「Exactly! 最後に一言。じっくりこの問題をながめて
    ほしい。【回答】欄の記載だけで回答できる。かえって、【相談】
    の事例にひっぱられると、現実弁済しか念頭にうかばないことに
    なる。もうひとつ・・・・」 
             
      
       ↓    続き( 一週間後・・)

 

          
           二丁拳銃と二刀流
       ーーーーーーーーー


 美里「先生、もうひとつとはなんですの。1週間も待たされたんです
    もの。先生あんまり勿体ぶらないで!」

 先生「そんなつもりはない。ただ誌面の都合でそうなっただけだ。
    つまり、私の言いたかったことは、この問題の採点基準につい
    てだ。前に掲げた最高裁判所の判例(最判昭42・11・30)
    の判旨を機械的に当てはめて、そのとおりかどうかを基準にし
    てほしくないということだ」

 美里「そうですね。『現実弁済』のほか、『自力救済の禁止』『仕返し
    の禁止』でもいいわけですよね。現実の弁済による損害の填補
       とか、不法行為の誘発防止でなければ、減点というのは、お笑
         ・
    い草ですよね!}

 先生「君も八つ当たり気味だね。そんな草は見たこともないが・・。
    いずれにしても、採点者が、この事案を咀嚼し、柔軟に対処
    できるかどうかが鍵だと思うな」

 美里「例えば、『不法行為の被害者に現実の弁済をさせるとともに、
    自力救済を禁止する』(33字)でもいいわけですよね」

 先生「私には、減点の対象が見当たらない。自力救済・・が仕返し
    の禁止であっても、一向にかまわないじゃないか」

 美里「わたし、古い西部劇で、二丁拳銃で、一度に同時に二人を殺す
   場面見ていて、この問題を連想しましたわ」

 先生「なるほど、正面の敵は、現実弁済の自動債権だ」

 美里「横には、自力救済禁止という敵ですね」

 先生「面白いね。敵は、不法行為の衣を被っている。・・それでは、
    チャンバラ映画の二刀流は、どうだ」

 美里「先生、同じことですわ。蛇足です」

 先生「(むっとして・・)もう止めておこう」

 

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           ★ 過去問の詳細な解説  第76回  ★

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  【テーマ】  行政組織法   

    【目次】   問題・解説


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 ■ 行政組織法・平成21年度過去問
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 問題25  国家公務員についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1 国家公務員には、一般職と特別職があるが、国家公務員法は、
         両者に等しく適用される。

       2 独立行政法人は、国とは独立した法人であるから、その職員
         が国家公務員法上の公務員としての地位を有することはない。

       3  その不法行為について国が国家賠償法1条1項により賠償責
         償責任を負うのは、国家公務員法上の公務員にに限られる。

       4   国家公務員の懲戒免職は、行政処分であると解されており、
          行政不服審査法による不服申立ての対象となる。

       5   国家公務員の人事行政に関する各種の事務をつかさどるため、
          総務省の外局として人事院が設置されている。


 問題26  国の行政組織に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

   
     1 国家行政組織法は、内閣府を含む内閣の統轄の下における行政
     機関の組織の基準を定める法律である。

       2  内閣府は、内閣に置かれる行政機関であって、その長は内閣総
         理大臣である。
  
       3 省には外局として、委員会及び庁が置かれるが、内閣府にはそ
         のような外局は置かれない。

       4  各省および内閣府には、必置の機関として事務次官を置くほか、
         内閣が必要と認めるときは、閣議決定により副大臣をおくことが
         できる。
     
    5  内閣府は、政令を制定するほか、内閣府の所掌事務について、
         内閣府の命令として内閣府令を発する権限を有する。
 

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 解説
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 ☆ 参照書籍

