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             ★  【過去問解説第99回 】  ★

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                     PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】 行政法/行政処分 その1
    
  【目 次】 過去問・解説
              
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 ■ 平成24年度問題18 
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  行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当
 たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最
 高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

 1 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、
  行政処分に該当しない。

 2 地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容と
  する条例の制定行為は、行政処分に該当する。

 3 都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、
  行政処分に該当する。

 4 (旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当す
  る貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当
  しない。

 5 地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の
 制定行為は、行政処分に該当する。

 

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 ■  解説 
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  ◆ 総説

 (1) 行政処分とは、「行政機関が、公権力の行使として、対外
    的に行う具体的な法行為」である。
    
     「例としては、課税処分、食中毒を出した食品取り扱い業
    者に対する営業停止命令、自動車の運転免許、建築基準法上
    の建築確認、違法建築物の除去や改善を命じる行為、鉄砲刀
    剣類の所持の許可、公共料金の値上げの認可、公有水面の埋
    立ての免許といったものがある」
    
    《以上、後掲読本 95頁》

 (2) ここで、本問の主題である行政事件訴訟法3条2項の「行政
    庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」は、(1)の行政
    処分(講学上の行政処分ないしは実体的行政処分と呼ばれる)
    がこれに該当するが、これ以外のものである政省令・条例など
    の行政立法、行政計画、行政指導等が「処分性」があるものと
    して、取消訴訟の対象になるかが問題になる。
    
    本問は、ここに焦点をあてている。

 (3) 本問について(2)の焦点に絞り、具体的に考察するとし
    よう。
      
     まず、肢2・肢5は条例という行政立法が、「処分性」が
    あるとして、取消訴訟の対象になるかが問題になる。
     
     つぎに、肢3では、当該行政計画が、同様に取消訴訟の対
    象になるかが問題となる。

     さらに、肢1では、当該行政指導が、取消訴訟の対象にな
    るかが問われている。

     最後に、肢4では、当該通知が、(1)の行政処分に該当
    するかが問われている。

 (4) これらに共通する論点は、「処分性についての個別的判断」
    ということになるが、そのためには、最高裁判所の判決を見
     る必要がある。最高裁判決によると、5については、処分性
    を認めるので、妥当であるが、その他の1〜4の肢について
    は、その処分性について、各肢と反対の判示をするので、各
     肢は妥当でない。

     結論として、5が妥当な肢である。

  
 ◆ 各肢の検討     

 
  ○ 肢1について

      行政法オリジナル問題49回・解説◆各肢の検討 5 ※ 参
  考事項(2)において、下記のとおり記述したが、当該記述が本
  肢に連動する。


   強い強制力を持った行政指導について、判例(最高裁2005
  《平成17》年7月15日判決・民集59−6−1661)が処分
  性を認めた例として、病院の開設の中止を求める 医療法に基づく
    勧告が、行訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力に当
    たる行為」に当たると解するのが相当であるとしたものがある。

   当該判例の要点を抜粋すると、当該「病院開設中止の勧告は、
  医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待
  してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告
  を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実
   さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けるこ
  とができなくなるという結果をもたらすものということができ
  る。・・・後に保険医療機関の指定処分の効力を抗告訴訟によ
  って争うことができるとしても、そのことは、(この 勧告が、
  行政事件訴訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力に
  当たる行為」に当たると解するのが相当である)という結論を
  左右するものではない。

   本肢は、上記判例に反するので、妥当でない。
 

 ○ 肢2・肢5について

    条例の制定という行政立法が行政処分と異なるのは、行政
   立法が一般的抽象的な規範の制定にとどまり、権利義務に具
   体的な変動をもたらさないことである(読本23頁参照)。


