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           ★ オリジナル問題解答 《第13回 》 ★

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          PRODUCED BY 藤本 昌一
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  【テーマ】  民法
   
    
  【目次】    解説

              
   
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 ■ 民法オリジナル問題 解説
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  問題は、メルマガ・【行政書士試験独学合格を助ける講座】
 第99号に掲載してある。

 
 ☆ メルマガ第99回はこちら↓
   http://archive.mag2.com/0000279296/index.htm
 

  ▲ 問題 1

    ★ 各肢の検討
     

  ○ 1について

    判例によれば、立法権および司法権の行使も国家賠償法1条1項の
  「公権力の行使」に当たる。

        本肢は正しい。


   しかし、以下の点に注意すべきである。

    裁判官がした争訟の裁判については、当該裁判官の単なる過失では
   なく、違法又は不当な目的をもって裁判をしたなどの特別の事情が
   なければ国 の賠償責任の問題は生じないとするのが判例の立場で
   ある。(最判昭57・3・12・・)
 
   立法権も賠償責任の対象になるが、国会議員の立法行為等が、違法
  の評価を受けるのは、例外的であることにに注意。(最大判平17・
  9・14・・)

  ○ 2について

    国公立病院での医療事故については、民法の規定を適用するという
   実務が、最高裁判所昭和36年2月16日判決=東大病院梅毒輸血事件
  以来定着している(但し、予防接種被害については、国家賠償法1条1
  項が適用されている。東京高等裁判所平成4年12月18日判決)。
  (読本)
  
      以上、本肢は正しくない。


  ○ 3について

   国家賠償法1条1項を見ると、加害者が正規の公務員であることが
  公権力行使責任が認められるための要件であるように見える。しかし、
  裁判例ではそうは考えられていない。加害行為が行政の仕事、つまり
  公務であればよいと考えることができる。(読本)
  
  したがって、特殊法人の職員であっても、公務に従事していれば、
  法1条1条1項の「公務員」に該当する。
    以上の趣旨に従えば、判例は、一時的に公務を行う非常勤公務員
  を法1条の「公務員」とみるので、この者の行為に起因する損害は、
  国家賠償責任の対象となる。

    以上、本肢は正しくない。

 
  ○ 4について

   国家賠償法1条1項の「公務員が、その職務を行うについて」という
 規定は、加害行為が厳密に公務そのものに該当しない場合であっても公務
 との間に一定の関連性を持つ行為(公務関連行為)による被害についても
 公権力行使責任が認められるという意味である。(読本)
  
  最高裁判所はその適用の場面として、「客観的に職務執行の外形をそな
 える行為」について、国・公共団体の賠償責任を認めるという外形主義の
 考え方をとる。(読本)
  
   しかし、

   この外形主義による国・公共団体の賠償責任が認められるためには、
 加害公務員が正規の公務員でなければならないし、また加害行為はその
 公務員の職務の範囲内でなければならないとするのが定説である。
  したがって、正規の公務員でない者が警察官を装って私人に損害を
 与えても、都道府県の責任は認められない。(読本)
  
  また公務員ではあるが警察官ではない者が警察官を装って損害を与えた
 場合も都道府県の責任は認められないことにも注意せよ(読本)。

  以上の記述に反する本肢は正しくない。

 
  ○ 5について

  代置責任説は、公権力行使責任を、加害者である公務員が負うべき
 賠償責任を国・公共団体が代位したものと捉える。この説によると、国・
 公共団体の賠償責任が認められるためには、加害公務員を特定しその
 公務員に過失があったことを証明する必要があると言えそうである。
  
  他方、自己責任説(公権力責任を本来的に国・公共団体が負うべき
 責任として理解しようとする説)に立つとこの必要性はない。ここに、
 代置責任説と自己責任説の対立の一つの意味があると言える。
  
  もっとも、今日では、・・過失は客観的に捉えられ、組織過失・・が
 認められるようになっているので、代位責任説に立っても、加害公務員
 を特定してその公務員に過失があったことを証明する必要はないだろう。
 (読本)。判例も同様の立場に立つ。《最判昭57・4・1・》
  95)

    本肢は、代位責任説に引っ張られたたものであり、判例では加害公務
  員の特定を要しないとするから、本肢は正しくない。

    
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   以上により、本問は1が正しい。

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   ▲ 問題 2
 
   ★  各肢の検討

  
    ○ 1について

    平成21年度問題20において、「権限の不行使と国家賠償責任」
  に関する最高裁判所判例が出題されたが、本肢は、当該テーマにつ
  いての最高裁が示す基本的見解である(最判平1・11・24・・)。

   平成21年度問題20肢3の示す以下の記述も同旨である。

   国または公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を
  定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情
  の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性
  を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関
  係において国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

   以上により、本肢は正しい。

  ○ 2について


   公定力とは。

    特定の機関が特定の手続によって取消す場合を除き、いっさいの者は、
  一度なされた行政行為に拘束されるという効力をいう。
                            ・・
     したがって、「違法な行政行為も取消されるまでは原則として有効で
            ・・
   ある」ことになる。原則論からいえば、「行政行為は公定力を有するから、
   正当な権限を有する行政庁又は裁判所により取り消されるまでは一応有効
   である」ことになる。