    行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
  /有斐閣

 
 ◆ 総 説

  「行政主体」と「私人」の相互関係を「行政の外部関係」と呼び、
   これを規律するのが「行政作用法」である。

          注
  これに対し、「行政機関」相互の間の法関係について定めるのが、
  「行政組織法」である。

  中心になるのは、「行政作用法」の分野であり、従来は主にこれを
  とりあげてきたが、これからはしばらく、「行政組織法」をとりあげ
  る。

  
  注

    「行政機関」については、「理論上の行政機関」と「制定法上の
    行政機関」がある。

   「理論上の行政機関」⇒≪学術用語≫

     大臣、次官、局長などは、法令などによって設けられている、
       ある一定の権限と責務とを与えられた一つの法的地位に就いて
    活動しているが、この法的地位のことを、行政法学では、一般
       に「行政機関」と呼ぶ。

   「制定法上の行政機関」

     「国家行政組織法」の別表第一によれば、11の「省」、
         四つの「委員会」、そして13の「庁」を「国の行政機関」
     と呼んでいる(同法3条 塾読せよ! 特に、委員会及び
     庁は、省の外局であることに注意)。

     これらは、学術用語としての「行政機関」が集まることに
        よってできあがっているのであって、その意味では「機関」
    というよりは、一つの「組織体」との性格を有する。

    (前掲 「入門」21頁以下)
  
   
  ☆ 付 言

 問題26は、「制定法上の行政機関」が対象になっているが、
     本問では、二つの区別を意識してか、国の「行政組織」という
     表示 になっている

    問題25では、「国家公務員」が対象になっているが、これは、
  「(理論上)の行政機関」という一種のポストに就いて働いている
   現実の人間」を考察していることになる。

     (前掲 読本 28頁参照)

    
    以上の考察方法は、他の類書にはないユニークさであると思われ
     るが、過去問を通じ、行政法の体系的理解を目指すという本講座の
   の特徴の顕れである。
    
    なお、「理論上の行政機関」は、以降おいて、その他の「過去
     問」を通じて、とりあげることにする。

 
 ◆ 問題25・各肢の検討

   
    ○ 肢1について

       国家公務員には、一般職と特別職がある(国家公務員法2条1項〜
  3項)
    
   国家公務員法によれば、同法は、一般職に属するすべての職員に
    適用することになっているので、特別職にも等しく適用されること
  はない (同法2条4項)。

   したがって、本肢は妥当でない。 

     本肢は、普段考たことはないことが、条文をよくみれば、同法2条
    3項に掲げられる内閣総理大臣を始めとする特別職については、その
    特別職ごとに、特別の定めを要することは、常識に属するのかもしれ
    ない。

  
  ○ 肢2について

      本肢については、以下の記述を引用する。

      ・・「公務員」は、ふつう国または地方公共団体の職員の身分に
    ついて用いられる観念なのですが、例外的に、その他の行政主体の
  場合でも、その職員に公務員としての身分を与えているケースがあ
  ります(たとえば、独立行政法人通則法51条をみてください)。

   (前掲 入門 29頁)

    したがって、本肢は妥当でない。

  
    ○ 肢3について

   国家賠償法1条1項の公務員は、正規の公務員であることを要
   しないというのが、判例である。

   「例えば、県が社会福祉法人の児童養護施設に児童の養育看護を
     を委託し、その施設においてその児童が他の児童から暴行を受けた
     という事件で、社会福祉法人の職員は正規の公務員ではないが、
   児童の養育監護は本来都道府県が行うべき事務であることを根本
     的理由にして、県の賠償責任が認められている(最高裁判所2007
  (平成19年1月25日判決・・・)」
     (前掲 読本 362頁)