    したがって、「通例は、直接条例に対して取消訴訟を提起
   することは認められないと言わざるを得ない。なぜなら、一
   般に、条例は一般的抽象的な法規範であり、それを執行する
   行政処分において初めて誰にどのような権利義務が生じるか
   が決まるからである。もっとも、条例の中には、その適用を
   受ける人の範囲が比較的に限定されており、かつ具体的な執
   行行為たる行政処分をまたず直接にその人たちの権利義務に
   影響を与えるものがある。このような条例は、形は行政立法
   であるが、実質的には行政処分に近い性質を持つと言える。
   このような条例については、処分性を認めることが可能で
   ある。」(読本283頁)

    そのような観点に立って、最高裁判所判例をみると、同じ
   条例の制定行為であっても、肢2は、行政処分に該当せず、
   肢5は、行政処分に該当するとする。

    以下において、それぞれの判決内容を掲げておく。

    
  ▲  肢2について

   普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金
  を改定する条例の制定行為は、同条例が水道料金を一般的に改
  定するものであって、限られた特定の者に対してのみ適用され
  るものではなく、同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行
  として行う処分と実質的に同視することはできないから行政処
  分には該当しない(最判平成18年7月14日民集60−6−
  2369)。

  ▲  肢5について

   各保育所の廃止のみを内容とする本件改正条例は、他に行政庁
  の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発
  生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限
  られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受
  けることを期待し得る法的地位を奪う結果が生じるから、行政処
  分に該当する(最判平成21年11月26日民集63−9−21
  24)。

   以上の判例に照らせば、肢2は妥当でなく、肢5が妥当である。

   
  ※ 参考事項

   小学校の統廃合を図る条例が、抗告訴訟の対象にならないとす
  る判決もある(最判平成14年4月25日判事229号52頁)。

 
  
 ○ 肢3について

  最判昭和57年4月22日民集36−4−705は、用途地域の
 指定に対しての訴訟の可能性を否定し、後続の処分、つまり、建築
 確認が用途地域の指定との関係で拒否された段階で、建築確認に対
 して取消訴訟を起こし、その訴訟の中で用途地域の違法を主張すれ
 ばよいとした。

  本肢は、上記判例に反するので、妥当でない。

  ※ 参考事項

    これに対して、 土地区画整理事業計画については、「実効
   的な権利関係を図るという観点」から事業計画の処分性を肯定
   する判決がある(最判平成20年9月10日裁時1467号1
   頁)。
   

 

 ○ 肢4について


  最判昭和54年12月25日民集33ー7−753は、税関長
 が行った(旧)関税定率法による通知が、申告にかかる貨物を適
 法に輸入することができなくなるという法律上の効果を申告者に
 及ぼすものとして、行政処分であるとした。

  本肢は、上記判例に反するので、妥当でない。


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  以上によれば、妥当であるのは、5であるので、正解は5である。

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  ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行
 
 
  なお、次回においても、引き続き「行政処分」に関する過去問
 の解説を行うことにします。


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 【発行者】 司法書士藤本昌一
 
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           ★ オリジナル問題解答 《第48回 》★

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  【テーマ】 行政法
       
  【目次】   解説
              
   
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 ■ オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第144号掲載してある。
 
 
  ☆ メルマガ第144回はこちら
           ↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

  ▲ 総説 

  行政計画とは、行政機関が行政活動を計画的に行うために作成・
 決定(策定)する計画である。都市計画法に基づく都市計画がその
  代表例である(読本284頁)
 
  
  ▼ 各肢の検討

 
  ○ 肢アについて

   
   (1) 侵害留保説とは、国民の権利や自由を権力的に侵害する行政
        についてのみ法律の授権を必要とする説である

       この説によれば、本肢のような侵害的行為については、法律の
    授権を要する。

    (2)権力作用留保説とは、行政活動のうちの権力的なものについて、
       法律の授権を要するという説である。
 
      この説によれば、本肢のような権力的行政には、法律の授権を
      を要する。

  
    (3)公行政留保説(完全全部留保説)