    以上、 「公定力」という観点 からすると、違法な行政行為も一応有効
  であることになる。そうすると、当該行政行為の違法性を理由に国家賠償
  を行う場合にも、あらかじめ当該行政行為の取消し等の判決を得て違法で
  あることが確定していなければならないことになる。

  しかし、そこまで、「公定力」を拡大すべきではない。当該国家賠償請
 求訴訟において、違法性を判断してもらえばよいといことになる(最判
   S36・4・21・・同旨)
  

  以上の記述からすれば、本肢は誤りである。

  ○ 3について


  本肢は、以下の判例を想定している。

  第三者が国道上に故障車を交通に危険な状態で放置して相当時間を
 経過したにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全
 保持に必要な措置を全く講じなかったときは、道路の管理に瑕疵が
 ある(最判S50・7・25・・)。

  上記判例に照らし、本肢は正しい。

   ○ 4について

  最判S45・8・20・・によれば、「その過失の存在を必要と
 しない」としているので、本肢は正しい。

 
  ○ 5について

   最高裁判所は、本肢のとおり、外形主義の考え方をとっている
  ので、本肢は正しい(最判S31・11・30・・・)。


△ 参照サイト・過去問の詳細な解説 第42回・ 第70回・第71回

 ★ サイト・過去問の詳細な解説 42回 参照↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/870896.html

 ★第70回↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/1369392.html

 ★第71回↓
 http://examination-support.livedoor.biz/archives/1394869.html

 

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  以上誤りは、2であるから、正解は2である。
 
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 【発行者】司法書士 藤本 昌一

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 ■       一般知識  アラカルト(2)
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   日本の雇用・労働  その1


   ○ 日本型雇用システム

    
    日本雇用制度の三種の神器

     日本の雇用制度を象徴する、「終身雇用制度」、「年功序列型
    賃金」、「企業別労働組合」

   
    ★ 三種の神器の盛衰 

      年功型賃金や終身雇用制度がみられるようになったのは、第
     一次大戦後の1920年代(大正2年〜)ごろからの大企業か
     らである。
      さらに、企業別労働組合を加えて普及したのは戦後のことで
     ある。

      こうした日本的雇用制度は、少なくても大企業の正社員に限
     ってみればかなり一般的であったが、1990年代中盤以降(
     平成7年〜)徐々に崩れてきた。

    ★  日本の労働組合

          ・・・・・
     欧米では、職業別組合(同一職種の熟練工を中心とした組合)
      ・・・・・
    から産業別組合(職種や企業の枠をこえた同一の産業の組合)
        へと発展してきた。

     これに対して日本では、終身雇用制を背景として、会社ごと
                  ・・・・・
    の従業員組合という性格をもつ企業別組合である。
      そのため、組合員に会社あっての組合という企業意識が強く、
    交渉力や他労組との連帯行動に弱点がある。

   
   ○ 日本の労働者派遣制度ー労働者派遣法を中心にしてーについて
    の要点

    
     ▲ 労働者派遣法とは


    1 「労働者派遣法」※は、「派遣労働者の就業条件の整備等」を
     図るため、1985(昭和60年)に制定されたが、施行当初、
     対象は高度な専門業務に限られていた。

    2 「労働者派遣法」は、労働者派遣事業者(派遣元企業)が、労
     働者をほかの企業(派遣先企業)に派遣して、その(派遣先)企
     業における業務を遂行させる仕組みを規定する。

      同法の定める二つの形態

      「常用型派遣」⇒派遣元企業が労働者と長期の雇用契約を結び、
      派遣元企業が自ら雇用する常用労働者を派遣する。

      「登録型派遣」⇒派遣元企業には、派遣労働者の登録だけして
      おいて、仕事のあるときにのみ派遣される。

      
    △ 1999年(平成11)年改正

     当該改正法により、派遣業務の対象が専門業務以外にも拡大し、
    一定の業務を除き原則として自由化した。
     
     その結果、人材ビジネスとしての派遣事業は拡大を続け、究極
    の細切れ雇用の「日雇い派遣」も増加。「ネットカフェ難民」
    「ワーキングプア」の温床になっているとの指摘もある。

   
    ▼  その近時の傾向

     2010(平成22)年に政府は労働者派遣法の改正案を閣議
    決定し国会に提出に提出したが、その後、継続審議になり、現在
    まだ成立していない。

     その内容は、

     専門26業種などを除き「登録型派遣」の原則禁止。
     長期の雇用契約を結ぶ「常用型派遣」を除き製造業派遣禁止。

     つまり、「それまでの規制緩和(自由化)に対する見直しとして、
    労働者派遣法の規制強化策が現在の検討課題になっている」と、し
    っかり覚えておくこと。

      

   (注)※ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業
       条件の整備等に関する法律

     
      =次回に続く。


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 【発行者】司法書士 藤本 昌一
 
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