   この判例は、直接には、地方公務員に該当すると思われるが、
    本肢の国家公務員にも適用されるであろう。

   したがって、本肢は妥当でない。

 
  ☆ 過去問との対比

   当該主題については、過去問でも2度問われている。
 
   サイト42回 「B 公務員 」参照
 
 ★サイト42回はコチラ↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870896.html


  ○ 肢4について

 
    国家公務員の懲戒処分に対しては、人事院に対して、行政不服審
      査法による不服申し立てをすることができる(国家公務員法89条・
   同90条)。

    行政不服審査法1条の規定する行政不服審査の適用対象となる
      のは「行政処分」である(読本254頁参照)。

       以上からすれば、本肢は妥当である。

    
    ☆ 関連事項

     (1)行政不服審査の対象となる「行政処分」は、行政事件
       訴訟法3条に規定する「抗告訴訟」の対象ともなるので、
       「取消訴訟」も提起できることに注意せよ!
              (前掲 読本254頁参照)
       
      (2)国家公務員法によれば、人事院に対してのみ行審法に
       よる不服申立てができる(同法90条1項)。
        また、職員に対する処分に対する不服申立てが限定さ
       れていることに注意せよ(同法90条2項)。
        以上は、行審査法1条2項における「 他の法律に特別
       の定めがある場合」に該当する(国家公務員法90条3項
              参照)。

     (3)公務員の懲戒には、行政手続法に基づく事前の手続は
              適用されないことに注意せよ(行手法3条9号により適用
    除外)。(前掲読本 38頁)。

           (4)なお、ここで重要な問題を提起する。
               
         さきにあげた「外部関係」「内部関係」を分ける考えに
               たてば、公務員に対する懲戒処分は、「訓令」「通達」
        などが、行政機関相互のものであって、裁判を起こせない
               のと同様に、行政訴訟の訴訟の対象にならないのではない
               かという疑問を生じる。

         この疑問を解決するための学者の奮闘がある(入門29
                頁・読本21頁)。

         このあたりについては、余禄欄において、先生と美里の
                会話を通じて、次回以降で明らかにする。

       
        なお、一言のみ開陳させていただくならば、類書にみられな
       い(1)〜(4)にわたる行政法全体を見渡した巾広い解説は、
       「将来の本試験を見据えた」本講座の特徴を顕すものである。

        (1)〜(4)はいずれも、一つの肢を構成し得る重要
               論点である。

     
 ○  肢5について。

           
      肢4において、述べたとおり、人事院が「国家公務員の人事
     行政に関する事務をつかさどる」」というのは、正しい。

      しかし、総務省の外局として置かれているのは、国家行政組
          織法別表第一によれば、公害等調査委員会・消防庁である
        (国家行政組織法3条3項)。

            人事院は、公正取引委員会、国家公安委員会などと並んで、
     内閣 から多かれ少なかれ独立して活動する独立行政委員会である。

      公正取引委員会や国家公安委員会は、内閣府の外局として所属
          しているのに対して(内閣府設置法64条)、人事院は、内閣の所
          轄の下にある(国家公務員法3条1項)。

      人事院には、国家行政組織法も内閣府設置法も適用されず、人
     事院の所管する国家公務員法自体が人事院の設置法となっており
        (国家公務員法3条1項)、人事院の独立性は裁判所や下会計検査
     院に準ずるものとなっている。

      以上、人事院について判明するところを詳述したが、本肢は
         以上の記述に反するので、妥当でない。

      
      サイト第4回の憲法問題において、人事院が主題になっている
     ので、この際併せて参照願います。

 ★サイト第4回はコチラです↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/70949.html


      全体として、4が正解となる。


  ◆  問題26・各肢の検討


     本問は、総説でいう、「制定法上の行政機関」が対象になっているが、
   「理論上の行政機関」との区別を意識してか、国の「行政組織」という
  表示 になっている。


  ○ 肢1について

   国家行政組織法は、内閣府以外の(制定上の)行政機関の基準を定
    める法律である(同法1条)

   本肢は誤りである。

   ☆ 関連事項

    内閣府は、平成13年(2001年)、中央省庁再編に伴い、内閣
   機能強化のため新設されたもので、他省庁が国家行政組織法の規律を
      受けるのと異なって、内閣設置法によって、その組織が定められて
   いる(同法1条)。