    これは、権力的行政のみならず、非権力的公行政にについても
   法律の授権を要するとする説である。

     この説によれば、本肢のような権力的行政には、法律の授権を
      を要する。


       したがって、本肢のよな侵害的行為については、(1)(2)
  (3)いずれの説によっても、法律の授権を要するので、本肢
   は、妥当である。

 
  ※ 参考事項

  1 (1) 侵害留保説・ (2)権力作用留保説・ (3)公行政留
   保説(完全全部留保説)の主な違い

    a (1)は、国民の権利や自由を権力的に侵害する行政につ
     いてのみ法律の授権を必要とする説であるのであるから、授
     益的な行為については、法律の授権を要しない。
      これに対し、(2)は、権力作用に注目するのであるから、
     授益的かつ権力的な行為についても法律の授権が必要である。
      しかし、(1)も(2)も、非権力な行為については、法
     律の授権は必要でない。

    b  (1)(2)に対して、(3)は、権力的行政のみならず、
     非権力的公行政についても法律の授権を要する。
     この説は公行政全般につて、法律の監視を求めるもであろう。
    しかし、この説によっても、私行政については、法律の授権を
    要しない。

   2 過去問との対比

    正面から「行政計画」について、問うた過去問として、平成21
    年問題8 があるが、その肢1の記述は以下のとおりである。
 
    土地利用を制限する用途地域などの都市計画の決定についても、
   侵害留保説によれば法律の根拠が必要である。

   ● 本肢は、侵害留保説に照らし、妥当である。

 
  ○ 肢イについて
  
  
    本肢は、最高裁判所大法廷(平成20)年9月10日判決に反する。
  
    従来、最高裁判所は「事業計画は『いわば当該土地区画整理事業の
  青写真たるにすぎない一般的・抽象的な計画にとどまる』」(読本2
 86頁)ことを理由に行政訴訟の対象にならないとしてきたが、前記
 判例がこの先例を変更したのである。この判決は、前記事業計画につ
 いて、宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告
 訴訟の対象になるとしたのである。

    本肢は妥当でない。

 
  ○ 肢ウについて
  
    「この行政計画の事前手続については行政手続法では定めておらず、
   個別の法で定められている。」(読本173頁)
  
  たとえば、都市計画法16条の「公聴会の開催等」、同条17条の
 「都市計画の案の縦覧等)。


   本肢は妥当である。。  


  ○ 肢エについて


  最高裁判所1982(昭和57)年4月22日判決は、用途地域
 に対しての訴訟の可能性を否定し、後続の処分、つまり、建築確認
 が用途地域指定との関係で拒否された段階で、建築確認に対して
 取消訴訟を起こし、その訴訟の中で用途地域の違法を主張すれば
 よいとした(読本287頁)。

  「実効的な権利救済を図るという観点」に立ったのは、肢イの
  判例である。
 
   本肢は妥当でない。

 
 ※ 過去問との対比

  平成24年−問題18 肢3

  行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当た
 る行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高
 裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、
 行政処分に該当する。

  ● 当該用途地域の指定は、取消訴訟の対象にならないとしたのが、
   前記判例であるから、本肢は妥当でない。


 ○ 肢オについて

  行手法39条1項によれば、意見公募手続は、命令等を定める場合
 に問題になり、「行政計画」は、その対象にならない。

    ・・・
   命令等の概念については、2条8号をみよ。それらは、以下のもの
 であり、「行政計画」は入っていない

   法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む)・審査基準・
 処分基準・行政指導方針 

  本肢は妥当である。

 
 ※ 過去問との対比

  平成21年問題8 ・肢2

  広範な計画裁量については裁判所による十分な統制を期待すること
 ができないため、計画の策定は、行政手続法に基づく意見公募手続
 の対象となっている。

   ● 前記に照らし、本肢は妥当でない。

 
...............................................................

  
    以上妥当でないのは、イとエであるから、正解は3である。

................................................................ 

  ★  参考文献

  行政法入門 藤田宙靖 著 ・ 行政法読本 芝池義一 著

    ・有斐閣発行


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 【著者】司法書士 藤本 昌一
 
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