   ○ 肢2について

   以下の条文を参照すること。

      内閣府設置法2条

    内閣に、内閣府を置く。

   同法6条1項
  
    内閣府の長は、内閣総理大臣とする。

    
     以上により、本肢が正しい

   ☆ 関連事項

    内閣設置法と国家行政組織法の比較

        内閣設置法7条1項

     内閣総理大臣は、内閣府の事務を総括し、職員の服務について
        総括する。

       国家行政組織法10条

     各省大臣、各委員会の委員長及び各庁の長官は、その機関の事
        務を統括し、職員の服務について、これを総督する。

  ○ 肢3について

   以下の条文を参照すること。

   内閣設置法49条1項

    内閣府には、その外局として、委員会及び庁を置くことができる。

   国家行政組織法3条3項

    ・・・・・委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるもの
         とする。

   
    本肢は、以上の記述に反するので、誤りである。

   
   ☆ 関連事項

    内閣府に置かれる外局としして、内閣設置法は、以下の委員会及び
      庁を掲げている(同法64条)

    公正取引委員会・国家公安委員会・金融庁・消費者庁

    省の外局は、国家行政組織法の別表第一に掲げられている。

  
         ◎人事院との比較

      人事院は、公正取引委員会、国家公安委員会などと並んで、内閣
     から多かれ少なかれ独立して活動する独立行政委員会である。

      公正取引委員会や国家公安委員会は、内閣府の外局として所属し
     ているのに対して(内閣府設置法64条)、人事院は、内閣の所轄
         の下にある(国家公務員法3条1項)。

      人事院には、国家行政組織法も内閣府設置法も適用されず、人
     事院の所管する国家公務員法自体が人事院の設置法となっており
        (国家公務員法3条1項)、人事院の独立性は裁判所や会計検査院
     に準ずるものとなっている。

 

      ○ 肢4について

    
    内閣府および各省においては、いずれも副大臣も事務次官も必置の
      機関である(内閣設置法13条1項、15条1項、国家行政組織法
     16条1項、18条1項)。

     本肢は誤りである。

    なお、いずれも、事務次官は1人であるが、副大臣については、各省
      では、人数の規定はないが、内閣府では、3人との規定がある。
    内閣の機能強化の現れか。

    
  ○ 肢5について

    政令を制定するのは、内閣である(憲法73条6号)。
   
    内閣府令については、以下条文に従い、発する権限があるのは、内閣
      総理大臣である。

    内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しく
   は政令を施行するため、又は法律若しくは政令の委任に基づいて、内閣
   府の命令として内閣府令を発することができる(内閣府設置法7条3項)。

    以上の記述に反する本肢は、「政令「「内閣府」に関して、いずれも
      誤りである。

     なお、これは、各省大臣が、省令を発するのと同様である(国家行
      政組 織法12条1項)。

   
       ◎ ここで、皆様は、内閣総理大臣の二つの顔について、はっきり
     認識する必要がある。

    (1)内閣の代表ないし行政各部の指揮監督としての本来の顔
          (内閣法 5条、6条)

    (2)内閣府の主任の大臣としての顔
      これは、以下二つの条文を繋ぐことによって明確になる。

            内閣総理大臣は、内閣府に係る事項についての内閣法にいう
     主任の大臣とし、第4条3項に規定する事務を分担管理する
                           (注)
        (内閣設置法6条2項)。
        

      各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、
     行政事務を分担管理する(内閣法3条1項)。
 
     
     ( 注 )この規定において、内閣府の任務達成のための事務が掲げ
               られている。


       
      以上により、本問の正解は2である。
 

 ◆  付 言 

   本稿を通じて、細かい条文を抜きに大まかにでも、内閣府および他の省
    ないしは人事院などの行政組織間の関係またはこれらを規律する法の仕組
  みを把握しておけば、本試験対策として有効であろう。
 
      なお、肢2および肢4では、理論上の「行政機関」がとりあげられて
    いることに注意!

 

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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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 【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
 
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